In Deep

地球最期のニュースと資料

*

2016年の十の災い(1):米国、そして欧州と全世界に拡大しつつあるジカウイルスが蚊だけではなく「性行為で感染する可能性」に感じる憂鬱

      2016/01/29

今回は、下の3つの報道をそれぞれご紹介します。
見出しだけでも、どのようなものかはおわかりになるかと思います。

2016年1月27日のロシア・トゥディより

zika-europe-2016Zika virus spreading in Europe as 1st person tests positive in Denmark

 

2016年1月26日の米国NBCニュースより

virginia-zika-2016Virginia Resident Tests Positive for Zika Virus

 

2016年1月26日のデイリーメールより

zika-spread-sexCould Zika be spread through SEX?

 

世界へと拡大が続くジカウイルスと「妊娠してはいけない国と地域」

この、妊婦が感染すると、その赤ちゃんに大きな影響を与える可能性のあるジカウイルスについては、

世界に広がるかもしれない「誰も妊娠してはいけない」状態 : 赤ちゃんに影響を及ぼすジカウイルスでのブラジル非常事態宣言から思う来年
 In Deep 2015/12/26

ウイルス、そして「蚊」の意味とは何か?:人類文明に影響を与える可能性のあるジカウイルスの爆発的な感染拡大を前に考えておきたいこと
 In Deep 2016/01/05

の2つの記事で書いたことがありますが、現在の状況としては、先日、

拡大する「妊娠してはいけない地域」 : 胎児に影響を与えるジカウイルスが「イギリス」と「ハワイ」にも上陸
 地球の記録 2016/01/26

という記事で書いたのですけれど、イギリスとハワイなどにおいても患者が発生しています。

ただ、イギリスにしてもアメリカにしましても、今は大変に寒い状態が続いているはずで、「蚊」などというものが活発に活動できる状態ではないと思われ、普通に考えれば(春までは)何の心配もないことだとも思うのですが、冒頭の3つ目のデイリーメールの記事にありますように、

「ジカウイルスが性交渉で感染する可能性」

について述べている医学論文が見つかったということなどもあり、これはもちろん、「可能性」の域を出ない話だと思いますが、ただ、

「赤ちゃんに多大な影響を与えるかもしれない感染症が、その赤ちゃんを作るための性行為で感染する可能性がある」

のだとすれば、なんという皮肉というか無情というのか、何というのかわからないですが、本当に大変な時代になってきいるのかもしれません。

タイトルに「十の厄災」と入れましたが、これは旧約聖書の『出エジプト記』に出てくる「イスラエル人を救出するために、エジプトに対して神がもたらしたとされる十種類の厄災」のことですが、その内容としては、

1. 水を血に変える(赤くなる)
2. カエルの大群を放つ
3. ぶよを放つ
4. アブを放つ
5. 疫病を流行らせる
6. 腫れ物を生じさせる
7. 雹(ひょう)を降らせる
8. イナゴを放つ
9. 暗闇でエジプトを覆う
10.初子(長子)をすべて殺す

というものなのですが、私はこのジカウイルスのことを初めて聞いた時に、なぜか、この「十の災い」を思い出しました。

これのどれに該当するとか、そういうことではないにしても、何となく「初子を皆殺しにする」という概念・・・それは、「妊娠するのを避けるように」という、ブラジル政府当局などの警告にも十分現れているように思うのですが、この十の厄災と現在との関連を書くと、無駄に長くなりそうですので、それは次などに回しまして、今回は、基本的に翻訳だけにしようと(1)ということにさせていただきました。

上の「十の厄災」のような現象は、この2〜3年でおびただしく起きてはいまして、そのあたりも振り返ってみたいようにも思った次第です。

ちなみに、次回でふれるかもしれないですが、上のうちの「イナゴ」に関しては、特に、その被害の拡大がこの1年2年で加速しています。イナゴの被害は、直接、「食糧への被害」と関係するものですので、この気候の不安定な時代には厄介な現象のひとつとも言えそうです。

ちなみに、今は、アルゼンチンが非常事態間近の過去最悪のイナゴの大発生を目前としていることが報じられています。

2016年1月26日の米国ニューヨーク・タイムズより

plague-locusts-argentina-2016-topArgentina Scrambles to Fight Biggest Plague of Locusts in 60 Years

 

気候条件の変化のせいもあり、アフリカでも各地でイナゴの被害が多発する予測が国連食糧計画などから警告されていて、世界各地で「イナゴの厄災」が本格化してきている兆しもあります。

昨年や一昨年の人や動物の「大量死」にも十の厄災の雰囲気は感じていましたが、それ以上に、今は最も「十の厄災」を実感しています。

では、冒頭の三つの記事をそれぞれご紹介します。

どの記事にしても、ジカウイルスが「蚊」だけが媒介して感染するものなら、北半球が冬である今は特に問題はないのです。しかし、「蚊以外」の感染経路を持つウイルスだったとした場合、少し厄介かもしれません。

Sponsored Link


 

まずは、ロシア・トゥディのヨヨーロッパでのジカウイルス患者発生に関してのニュースです。


Zika virus spreading in Europe as 1st person tests positive in Denmark
RT 2016/01/27

デンマークで初となるジカウイルス陽性患者。ジカがヨーロッパに拡大

性別、年齢などを明かされていないひとりの人物が、デンマークでジカウイルスに陽性反応を示した。

ジカウイルスは蚊が媒介する感染症だが、妊婦が感染した場合、胎児に重度の先天性欠損症を引き起こす可能性があることを欧米のメディアが報じている。

これまで、イタリア、スペイン、英国、スイスで、ジカウイルスに感染した何人かの人々が報告された後にデンマークで新しい例が示された。感染したデンマーク人は、中南米を旅行していたと地元メディアは報じている。

中南米では現在、ジカウイルスが流行している。

患者は現在、デンマーク第2の都市であるオーフスの大学病院で治療を受けている。

この患者は、発熱、頭痛、筋肉痛などのインフルエンザ様の症状で病院の感染症科で診療を受けたが、その後のテストにより、ジカウイルスに感染していたことが明らかとなった。

ジカウイルスは世界中に拡大しつつあり、すでにヨーロッパにも登場している。1月26日には、カリブ海から戻ってきたイタリア人がジカウイルスに感染していたことが報告された。

さらに、スペインで2例と、英国で3例、スイスで2例のジカウイルス感染が報告されている。

ジカウイルスは蚊が媒介して感染するもので、人間の精液からも見つかってはいるが、人と人との接触で病気が感染することはない。

その症状は軽度で、発熱、発疹、関節痛などだが、妊娠中の女性が感染した場合に、その赤ちゃんが先天性欠損症になる可能性が指摘されている。


 

RT の記事はここまでです。

次は、アメリカのニュースです。

アメリカでは、ハワイですでにジカウイルスの感染例が報告されていますが、本土でのジカウイルス感染例はこの2〜3日で急に報告され始めました。

 


Virginia Resident Tests Positive for Zika Virus
NBC News 2016/12/26

バージニア州の住民がジカウイルスのテストで陽性反応

Zika-Mosquitoes-

 

バージニア州の保健当局は、アメリカ外の旅行から帰国した州内の住民が、ジカウイルスのテストに陽性を示したと述べた。患者の性別は明らかにされていない。

保健局の局長マリッサ・レヴァイン博士( Dr. Marissa Levine )は、その住民は、現在ジカウイルスが流行しているある国(具体的な国名は明かされていない)を旅行していたと発表した。

しかし、アメリカ国内は現在蚊のシーズンではないので、ジカウイルスが拡大する危険はないとも述べている。

ジカウイルスは、ブラジルで爆発的に増加している小頭症の赤ちゃんを含む先天性欠損症との関連があると疑われている。

アメリカ疾病管理予防センター( CDC )は、アメリカ国内の妊娠中の女性は、ジカウイルスに感染する可能性のあるカリブ海や中南米への旅行に関して延期を検討することを薦めている。


 

そして、英国デイリーメールの記事です。

仮にですが、ジカウイルスが性交渉で感染する可能性があるとするならば、「蚊」という「感染に関しての季節的要素」が排除されるわけで、かなりインパクトが強いものかもしれません。

これまでのジカウイルスにつきまとっていた、

「妊娠してはいけない」

というパラドックスが、

「子どものほしい人は性交渉してはいけない」

という根源的なパラドックスにつながる可能性のある話でもあります。


Could Zika be spread through SEX? Traces of the virus are found in semen, while one scientist claims he passed it to his wife
Daily Mail 2016/01/26

ジカウイルスは性交渉を通じて感染する? 妻に性交渉で感染させてしまったと主張する科学者がいる一方で、精子の中からウイルスの痕跡も見つかっている

sperm-zika-virus

 

カリブ海とラテンアメリカを通じて、ジカウイルスが猛威を振るう中、米国でもフロリダなどでジカウイルス患者が報告されはじめている。

ジカウイルスそのものの症状は軽いが、妊娠した女性が感染した場合、赤ちゃんが先天的に脳の発達が阻害される障害を持つ可能性があるといわれている。

このウイルスの最大の疑問のひとつは、それがどのように感染していっているかということだが、現時点では、ジカウイルスは、デング熱やチクングニヤ熱、黄熱病といった他の熱帯の疾病と同様に、蚊が媒介しているという科学的な証拠がある。

しかし、2つの、ある医学文献の報告では、ジカウイルスが性交渉を通して感染する恐れが出てきているのだ。

医学報告のひとつは、ジカウイルスに感染しているタヒチの男性の精液からジカウイルスが発見されたというもの。そして、もうひとつは、性行為を通して夫から妻へジカウイルスが感染したとするものだ。

しかし、本当に性交渉で感染する危険性があるのだろうか。

今週 WHO が発表した声明では、これらの「ジカウイルスが性交渉で感染する」という医学報告には、まだ十分な証拠が揃っていないとして、WHO はジカウイルスが性感染する可能性についての可否について保留した。

先の医学論文のうちのひとつは、2011年に公開された文書で、米国コロラド大学の生物学者であるブライアン・フォイ教授( Professor Brian Foy )が主張したものだ。彼は、セネガルへの屋外調査旅行に行った際にジカウイルスに感染した。

フォイ教授とチームは、セネガル南東部にあるバンダファッシ( Bandafassi )と呼ばれる村で、研究のための蚊を集めており、彼らは頻繁に蚊に刺されていた。

米国へ帰国してから5日後にフォイ教授はジカ熱を発症した。症状は、極度の疲労、手首の腫れ、発疹や痛みを伴う排尿などだった。また、皮膚の症状、そして、精液に血が混じっているように思えた。

そして、数週間後、フォイ教授の「妻がジカ熱を発症したのだ。

彼の4人の子どもたちは誰も感染しなかった。

科学者たちは、教授の妻が感染した理由について困惑し、一連の試験を実施することにした。

その結果、科学者たちは、フォイ教授の妻は、夫婦間の性交渉によってジカウイルスに感染した可能性が高いと結論づけた。

このように性交渉でジカウイルスが感染するケースは動物では考えられているが、ヒトでは可能性がないとされていた。

もうひとつの例は、精液にジカウイルスを有していることが判明したタヒチ人の患者の例がある。このケースによって、科学者たちは、性交渉を介してジカウイルスに感染する可能性はあると結論づけている。

フランス領ポリネシアで流行していたジカウイルスを発症した 44歳の男性は、微熱や関節痛といった症状の後、2週間して回復したが、精液の中に血液があることに気づき、治療を求めた。

そのテストで、患者の精液からジカウイルズが発見されたのだ。

さらなる試験の中で、この患者は、精液の中だけではなく、尿の中にもジカウイルスが存在していることが明らかになった。

これだけの医学的報告があるにも関わらず、WHO を初めとする保健当局は、性交渉での感染の可能性の有無について明らかにしていない。

ブラジル・リオデジャネイロの研究機関の小児科医であり、感染症の専門家であるマルシオ・ネハブ博士( Dr Marcio Nehab )は、現時点では、まずは、蚊への対策を第1の問題として考えるべきとしながら、以下のように言う。

「ジカウイルスが性交渉によって感染するものかどうかについては、さらに研究する必要があります。なぜなら、私たちは、まだジカウイルスについて、あまりにも何も知らないのですから」