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アルツハイマー病とALSの外部的原因の特定? : 青藻が作り出す毒素 BMAA が神経変性疾患発症の直接的外部要因として関与している可能性が濃厚に

   

英国デイリーメールの報道より

bmaa-dimentia-top2How bacteria in UK waters may lead to dementia

 

「緑が生み出すもの」の行く末

最初に書いておきますと、今回の翻訳記事はものすごく長くてですね、何だかんだと昨日から少しずつ訳していて、やっと終わったのですが、本文が長いために、前振りは最小にしたいとは思っています。

認知症やアルツハイマーに関しての記事は、今後も書くことになると思いますので、今回は、雑談は書かずに、なるべく早めに本題に入ります。

それでも、記事の概要を記しておきますと、アルツハイマー病と、そして、後述しますが、ALS (筋萎縮性側索硬化症)などの神経変性疾患の主要な外部要因の可能性がある」物質が、アメリカと英国の大学の研究者たちの研究で発表されたというものです。

その可能性のある物質(可能性はそれなりに高いと見受けられます)は、

BMAA

というもので、この BMAA というものは、いろいろなものに含まれているのかもしれないですが、最も一般的なのは、

水中の藻

が自身で生産するものでありまして、この BMAA という物質に関してのアルツハイマー病を含む神経変性疾患との関連について研究を記事にしたものですが、今回ご紹介するデイリーメールの記事を読む限り、外部要因としては、どうもかなり可能性は高いような気もします。

この BMAA という物質が人間に対しての神経毒であるかもしれないことは以前から言われていたようですが、今回の研究は、それが神経変性疾患につながる、かなり高い可能性を示唆したといえそうです。

ちなみに、BMAA という毒素を出すのは、「藻」の中の「青い藻」のことで、アオコなどもそうですが、これらは、「シアノバクテリア」と呼ばれていて、バクテリアという名がついているとおり、植物ではなく「細菌」です。

光で生きる「光合成をする細菌」です。

これに関しては、水槽で水生の生物などを飼ってらっしゃる方なら、放っておくと、水槽の中に「緑の藻」が繁殖し始める経験がおありになると思いますが、あれがシアノバクテリアです。このように、どこにでもあるものです。

下は、私の部屋に4つある水槽のうち(また水槽増やしたのか!)のひとつですが、水槽の内側のガラス面にある緑色のものがそうです。

my-room-bmaa

 

定期的に掃除したりしないと、次第にガラス面がこれに占領されていきます。

こういう青い藻に含まれている BMAA という毒素が、アルツハイマー病や、その他の神経性の疾患を引き起こしているという「可能性」についての話です。現時点では、あくまで可能性に過ぎないことも、研究した博士自身が述べています。

ちなみに、こういう毒素が、なぜ人間の体内に摂取されるかというと、「食物連鎖の中に取り混まれる」ためのようです。

つまり、私たちは魚を食べたり、あるいは日本人なら海藻を食べたりしますけれど、食物連鎖の循環から、そういうものへと入り込み、それは人間に入っていくということでしょうか。

しかし、魚や海藻は、人類が昔から食べているもので、それだけを考えると、世界中でアルツハイマー病や ALS の患者の数が急激に増えている理由としては釈然としない感じもします。
1974年から2013年までのALSの患者数の推移(日本)
ls-1974-2013中日新聞

 

仮に、もし本当に BMAA がアルツハイマー病や ALS などの神経変性疾患と関係しているのだとすれば、

「環境か人体かなどはわからないにしても、何かが昔とは変わった

のだと思います。

その「何か」の部分はよくわからないです。

いずれにしても、何も確定したわけではないですし、何より、あくまで私感ですが、今の私は「あらゆる病気は、大きなファクターである内部要因に、外部要因が加わる」ことで起きると思っています。つまり、病気の第1は外部要因より内部要因だという気がします。

かつてあれほど猛威をふるったペストやスペイン風邪も、誰にも抗体がないのなら本来なら全員がかかってもいいのに、そうはならずに、実際には「それらの病気にならない人の方が多かった」という事実。

以前、

アルツハイマー病の最大の原因が「ストレス」である可能性がアイルランドの大学の研究により突き止められる
 2015/10/23

という記事を書いたことがありましたが、これにしても、ストレス「だけ」が原因ということもあり得ないでしょうし、今回のことにしても BMAA 「だけ」が要因というわけでもないでしょうし、病気には内的要因を始めとして、大変に複雑な要素が絡んでいるものだと思います。しかし、複雑に見えても、そのコアは単純なものなのかもしれないですが・・・それがわかれば、そういう人が「賢人」と言われるのかもししれないですね。

私ら蛮人、じゃないや、凡人にはわからないです。

それにしても「外部要因が関係ない」とも、やはり言えるはずもなく、ガンに関しても、以前書きました、

WHOが公式発表した「ガンの原因となる116の要因」を全掲載
 2015/10/31

などのようなものの中には、確かに、強く関係のあるものもあるのかもしれません。

しかし、それらの物質に同じように暴露していても、やはり全員はガンにはならない。

どんな劣悪な環境でも、「ガンになる人とならない人がいる」のと同じように、アルツハイマー病などに関しても「同じような環境で、なる人とならない人がいる」のが現実で、難しいところですが、今回のものは、本文を読みますと、それなりに納得できる内容ではあるように感じます。

それでは、本文に入りたいと思いますが、少しだけ注記を。

ALS / PDC

文中に、アルツハイマーの他、ALS / PDC という聞き慣れない言葉が出てきますが、ALS に関しては、

ALS (筋萎縮性側索硬化症)

重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で、運動ニューロン病の一種。極めて進行が速く、半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡する。治癒のための有効な治療法は現在確立されていない。

というもので、最近は周知されてきた部分もあるものですが、ALS / PDC というのは、もっと希なもので、以下のようなものです。

ALS / PDC (牟婁病:筋萎縮性側索硬化症 /パーキンソン認知症複合)

紀伊半島南部とグアム島は、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の世界的な多発地域として知られている。これらの地域には、パーキンソニズムと認知症を主症状とする特異な神経変性疾患であるパーキンソン認知症複合 (PDC) が多発している。

ALSとPDCは、密接な関連があり、同一疾患の異なる表現型と考えられ、両者はまとめて牟婁病 (ALS/PDC) と呼称される。

というもので、今回の文中に「グアム島に ALS / PDC が多い」という記述がありますが、上の説明のように、日本の紀伊半島南部でも同じことがあるそうです。

三重大学大学院の紀伊神経難病センターのページ「紀伊半島の筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合」には下の地図があり、たとえば紀伊半島南部は、ALS の発症率が他の地区の 50〜 100倍にのぼるのだそう。

世界の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の3大多発地域
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これらの疾患には、いまだに原因の理解できない「場所によっての特異性」があるようで、こういうことを見ますと、何らかの外部要因(理解できない外部要因も含めて)は確かにありそうです。

それでは、デイリーメールの記事です。

なお、「英国の」という剽げんが多いのは、デイリーメールが英国のメディアだからでして、世界中、BMAA に関しては条件は同じはずです。

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Alzheimer’s ‘cause’ discovered: Poisonous algae found in UK freshwater lakes and reservoirs could be fuelling dementia epidemic afflicting one million people
Daily Mail 2016/01/23

アルツハイマーの「原因」を発見 : イギリスの淡水湖や貯水池で見つかった有毒藻類は英国の100万人を苦しめている認知症の流行をさらに加速させてしまうかもしれない

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英国全体の淡水湖や貯水池で発見される毒素は、英国で拡大している認知症の流行をさらに大きなものとしてしまう可能性を持つものかもしれない。

研究者たちは、藻類によって産生される化学物質が、アルツハイマー病および運動ニューロン疾患(訳者注:略称 MND 。四肢、延髄および呼吸筋の筋力低下などを招く神経変性疾患。 ALS を含む)などの壊滅的な神経病理学状態のカテゴリーと関係するかもしれない最初の直接的な証拠を発見した。

ごく一般的な青緑色の藻類の大発生による毒素は食物連鎖の中に入ることによって、魚介類や植物の中に普通に見出されるが、今、専門家たちは、 BMAA と呼ばれる毒素がヒトに脳疾患を引き起こす可能性についての証拠に大きく注目している

この関係性が確認された場合には、この BMAA という化学物質がアルツハイマー病の発症と関係した自然環境での第一の主要な環境要因となるだろう。

アルツハイマー病は、英国での増加が加速しており、2050年までに 100万人の英国人に影響を与えると予測されている。

1月17日に明らかになった最新の研究は、以下のことを示した。

・BMAA の豊富に含まれた食事を与えられたサルたちは、5カ月以内に「アルツハイマー様の疾患」を示した

・アルツハイマー病および MND で苦しんでいる人たちの脳は、BMAA の化合物が高レベルで含まれていることが見出された。健康な人にはこの傾向はなかった

・BMAA が高レベルで含まれている食事は、グアム島の神経変性疾患 ALS/PDC(筋萎縮性側索硬化症 ALS / パーキンソン認知症複合 PDC )の驚異的な率と関係している

・米国とフランスの科学者たちは、藻類の BMAA で汚染された湖や池沼の周りに住んでいる人たちに稀な神経ニューロン運動患者の「集団」を発見した

・BMAA の食物連鎖への関係はまだ確立されていないが、フランスのムール貝や牡蠣、および河口で成長したポルトガルのザルガイなどの魚介類には、すべて BMAA が含まれていることが判明している

英国全体の 12の淡水湖や貯水池から採取した青緑藻のサンプルの試験結果を見ると、これらの毒素は、イギリスの内陸の水域に広く分布していることが考えられる。

自然環境に関しての有数な研究者の一人、ポール・コックス教授( Professor Paul Cox )は、これらの青藻による有毒な毒素は、アルツハイマー病などの脳疾患の発生率が増加している背景にある「第三の要因」の可能性があると述べた。

米国ワイオミング州エスノメディシン研究所( Institute for Ethnomedicine )のディレクターであるコックス教授はデイリーメールに次のように語った。

「私たちはアルツハイマー病の最大の危険因子を知っています。それは加齢です。アルツハイマー病が増えているのも、人口全体の高齢化と関係しています。アルツハイマー病が増加している第二の理由は、アルツハイマー病の診断が、以前と比べて格段に的確になったことがあります」

「そして、私たちは今、第三の要因の可能性を追加しています。それが、環境毒素への曝露です」

イギリス王立協会の「プロシーディング・オブ・ザ・ロイヤル・ソサエティ B」誌( journal Proceedings of the Royal Society B )において先週発表された研究では、サルに BMAA を混入したバナナを与えた例が記載されている。

このサルたちは 140日以内に、プラークと呼ばれる異常な脳の構造が拡大し、アルツハイマー様の病気で死亡したグアム島民たちの脳に見られるものと同様の「脳のもつれ」が見出された。

これらのアルツハイマー様の病気は、ALS / PDC と呼ばれる。

汚染されたソテツの植物由来の小麦粉や、BMAA が多く含まれたコウモリを食べる習慣のあるいくつかの村では4人に1人が ALS / PDC を発症する。

熱帯の樹木の皮から抗 HIV 薬を発見したことで知られるコックス教授は「 BMAA が、アルツハイマー病および、運動ニューロン病を誘発する証拠の可能性が大きくなってきている中、これは非常に憂慮すべきことであるかもしれません」と述べる。

「そのサルたちのいくつかの脳にはプラークが見つかり、もつれの密度が、アルツハイマー病と非常に似ていたのです」と、教授は付け加えた。

ただ、教授は、藻類の毒素が供給されることによって、アルツハイマー病がサルで作られたと言っているのではないことを強調した。作り出された ALS / PDC に見られる脳のプラークの位置は、アルツハイマー病のものとは異なっていると教授は指摘する。

しかし、教授はこうも言っている。

「何かが起きています。 BMAA は、一部の人にとって要因となっている可能性があるのです」。

以前の研究では、BMAA が、アルツハイマー病と運動ニューロン病の患者の脳で一般的に発見されることが見出されているが、 しかし、他の人たちでは希であった。

そして、BMAA で汚染された湖や池沼で暮らす人々の MND の発症率は、予想よりも最大 25倍高いのだ。

しかし、今日までの英国の研究では、それらのヒトの健康への潜在的なリスクについての関係はわずかしかわかっていない。

2008年の研究で、12の湖や池沼すべてから採取した藻の試料中から見出されることとしては、 BMAA が、イギリスの淡水に広く分布している可能性だった。

その中には、飲料水の貯水池もあれば、レクリエーション関係の水もあったし、いくつかの場所は、釣り場とされているところもあった。

スコットランドのダンディー大学で研究しつつ、コックス博士と共にワイオミングで研究を続けるジェームス・メトカーフ博士( Dr James Metcalf )は、このように言う。

「 BMAA は、どこにでも、非常に一般的に見られるように思われるのです」

コックス博士もメトカーフ博士も共に、いまだに、どの程度の濃度の BMAA が、ヒトに害を与えうるかはわかっていないと共に、どの特定の遺伝子が BMAA に感受性があるのかについてもわかっていないと強調する。

コックス教授は、以下のように述べる。

「私たちは、遺伝子と環境に相互の作用があると考えています。おそらくは、一部の人たちは BMAA の毒素にさらされると、排出せずに蓄積されていく。遺伝子が銃であるとしたならば、その発砲の引き金となるのが BMAA の毒素です」

彼らは、医学誌に以下のように記した。

「 ALS / PDC においての個体の脳内の神経原線維変化は、アルツハイマー病患者の脳に見られるものと同様の免疫組織と構造を持っている。しかし、それらは、生化学的および局部的に、より不均一なものだ」

それにもかかわらず、ALS / PDC とアルツハイマー病における類似性は、 BMAA についてのより多くの研究を必要とすると彼らは言う。

1月22日、「英国アルツハイマー病リサーチ( Alzheimer’s Research UK )」のローラ・フィップス博士( Dr Laura Phipps )は、「このサルでの研究は BMAA への暴露が、神経変性疾患の機能的な特徴に直接つながる可能性を示唆している」と述べ、これが、グアム島で ALS / PDC が多い原因の条件の洞察にもなり得るとした。

フィップス博士は「認知症の希な形態の調査は、アルツハイマー病や運動ニューロン疾患など、より一般的な疾患との関連性を持つかを理解するために必要です」と述べた。

「運動ニューロン疾患協会( Motor Neurone Disease Association )」は、この件についてのコメントを控えた。

ダンディー大学とスターリング大学で教えるジェフリー・コッド教授( Professor Geoffrey Codd )は、以下のように言う。

「私たちは、アルツハイマー病の最大の発症要因は、老化と加齢であることを知っています。それに関しての異議はありません。しかし、それでも、ある人はアルツハイマー病になり、ある人はならない。この理由はいまだにわからないのです」

「人々のそれぞれのライフスタイルや、各自の遺伝子がそれらの疾病の要因だとも考えられますが、今、湖や池沼で見つかる藻が生産する BMAA が、アルツハイマー病や運動ニューロン疾患の発症に関係する可能性が示唆されたのです」

しかし、強く書いておきたいことは、現時点では、BMAA は、リスク要因のひとつの候補である「可能性がある」という域を出ないということだ。

BMAA が私たちの体にどのように影響を与えるかはわかっていないし、BMAA が環境の水域にどの程度含まれているのかも体系的な調査はされていない。

まだわからないことが数多くあるが、しかし、潜在的なリスクを考えると、より広範囲での BMAA の監視が必要ではないだろうか。