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地球最期のニュースと資料

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海の未来 : メキシコ湾原油流出事故以来の大災害といわれるブラジルのダム決壊で大西洋へ流れ続ける未曾有の有毒物質の行方

   

鉱山のダムが決壊して川から大西洋に流れ出る有毒貯留物の波

worst-brazi-environmental-disaster-topDam collapse creates environmental disaster in Brazil

 

この1週間ほど、ずっと胃の調子が悪くて・・・まあ、原因はわかっている上に、典型的な自業自得なのですが、あまりにも良くならなく、ついに丸2日間、何も食べられない状態になっていまして、昨日、久しぶりに「病院」というものに行きました。

近所のおじいちゃん先生がやっている消化器科で、ここの先生は、「わりと何でも触診で片を付ける」感じの方で、わりと好きな人でした。

行きますと、受付に、白い服を来た女性がいて(そら、いるわ)、私の診察券を見た後に、

「2月以来ですね」

と言いました。

それを聞きまして、

「ああ、最後に行った病院もここだったんだなあ」

と思い出しました。

今年の春に、

基本的に「すべての薬」は人間に良くないという理由の理論的なメカニズムがわかったのです
 2015/04/02

という記事を書いた頃、とても自然に、

「もう薬を飲んだり、病院に行くのはできるだけやめよう」

という思いがスッと確立しまして、それ以来、薬や病院とは基本的に関わらない生活をしていました。

なので、病院は久しぶりでした。

それにしても、年に1回とか2回の病院行きなら、健康保険に関して、明らかにあまり意味がないようにも思えてきて微妙なところです。

さて、そんな私の久しぶりの「ワクワク病院探訪」の経緯はともかくとして、今回は、冒頭の、「ブラジルのダム決壊事故」の現地の報道を見て、やや思い出すことがありましたので、記してみたいと思います。

このブラジルのダム決壊事故の、発生時の報道は下のようなものでした。

ブラジルのダム決壊、2人死亡・30人負傷

 ロイター 2015/11/07

ブラジルの鉄鉱石鉱山で起きたダム2カ所の決壊事故で、地元当局者は6日、少なくとも鉱山労働者ら2人が死亡、30人がけがを負ったと明らかにした。

事故は5日、英豪系資源大手BHPビリトンと、ブラジルのヴァーレの合弁会社、サマルコが運営する鉱山で発生。大洪水でがれきの生き埋めになるなどした行方不明者の捜索が続けられた。

というもので、普通のダム決壊事故のように思えるものでしたが、その後明らかになったことがありました。

このダムは「鉱山から出る有毒物質の大量貯蔵ダム」だったのです。

その有毒物質は、大西洋に流れ出しています。

これで思い出したのは、5年前の「出来事」でした。

 

原因はわからないながらも「海流が消えていっている」メキシコ湾

2010年の 4月にアメリカのメキシコ湾で起きた、BP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」の爆発事故から始まった原油流出事故を憶えてらっしゃいますでしょうか。

2010年メキシコ湾原油流出事故 – Wikipedia

2010年メキシコ湾原油流出事故は、2010年4月20日にメキシコ湾沖合80km、水深1,522mの海上で海底油田掘削作業中だった、

BP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で、技術的不手際から掘削中の海底油田から逆流してきた天然ガスが引火爆発し、海底へ伸びる5500mの掘削パイプが折れて大量の原油がメキシコ湾へ流出した事故。

 

2010年6月 海面のほとんどが原油で覆われたメキシコ湾

gulf-2010-06NASA

 

このメキシコ湾の原油流出と関係があるわけではないのでしょうけれど、時期的に原油流出に対しての作業(主に石油分解剤の「コレキシット」という薬剤を撒くこと)の頃、

「メキシコ湾流の海流が徐々に消えていく」

ということを報告していたアメリカの記事をご紹介したことがあります。

その、

海の終焉: すべての海流が死につつある(1)
 2010/10/17

という記事に、下の図を載せたことがあります。

メキシコ湾の 2004年9月の海流の「強さ」と、原油流出があった 2010年の 8月の海流の強さです。

メキシコ湾の海流 / 2004年9月5日

gulf_040905

 

メキシコ湾の海流 / 2010年8月22日

gulf_100822The North Atlantic Current is Gone

 

上の図を下並べて比較しますと、その頃、明らかに「メキシコ湾の海流が弱くなってきていた」ことがわかります。

gulf-2004-2010

 

上でリンクした記事でご紹介した海外の記事では、

最新の衛星からのデータによると、北大西洋海流はすでに存在しておらず、また、ノルウェー海流もすでに存在していない。

というような極端な書き方がされていますが、そんなことはないです。

そんなことはなく、海流そのものは存在しているのですが、このメキシコ湾の石油流出から5年後に、

「やはり、メキシコ湾の海流速度は減速し続けていた」

ことが、今年になってわかったことを、

突如増えた黒点と地球近傍小惑星。その下の地球では「海流が死につつある」ことが判明
 2015/03/26

という記事で書いたことがありました。

そして、海流には、それぞれ〇〇海流というような名称が与えられていますが、それらは下の図のように、

「基本的には海流はひとつ(すべてつながっている)」

というのが真実です。

gulf-global-sea
Hadal Environmental Science / HADEEP

 

世界のどこの海流であろうと、どこかひとつに目立った異常があれば、世界の海流もそれに呼応するものなのではないのかな、と思ったことなどを上の記事では書かせていただいています。

まあ・・・最近の海の大量死と、海洋生物の異変の多さについては、過去記事をピックアップするのも大変なほど数多くありました(こちらのリンクに「大量死の関係記事」一覧があります)。

海流が変化すれば、海の環境は当然変わります。

場合によっては、その環境に対応できない生命たちも多く出てくるはずです。

また、海流は、そもそも陸地を含む地球全体の「気温」を左右します。

先ほどリンクしました記事「…「海流が死につつある」ことが判明」でご紹介しました報道では、ドイツのポツダム気候影響研究所の科学者が、

「大西洋の海洋熱循環の減速が続けば、かなりの影響をもたらします。まずは、海の生態系にマイナスの影響を与えることになる可能性があり、それは、漁業や沿岸地域の人びとの生活にまで影響を与えるかもしれません」

「海流の循環の減速は、最終的には、北米とヨーロッパの両方の気候に大きく変化を与えることになると考えられます」

と言っていますが、海流にはそのような作用もあるのです。

メキシコ湾流の減速が、仮に、大西洋などの海流の循環に影響を及ぼした場合は、つまりは、おそらく、世界全体の海域海流が影響を受けると考えても構わないのではないかと思います。

2010年の原油流出事故の時には、ヨハネの黙示録の記述がリアルに感じたものでした。

新約聖書『ヨハネの黙示録』 8章 8-9節

第二の天使がラッパを吹いた。すると、火で燃えている大きな山のようなものが、海に投げ入れられた。海の三分の一が血に変わり、 また、被造物で海に住む生き物の三分の一は死に、船という船の三分の一が壊された。

ふと思うと、

「海の生き物の3分の1くらいなら、すでに死んでいるのでは?」

と考えたりもしますが、海だけではなく、地球で現在起きている「変化」が、多様な方面からもたらされるかもしれないことにも気づきます。

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磁場の減少と海流の減速などの「複合要因」がもたらすもの

先日の記事、

おそらく人間を含めた「全生物」は磁場により生きている:ハトや蝶が持つ光受容体がヒトにも存在していること。そして、そのハトや蝶が「全滅」に向かっていること
 2015/11/23

では、磁場の減少が原因かどうかはわからないですけれど、磁場に大きく依存して広大な範囲を移動している代表格のハトやモナーク蝶が、この 20〜30年間で著しく減少していることなどにもふれました。

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すなわち、どうも今の地球は、

・磁場の減少

・海流の減速

などの変化の真っ只中にあり、人間だけではなく、多くの生命にとっての「激変の時」であるということも言えなくもないような気がするのです。

もっとも、磁場の減少も海流の減速も、その根本的な原因を答えられる人はも今の地球にはいないはずで、なぜそうなっているのかはわかりません。

ただ、前述したように、2010年の原油流出の作業の真っ只中で、メキシコ湾の海流の減速が始まったというのは、象徴深いなと思った次第です。「原因」というよのも「象徴」だったのかもしれません。

とはいえ、海流というような巨大な自然のシステムが、いくら大規模とはいえ、「事故ひとつ」で大きく変化してしまうようなヤワなものとも思えない部分もあるのですが・・・。

なお、メキシコ湾の石油流出で使われたとされる石油分解剤コレキシット 9500に含まれている成分に関しては、2010年7月の、クレアなひととき「石油分解剤コレキシット9500の成分の完全な分析表」という記事に書いたことがあります。

石油分解剤コレキシット9500のラベルと警告
corexit-9500▲ 「原料を吸い込まないで下さい」、「目に入れないで下さい」、「肌や衣服に付着させないで下さい」、「また口に入れないで下さい」など。サンフランシスコ・クロニクルより。

 

今回のブラジルのダム決壊による大量の有毒物質が大西洋に流れこんでいることを知りまして、メキシコ湾での出来事を思い出した次第です。

ダムの決壊で破戒されたブラジルの村

largest-environmental-disaster-brazil-002Business Review

ブラジルのドセ川から大西洋に流れ出る毒物の汚泥

largest-environmental-disaster-brazil-001Reuters

 

海そのものと、海の生き物たちがこれからさらにどうなっていきますかね。

 

参加型メディア inertia の、ダム決壊についての記事をご紹介して締めたいと思います。

 


Mining Catastrophe Leads to “The Worst Environmental Disaster in Brazil’s History”

鉱業カタストロフが「ブラジル史上最悪の環境災害」につながる

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11月5日、ブラジルで2つのダムが崩壊した。そして、これは、様々な理由のために絶対的な極めてひどい災害に至った。

ダムからは、ほぼ 1600万ガロン(約 6000万リットル)の貯留が流出し、ベント・ロドリゲス地区( Bento Rodrigues )に有害な汚泥の大洪水をもたらし、その後、汚泥は、海に向かって進行し続けた。

ベント・ロドリゲスでは 11名が死亡し、12名が完全な行方不明となっているが、行方不明者の生存は絶望的とみられている。他に、ダムの決壊現場から約 80キロ離れた場所で、人間の片腕が見つかっている。

また、ゴベルナドール・バラダレス市では、25万人以上の人々が、突然、水の供給が停止された。

ダムが決壊した後、ブラジルの環境大臣イザベラ・ティシェイラ( Izabella Teixeira )は、「ブラジルの歴史の中で最悪の環境災害だ」と述べた。

ジルマ・ルセフ大統領は、このダム決壊を、メキシコ湾で 2010年に起きた BP 石油流出での荒廃を比較して表現をした。

決壊したェルマノ鉱山鉱滓のダムは、ドセ川(リオ・ドセ)と呼ばれる川にあり、サマルコ社という会社が鉄鉱山からの貯蔵をサポートしていた。

ここで貯蔵されていたのは、人間の消費レベルをはるかに超えたレベルの、水銀、ヒ素、クロム、マンガンなどで、このダムには、信じられないほど有毒な毒物がぎっしりと貯蔵されていた。

このダムが決壊した時に、その毒のすべてが、ドセ川に吐き出されたのだ。

皮肉なことに、このポルトガル語で「リオドセ( Rio Doce )」という名前は、英語で、スウィート・リバー( sweet river / 甘い川)という意味だ。もともと、それだけ重要で、信じられないほど豊かで繊細な生態系がある川だったのだ。

このリオドセ川は、レジェンシア( Regencia )と呼ばれる小さな漁村で、その旅を終え、海へと出てゆく。

このレジェンシア村は、波が有名で、さらに、無数のウミガメたちの産卵地としての営巣地として機能している場所であり、住民たちの大部分は、それで収入を得ている。

リオドセ川の河口付近はオサガメ、イ​​ルカ、クジラたちのえさ場であり、繁殖場でもある。

そのような場所に、信じられない量の毒物が今、注ぎ込んでいる。

敬意を表すべき活動をしているオズワルドクルズ財団( Oswaldo Cruz Foundation )の研究員、シルヴァ・フェッラオ・フィリオ( Silva Ferrao Filho )氏は、今回の出来事についてねイカのように述べている。

「この土地固有のものたちを含む、いくつかの生物種は、絶滅を免れることはないでしょう」

川から海へと流れ出た有毒な汚水の波は、昨日(11月21日)大西洋に達した。

そして、このことは、長い時間をさかのぼって考えてみても、世界で最も壊滅的な環境災害のひとつの始まりだといえるのだ。

ブラジル・サンタクルスにある海洋生物学校の監督官アンドレス・ルチ( Andres Ruchi )氏は、英国 BBC に以下のように語った。

「ブラジル南東地域全体と、南大西洋の半分の食物連鎖中の栄養素の流れが、少なくとも 100年以上汚されることになるのです」

毒物の管理者であるサマルコ社は、その貯蔵所から流出した有毒汚泥は無害だと主張しているが、それが無茶な言い分であることは明白だ。何しろ、彼らは、賢明に、影響を最小限にする作業に取り組んできたのだから。

彼らは、汚泥から川岸を保護するために、約 10キロメートルの浮かぶ障壁設営した。しかし、この長さは、川の長さから考えると、馬鹿馬鹿しいほど足りない。

汚泥は、完全な鉄鉱石とシリカなので、それが乾燥する際には、コンクリートのように硬化する。

川を保護するために、サマルコは泥が大西洋に早く流れていくように、川岸の広大な部分の底を浚った。

このエリアで働く生物学者のルチアーノ・カブラル( Luciano Cabral )氏は、「私たちは、泥が流れの中で薄まっていくことを確信しています」と説明する。

さらに、

「大西洋の海水が、その分散をさらに助けるはずです」

とも。

彼は「慎重ながらも楽観的」なことを言うが、川岸の障壁が成功しようが、どうであろうが、そのようなことを言うには、まだ時期尚早だ。

コンボイオス自然保護区の代表、アントニオ・デ・パドヴァ・アルメイダ( Antonio de Padua Almeida )氏は、社と合意した。

「今できる最善のことは、できるだけ迅速に泥が海に流出していくようにすることです。泥は、海よりも川に対してはるかに大きな影響を与えるでしょう」と、アルメイダ氏は言う。

サマルコ社は、ブラジルの鉱山会社ヴァーレ社( Vale )と BHPビリトン( BHP Billiton )と呼ばれるオーストラリアの会社によって運営されている。

彼らは保証金として、260万ドル(約 3億1千万円)を支払うことに合意したが、しかし、この規模の災害の対価を金額で示すことは不可能だ。

この鉱山災害の影響は甚大だ。そして、この規模の災害となると、その影響は何年もの間、感じられるだろう。

リオの生態学者マリオ・モスカテッリ( Mario Moscatelli )氏は、 BBC に以下のように語った。

「これまでに環境災害に適用された罰金の経済的価値がコミカルとしか言いようがありません。彼らは、ブラジルを汚染し続けるために、大企業のためにインセンティブ(外からの刺激)を提供し続けているのです」