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海の巨大な変化とミニ氷河期の関係(2):「温暖化が招く寒冷期」からの気温の回復に40年から100年かかるという気候モデルが提示される地球の海で成長する「モンスター・エルニーニョ」

      2016/02/13

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▲ 2015年10月07日のニュー・サイエンティストより。

 

北大西洋の海流システムの崩壊が招くのは「終わらない冬」

今回は、まず、前回の記事、

海の巨大な変化とミニ氷河期の関係(1):大西洋で拡大する「異常に冷たい海域」と、海流システムの異変が招く地球の行方

で取りあげました、ワシントン・ポストの「考えられていたよりも、私たちは「デイアフタートゥモロー」に近いところにいる」というタイトルの記事の元となった論文を発表した、英国サウサンプトン大学の以下の記事をご紹介しようと思います。

Southampton-news-10・University of Southampton

 

今回は、もうひとつ、海と気候に関して、現在起きている冒頭の「モンスター・エルニーニョ」の記事もご紹介したいと思っていますので、あまりいろいろ前置きせずに、翻訳をご紹介したいと思います。

前置きといいますか、ひとつだけ書かせていだきますと、上の「デイアフタートゥモローは起こり得るか?」という意味は、単に、寒冷期がやって来るかどうかという意味ではないです。

デイアフタートゥモローというのは、2004年のアメリカの映画で、地球に氷河期が訪れるというようなパニック映画ですが、寒冷期が来るとしたら、「そのメカニズム」が、この映画に出てくるものと同じかどうかということを、最新の高度な地球モデリングを使って研究したものです。

 

デイアフタートゥモローで描かれた、そのメカニズムとは、

「地球温暖化によって北大西洋の海流が崩壊したことが原因で、地球全体の天候が荒れ、一部は氷河期状態になる」

というものです。

 

amoc-collapse-20015

Was an imminent collapse of the AMOC a mainstream climate prediction?

 

この海流は、「大西洋の南北方向鉛直循環」、または、 AMOC と呼ばれますが、名称はともかく、この海流の「循環」が崩壊すると、地域により影響の差はあるでしょうが、この循環が回復するまでの間、寒冷化が続くというようなことで、今回の研究では、そういうことが、

「起き得る」

という可能性が出たのでありました。

そして、

 

寒冷期が続く可能性のある期間は約20年

気温の回復には 40年かかる

イギリスなど一部地域では、気温の回復に「1世紀」かかる

 

というモデルが出されたようです。

大西洋の循環が崩壊した場合、その影響はかなり長く続くようです。

記事をご紹介したいと思います。

 

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映画『デイアフタートゥモロー』より
day-after-tomorrow

 

Could ‘The Day After Tomorrow’ happen?
University of Southampton 2015.10.09

「デイアフタートゥモロー」は起こり得るのか?

AMOC-temperature

英国サウサンプトン大学の研究者たちは、2004年の災害映画『デイ・アフター・トゥモロー』の中で描かれる気候シナリオについての科学的な研究を行っている。

この映画の中では、気候温暖化が、大西洋の南北方向の海流の循環( 大西洋の南北方向鉛直循環 / AMOC )が突然の崩壊に向かう原因となり、それにより、例えば、ロサンゼルスが竜巻で破壊されたり、ニューヨークは洪水に沈み、北半球は凍結していくといったような壊滅的に事象へとつながっていく。

この映画の科学的信頼性については、当時、気候科学者たちから批判を招いたが、しかし、ここで描かれた、人為起源の温室効果温暖化の結果として「大西洋の南北方向鉛直循環が突然崩壊する」というシナリオについて、最先端の気候モデルを用いての査定はされなかった。

サウサンプトン大学の海洋地球科学部のシブレン・ドゥリジョート教授( Professor Sybren Drijfhout )は、ドイツのマックスプランク研究所の高度な気候モデル( ECHAM )を使用し、「もし、地球温暖化と、大西洋の南北方向鉛直循環の崩壊が同時に起きた場合」には、約 20年間に渡り、暖かくなるのではなく、寒くなるであろうことを見出したのだ。

ドゥリジョート教授は、以下のように語る。

「地球温暖化が現在の比率で継続した場合は、地球は、大西洋の南北方向鉛直循環の崩壊からの回復に、約 40年かかるでしょう。しかし、イギリスを含む北大西洋の東部境界では、気温が正常に戻るまでに1世紀以上かかると思われます」

興味深いことに、大西洋の南北方向鉛直循環の崩壊による大気の寒冷効果は、大気の熱い流れが海中へ入り込むことと関係しているのだ。

このことは、過去 15年間の気候活動休止期間の中で目撃されている。

ドゥリジョート教授は続ける。

「同様の寒冷化現象、または熱の減少は、火山の噴火や、あるいは温室効果ガス排出が減少することによって、逆に、海から大気に熱が流れることでも引き起こされるのです。同じようなエネルギーの流れの逆転は、上層大気層においても見られます」

「大気の放射強制力(地球に出入りするエネルギーが地球の気候に対して持つ放射の大きさのこと)と、地球の海洋循環プロセスでのエネルギーの流れ、という、全く異なる性質を持つこのふたつのエネルギーの流れが、気候活動休止期間を作り出す原因となる可能性があるのです」

しかし、科学誌ネイチャーのサイエンティフィック・リポート( Nature Scientific Reports )に掲載された研究は、最近の極めて弱い温暖化の期間は、ひとつの原因とはなり得ないとしている。おそらくは、エルニーニョが最も役割を果たし、あるいは、偏西風の変化と増加による南洋の変化も関係するであろう。

ドゥリジョート教授は以下のように語る。

「過去の気候中断期間が、単に大気の放射強制力の変化によってのみ、あるいは、火山噴火のみによって引き起こされたという説に関しては除外できると思います。また、アジアでのより多くのエアロゾルの排出や、温室効果ガスの排出量が減少していることについても、それらの単独の要因ということはありません」

「自然の変動は、十年かそこらの間、温室効果を相殺し続けています。しかし、私は今のこの期間が終わることを期待しています」


ここまでです。

途中、よくわからない部分もありまして、うまく説明できるように書きたかったのですが、理解していないで、直訳的に書いた部分がいくつかあります。

ともあれ、これは過去記事の、

精度97%の「2030年までのミニ氷河期突入」予測は、その発表の元となったロシア人女性物理学者の「太陽活動の解析予測の実績」から実現確実な状勢に
 2015年07月22日

あらかじめ予測されていた小氷河期の到来
 2011年11月07日

などでの、いわゆる「太陽活動が弱くなることからの寒冷期の予測」とは違うもので、

「寒冷期やミニ氷河期とはいっても、いろいろな原因で起きるシミュレーションが存在しているのだなあ」

と改めて思います。

 

その「大西洋の海流の循環の崩壊」が起こり得る可能性がどのくらいあって、また、いつ起き得るのかは記事にはないですが、いずれにしても、デイアフタートゥモローのストーリーは、「まったく根拠がないわけでもなかった」ということらしいです。

 

そして、今回は「海と気候」に関係するものでもありましたので、冒頭に貼りました「モンスター・エルニーニョ」の記事をご紹介しようと思います。

最近の地球に起きている、特に自然災害については、個別に挙げればキリがないのですが、「海の異常(大量死含む)」と「雨の異常」に関して、世界の各地で非常に多く、そして、ニュー・サイエンティストによれば、それらも、エルニーニョの影響だとしていいます。

さらに、

「このエルニーニョは来年の頭にピークになる」

とも書かれていましたので、世界の荒れた天候はこれからが本番のようなのです。

それでは、ここからです。


 

As monster El Niño looms, the world rushes to get ready
New Scientist 2015.10.07

モンスター・エルニーニョが不気味に迫る中、世界は準備をする段階に突入した

今、世界は1998年以来で最も強い可能性のある大規模エルニーニョ現象のために準備している。

1998年のエルニーニョでは、世界で推定2万人の死者を出し、100億ドル( 1兆2000万円)の損害を引き起こした。

そして、今年の出来事での経済的・人的損失はすでに始まっている。

太平洋を西に渡る風が弱まる時にエルニーニョは出現し、暖かい海水が南米にも向かって広がり、降雨をもたらす。

その結果、アジアとオーストラリアに乾燥をもたらし、南北アメリカの多くには雨をもたらす。

エル・ニーニョは不規則なもので、2〜 7年の間隔で成長し、9ヵ月から 2年間持続する。

アフリカでは、激しい洪水により食糧不足が悪化することが予想されるとして、サハラ以南のアフリカに対して、赤十字国際連盟は緊急アピールを発表した。

今週、ケニアでは、先に予想される雨の警報を出した。いくつかの地域では、排水システムの改善に取りかかっている。

チリとペルーも激しい影響を受ける可能性があるとして準備を進めている。

すでに、エルニーニョは、インドにおいて、気温を低下させるモンスーンの到来を送らせることによって、熱波で数百人が死亡するという出来事を引き起こした。

また、インドでは、年単位では最悪のデング熱の流行の真っ只中にあり、ニューデリーだけで、500例が確認されていて、少なくとも 25人が死亡している。

デング熱は、気温の上昇によって流行が悪化し、アジアの他の地域でも直接、エルニーニョの影響で、デング熱が増加している。

今月、エルニーニョは、オーストラリア東部で最高記録に近い気温をもたらした。

インドネシアでは、違法な焼き畑農業が原因と見られる森林火災が、乾燥と高温の気候の条件によって、制御不能の状態で拡大しており、影響は近隣諸国にまで及んでおり、マレーシアでは 7000の学校が休校となった。

州の歴史の中で最悪の山火事シーズンとなったアメリカのカリフォルニア州は、エルニーニョの発達による雨が期待されているが、1998年のエルニーニョの際には、カリフォルニアは豪雨による洪水に見舞われた。

メルボルンにあるオーストラリアの国立研究機関「オーストラリア連邦科学産業研究機構」( CSIRO )のウェンジュ・カイ( Wenju Cai )氏は、

「最悪の状態はまだ来ていない」

と述べる。

最も深刻な影響のいくつかはおそらく、熱帯低気圧が作られることだと彼は言う。これは、エルニーニョによってのみ引き起こされるものではないが、エルニーニョの強さによって規模は悪化する。

エルニーニョは、今後数ヶ月で激化し、おそらく来年2月付近がピークとなる。

アフリカと南アメリカは、まだ雨には襲われていない。

そして、サンゴの白化など、海洋への影響は、今年 12月あたりから始まることが予測されている。


 

 

ここまでです

昨日の記事でも書きました「サンゴの白化」についてのことも出来ますが、すでに、アメリカ海洋大気庁( NOAA )が世界的なサンゴの白化の拡大に対して、の警告アナウンスを行っていますが、この記事によれば、

「サンゴの白化も今後が本格的」

と書かれています。

今でも、すでに世界の海の60パーセントでサンゴの白化が進んでいるのに、「これからが激しくなる」というのです。

下は、NOAA によるサンゴの白化の進行状況を示す図ですが、 の色の海域が「最高警報(レベル2)」で、 が「次点の警報(レベル1)」です。

むしろ、サンゴが健全に残っている海の方が少ないことがおわかりでしょうか。

coral-bleaching-2015NOAA

 

台湾で、デング熱が史上最悪のペースで拡大していること(参考記事)や、ヨーロッパで、巨大な洪水が発生し続けていること(参考記事)など、上の記事を読むと、いろいろなことが「海」から影響で来ているのかもしれないということを思い、そして、「本番はまだ来ていない」というアナウンスにも、いろいろな未来を思います。

これからの世界もですが、日本の冬はどうなりますかね。