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ウェルカム・トゥ…… : ブラジルで蔓延する「致死率20%」の豚インフルエンザがパンデミックに拡大する可能性は? そして「イエカ」で感染する可能性が出始めたジカウイルスのこれから

   

2016年7月21日の報道より

flu-brazil-concernsrjnews.com

ブラジルでのオリンピックも開催が近づき、日本人選手団も次々とリオへと向かっているようですし、オリンピックを観戦しにリオへ行かれる計画を立てている方もいらっしゃると思います。

しかし、それらを報道しているテレビニュースなどでは、健康に対しての懸念対象がジカ熱ばかりになっていて、たとえば、WHO がオリンピック観戦者などに勧告していることなどについては、あまり言われていないように見えます。

基本的に「今のブラジルでは非常に病気が蔓延している」ということが言えまして、WHO は、リオ五輪へ赴く人たちに対して、

・少なくとも2週間前までに麻疹(はしか)の予防接種を受けること
・少なくとも2週間前までに風疹の予防接種を受けること

を 7月13日に勧告したことが報じられています。

日本人の場合は、麻疹も風疹も予防接種などをしている場合が多いですので、大丈夫なのかもしれないですが、最近は、風疹に関して、日本で大流行しやすい傾向が続いています。

風疹は、ジカウイルスと似た側面がありまして「妊娠した女性が感染すると、高い確率で赤ちゃんに障害が出る」おそれがあるもので、NHK は、ウェブ上で「ストップ風疹 赤ちゃんを守れ」というタイトルの特設ページを設けているほどです。
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ジカと同じように胎児に害を与える風疹に「なりやすい」年齢

赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が出る「先天性風疹症候群」は、妊娠初期の女性の場合、非常に高い確率(妊娠1カ月目の感染だと 50%以上)で発生するもので、今の日本においては、ジカウイルスよりはるかに懸念されるものです。

日本では風疹は予防接種をされているはずなのに、なぜ大流行がたびたび起きるのかということに関しては、先ほどの NHK のページに以下の記述がありまして、「予防接種を受けていない年代層がある」ということのようです。

まず、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性は特に注意してください。中学生のときに学校で集団接種が行われていましたが、対象は女子だけでした。

昭和54年4月2日から昭和62年10月1日生まれの人は男女とも要注意です。この時期は男女ともに中学生のときに風疹のワクチンを接種することになりましたが、学校での集団接種ではなく個別に医療機関に出向いて受けることになったため、この期間は男女ともに接種率が激減したのです。

昭和62年10月2日から平成2年4月1日生まれの人は、男女とも要確認です。男女ともに幼児期に接種する機会があり、接種率は比較的高かったものの、受けていない人や1回の接種だけでは抗体が不十分な人もいて、こうした20代から40代の間で今感染が広がっているとみられています。

これを読みまして、昭和 38年生まれの男性である私は「風疹の予防接種を受けていない年代」だと気づいた次第です。

しかし、昭和 38年(1963年)から昭和 54年(1979年)までに生まれた男性というと、大体 37歳くらいから 53歳くらいまでの男性ということになり、結構多くの方が該当するのではないですかね。

ともかく、上の要注意年代の方々は、今はブラジルで風疹が蔓延しているようですので、何らかをしておいたほうがいいのかもしれません。

さて、そして実は、現在のブラジルで最も懸念されているのが、流行している「超強力」な豚インフルエンザなのです。

 

致死率「20%」のインフルエンザが大流行の兆しを見せている

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通常の季節性のインフルエンザの致死率は、年ごとに違うでしょうけれど、日本の場合で、一般的に「 0.05% 」程度と言われています。

患者 5000人に対して 1人程度の死亡率ということになります。

ところが、現在、ブラジルで流行している豚インフルエンザにつきましては、その致死率が「数千倍」と非常に毒性の強いものとなっているのです。 7月3日の報道によりますと、2016年 1月3日から 6月11日までの豚インフルエンザの感染者と死亡者の数は、以下のようになっています。

2016年6月11日までのブラジルでのインフルエンザの状況

・感染数 5214 人

・死亡数 1003 人

致死率 19.2 %

なんと、致死率がほぼ 20%に近いという、数千人以上が感染したインフルエンザとしては、おそらく前代未聞なのではないでしょうか。

しかも、ブラジルでインフルエンザが最も流行するのは、気温が下がる8月ですので、「これからが流行の本番」になる可能性もあります。

そういう場所に、世界中から人が集まるというのも、どういうタイミングといっていいのかわからないですが、微妙な話です。

まあしかし、人口の多いブラジルで、半年間で感染者が 5000人ほどだというのは、感染力そのものは強いとはいえないようでもあります。感染力に変化がなければ、それほど恐れるものではないのかもしれないですが、致死率 20%のインフルエンザというのは、あまり聞いたことがなかったですので、以前から気になってはいました。

ちなみに、WHO よりパンデミック宣言された 2009年の豚インフルエンザの致死率は 0.045 %で、今のブラジルのインフルエンザと比較になるものではないほど軽いものでした。

そんなわけで、現在のブラジルは、いくつかの感染症のわりと大きな問題を抱えているとはいえそうです。

ブラジルのジカ熱に関しては、今年のブラジルは特に気温が低めで、たとえば、7月22日のスポニチの記事「体操男子日本 厳戒ブラジル到着 ジカ熱に加え豚インフルもまん延」には、

エースの内村航平(27)はマスクを着用し、空港の外に出た白井健三(19)は気温14度の気候に「めっちゃ涼しいっすね」と驚きの表情を浮かべた。

ということで、14℃というのは、日本の冬にも近い気温ですので、リオに行かれる方は、むしろ寒さ対策が必要かもしれません。

しかし、ブラジルでのジカ熱の心配はともかくとして、ジカの舞台が北米へと移っている中で、いくつかの興味深い報道がありますので、それをそれぞれ短くご紹介しておきたいと思います。

 

ジカに関しての最近のいくつかの報道

世界のどこにでもいる「イエカ」から検出されたジカウイルス

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これは、報道のタイトル通りで、ブラジルのレシフェという場所で「アカイエカ」からジカウイルスが検出されたというものです。

この「イエカ」というのは、いわゆる、部屋の中に入ってきて刺したりする、日本の北海道から沖縄まで、どこにでもいる一般的な蚊のことです。

これまで、ジカウイルスは基本的には、ヤブカといわれるもののうちの、ネッタイシマカというものが媒介すると思われていたのですが、仮に、イエカもジカウイルスを媒介するとなると、感染可能地域は飛躍的に広がることになります。

そもそも、イエカとヤブカでは、圧倒的にイエカのほうが多く、たとえば、先ほどの CNN によれば、ジカウイルスが見つかったブラジルのレシフェでは、イエカは、ネッタイシマカの 20倍の数が生息しているのだそうです。

まだイエカがジカを媒介するのかどうかはわかっていませんが、「ジカウイルスがイエカから見つかった」という事実が発表されたという次第です。

 

家族間でのルートが不明な状態での感染

アメリカのユタ州で「ジカ熱にかかった患者を看護していた家族がジカ熱を発症」したけれど、感染ルートがわからないという例が出ています。

下は、ナショナルジオグラフィックの記事からの抜粋です。

ジカ熱に未知の経路で感染、米国

ナショナルジオグラフィック 2016/07/21

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米国ユタ州で、ジカ熱患者を看護していた家族がジカ熱を発症した。しかし、感染経路はこれまで分かっている性交渉、妊娠、蚊による媒介のうちいずれでもなかった。

ユタ州保健局と米国疾病予防管理センター(CDC)は18日、この症例について発表、ジカウイルスの危険性がまだ完全には解明されていないことをあらためて印象付けた。

発表では、亡くなった高齢男性はジカ熱の流行地域に旅行し、おそらくそこで感染したとされた。しかし、この高齢男性のウイルスが、蚊を介して別の人に伝播したとは考えにくい。

ユタ州は西ナイル熱ウイルスを抑え込むために蚊の捕獲と検査を実施しているが、ジカ熱を媒介するとされる2種の蚊はいずれも見つかっていないからだ。

ソルトレーク郡保健局の保健衛生官、ゲーリー・エドワーズ氏は記者会見でこう語った。「異例のケースです。看護に関わった人物には、ジカ熱についてこれまで確認されている危険因子が何もありません」

という謎の感染があったり、あるいは、ジカウイルスが感染後、非常に長く体内に残存していることも最近わかりました。

下は AFP の記事からの抜粋です。

ジカウイルス、感染から93日後も精子に残存

AFP 2016/07/23

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ジカウイルスに感染した男性の精子で感染から93日後にもウイルスが確認されたとする論文が発表された。新生児に頭部や脳の先天性障害「小頭症」を引き起こすジカウイルスの多くの不明点がまたひとつ増えた形だ。

27歳のフランス人男性は昨年10月と11月にタイを旅行した際にジカウイルスに感染したとみられ、その後ジカ熱の症状が出たが、今年3月の検査で男性の精子はジカウイルスの陽性反応を示した。

それと、ジカウイルスが性交渉で感染することは知られていますが、これまでは、「男性から女性への感染」の例だけが起きていましたが、最近、「女性から男性」へと性感染した例が確認されています。

ジカ熱、女性からの性交渉感染を初確認…CDC

読売新聞 2016/07/17

中南米などで流行中のジカウイルス感染症(ジカ熱)について、米疾病対策センター(CDC)は15日、性交渉で女性から男性に感染した例を初めて確認したと発表し、注意を呼びかけた。

ジカ熱は蚊が媒介するほか性交渉でも感染するが、これまでは男性からの感染しか知られていなかった。

このように、感染ルートが多彩になってきているジカウイルスですが、結局、問題となることは、「ウイルスはその年だけ出現するわけではない」ということです。

このジカウイルスが、デング熱のように「いろいろな国に定着」して、毎年毎年、繰り返して感染が拡大していった場合、これから先の世界の感覚はこれまでと少し違ったものとなってしまうような気もします。

実際、ブラジルで「妊娠中絶薬の希望が増加している」ことが報じられています。

ジカ流行の南米諸国 妊娠中絶薬の希望が増加

サンパウロ新聞 2016/07/06

ニューイングランド医学ジャーナル誌の調査によると、ジカウイルスに関連した妊娠の合併症に対する不安から、南米、特にブラジルで中絶薬を求める人が増加しているという。

ジカウィルス感染のケースがあり、中絶が法的に制限されている南米諸国では、ジャマイカを除き人工妊娠中絶薬の申し込み件数の実数が、予想数をはるかに上回った。これらの国々での申し込み増加割合は、エルサルバドルの35%からブラジルの108%と数値にばらつきが見られる。

エクアドルは107%、ベネズエラは93%、ホンジュラスは75%、コロンビアは38%、コスタリカは36%となっている。中絶が法的に制限されているが、ジカの国内感染がないアルゼンチンやペルーなどでは、中絶薬の申し込み数は予想の20%増となっている。

ブラジルで先を争うように中絶薬を女性たちが求めていることがあらわれている数値で、こういう光景は、過去の南米にはなかったものだと思います。

誰を責められるものでもないですが、こういうような光景が世界中に広がっていくようなことがあれば、それは確かに世界の光景が変わったかように見えてしまうものになるのかもしれません。