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人類が初めて気づいた生命体 : 生物の3ドメイン(真核生物、バクテリア、古細菌)で定義できない「第4の生命体」が私たちの体内にいる

   

いわゆる「第4のドメインの生命」の存在が発見された可能性が濃厚に

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▲ 2015年11月16日の Science Alert より。

 

先日、冒頭のような「まったく新しいタイプの生命体が人間の体内から見つかる」というような科学報道を見ました。

そして、少し読むと、「第4のタイプの生命がどうしたこうした」という話のようで、何だかとても大変なことが起きたような、何だか「大層な感じ」なのですね。

ところが、第4の生命がどうしたこうした・・・という意味を知らない私などは、「いろんな新しい細菌とかよく見つかるし、そんな大きな話なのかねえ」程度に思ったりしつつ、内容的に難しく、数日放っておいたのですが、やはり気になり、今日読んでみました。

そうしましたら、少なくとも科学的には確かに「非常に大きなこと」のようで、私が無知なだけでした(ムチムチでもあります)。

それでも、この、

「第4のタイプの生命体が見つかったかもしれない」

という、この「第4」という意味に驚きが伴うのががわからない。

そして、調べてみますと、どうして、それが私にはわからなかったかというと、私は(今の科学界での)「地球の生命の区分」というものをちゃんと把握していなかったのです。

 

地球の3大生物区分「バクテリア」「古細菌」「真核生物」

まず、「ドメイン」とは何かといいますと、

ドメイン (分類学) – Wikipedia

生物分類学におけるドメインとは、界よりも上の、最も高いランクの階級である。この階級における分類は、基礎的なゲノムの進化の違いを反映して行われる。

3ドメイン説においては、真核生物ドメイン、真正細菌ドメイン、古細菌ドメインの3つのタクソン(ある分類階級に位置づけられる生物の集合)がこの階級に位置づけられる

という説明となっておりまして、つまり、現在の生物学では、地球のすべての生命を、

・真核生物
・真正細菌(細菌/バクテリアのこと)
・古細菌

の3つに大きくわけていて、

地球のすべての生命体は上のどれかに分類される」

ということになっているのです。

この地球は(今の科学では)この3つの遺伝的特徴を持った3大勢力ですべてわけられていたのです。

 

細菌(バクテリア)

真正細菌というのは、いわゆる細菌(ここでは、以降、バクテリアと表記します)のことで、炭疽菌、結核菌、コレラ菌のような病原菌から、納豆菌、乳酸菌、光合成細菌などの、非常に数多くの細菌たちがいますが、これが、まずひとつの地球の生命のグループ。

バクテリアは形に関してもいろいろですが、リアルなものをひとつ載せますと、下のような感じでしょうか。

典型的なバクテリアとその働き(おそらくは、グラム陽性で通性嫌気性の連鎖球菌の一種であるミュータンス菌)

bacteria-cute-001Oral health and Dental habits

 

そして、古細菌というのは、いわゆる「極限環境微生物」などに代表される微生物で、「古細菌」という言葉から連想する「古い細菌」というものではなく、「生き物として、バクテリアとはまるで違う」ものだそうです。

「極限環境微生物」というのは、厳しい環境……たとえば、ものすごく熱い場所だったり、寒い場所だったり、酸素がなかったり、放射能の中とか、宇宙空間とか、どんなところでも生きられるような生命(それぞれによって、得意ジャンルは違います)のことで、4〜5年前の In Deep で、よく取りあげたことがありました。

思い出しますと、かなり「強烈に強靱」な微生物たちをご紹介したことを思い出しますので、少しリンクしておたきいと思います。


 

[参考記事] 極限環境微生物や「強靱な生命体」を取りあげた記事

無酸素状態の湖の中で発見された「スーパー」バクテリア
 2010/08/13

1億年の冬眠サイクルをもつとされるバクテリアがスヴァールバル島沖合の海底で発見される
 2010/09/21

宇宙空間で553日生きのびた細菌の研究が英国オープン大学から発表される
 2010/08/26

未知の生物?: 使用済み核燃料の中で「成長するもの」が米国の核保留地で発見される
 2010/12/20


 

ま、こういうような、かなりの極限の環境でも生きられるエイリアンのような存在が古細菌たちの中にはたくさんいるということで、こういう特質を持った生物は、他の2つ(細菌、真核生物)にはあまりいないと思われます。強靱さという意味では、ワムシとかクマムシ(共に真核生物)とかがそれに近いかもしれないですが(参考記事:最強の生物 クマムシの謎に迫る ゲノム解読し本格分析へ )。

 

さて、そして、細菌、古細菌と、3大生命グループのうちのもうひとつのグループが、「真核生物」なんですが、私はこの範囲をナメてました。

真核生物 – Wikipedia

真核生物(しんかくせいぶつ)は、動物、植物、菌類、原生生物など、身体を構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる細胞小器官を有する生物である。

生物を基本的な遺伝の仕組みや生化学的性質を元に分類する3ドメイン説では、古細菌、真正細菌ドメインと共に生物界を3分する。

とあり、真核生物は、

・動物
・植物
・菌類
・原生生物

とありまして、私は、真核生物に、

・「菌類」(一般にキノコ・カビ・酵母と呼ばれる生物の総称)
・「原生動物」(単細胞生物のうち生態が動物的なもの。アメーバとかミドリムシとかのたぐい)

というものが入ることは、曖昧にしか知らなかったですし、考えれば、植物も真核生物なんですよね。

そして、

「動物」

という、大ざっぱ感もある、この分類。

これがどうのようなものかきちんと把握したことがなかったのでした。

 

「動物」に属するもの

これに関しては、たとえば、動物 – Wikipedia のページに載せられている下の図が参考になります。

[定義としての動物]

Animal-big-bonus2

・Wikipedia

 

分類上では、これはすべて「動物」なんですね。

要するに、私たちが日常、「目で見られる生命」は、すべて「真核生物のうちの動物」だといって構わないと思います。

もちろん、人間もこのグループに入ります。

[定義としての動物]
ningen-size2Julio Iglesias

 

これらを含めて、「イネやカーネーションから、ミジンコからミミズからハトからサバからトカゲからライオンから、そして、アーノルド・シュワルツネッガーから卑弥呼に至るまで、何から何まで真核生物」であるという、まあ、当たり前といわれれば、当たり前なのですが、そんなことに初めて気づいたのでした。

eucaryote-vs-eucaryoteironna

 

そして、今回、遺伝子配列から、バクテリア、古細菌、真核生物のどれにも属さない可能性のある「生命体」が見つかった可能性が高いと。

私たち人間のふだんの生活では、私たちが注意を向けるのは、食べるものや住んだり着たりするもの(もともとは植物)など「真核生物同士」、つまり「見えるものの間」でのことだけ、ということが多い気がします。

まあ、肉眼ではあまり見えないバクテリアに注意しても仕方ないのかもしれないですが、実際には、バクテリアや古細菌が、人間に果たしている役割というものは、すごいもののはずなのですよ。

それらバクテリアや古細菌の上に、

「もしかすると、さらに私たち人間に深く関わっているかもしれない生命体」

がいるのかもしれないという話でもあります。

何だか、どうにもならない展開になってきましたので、そろそろ記事をご紹介したいと思いますが、今回のことで、気に入ったのは、下のような内容があった部分でした。

これらの結果が示すことは、微生物の世界が持っている最も多様な要素についての私たち科学者の理解がどれだけ狭いものだったかということへの理解である

という謙虚な部分で、おそらくは、「この世を根底から牛耳っている微生物」たちの、果てしなく広い世界への敬意が感じられたからでもあります。

いずれにしても、

「第4の新しい生命のタイプ」

の存在が確認されねる可能性がある上に、

「それは、私たち人間の体内にいた」

ということだけでも、わりとエキサイティングなことではないでしょうか。

サイエンス・アラートの記事からご紹介します。

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Scientists think a whole new type of life form could be living in our guts
Science Alert 2015/11/16

科学者たちは、まったく新しいタイプの生命体が私たちの腸内に棲んでいるかもしれないと述べる

私たちの消化器系は、バクテリアたちの奇妙で素晴らしいコレクションの埋蔵場所だが、これらの体内の微生物たちの集団が、潜在的にどのようなものなのかについては、まだ私たちはほとんど何も知らないといっていもいい。

そして今、新しい研究により、私たちの腸内の状況は、私たちがそれまで知っていたよりもはるかに「見知らぬ者たちのすみか」だったことを見出した。

生物学者たちは、この小さな体内の住民たちについての発見は、「まったく新しい生命体」を定義する必要があるかもしれないことを示唆すると述べている。

フランスのピエール・マリー・キュリー大学(パリ第6大学)の研究チームは、私たちの結腸の内部で生きている生命体のタイプを分類する方法を再定義しようとしてきた。

86の異なる遺伝子ファミリーを研究することにより、それらは、現在の生物学の中で認識されている3つの生物の形式(3つのドメイン)を越えていることを示唆するのに十分なほど異なる DNA 配列を持っていることを発見したのだ。

現在の生物学では、地球の生命は、バクテリアと古細菌、そして、真核生物の3つに分類されている。

古細菌は、かつてバクテリアと同じ分類だったが、しかし、古細菌は、バクテリアとは大きく異なる生化学フォームを持っており、現在では、独立したドメインが与えられている。

真核生物は、真菌、原生生物、植物、そして、動物のことをいう。

パリの二人の科学者フィリップ・ロペズ( Philippe Lopez )氏と、エリック・パプテスト( Eric Bapteste )氏が率いる研究チームが、リストに加えられる第4のタイプのケースを見出したが、しかし、既存のタイプが、私たちが以前に考えていたよりも、遺伝的に、より多様だったということも考えられる。

科学誌バイオロジー・ダイレクト( Biology Direct )に発表した内容について、メディア「ニュー・サイエンティスト」はこう述べている。

「彼らのチームは、 86の遺伝子ファミリー内の既知の配列を持つ約 230,000 の DNA 配列を回収し、解析の対象となる環境から得た微生物群とその全ゲノムのサンプルを分析した」

「彼らは、2度目の解説のスタート時に、これらの配列を使用した。これは、例えれば、あなたの祖先の遺伝子の分析を深く進めるには、あなた自身の DNA を使用するより、むしろ、あなたの両親の DNA を使用したほうがよいということだ」

これにより、86の遺伝子ファミリーに属する 80,000 の微生物の DNA の伸張が加わることが明らかになった。

しかし、それらの DNA のうちの約3分の1の塩基配列は通常ではなかった。それらの中で、すでに知られている遺伝子配列と合致し共有していることが特定されたものは、全体の 60パーセントか、それ以下しかなかったのだ。

この相違の程度は、「新しいドメイン」を分離できると期待してもいいといえるものだ。それはたとえば、かつて、古細菌が、バクテリアから分離されたように。

しかし、4番目のドメインを追加する前に、科学者たちは、これを隔離し、ラボの環境でこれらの生命体を研究する必要があるが、少なくとも、現時点の科学では、それは決して容易なことではない。

というのも、微生物の約 99パーセントは、実験室で成長させることができないのだ。

これが、これら微生物という、あまりにも基本的な生命の存在のフォームについて、私たちが、あまりにも何も知らない理由でもある。

それに加えて、多くの遺伝子たちは、微生物同士の間で交換され、さらに混乱が増す。これが、今回の研究が、多くの場合、交差しない遺伝子ファミリーに焦点を当てた理由のひとつだ。

ニュー・サイエンティストのレポートは、以下のように締めくくられる。

「これらの結果が示すことは、微生物の世界が持っている最も多様な要素についての私たち(科学者)の理解がどれだけ狭いものだったかということへの理解であり、また、自然社会と、私たちの遺伝的源泉に対しての、より深い調査が賞賛されることになるだろう」

「そして、この発見は、いまだ発見されていない生命の未知に関しての主要な部門にヒントを与える可能性があるものだ」