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4月19日にメルマガ私たち現生人類は「鉄の種族」であることから思う生き方を発行させていただきました。

拡大する自然災害 未来の地球

現在進行中の世界気温と水温の異常高温化からふと思った「高温化の本当の恐怖」 -- それは「藻とアルツハイマー病の増加の関係」と、世界的なジカウイルスの蔓延

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NASA が 1996年から 2016年までの「気温の偏差」、つまり、平均気温(1951年から 1980年までの平均気温)と比べて、どの程度、世界の平均気温が「高い」か「低い」かを示したグラフを発表していました。

昨年 2015年は、公式発表では、観測史上最も暑い年だったわけですが、下のグラフを見ますと、今年 2016年は「最も気温が高かった2015年どころではない」異常な気温状態を示していることがわかります。

1996年から2016までの世界の気温の平年との差

grobal-temp-2016NASA GISS

もう少し詳細に現したグラフでも、2016年 1月は「突出して気温が高かった」ことがわかります。

1981年からの世界の平均気温

1981-2016-record日本気象協会

上のグラフは今年 1月までのもので、先ほどの NASA のグラフによれば、2月はさらに気温が上がっているので、2016年は2ヶ月連続で高温記録を更新したということになりそうです。

ちなみに、2016年 2月の世界の気温状況を表したものが下の図です。
濃い赤になればなるほど平年より気温が高く、青いほど平年より気温が低いということになります。

2016年2月の世界の気温の平年との差

2016-february2-tempNOAA

もう地球のほとんどがオレンジ、赤、濃い赤に包まれていて、地表で青い部分(平年より気温が低い部分)などは、ほんのちょっとしかありません。

「これは・・・」

と私は呟き、しかし、同時に、この異常な状況は現実なのだよなあと受け取る他にないことに気づきます。

気温が高くなること自体は悪いことではないです。

確かに気候も荒れやすくなりますし、場所によって干ばつが拡大するのも事実ですが、農業的な点からいえば、少なくとも寒冷化するよりは、地球全体として見れば、はるかにいいはずです。

・・・にしても、限度があるというか、このような「あまりにも急激すぎる変化」ということからは、やはりいい影響はないようにも思います。

このあまりにも急激な平均気温の上昇現象がエルニーニョによるものなのだとすれば、エルニーニョの終息(予測では今年の夏頃)と共に、これらの気温の異常が収まるのか・・・というと、そう簡単でもなさそうで、少し前の記事、

すべてが波乱と変動の要素に : エルニーニョからラニーニャへのバトンタッチ…
 2016/02/13

に、「エルニーニョの次には、ラニーニャ現象に移行しやすい」という傾向を書いたことがありますが、エルニーニョもラニーニャもどちらも海水温の異常現象ですが、名前は違っても、結局はどちらも異常気象を引き起こしやすいことでは同じではあります。

実際、各国では、すでにラニーニャ現象に備えての対策が始まっているようです。

次はラニーニャ現象を警戒 エルニーニョに続き農作物打撃も
産経ニュース 2016/01/08

ここ20年ほどで最も勢力の強いエルニーニョ現象が依然として世界各地に影響を及ぼしているにもかかわらず、一部の地域は既にラニーニャ現象の発生に備え出している。

インドネシアのスライマン農相は、ジャカルタで記者団に対し、同国政府が10月に発生が予想されるラニーニャ現象に備え、農家に給水ポンプを支給するほか、コメ在庫を調査する予定であることを明らかにした。

オーストラリア当局は、エルニーニョ現象はピークに達しているとし、下期(7~12月)にはラニーニャ現象が発生する可能性があるとの見方を示した。

オーストラリア気象庁の発表によると、1900年以降発生した26回のエルニーニョ現象のうち約50%がその翌年は平年通りだったものの、40%はラニーニャ現象が発生している。

ということで、大体半分くらいの確率で、エルニーニョの後にはラニーニャが発生するようです。

ちなみに、最近の「ラニーニャ」の際の天候を「日本」に限って見てみますと、以下のようになります。出典は、Wikipedia からです。


過去50年のラニーニャの際の日本の天候

  • 1962年冬 - 1963年春のラニーニャ → 日本を含む東アジアで大寒波と大豪雪
  • 1977年夏 - 1978年秋のラニーニャ → 1977年は冷夏。1978年は猛暑・寒冬
  • 1994年夏 - 1996年冬のラニーニャ → 1994年までの日本では過去最高で観測史上1位の猛暑・暖秋。1996年は寒冬・寒春
  • 2005年秋 - 2006年春のラニーニャ → 日本で大寒波・大豪雪
  • 2007年夏 - 2008年春のラニーニャ → 西日本〜北日本の日本海側で8月を中心に猛暑・暖秋・寒波
  • 2010年夏 - 2011年秋のラニーニャ → 21世紀の日本で観測史上1位の猛暑、9月を中心とした暖秋。熱中症による死亡多数

 

あーまあ、結局、猛暑も冷夏も寒波も何でもあり得るということで、はっきりとした傾向はわかりづらいですが、どちらに転んでも「激しい気温と気象」というキーワードは見てとれます。

先ほど、「寒冷化するより温暖化のほうがいい」と書きましたが、寒冷化が食糧不足と疫病の蔓延に直接結びつくことは過去の例から見ても明らかで、人類社会にとっては温暖化するほうがずっといいはずですが、過去と現在ではいろいろと「事情が異なる」ということも言えそうで、今の時代は「むしろ寒冷化の方が助かる」という部分がありそうなのです。

たとえば、以下のいくつかの項目、

・ジカウイルスの蔓延

・干ばつ

・青藻の増加

などは、「気温が高ければ高いほど状況は悪化する」ということは言えそうです。

それらの問題を少し書いておきたいと思います。

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ジカの蔓延と青藻の蔓延

上のうち、干ばつにつきましては、最近の記事、

歴史的な大干ばつの時代に突入していることを「進行する7つの干ばつ」で知った3月3日…

で少し書きましたので、今回はその他について書きたいと思います。

今年夏頃からラニーニャが発生するかどうかもまだわからないですし、仮に発生した場合にも、気温がどちらの方向に向かうのかはよくわからないのですが、仮に今後も冒頭のように、「気温が異常に高い傾向が続いた場合」は、中国、台湾、そして日本も含めて、まず「ジカウイルスの感染拡大」に対しての懸念が最も大きな懸念となりそうです。

少し前に、アメリカのニューヨークタイムズに、「台湾と中国南部のジカウイルス流行の危険性を専門家が指摘」という記事をご紹介しました。

台湾と中国南部でジカ熱が流行する恐れを英国の専門家が指摘
 地球ブログ 2016/03/14

これは、現状での毎年の気温の推移の中で、ジカウイルスを媒介するネッタイシマカなどの活動状況に応じてのジカウイルス拡大の懸念についてが書かれてあるものなのですが、上のグラフのように「今後も世界や日本が史上最高の平均気温を更新し続ける」ような可能性があるとすれば、日本も危ういですね。

実際、それまで日本での危険は言われてこなかったデング熱(ジカ熱と同じように蚊が媒介)が、2014年に、日本の、しかも東京で感染が広がったことが記憶に新しいですが、ジカ熱も蚊が媒介するウイルスという点では同じで、しかも、今年は、「ジカ熱の最前線であるブラジルでオリンピックが開催される」という、もうこうなってくると悲劇的としか言いようのないタイミングの年だったりもして、アジアの多くで感染が拡大することを含めて、そして「日本で」ということも多少気がかりです。

日本人旅行者の多い東南アジア各国も、感染が拡大しやすい条件は整っていますので、仮に今後、気温が高くて雨が多いというような気候がアジアに広がると、どこでも感染拡大する可能性はあるのかもしれません。

ちなみに、ブラジルでの現在までの調査では、妊娠している女性がジカウイルスに感染すると、その3割の赤ちゃんに何らかの影響が見られるとのことで(報道)、影響率は低くないです。

 

さて、そして、気温と水温が高い起きやすくなることがもうひとつ。それは海や淡水に「藻」が繁殖しやすくなることです。

実際に世界中で下のような報道は今現在でもずいぶんと見られます。

2016年3月13日のカナダの報道より

algae-canadaToxic algae may become common on B.C. coast

 

チリで藻の大発生で鮭2300万匹の大量死

algae-salmon-deathsWeather Network

上のチリのサーモンの大量死は国を挙げての大問題となっていますが、こちら、

南米チリで有毒な「藻」の大発生で2300万匹の養殖サーモンが大量死し、同国の魚輸出産業の崩壊の危機に
 地球ブログ 2016/03/14

の記事で報道をご紹介しています。

この「藻」の問題につきましてはですね、先月の記事、

「大量死が著しく増加している原因」も「アルツハイマー病が著しく増加している原因」も、どちらも同じ理由が絡んでいるかもしれない — それは「世界中で増大する藻=シアノバクテリア」
 2016/02/21

という記事で、アメリカでもイギリスでも、あるいは、おそらく全世界的に「藻」が増加しているわけですが・・・「藻」の何が問題なのかといいますと、やはり今年1月の記事、

アルツハイマー病とALSの外部的原因の特定? : 青藻が作り出す毒素 BMAA が神経変性疾患発症の直接的外部要因として関与している可能性が濃厚に
 2016/01/24

で、「アルツハイマーと ALS (筋萎縮性側索硬化症)の発症に藻の毒素が関係している可能性」についての学術研究についてご紹介しました。これは英国デイリーメールの記事を翻訳してご紹介したものでしたが、そのデイリーメールの記事のタイトルが、「藻が増加することの懸念の理由」をあらわしていると思いますので、日本語で書いておきます。

「アルツハイマーの「原因」を発見 : イギリスの淡水湖や貯水池で見つかった有毒藻類は英国の100万人を苦しめている認知症の流行をさらに加速させてしまうかもしれない」

というもので、つまり、英国の科学者たちは、

・藻の毒素がアルツハイマー病の増加と関係している

と、ほぼ確定的にとらえている上に、その前にリンクしました記事では、そこに加えて、

・ALS の発症の原因にも「藻の毒素」が絡んでいるかもしれない

ということが示されていました。

あるいは、藻の毒素自体が神経毒の一種で、人間の体に様々な影響を及ぼす可能性を持つということで、私自身は、「ガンを含めた病気の増加」も関係していると思います。感染症の増加も、受け手である人間側の体内の変化も関係しているかもしれません。

まあ、ここでは、ガンや感染症はともかく、アルツハイマー病と ALS と藻の毒素との関係はかなり有力視されているようです。

下はアルツハイマー病と ALS の患者数の急上昇を描いているグラフですが、おそらく「藻の増加」のグラフも同じような急激な上昇を示す曲線を描いているような気がします。

日本のアルツハイマー病を含む認知症患者の推移

Alzheimer-Japan-2011・厚生労働省

日本のALS患者数の推移

als-1974-2013・難病情報センター

 

藻の毒素は、海や川の小さな生物から大きな生物、そこから、鳥や陸上の生物へと循環していき、現代の社会での食物連鎖の最後のほうにいる私たち人間は、おそらく、それらの毒素が凝縮された魚や肉を食べているように思います。

藻の毒素が人間に到達するひとつの例(他にもあります)

Aquatic-FoodWebOhio Northern University

 

おそらく、今の私たちは、この食物連鎖から逃れることは難しいようにも思います。

なので、気温や水温の高い状態が今後も続けば、藻の増加も続き・・・それによって、アルツハイマー病や ALS や、あるいは他の病気も増えていくかもしれない・・・という推論は、あながち的外れなものでもないのではないでしょうか。

そして、これは、前回の記事、

現代の認知症は「パンデミック」の一種かもしれない : 国際研究チームが「微生物がアルツハイマー病の原因」であることについての声明を発表
 2016/03/12

の内容とは微妙に合わないようでありながら、実は何だか似たような話でもあるような、そういう感じではあるのですが、いずれにしても、「温暖化(というより高温化)の本当の脅威」ということが、やっとわかってきた感じがします。

高い水温や、高い気温が続くことは、環境の変化や生物の大量死を引き起こすだけではなく・・・、

「高い気温が持続すると、認知症と神経疾患をさらに増加させる」

ということが、この問題の本当の脅威だということに気づいたのでした。

そして、それは拡大の方向を示しているかもしれないともいえそうで・・・。

こうなってきますと、太陽活動が縮小して、今後数十年の間に訪れることが予測されているミニ氷河期に一刻も早くやって来てもらいたいと思ったりもします。





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Oka In Deep

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