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地球最期のニュースと資料

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おそらく人間を含めた「全生物」は磁場により生きている:ハトや蝶が持つ光受容体がヒトにも存在していること。そして、そのハトや蝶が「全滅」に向かっていること

   

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人間もハトと同様の「磁場を見る目」を持っている

連休中は、近所はどこもかしこもポールシフトの話題ばかりですが(どんなところに住んでんだよ)、少し前の記事、

「地球は磁極のポールシフトで磁場を失うことにより、太陽風に晒され水と大気を失った火星と同じ状態を200年間経験するだろう」 …
 2015/11/07

では、地球のポールシフトによって「磁場が失われた時に何が起きるか」ということについての議論をご紹介しました。

その中でご紹介した翻訳記事の中で、ドイツの地磁気専門家であるモニカ・コルテさんという科学者の方が、地球の磁場の逆転と人間の関係について、

「(地球の磁場が非常に弱くなっていても)現在、私たち人類が磁場が弱くなっていることを感じることはないのと同様に、地球の磁場が反転したとしても、私たちはその大きな変化に気づかないと思われます」

と述べていたことに対して、私自身も、

「私たち人類は磁場が弱くなっていることを感じることはない」という面があり、他の多くの動物たち(特に鳥など)が「磁場を直接見る」機能を持っているのに対して、私たち人間には磁場を直接感じる機能はないということがあり・・・まあ、体感的な違和感とかくらいはあるのかもしれないですが、少なくとも、はっきりと「磁場を感じる」ことはできません。

というようなことを書いたのですが、どうやら、この「人間は磁場を感じない」というのは間違いのようです。

どうやら、人間も磁場を見ている可能性があります。

最近、北京大学の分子生物学者、カン・シエ( Can Xie )博士を中心とする研究チームが、ショウジョウバエのゲノムを生物学的仮定に基づいてスクリーニングすることにより、

・「クリプトクロム」という光感受体であるタンパク質

・クリプトクロムと結びついて、自発的に外部磁場の方向を向くポリマー状のタンパク質( MagR と命名)

を特定し、このふたつの結合した複合体が「磁場を向く」ことがわかり、これが、渡り鳥などが磁場を見ている源なのではないかという研究結果を先日発表したのです。

特定されたこの複合体( MagR/Cry 複合体と命名)が磁場を感知する仕組みはまだわかっていないのですが、この複合体は、磁気コンパスのように振る舞うのだそうで、動物の磁気感受と何らかの関係は持っていそうです。

コンパスのように正確に磁気に対して整列する網膜にあるタンパク質の複合体

MagR-compasnature material

 

このクリプトクロムという光受容体は、多くの動植物が持っていて、また、今回特定された複合体は、ハトや蝶やネズミ、クジラなどの網膜細胞から見つかっていて、そして、ヒトの細胞の中にも作られるのです。

ハトもショウジョウバエも人間も網膜の光受容体の有無は同じ

Cryptochrome-humanHumans have a magnetic sensor in our eyes, but can we detect magnetic fields?

 

つまり、人間の体の本来の仕組みとしては、

「人間は磁場を《見る》ことができる」

ようなのです。

「磁場を見る」というのは不思議な響きに聞こえるかもしれませんが、この「クリプトクロム」というタンパク質は、目の網膜にあるもののようで、文字通り「見ている」という表現で構わないようにも思います。

しかし、人間も鳥のように磁場を感じられる「根本」を持っているとすると、機能として(たとえば松果体のように)現在は働いていなくとも、感じる感じないに関わらず、人間もまた磁場の影響を受け続けているということになるとは思います。

だとすると、「人間も鳥たちのように、磁場で位置や方向を獲得することができる」という能力があるかもしれないという魅力的な話とつながると同時に、たとえば、現在の「極端に磁場が弱まり続けている状態」の中では気になることもあります。

たとえば、先ほど「複合体がコンパスのように磁場に反応する」という状態を説明しました図で、磁場で旅をする生物としての代表格して、イラストで、「オオカバマダラ(モナーク蝶)と、ハト」が出ていましたが、その2つの種の最近の生存状況(アメリカとヨーロッパのものです)は次のようになっているのでした。

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それぞれの数値のソースは、オオカバマダラは、米国バーモント州野生生物局ニュースリリース、ハトは、ガーディアンです。

気になることというのは、これと少し関係しています。

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磁場の影響を受けやすいと思われるハトが欧州で90%激減していることが示唆する、これからの地球の全生物

この「クリプトクロム」というタンパク質はずいぶん以前からわかっていて、そして、鳥は「磁場があるからこそ生きていけるのかもしれない」ということに関してもずっと以前からわかっていたことのようですが、そのメカニズムがわかっていませんでした。

過去記事の、

大量死の時代に生きる意味 : 鳥のいない地球をもたらすのは磁場の変化なのか、それとも、それは人間と地球の変化の兆しなのか。そもそも大量「死」とは何か
 2015/07/03

など、いくつかの記事に記したことがあります。

上の記事では、アメリカの各地で「鳥が空から落下している」という出来事に対して、「各地で鳥が落下しているのは、磁場の異変が原因ではないか」ということについてふれたもので、多くの渡り鳥たちが、

・くちばしの細胞で磁場を感知する
・光受容体細胞の中にあるたんぱく質(クリプトクロム)で磁場を「見て」いる

ことなどから、地球の磁場が消滅する、あるいは、弱くなりすぎた場合に、鳥は生きていくことができなくなるのではないかというようなことを書いたものです。

そして、何度もふれていることですが、地球の磁場は過去 100年で一貫して弱まり続けています。

1880年から2000年までの地球の地磁気の強度の変化

mag-1880-2000c

 

また、5月には、英国などの調査で、「ヨーロッパでは、3分の1の鳥が消滅する危機にさらされている」ことが報告されています。

europe-birds-threatガーディアン

 

その中でも、先ほどから出ています「ハト」は、

ヨーロッパのハトは、1980年代から 90パーセントの減少

となっていて、この三十数年は異常といっていい減り方を見せています。アメリカのモナーク蝶も、過去 20年間ほどで、80パーセント減っていることがわかったのだそうで、磁場で旅をする代表的な生物たちが確実に消滅し続けています。

もちろん、磁場の減少以外にいろいろな理由はあるでしょうけれど、これほどまでの急激な減少は、通常の理由では探りづらい感じもします。

そして、

「人間を含めた非常に多くの生物が磁場によって生きている可能性がある」

ということなどを考えますと、近づいているかもしれない「磁極の逆転」(その際、磁場は「ゼロ」になると見られています)の際に、どんなことが起きるのかは、本当によくわからなくなってきた感じもあります。

 

ちなみに、最後の磁場の逆転が起きたのは、日本の国立極地研究所などのグループの最新の発見(報道「77万年前に地磁気逆転の証拠発見(ハザードマップ)」)によれば、77万年前ということで、「現世人類が地球に登場する以前」のことです。

 

なので、今の私たち現世人類が、仮に磁場の逆転を経験するとなると、「まさに初めてのこと」となるわけで、やはり大きな出来事になるのかもしれません。

そして、現在の地磁気のものすごい減少を見ていますと、徐々にではあっても、やはり「すでに始まっている」と考えるのもそれほど奇妙な考え方ではないかもしれないとも思います。

ここから、シエ博士のグループの発表について説明していたデイリーメールの記事をご紹介します。


The secret of how pigeons find their way: Magnetic proteins in their EYES act like a compass…and humans have them too
Daily Mail 20105/11/18

ハトたちが自分の行き先を見つける方法に関しての秘密:彼らの瞳の磁気タンパク質は、まるでコンパスのように振る舞う…そして人間にもそれがある

ハトは、動物界で最も大胆な旅をおこなうもののひとつで、数千キロを越えるような移動をした後にでも、正確な位置に到達することができる。

今、科学者たちは、鳥や蝶、そして他の動物たちが、どのように地球の磁場を自分たちの行き先を決めるために使用しているかの解明をしている。

すでに、科学者たちは、網膜と神経細胞で生産され、目から脳へと走る「コンパスのように振る舞うタンパク質」を発見している。

この複合体は、地球の磁場に関する情報と、太陽の位置を組み合わせることにより、動物たちに彼らが旅行する方向を検出させることができる。

そして、これは驚くべきことだとも思われるが、研究者たちは、人間にも、これらと同じタンパク質が発現することを発見したのだ。

鳥などよりも、はるかに少ない量ではあるが、私たちにも磁場を感知するいくつかの能力があるということになる。

研究を率いた中国北京大学の分子生物学専門のカン・シエ博士は、そのタンパク質は、コンパスの針のように作用し、神経系に情報を送信するように見えると述べている。

「かつて、動物が地球の磁場を検出することができるという概念は、一笑に付されていたものでした。しかし、今、それが事実であることが確立したのです」

この研究は、科学誌ネイチャー・マテリアルに発表された。

シエ博士は以下のように述べる。

「この生物コンパス( biocompass )モデルは、動物の磁気のナビゲーションと磁気受容( magnetoreception )の分子機構の完全な解明に向けてのステップとして機能すると私たちは考えています」

「人間に磁気を感じる感覚が存在するかどうかは議論もありますが、地磁気の磁場は、人間の視覚系の光感度に影響を与えると考えられるのです」

サメ、ウミガメ、鳥類、昆虫、オオカミ、クジラ、さらには線虫など、多くの動物たちが、自身の移動を助けるために、地球の磁場を使用すると考えられている。

しかし、彼らがどのようにそれをおこなっているかについての正確なところは、いまだ謎のままだ。

一部の研究者たちは、以前から、ハトのような鳥の持つ、磁場に反応しているように見える特定の目の細胞や、くちばしを同定しているが、その正確なメカニズムは不明であり、一部の研究者たちは、分子によって結合された鉄の塊を特定し、そこに源があるのではないかとした。

また、他の研究者は、クリプトクロム( cyrptochromes )と呼ばれる感光性のタンパク質に起因していると主張した。

しかし、シエ博士と彼のチームによる研究では、実際には、これら2つのシステムは、これらの動物の細胞内でのナビゲーション複合体を形成するために一緒に働くことを見出した。

特に、研究チームの発見した、円筒形の複合体を形成するクリプトクロムと結合するタンパク質を産生する MagR と呼ばれる磁気受容体の遺伝子の存在が大きい。

MagRは、感光性タンパク質のクリプトクロムと結合し、外部磁場の方向に自発的に整列するのだ。

この MagR は非常に磁気を帯びており、そのため、研究者たちは、研究をおこなうための特別なプラスチックのツールを開発しなければならなかったほどだ。

そして、これらの分子が、眼から脳に向かって走っている網膜神経細胞の中で特に発現していることがわかった。

ショウジョウバエ、オオカバマダラ(モナーク蝶)、ハト、そして人間のすべては、これらの分子を生成する。また、ミンククジラやハダカデバネズミ(げっ歯類)、などの他の生き物も、これらの磁気タンパク質を有している。

研究者たちは、これらの発見は、多くの生物学分野の研究、および産業用への応用研究のための新たな領域につながる可能性があると述べる。

また、この発見は、磁場、または、磁気感度を増加させる方法に応答する遺伝子治療の新しいタイプにつながる可能性もある。

研究者たちは述べる。

「 MagR ポリマーおよび、クリプトクロムと MagR の複合体の磁気的な特徴は、異なる分野全体での、数多くの用途の可能性が秘められていると考えます」

米国マサチューセッツ大学の神経生物学者、スティーブン・レパート博士( Dr Steven Reppert )は、この研究結果は、巨大な影響を与えると科学誌ニュー・サイエンティストに語った。

「これは極めて挑発的で、非常に画期的な可能性を秘めています。息をのむような発見といっていいと思います」