In Deep

地球最期のニュースと資料

*

聖書の記述通りに「エジプトのナイル川が血に染まった日」から、もうすぐ1年。その間にどれくらいの世界中の川や湖や池が「血に染まった」かを思い出してみる

   

オーストラリアのウエストゲートパークに佇む女性(2017年3月7日)

Lago del Westgate Park en Melbourne

旧約聖書「出エジプト記」 7章 19-21節

主は更にモーセに言われた。「アロンに言いなさい。『杖を取り、エジプトの水という水の上、河川、水路、池、水たまりの上に手を伸ばし、血に変えなさい』と。エジプトの国中、木や石までも血に浸るであろう。」

モーセとアロンは、主の命じられたとおりにした。彼は杖を振り上げて、ファラオとその家臣の前でナイル川の水を打った。川の水はことごとく血に変わり、

川の魚は死に、川は悪臭を放ち、エジプト人はナイル川の水を飲めなくなった。こうして、エジプトの国中が血に浸った。

 

Sponsored Link


 

エジプトのナイル川が「血に染まった」2016年の春から1年経ち

「普通は赤くならないものが赤くなる」現象については、過去、わりと何度も取りあげてきたことがあります。この世では、いろいろと赤くなりますが、取りあげたものは、川とか湖とか海などの「水関係」が多かったです。

川や湖が赤くなった場合、特に西欧では、わりと大きく報道で取りあげられることが多いですが、なぜ、川や湖が血のように赤く染まることに、私も含めて、多くの人たちが興味を抱くのかというと、聖書などを含めた聖典や伝承などで「終末的に描かれる」ためだと思われます。

とはいえ、聖書に出てくる場所としては、たとえば、冒頭の「出エジプト記」などでは、

「ナイル川が血のように染まる」

というように記されてえおり、世界中のいろいろな他の川でも、赤くなることは印象的ではあるとはいえ、「やはり、ナイル川が血のように染まってくれないと」のように思う終末願望クラッシャーたちも多かったと思うのですが、それが「実現した」のが、昨年 2016年3月のことでした。

それは欧州宇宙機関(ESA)の観測によってなされました。

最近の ESA は、ロゼッタによるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の着陸観測などクールな宇宙観測を敢行し続けているのですが、その ESA が昨年打ち上げた地球観測衛星センチネル3号(Sentinel-3A)が、1年前に、ナイル川流域を撮影して発表したものが下の写真でした。

ESAの人工衛星センチネル3号が撮影したナイル川流域 2016年4月1日

ESA

これは、パッと見るとわかりにくいと思われますが、該当地域の地図と並べますと、下の場所です。

 

ナイル川の上流から河口にかけて、「真っ赤」に染まっていることがわかります。

拡大しますと、下のように、エジプトのナイル川全域が、まさに「血に染まった」という様相となっているのです。

赤く染まったナイル川

・ESA

しかし、当時、「ナイル川が真っ赤に染まった」というような報道はなく、これはどういうことかといいますと、この衛星センチネル3号が搭載する「撮影機器」に理由があるようで、報道から抜粋して翻訳いたしますと、次のような理由のようです。

地球観測衛星センチネル3号が搭載する放射計は、地球の表面から放射されるエネルギーを測定する。その際、植物の群生から放射される熱は赤外線スペクトルで表現される。そのため、ナイル川を囲む植物の群生によって、ナイル川は赤く示される。

ということだそうで、要するに、植物から放射される熱が赤く示されるということのようなのですが、しかし、それはわかるにしても、「ナイル川の沖の水域まで植物の群生が?」と、ちょっと解せない面もないではないです。

まあしかし、いずれにしても、この時のナイル川の「赤」というのは、合理的に説明できるというように説明されていて、「実際に赤くなったというわけではない」ということは言えそうですが、

「では、何がナイル川を赤くしたのか」

ということがおわかりでしょうか。

それは「時代」です。あるいは「時代の進行の中の科学技術」です。

このように植物の熱を色で識別することは、世界での植物の分布状況などを把握する際など、科学的研究に非常に利用できるものなのだそうですが、こういうもの、つまり「ナイル川を赤く染める」ような技術は、その目的が何であれ「これまでなかった」のです。

それが 2016年に登場したと。

時代の中で「ナイル川がモーセとアロン以来の赤に染まった」ということになりそうです。

なお、地球観測衛星の撮影でも、普通は、「対象が赤くなれば赤く映る」というのが一般的です。

たとえば、昨年、NASA の地球観測衛星が「イランの湖が、ある日、真っ赤に染まっていた」ことを撮影して発見しました。

2016年7月に赤く変色したイランのオルーミーイェ湖

NASA

この時は、このイランの湖は、その現場も下のように「血の海」となっていました。

真っ赤に染まったイランのオルーミーイェ湖

Hoootan

このイランの湖に関しては、場所が「北緯 33度」だったこともあり、過去記事、

北緯33度線が「血を象徴している」ことがさらに明白になっているような2016年前半の世界を振り返る:暴力の蔓延が定着した中東…赤く変色する湖…そして圧巻の自然の光景
 2016/07/30

の中でご紹介しています。

 

さて、このように、昨年は「2千数百年ぶりにナイル川が赤く染まった」ということになるのですが、それから現在にいたるまでのこの1年間は「赤」的にはどんな1年間だったのかなと、ちょっと振り返ってみようと思いました。

 

ちなみに、冒頭の「女性が赤い水の前にたたずんでいる」写真は、直近の「地球の記録」の記事、

赤と緑の饗宴 : オーストラリアで湖が「真っ赤」に変色し、スペインで川が「輝く緑」に変色した3月
 2017/03/10

でご紹介したうちの、オーストラリアのウエストゲートパークという場所にある湖で、この湖が、この数日のうちに「赤く染まった」ことが報じられています。

冒頭の写真は、そういう中の1枚ですが、女性が水の前に立っているこの写真は、地球ブログの記事を書いた後に見つけたのですが、大変に気に入りまして、今回の最初に使わせていただきました。

赤い川や湖と女性の組合せは、何だかドラマ性を感じます。ここに男性が立っていても何も感じませんが、女性が立っていると、ものすごく絵になります。

 

それでは、「ナイル川の赤色事象」からの1年間の世界の「血の川」を振り返ります。過去記事がある場合は、リンクも示させていただきます。

なお、旧約聖書での「十の災い」は、「水を血に変える」から始まるのですけれど、もう最近は 1から 10まで順番関係なく、「災いが降りかかり邦題」というようなご時世となっています。

(参考)

旧約聖書の「十の災い」

1. 水を血に変える
2. カエルの大群を放つ
3. ぶよを放つ
4. アブを放つ
5. 疫病を流行らせる
6. 腫れ物を生じさせる
7. ひょうを降らせる
8. イナゴを放つ
9. 暗闇でエジプトを覆う
10.初子をすべて殺す

というわけで、この1年間の「赤い事例」を挙げておきます。

それぞれに「赤くなる合理的な理由(藻やバクテリアなど)」が説明されているものがほとんどですが、注意したいのは、ほとんどにおいて「かつて赤くなったことが記録されていない」ということです。

つまり、2016年になって、突然赤くなったものがほとんどです。そして、この数年はそのような事例がものすごく増加し続けています。

 

ナイル川が血に染まった2016年の春以降の「赤い風景」

2016年3月 メキシコ・ラ・サリナ湖(原因:推定で水質汚染)

Laguna La Salina en Huatulco

メキシコのワウラという場所のビーチの近くにある湖が、今年3月、突然赤く染まりました。メキシコ大学の専門家たちは、水質汚染と高い水温が原因ではないかと説明しています。

[記事] メキシコの湖全域の水が真っ赤に変色 (2016/03/08)

 

2016年5月 中国・河北省覇州市(原因:推定で工場の廃液による汚染)

河北一钢铁厂排污致河流成”红河” 直流天津

[記事] 中国河北省で川が広範囲で真っ赤に染まる (2016/05/11)

 

2016年9月 ロシア・ノリリスク(原因:当局発表は「未知の物質」によるもの)

Mikhaul Golub

ロシアの北極圏に近いシベリアのノリリスクで、9月、突然、川が真っ赤に染まるという出来事が起きました。ノリリスクはニッケルの生産地で、環境汚染が深刻な場所でもありますが、それとの関係は不明です。

[記事] ロシア・ノリリスクで川が突然「真っ赤な血の色」に染まる。当局は「原因不明の物質によるもの」と発表 (2016/09/08)

 

2016年9月 中国・運城塩湖(原因:推定で藻とバクテリア)

Express

中国山西省の運城市の塩湖の水が 9月に突然真っ赤に染まりました。科学者たちの説明では、塩分を好むドナリエラ・サリナという「藻類」が繁殖し、それとバクテリアの作用により水が赤く変色したと考えられるのだそう。

[記事] 「中国の死海」と呼ばれる運城塩湖の水が突然「血の赤」に変色 (2016/10/03)

 

2016年10月 グアテマラ・サマラ川(原因:不明)

El río Samalá se tiñe de rojo y preocupa a vecinos

グアテマラのサマラ川という比較的大きな河川が、10月中旬に突然赤く染まりました。原因は、その時点では報道ではふれられていません。

[記事] 世界中であまりにも多発する「血の川」現象 : 旧約聖書の「十の災い」をなぞるようなこの時代に (2016/10/16)

 


 

このような感じです。

ここに、先ほどご紹介しましたイランの湖と、最近のオーストラリアの湖が加わります。

今後同じような現象が増えていくかどうかに関しましては、これらの現象のうちのいくつかが「藻」によるものだとすれば、増えていくと考えられます。

というのも、この数年、世界中の水のある場所で、藻が大量に発生し続ける事象が拡大していまして(過去記事)、これがおさまらない限りは、「赤い水の現象」は世界中でさらに増えていくと思われます。

そして、藻の大発生がもたらすものは、「海洋生物の大量死」でもあります。

このように「赤い水」と「大量死」はセットになっているあたり、冒頭の聖書の記述にあります、

 > 川の魚は死に、川は悪臭を放ち、エジプト人はナイル川の水を飲めなくなった。

という記述は、忠実に赤い水の性質と現実を示しているように思えます。

水が赤くなれば、原因は何であっても、多くの場合、魚は住めなくなり、人もまたその水を飲むこともできません。

血の川は、理由が何であろうと確かに災いではあるのかもしれません。