In Deep

地球最期のニュースと資料

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スクリーム顔の小惑星、謎の星 KIC 8462852、南極の氷は実は増えていた、宇宙最大の構造体の発見…… 最近のNASAが成し得ていること(1)

      2016/01/30

またも「重大発表」を事前予告したNASA

今年 9月28日に「火星に関しての重大発表」を事前アナウンスして、その内容は「火星には流れる水があった」というもので、世界中の多くの人たちが、専門用語でいう「ずっこけた状態」となった出来事からまだ1ヶ月ですが、NASA はやる気満々のようです。

今日、下のような報道が発表されていました。木曜日は今日ですが、日本時間では、明日となります。

2015年11月4日の米国CNNの報道より

nasa-bignews-01NASA to deliver big news on Mars’ atmosphere Thursday

 

また「重大発表」。

しかし、「火星の大気に関して」と限定しているのですから、火星の大気についてのビッグニュースといえば、

・火星に大量の酸素があった

・火星は完全な真空だった(これは驚く)

のどちらかぐらいしかないのではないかと思うのですが、いずれにしても、またも、事前アナウンスしてからの発表ということをメディアを巻き込んで展開するという大がかりなことをしたようです。

前回の重大発表については、東スポには以下のような記事もありました。

肩すかしに終わったNASA発表 実は「火星生命体」公表への布石か

 東スポ 2015/10/03

世界中のUFOマニアが注目した米航空宇宙局(NASA)の9月28日に行った火星に関する記者会見は「火星の表面を流れる水がある証拠を見つけた」というものだけだったのは、本紙昨報通りだ。

UFO研究家の竹本良氏は「アンドリュー・バシアーゴとかキャプテン・ケイたちの火星基地にまつわる宇宙情報が漏えいされている中で、今回のNASAの発表は想定内のしょぼい記者会見ではあった」と指摘する。(略)

「しかし水と塩という生命の基本要素が確認されたことは評価したい。宇宙空間にもアミノ酸が見つかっていることから、彗星や隕石に運ばれ、火星大気圏や表面の衝突で塩基等が塩水で生まれ、生命の源になっているとも考えられる。NASAの情報公開は火星移住計画へと段階的にプログラムされているので、原始生命、生命体、そして地球外知的生命の発見へと今後の記者会見に期待したい」(竹本氏)

というように、「 NASA が少しずついろいろな発表をしていくのではないか」という期待を持つ向きもあるようですが、そのあたりは、私はそうは思えないところもありますが、いずれにしても、今回も「とにかく注目を集めたい」というポーズがとても強く出ているように思います。

このあたりの事情に関しては、過去記事の、

赤い月と赤い惑星が出会った9月28日: NASA が行った火星に関しての重大会見から改めて思う「宇宙探査の無駄」
 2015/09/29

の中でご紹介しました、予算を含めた「 NASA の事情」なども、相変わらず関係しているのかもしれません。

まあ、しかし、それはともかくとして、火星のほうへの興味は最近はかなり薄いのですが、最近の NASA が発表している中には、「地球」に関するものも含めて、興味深いものが多いのです。

今回はそれをいくつかまとめてご紹介したいと思います。

項目としては、

・実は南極の氷は増えていたことが NASA の観測で判明したこと

・巨大な人工物かもしれないと言われている謎の星 KIC8462852 のこと

・カザフスタンで見つかった巨大地上絵を NASA の ISS で撮影、公開

・地球のオゾンホールが過去5年で最大になっていることが NASA の観測で判明

・NASA が宇宙で最も巨大な銀河群を発見

・地球に最接近した小惑星 2015 TB145 の「ハロウィン的顔」を NASA が撮影

などです。

(結果的に長くなりすぎましたので、2回にわけました)

最初に「ハロウィン顔した小惑星」からご紹介させていただきます。

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ハロウィン仕様の小惑星

ハロウィンの 10月31日の日に、「地球に巨大小惑星が最接近する」という出来事がありました。大きさは 500メートルほどで、確かに巨大ですが、最接近といっても、50万キロ程度も離れたところを通過するコースが予測されていたので、地球への影響はまったくないはずでした。

そして、実際に影響はなかったのですが、「イメージ的には影響があった」かもしれないのです。

この小惑星が通過した日、AFP は下のように「ドクロの顔を持つ死んだ小惑星がハロウィンに地球に最接近した」というタイトルの記事を掲載しました。

skull-face-asteroidAFP

 

NASA が、天文台で、この小惑星 2015 TB145 の撮影に成功し、それを発表したのです。

「ドクロ」と呼ばれているその小惑星の顔はどのようなものだったのかというと、下の写真が撮影されたその小惑星です。

ハロウィンの日に最接近した小惑星 2015 TB145の姿

TB145-holloween

 

ハロウィンぽいですよね(苦笑)。

AFP の記事タイトルのようにドクロのようにも見えますし、あるいは、それこそ、ハロウィンで使われる、くりぬいたカボチャのようでもあります。

ハロウィンの日の地球の近くをこういうものが通過していくというのは、粋な現象だと思えばいいのか、ちょっと悪魔的な感じだと思ったほうがいいのかはわからないですが、それにしても、私はこれを見て、

「どんな形状をしているのか近くで見てみたい」

と本当に思いましたね。

ちなみに、アメリカのハロウィングッズの定番として、1996年のアメリカ映画『スクリーム』というホラー映画に出て来る殺人鬼が被るマスクがあるのですが、それとも似ています。

映画『スクリーム』より

scream-face-01

 

この『スクリーム』という映画は、一種倒錯した若者たちを描いた映画でしたが、監督のウェス・クレイヴンさんという方は、ちょうど、今年の夏に 76歳で亡くなっています。

彼は正視するのがつらいほどの『鮮血の美学』という凄絶な映画での監督デビューの後、さまざまなホラー映画を撮りましたが、この『スクリーム』という映画が彼の最大のヒットになったと思われます(現在のドル円換算で、制作費約 17億円に対して、興行収入は約 207億円)

そのウェス・クレイヴン監督が亡くなった2ヶ月後のハロウィンに、このような顔をしてやってきた小惑星 2015 TB145 は・・・やはり「粋」ということにしたいところです。

ちなみに、私は、アメリカの代表的なホラー映画監督5人にインタビューした『アメリカン・ナイトメア』というドキュメンタリー映画を見たことがあります。

そこに、このウェス・クレイヴン監督も出ていたのですが、彼をはじめ、その監督たちがホラーに向かったキッカケは、ベトナム戦争やキューバ危機、アメリカ国内の暴動などで、多くのアメリカ人が「恐怖と混乱で心の均衡を失っていた」ことだったそうです。

実際の「恐怖」が、アメリカのホラー映画を生み出したことがよくわかるドキュメンタリー映画でした。だから、アメリカのホラーはどこの国のホラーよりも恐かったのかもしれません。私は若い時に、トビー・フーパー監督の『悪魔のいけにえ』(1974年)というアメリカのホラー映画を見た時に、体が硬直したままでブルブルと震えだしたことがあります。それほど恐かったのです。

何だか話が逸れましたが、次は「南極の氷」についてです。

これも NASA が画期的な調査結果を発表したのでした。

 

地球温暖化説への反対証拠を出してしまったNASA師

いわゆる地球温暖化という説では、南極大陸やグリーンランドなどで溶け出した氷が、地球の海面上昇を引き起こすというようなことが言われ続けていました。

南極の氷床が融解した場合は、地球の海面は約3メートルほど上昇するといわれてきたのですが、 NASA は先日、

「南極の氷は増えており、海面上昇はない」という調査結果を発表

したのでした。

これは、日本語でもニュースになっていますので、CNN の記事から抜粋します。

南極大陸の氷、「実は増加していた」 NASA

 CNN 2015/11/04

南極大陸で年々失われていく氷よりも、増えている氷の量の方が多いとの研究結果を、米航空宇宙局(NASA)のチームがこのほど発表した。事実ならば、南極氷床の融解が海面上昇につながっているという従来の説は覆される。

NASAのチームは南極氷床の高さを人工衛星から計測したデータを調べ、その変化の様子から結論を導き出した。(略)

過去10年以上にわたる研究では、南極大陸やグリーンランド、世界各地の氷河から溶け出した氷が、海面の上昇を引き起こしているとされてきた。

西南極の氷床が融解すると、地球の海面は約3メートル上昇するといわれている。しかし新たな研究結果では、南極大陸は差し引き計算すると全体として氷が増えているため、海面上昇の要因ではないことになる。

これは必ずしも喜ばしい結果とは言えない。グリーンランドで起きている融解などの影響が、従来の推定より大きいことを意味している可能性もあるからだ。

ということで、これまでは NASA も地球温暖化を唱えていたのですが、ここにきて、「地球温暖化説グループへの造反」というような形となっています。

ちなみに、上の記事に、

> グリーンランドで起きている融解などの影響が、従来の推定より大きいことを意味している可能性もある

とありますが、最近の調査では、その可能性もあり得ないことがわかっています。

というのも、グリーンランドでは氷が増え続けている一方だからです。

世界の氷に関するデータをほぼリアルタイムで提供してくれているデンマーク気象研究所( Dmi )のデータでは、グリーンランドでの氷の状況は、以下のグラフのように、「過去最大量」のまま推移しています。

グリーンランドの氷面積の推移

greenland-ice-2015novCurrent Surface Mass Budget of the Greenland Ice Sheet

 

そして、また、最近のグリーンランドは異常といえるほど気温か下がる日があるようで、下のは、グリーンランドのほぼ中央部の最も標高の高いサミット・キャンプという場所の 10月24日の気温です。

greenland-55Twitter

 

氷点下 55℃は、少し寒いですね。

こういうようなこともあり、南極にしても、グリーンランドにしても、今後極端に氷が溶けていくという可能性を想像するのは難しいところです。

つまり、氷の融解によっての海面上昇はないといえそうです(他の理由での海面上昇はあるかもしれないですが)。

そのことを NASA は示してくれたわけです。

NASA は先月、地球についての、もうひとつのことを発表しています。

 

 

フロン規制後28年後にオゾンホール面積が過去最大に近づく

ozone-hall-wider

▲ 2015年10月29日の Express UN climate agency says “Don’t panic!” as ozone hole gets widerより。

 

化学物質の規制に関してのオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書というものが 1987年に採択されて以来、実は、この規制がどの程度効果が出ているのかは誰にもよくわかっていなかったようなんですが、WIREDの記事によりますと、

国連機関は2014年9月、(オゾンホールに関して環境状況は)回復しつつあるという報告書を出している。

とあり、また、NASA は、今年5月に、

NASAのゴダード宇宙飛行センターはこの新しい調査報告書で、オゾンホールは着実に縮小しており、2040年までに実質的には大きな問題ではなくなるだろうと述べている。

と述べていたのですが、その5ヶ月に NASA は、

「オゾンホールが過去最大に近いほど拡大していることを確認した」

と発表したのでした。

これを臨機応変というべきなのか、舌の根が乾かぬ……と表現するかはわからないですが、これも日本語で報道されていますので、一部抜粋します。

 

オゾンホール 今年最大に 過去5年間で最も広がる NASA

 Hazard lab 2015/10/08

米航空宇宙局(NASA)は 10月8日、南半球の上空を覆うオゾン量が今月に入って最も少なくなり、オゾンホールの面積が最大になったことを明らかにした。例年ならば9月中旬過ぎにピークを迎えるオゾンホールの広がりが、今年は一カ月程度遅れたことで、研究者が分析を急いでいる。

NASAや米海洋大気庁(NOAA)は衛星による観測の結果、今年のオゾンホールは「10月4日」に約2700万平米キロまで広がり、大気中のオゾン濃度は「101D.U.」まで減少したと発表した。

これは過去5年間で、オゾンホールの大きさとしては最も大きく、オゾン濃度では「2011年10月8日」に観測された記録に次いで2番目に少ない結果となった。

ということで、今まで言われてきたオゾンホールというものの発生の原因自体が何だか危うくなってきた感じですが(フロンなどの科学物質だとされてきて、今は確実にその放出は減っているにも関わらず、オゾンホールは拡大しているので)、それに対して、さきほどの記事のように、国連の気候担当局は、

パニックにならないで下さい

と言っていたということなんですが、国連から「パニックにならないで下さい」などと言われると、今まで気にしていなかったのに、むしろ何だか心配になってきたりもする次第です。

オゾンホールの拡大の何が問題かというと、オゾンは紫外線を防いでくれているので、それがないと、オゾンホール – Wikipedia にある、

強度の紫外線は皮膚がんを誘発する要因であるとされている。紫外線の10%の増大は、男性に対しては19%、女性に対しては16%の皮膚がんの増加になるという研究結果もある。

太陽に含まれるA波 B波 C波が細胞やDNAなどを傷つけてしまう。 このオゾン層が減少すると、有害物質が地上に沢山降り注ぎ、あらゆる生物の身体に悪い影響を及ぼす。

ということに成りかねないようで、南極を中心に発生するオゾンホールが今以上に拡大して場合、上のような影響を人間を含めて生物が受けてしまうということになります。

2011年には、北極でもオゾンホールが確認されたことが国立環境研究所によって発表されていましたが、今後も拡大傾向は続くのでしょうかね。

 

うーん、何だか、ここまででかなり長くなってしまいましたので、最近の NASA の業績と行動の数々は2回にわけまして、次回に続きを書かせていただこうと思います。

明日なら、NASA が行う「火星の大気に関してのビッグニュース」のこともふれられそうです。

しかし、今回ご紹介した NASA の業績は、どれも素晴らしいと思います。特に地球関係の調査と発見は頼もしい限りです。もう NASA は、宇宙関係は全部やめて、地球研究専門機関にすればいいのではと思わせるほどのものでもあります。