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「9番だったオレのことはこれからは6番と呼べ」:アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国に続いて水爆保有国となった太陽を盗んだ国家=北朝鮮

      2016/01/30

北朝鮮の核実験の16分後に流れた中国地震局の速報

nk-bomb-2016中国地震局

2015年1月6日12:30から行われた「特別重大発表」
nk-0106時事通信

(参考)水素爆弾

放射性核物質のウランやプルトニウムの核分裂の連鎖反応でエネルギーを発生させる原子爆弾に対し、水素など軽い原子核を融合させる核融合反応によって、広島・長崎級の原爆の数百倍のエネルギーを発生させることができる。(毎日新聞

 

核保有国「9番」の北朝鮮が「6番」になった日

思えば、俳優の菅原文太さんが亡くなってから1年以上が過ぎようとしていることに、今日の北朝鮮の(自称ですが)水爆実験の報道で思い出しました。

今回の「タイトルの意味のわからなさ」を含めて、何のことかといいますと、2014年の11月に菅原文太さんが亡くなった後に、

「太陽を盗んだ男」がつくった原爆から東京を救えなかった菅原文太さんが亡くなった日に、もう何十年も前から私たちは自由を奪われていたことを思い出してしまった
 2014/12/02

という記事を書いたことがあり、これと関係しています。

笠原和夫さんによる脚本(5作目だけ脚本は高田宏治さん)だった「主演は広島弁」と言われた 1973年の映画『仁義なき戦い』初期シリーズが今でも大好きな私ですが、その初期5部作すべての主演をつとめたのが菅原文太さんで、その文太さんの出演作のひとつに『太陽を盗んだ男』(1979年)という映画があったのです。

当時人気絶頂だったジュリーこと沢田研二さん主演の、日本映画で歴史に残る傑作でした。

これは、「東海村からプルトニウムを盗んで自力で原爆を作り、警察と日本政府を脅す化学教師の話」を描いたものなんですが、その中に、警察に対しての脅迫電話の中で、犯人のジュリーは、交渉担当役となった警部(菅原文太)に名前を聞かれて、以下のような台詞を言う場面があるのです。

「9番。オレのことは9番と呼べ」

「現在、世界の核保有国は、アメリカ、ソ連、中国、フランス、イギリス、インドの6カ国。そして、非公表だが南アフリカとイスラエルの2カ国もだ」

「合わせて8カ国。オレは9番目の保有国だ」

だから、「名前は9番」ということになるわけですが、この台詞の「オレのことは9番と呼べ」というのは、国家として該当する国があるのです。

この映画の作られた 1970年代と現在で、核保有国の数は大幅に変わったわけではなく、現在の核保有国は以下の通りで(イスラエルは未確定ですが、保有濃厚ということで入れています)、初核実験の歴史順でいえば、

・アメリカ (1945年)
・ロシア  (1949年)
・イギリス (1952年)
・フランス (1960年)
・中国   (1964年)
・インド  (1974年)
・イスラエル(1979年)
・パキスタン(1998年)
・北朝鮮  (2006年)※9番目

の9カ国となっていて、歴史からみれば、北朝鮮は「9番」だったのです。

それまでは「北朝鮮こそ9番だったのか」などと思っていたのですが、これが水爆となりますと、現在の保有国は、

・アメリカ
・ロシア
・イギリス
・フランス
・中国

の5カ国で、今回の北朝鮮の水爆実験の報道を見て「今度は6番か」と思った次第です。それがタイトルの意味です。

『太陽を盗んだ男』の「9番」に関しては、下は映画の予告ですが、30秒くらいからのところに、ナレーションでそのことを述べている場所があります。

太陽を盗んだ男・予告編

 

映画『太陽で盗んだ男』のラストは、その「9番」と自称する男の作った原爆が、新宿の歩行者天国で爆発するところで終わります。

第二次大戦以降で「はじめて原爆を実験ではなく炸裂させたのは9番」だったというようなことで終わる映画でした。

そして、国家としての「9番」であった北朝鮮は、水素爆弾完成への執念を持ち続けてもいたことは、過去記事などで記したこともあります。

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北朝鮮の水爆への執念

今回は水爆実験だったとの発表でしたが、この「水爆」というものが、原爆などとは桁違いの破壊力を持つということについては、知識としてはあっても、何となく曖昧な部分がありますが、根本的な違いとして、

・原子爆弾 → 核分裂

・水素爆弾 → 核融合

というところが大きな違いですが、この違いは専門的に言われると難しいものでして、その中では、教えて!goo の「核分裂と核融合はどっちが強力?」という質問への答えがわかりやすいです。

水爆の方が原爆より強力だと言われる理由は、核分裂と核融合の差ではなく、水爆の方が、際限なく強力な爆弾を作れるという理由です。

というのも、原爆の原料となるウラン・プルトニウムには、臨界質量というものが存在します。臨界質量を超えてウラン(プルトニウム)塊が存在すると、外部からそれを起爆させなくとも、自然と核分裂の連鎖反応が発生します。

ウラン235の場合は約20kg、プルトニウムの場合は約5kg。つまり、これを大きく越える爆弾は原理的に作ることが出来ません(意図せず爆発してしまうから)。

それに比して、水爆は原理的には制限を持ちません。燃料を大きくして、それを一気に超高温高圧環境下にすれば、いくらでも強力な爆弾を作ることが出来ます。
例えば太陽は巨大な水爆ですし、しかも宇宙には太陽より巨大な水爆はゴロゴロしています。

兵器として見た場合、上にあります、

> いくらでも強力な爆弾を作ることが出来ます。

というのが、原子爆弾との大きな違いです。

だからこそ、多くの国々が躍起になって開発していた歴史があるのかもしれません。

実際、冒頭の中国地震局の速報を見た後に、「この後、特別重大発表を行う」と北朝鮮が発表した際には、自称であろうと何であろうと、「水爆実験成功の発表なんだろうなあ」と思いました。

今から5年ほど前の記事となりますが、

北朝鮮は初めから水素爆弾を研究してきた
 2010/05/18

では、韓国メディアが、北朝鮮の元書記で 2010年に亡くなった黄長ヨプという人の言葉を記事にしていまして、それをご紹介したことがあります。

そこからの抜粋です。

タイトルの「核融合に成功しただろう」というのは、「水素爆弾生産技術の基礎を獲得しただろう」という意味でよいかと思います。

黄長ヨプ氏、「北朝鮮は核融合に成功しただろう」

 韓国ニューデイリー 2010年05月18日

黄長ヨプ前秘書は、「北朝鮮の水素爆弾技術が、それ(核融合の成功)以上になっている可能性がある。北朝鮮の実態を知らない人々はそれが不可能だと指摘しているが、彼らが北朝鮮の技術力を知っているというのか」と反問した。

黄元秘書は、「北朝鮮の大量破壊兵器技術はすでにかなりの水準に上がっている。近い将来、水素爆弾の生産が開始されると発表することもできるはずだ。一度に発表しない理由は、国際社会の報復が怖いのだ」と語った。また、黄元秘書は、「北朝鮮は初めから水素爆弾を研究してきた」と付け加えた。

黄元秘書によれば対北朝鮮軽水炉建設事業が始まった90年代初めと推定される時期に、北朝鮮はすでに軽水炉を利用した核兵器製造技術を保有していたとのこと。

当時の原子力総局長は黄元秘書に、「周辺国の規制がないなら、軽水炉を利用して核兵器を作ることができる」と報告したということだ。 黄元秘書は去る3月末にも、「北朝鮮の核兵器開発は、ずっと以前から始まって進んできた」と明らかにしたことがある。

として、「北朝鮮は初めから水素爆弾を研究してきた」という可能性が、当時から明らかとなっていました。

昨年 12月には、「水爆の保有国になった」と北朝鮮が発言しましたが、それに対して、アメリカなどは下の CNN の記事のように、疑問視していました。

北朝鮮が「水爆保有」を主張、専門家は疑問視

 CNN 2015/12/11

朝鮮中央通信は10日、金正恩第1書記の発言として、北朝鮮が水爆の保有国になったことを示唆した。事実とすれば、北朝鮮の核能力が大幅に飛躍したことになる。しかし専門家は、北朝鮮の核開発技術がそれほど進歩しているはずはないとして、この主張に疑問を投げかけている。

そして、それから1ヶ月以内に実施・発表された今回の核実験が本当に水素爆弾だったなら、黄長ヨプ前秘書が述べていたことは正しかったことになりそうです。

ただ・・・。

上で、黄長ヨプ前秘書は、

> (水爆の製造について)一度に発表しない理由は、国際社会の報復が怖いのだ

とありますが、今はもう怖くないということなのですかねえ・・・。

 

いずれにしましても、北朝鮮の今回の水爆実験成功が本当だとして、さらに、以前から言われているような「電磁パルス(EMP)爆弾」もすでに持っているとするならば、やはり、今後はいろいろ変わっていくのかもしれないとも思います。

EMP 爆弾は、個人的に最も脅威と思う兵器ですが、詳細はいくつかの過去記事をご参照いただけると幸いです。

・ EMP 攻撃シミュレーションだったとすると完全な成功を収めたように見える北朝鮮のミサイル実験(2012/04/17)
北朝鮮はスーパーEMP兵器を完成させたのか?(2011/06/27)
朝鮮半島発のアルマゲドンを懸念する米国:北朝鮮のEMP兵器の完成が近い(2011/03/10)

そして、こういう状況が、今後のさまざまな状況・情勢に「何の影響も与えずに世界が進んでいく」というようにも思えなく、そして、このようなことが、新年に起きているあたりが、この 2016年という年を示唆している感じもします。

中東の緊張や、新しい病気や、混乱した市場のことも含めて、今年になって数日でどれだけのことが起きているのだか、すぐには思い出せないほどですが、今年は何だかホントにすごそうですね。