In Deep

地球最期のニュースと資料

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どうやら死につつある太平洋

      2016/11/14

paciffic-ocean

 

先日というか、今朝、

北太平洋に生息する海鳥ツメノドリが、ベーリング海の島々で「何百羽も死亡している」という未曾有の大量死事象
 地球の記録 2016/11/13

という記事を書きました。

これは、ツメノドリという名前の海鳥がアラスカの海岸に大量に死亡して打ち上げられ続けていることを簡単にご紹介したものでした。

ツメノドリは、英語で「バフィン (Puffin)」という名前で呼ばれている鳥で、実に特徴的な、まあカワイイ系の顔をした海鳥です。

puffin-dmdailymail.co.uk

 

このアラスカでの海鳥の大量死のニュースを見まして、

「北太平洋は、いよいよ本当に死にかけているのでは?」

と、しみじみと感じてしまいまして、今回は昨年あたりから太平洋で起こり続けていたことを整理すると共に、地球の記録のツメノドリの記事では、その報道を詳しく翻訳してご紹介できませんでしたので、それについてをご紹介します。

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崩壊の最終局面にあるかもしれない太平洋の生態系

太平洋では、2015年より以前も多くの海での大量死が起きていまして、南はチリやペルーから、北はアラスカに至るまで、非常に多くの大量死事象をご紹介してきましたが、あまり範囲を広げてもわかりにくくなりますので、

・北米でのできごと

・2015年から2016年のできごと

ということで、少し振り返ってみます。

下の地図はそれらの中で、特に規模が大きく印象的なものを示したものです。

2015年から2016年に米国からアラスカで発生した大規模大量死事象

paciffic-dead-2015・Google Map

上と関係した記事に関しては、報道やブログの記事からリンクしておきます。

[アラスカのウミガラスの大量死]世界で再び始まった「鳥の大量死」の連続から思い至ったこと… (In Deep 2016/02/26)

[カリフォルニアのアシカの大量死]カリフォルニアに打ち上げられたアシカの子どもの数が1800頭に達する (地球の記録 2015/03/25)

[カリフォルニアのクジラの大量死]カリフォルニアの海岸に多数のクジラが死んで打ち上げられている (地球の記録 2015/05/17)

[アラスカでのクジラの大量死]米アラスカ湾で大量のクジラ死ぬ、原因不明 海洋大気局 (CNN 2015/08/23)

[アメリカ西海岸のヒトデの大量死]米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ… (In Deep 2014/06/06)

アメリカ西海岸のヒトデの大量死は、2014年の記事ですが、2015年も継続中としてことで、ここに入れてあります。大量死が始まってから、そろそろ2年経ちますので、アメリカ西海岸のヒトデは、種類によっては絶滅したものもあるのではないでしょうか。

他にも小さな大量死事象は数多くありますが、この地図に記したものは、「それまでにその地ではなかった種類と規模の大量死」というような分類でよろしいかと思います。

特に、2015年のアラスカでのウミガラスという海鳥の大量死は非常に大規模で、その範囲も下のような広さの海岸沿いに延々とウミガラスの死体が毎日のように打ち上げられていたようです。

2015年のアラスカのウミドリの大量死

alaska-map-1Fox

アメリカ合衆国魚類野生生物局のプレスリリースよりその様子

alaska-birds-deathsfws.gov

この上の地図だけだと、この範囲がどのくらいのものかわかりづらい部分もあるかと思います。

日本列島の長さと比較すると、このアラスカのウミドリの大量死が途方もないものだったことがわかると思います。

日本の国土との比較

japan-alaska・Google Map

 

これらの大量死の原因のすべてではないにしても、大きく関係していると考えられているのが、「海水の高温化」です。

下はアメリカ海洋大気庁(NOAA)の最も新しいデータで、2016年9月の気温の「平均との差」ですが、ピンクや赤い部分は「平均より高い」場所で、色が濃くなればなるほど、平均より高いことを示しています。

temperature-sep-2016・NOAA

海域に関しては、ほとんどすべてが通常よりかなり高いということになっていて、本来なら今頃の時期は冷たい海流の中で生態系が保たれている北太平洋の微生物や魚類などが、海水温度の高温化により生きられなくなっている可能性があると思われます。

微生物から小型の海洋生物の生態系が崩壊すれば、大型の魚類や海洋哺乳類、そして鳥類に至るまで海の生態系はことごとく崩壊すると考えられます。

それだけに、今続けざまに起きているアラスカなどでの海鳥やクジラなどの「大型生物の大量死」といいうのは、

「海の生態系の崩壊の最終局面」

といえる可能性もあり、多くの生物学者たちなどが非常に懸念しています。

そして、今回の記事のタイトルに「死につつある太平洋」とつけたのも、その理由でありまして、「太平洋が死につつある」というのは比喩ではなく、かなり切実な現実だということになると思います。

最近の海に関するニュースでも、たとえば、沖縄のサンゴ礁が「ほぼ全滅」に直面していることが最近改めて伝えられています。

国内最大のサンゴ礁、半分以上が死滅 97%が白化

沖縄タイムス 2016/11/10

環境省那覇自然環境事務所は9日、石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」で9月~10月に実施した調査結果について、調査35地点のうち97%で白化現象が見られ、そのうち5割を超えるサンゴが死滅していると発表した。

石垣自然保護官事務所の担当者は「全体的に白化が進んだ状態で、短期間での回復は厳しい」と話した。

石西礁湖というのは下の位置にあるサンゴ礁で、この位置から周辺海域などの位置を想像してみましても、おそらくですが、東アジアから東南アジアにいたる広い範囲でサンゴの白化が進んでいる可能性はあると思われます。

sango-ishigaki・Google Map 、沖縄タイムス

 

白化はそのまま進行すれば死滅しますので、この海域のサンゴの 97%が白化しているという現状だと、これから先、海水温度の低下が起こらなければ、おそらく「全滅」ということになると思われます。

 

 

広大な海のデッドゾーン化は止まるのか

そして、日々のニュースで報じられる「漁獲」のニュースも、ひとつひとつは見逃しがちですが、それらを並べますと、「やはり太平洋には何か起きている」ということが浮かび上がるようなものである気もします。

2016年10月から11月の漁獲に関してのニュース

スルメイカ不漁深刻 道南、道東 加工業者「商売にならぬ」
 北海道新聞 2016/10/31

> 函館小型イカ釣漁業部会長は「こんなに少ないのは初めて」と嘆く。

秋サバ不漁に悲鳴 八戸の水産業者ら
 読売新聞 2016/10/31

> 不漁だった前年に比べても3分の1以下の状況で、「極めて異例の水揚げ量」(八戸市水産事務所)

秋サケ漁不漁続く 海水温上昇、来年以降も好材料なし-胆振・日高
 苫小牧民報社 2016/11/09

> 「稚魚が減少した原因は分からない」

マグロ不漁、解体ショー中止 青森・大間の祭り
 朝日新聞 2016/10/29

サンマ・サケ、高値の秋 北海道不漁、影響県内にも
 信毎 web 2016/10/20

もはや太平洋の異変は明らかだといえそうで、あとは、これからこの状態がどれだけ進行・拡大していくのかということになりそうです。

ただ、もし予想より早くミニ氷河期がやってくれば、海水温度が下がる可能性もあり、進行している大量死の一部は食い止められるかもしれません。

そういう意味では、ミニ氷河期も悪いことだけではなさそうです。

ミニ氷河期が来るのが早いか、太平洋が「大きなデッドゾーン」になるのが早いかのレースとなりそうな気配という感じでしょうか。

それでは、ここから、現在起きているアラスカのツメノドリの大量死に関してのエコウォッチの報道です。


‘We’ve Never Seen Anything Like This’: Hundreds of Dead Puffins Wash Ashore in the North Pacific
ecowatch.com 2016/11/10

「かつてこのようなことを見たことがない」 : 北太平洋においての何百羽ものツメノドリたちの大量死

two-puffins

 

今年10月に、ベーリング海で何百羽ものツメノドリが死亡して打ち上げられているのが発見された。異常に暖かい海水が海鳥たちの食物連鎖に影響を与えた可能性がある。

アラスカ遠方にあるプリビロフ諸島で、10月上旬に数羽のツメノドリが海岸に打ち上げられているのが発見された。そして、それ以来、毎日 20羽から 40羽の死んだ鳥が海岸で発見されるようになった。これまで死亡して見つかったツメノドリは数百羽に上る。

打ち上げられたツメノドリたちは衰弱しているが、病気や感染症にかかった徴候は見られない。

米国ワシントン大学のジュリア・パリッシュ(Julia Parrish)教授は、「基本的には毎年、ツメノドリの大量死は見られますが、今、私たちが直面しているのは、きわめて大規模な事象です」とナショナルジオグラフィックに述べている。

その魅力的なルックスで人気のあるツメノドリは、北太平洋全体に分布している。

ツメノドリの生息数は激減しており、また、かつて生息地だったカリフォルニアには今は生息していないなどの状況ではあるが、それでも、北太平洋全体では、いまだに数多くが生息している。

漁業での混獲の網は、毎年何千羽ものパフィンを殺しているが、しかし、今回のアラスカのツメノドリの大量死は、それらの漁とは関係ないだろうと、アメリカ海洋大気庁(NOAA)南西漁業科学センターの生態学者ネイト・マンツァ(Nate Mantua)氏は言う。

「ベーリング海の海水温度はどんどん高くなっています。この鳥たちの大量死も 2014年以来の太平洋の異常な海水温によるものかもしれません」と氏は述べる。

マンツァ氏によれば、今年 10月、南の海域から暖かい海水がベーリング海に流れ込んだ「海流の中の高温水の塊」があったという。

その「塊」は、この海域の食物連鎖に大きな影響を与え、それは海洋生物の生命に影響を与えた。

この高い海水温度は、2015年のアメリカ西海岸での前例のない「藻」の大発生の原因となった。

そして、それは 2015年5月から始まったアラスカでの大規模なクジラの大量死の時期と一致した。

フィンランドでは、2015年に少なくとも 45頭のザトウクジラが座礁しているのが発見された。

ワシントン州の気候学者ニコラス・ボンド(Nicholas Bond)氏は、「アラスカでは海鳥の大規模な大量死もありました」と言う。昨年から今年、多くの海鳥が死亡してアラスカの海岸に打ち上げられているのが発見され続けているのだ。

ツメノドリのエサは、主に小さな魚やイカ、軟体動物、ウニ、甲殻類などだ。ツメノドリの大量死は、これらのエサとなる生物に異変が起きていることを意味するのかもしれない。

このツメノドリや海鳥、クジラなどの大量死の背景に、北太平洋の海洋生物の生命に関しての大きな脅威が存在している可能性がある。

ベーリング海は世界で最も大きく価値のある商業漁業海域のひとつだ。 ここでは、サーモン、カニ、タラなどが大量に水揚げされる。

今年のベーリング海でのサケの漁獲は悲惨な状態で、アラスカでのサーモン価格の崩壊を引き起こした。また、今年夏の調査では、ベーリング海のカニの数が激減したことが明らかになった。この海域のカニの収穫量は昨年の 3200万キログラムから、今年10月15日に始まった漁業シーズンでは、わずか1400万キログラムに減少した。

マンツァ氏は、この状況について以下のように述べる。

「このようなことを私はかつて見たことがありません。私たちは未知の領域にいるのです。そして、私たちは特別な時代の真っ只中にいるのです」