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ロシアの数学者たちが「ヴォイニッチ手稿の言語構成の解読に成功」との報道。使われている言語の60%は英語とドイツ語であることが判明。そして内容の一部には「ケシからアヘンを採取する方法論」が含まれる模様

   

2017年4月19日のロシアの報道より

lenta.ru

最近、戦争やそれに準じたゴタゴタの噂が多いこともあり、時事関係の記事が多かったですが、今日はやや色合いの違う記事です。

少し前に、

「ロシア人数学者たちがヴォイニッチ手稿の解読方法を発見した」

というニュースがロシアのメディアで一斉に報じられていまして、そのことをご紹介したいと思います。

ヴォイニッチ手稿関係のニュースが大々的に報じられるロシアという国も、なかなかのものですが、In Deep では、過去にヴォイニッチ手稿関係の新しい報道が出た時には、それをご紹介してきた経緯がありますので、今回、ロシアで報じられているニュースもご紹介したいと思います。

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ヴォイニッチ手稿とは

このヴォイニッチ手稿とは何かということに関しては、Wikipedia から説明を部分的に抜粋しておきます。

ヴォイニッチ手稿とは

・ヴォイニッチ手稿とは、1912年にイタリアで発見された古文書。未解読の文字が記され、多数の奇妙な絵が描かれていることが特徴である。大半のページに様々な彩色された生物を思わせる挿絵が描かれている。

・書かれたのは、放射性炭素年代測定により1404年から 1438年頃だと判明。

・文章に使用されている言語は今まで何度も解読の試みが行われているが、解明されていない。

・文章を言語学の統計的手法で解析した結果、でたらめな文字列ではなく、自然言語か人工言語のように確かな意味を持つ文章列であると判断されたものの、現在に至るまで解読できていない。

・挿し絵の分析から内容を推測する試みもなされたが、これも成功していない。

1404年から 1438年頃というと今から 600年ほど前ですが、その頃に書かれた薬学関係のような本に記されている文字もイラストも何も解読されていないということになります。

ヴォイニッチ手稿のひとつのページ

 

この他に未知の植物のイラストも数多く載せられています。

なお、このヴォイニッチ手稿は、現在では、そのほとんどのページがインターネットで閲覧することができます。下のリンク先にあります。

Voynich Manuscript – photo gallery

 

このヴォイニッチ手稿に関しての過去記事は、

『ヴォイニッチ手稿を解読した』という人物の登場 (2011/12/06)

「ヴォイニッチ手稿は真実のメッセージを持つ」という英国 BBC の報道 (2013/06/23)

ヴォイニッチ手稿とアステカ文明のリンク : 植物学者とアメリカ国防総省の元情報技術者がつきとめた「古代メキシコの植物学、消滅した古典ナワトル語」とヴォイニッチの共通性 (2014/02/09)

などがありますが、どれにしても、完全に解読したという話にはなってはいなく、推定や憶測の部分が多くあります。

今回のロシア科学アカデミーのロシア人数学者たちの場合も、解読したというよりは、

「解読パターンを見出した」

ということに近いものだと思われます。

それによれば、ヴォイニッチ手稿に記されている言語は、英語とドイツ語が 60%で、残りが、ロマンス諸語(イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、ルーマニアなどで使われている言語)とのことです。

ただ、ロシア人数学者たちの解読の方法は、「母音と空白を削除する」という暗号解読手法ですので、個人的には、この方法では完全な言語の特定は難しいと思われます。

というのも、たとえば、この方法だと「 boo 」も「 bee 」も「 boa 」もすべて同じ単語となってしまいます。単語の特定が最終的には「イラストから見た推測」に頼らざるを得ないということがありそうな気がします。

なお、興味を持ったのは、ヴォイニッチ手稿に、「アヘンを獲得するためのケシの種の撒く年についてのこと」などが書かれてあるとする彼らの主張でした。

 

ケシの花はパンドラの箱

アヘンは中世のヨーロッパで大変重要な商品でしたので、そういうようなことについての様々を「暗号化しておく」というのもはあり得るのかなとも思わないではありません。

アヘンがヨーロッパで麻酔薬として使われ始めたのは、ちょうどヴォイニッチ手稿が書かれた 15世紀です。

しかし、その後、アヘンは麻酔薬という範疇を越えて大変な存在となっていきます。

ついには、ケシからはモルヒネやヘロインなども登場し、現在までのその氾濫ぶりを思うと、「暗号化されたままであってよかったのかもしれない」と、ふと思ったりします。

ヘロインはこの世に存在する薬の中で最も精神的依存性と身体依存性が強く、そして、ヘロインは「最も人を殺している薬物」のはずで、アメリカだけでも、

アメリカで1971年麻薬患者が推定56万人となりニクソン大統領が、薬物に対する戦いを宣戦布告する。2000年代のアメリカでは処方薬の過剰摂取死が問題となっていたが、2012年には急増したヘロインによる死亡がトップとなった。 ヘロイン – Wikipedia

というように惨事は拡大しています。世界レベルで見れば、「戦争よりも人が死んでいる」と言えると思います。

ビートルズやローリング・ストーンズなど有名なバンドの一部メンバーなどのように中毒から「生還」した人たちもいますけれど、生還できない人が多いです。

1970年代の英国のセックス・ピストルズというバンドのジョン・ライドンという人は、ドラッグをとても憎んでいましたが、特にヘロインを異常なほど憎んでいたことを、後に見たドキュメンタリー映画で知りました。「あれは人間からすべての人間らしさを奪ってしまう悪夢すら及ばない最強の地獄だ」と彼は述べていました。

 

私は、ケシは、人類にとっての「パンドラの箱」だったと思っています。

花を見ているだけならよかったけれど、人が手を出してはいけないものだった。精製の方法を人間が知るべきではなかった。

でも、箱は開いたまま今に至っています。

本当はいつまでも「暗号化されたまま」でよかったのかもしれません。

確かに、ヴォイニッチ手稿のイラストの中には、ケシを彷彿とさせるものもないではないです。

 

いずれにしても、これらのロシア人数学者たちの方法で完全な解明に行き着くかどうかはやや不透明ですが、報道をご紹介したいと思います。


 lenta.ru 2017/04/19

ロシアの数学者がヴォイニッチ手稿を解読する方法を発見した

 

ロシア科学アカデミー 応用数学研究所の科学者たちはひとつの結論に達した。

それは、ヴォイニッチ手稿は、母音文字を除いて2種類の言語で書かれているという結論だ。

ヴォイニッチ手稿とは、1912年にイタリアで発見された古文書で、未解読の文字や奇妙な絵が描かれており、いまだにその内容は解明されていない不可解な写本だ。

科学者たちによると、ヴォイニッチ手稿の内容に対しての母音と空白部分を削除するという方法原理に基づいた作業の中で、そこに、暗号化されている2つの言語で書かれたテキストが浮かび上がったのだ。

それによれば、ヴォイニッチ手稿のテキストの約 60%が英語またはドイツ語で書かれていおり、残りの 40%がロマンス諸語(俗ラテン語に起源をもつ言語の総称。スペイン語、イタリア語など)であると結論付けられた。

また、科学者たちは、この方法の他に、ヴォイニッチ手稿のテキストの統計的な分析を行ったが、やはり同様の結論に達した。特に、文字の組み合わせとそれらの間の距離で、異なる言語のハースト指数(確率論の概念の一種)と文字の組み合わせの配列を比較した。

研究者のひとりである物理数学者のユーリ・オルロフ(Yuri Orlov)博士はこのように言う。

「ヴォイニッチ手稿のページの図版と関連していると思われるテキストの部分には、《植物の各部位(Botanical part)》、《女性たちの体(Female bodies)》、《占星術(Astrology)》および《石の接合に使うモルタル(Mortar)》などの名称が混在しています」

「母音と空白なしでも言語というものは識別可能かもしれませんが、しかし実際には、まだヴォイニッチ手稿の言葉の多くは識別できていません」

「ただ、現代の時代にこのテキストを理解することが重要なのかどうかよくわからない点としては、図版とテキストの連なりから判断して、アヘンを獲得するためにはどの年にケシの種を播種する必要があるかが説明されていることなどです」

今回の研究は、母音と空白を削除することから解析が可能となったが、しかしオルロフ博士は、母音なしでヴォイニッチ手稿全体を復元することは難しいとも言う。

母音のない状態からの解析は、あまりにも多く該当する単語が存在するためだ。

しかし、オルロフ博士は、「私たちはすべての解読ができると確信しています」とも述べた。

それにしても、なぜ、このような解読方法によって、ヴォイニッチ手稿の内容は、全体として不可解に隠されなければならなかったのだろうか。