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2016年からの世界 人類の未来 日本の未来

今の時代の「性」が世に伝えているもの : 社会コミュニティを崩壊させるかもしれないスーパー淋病を生み出した日本に見られる「謎」のようなもの

投稿日:2016年9月16日 更新日:

2016年9月9日の英国インディペンデントの記事より
super-gonorrhoea-outbreakIndependent




 

最近は、いろいろな細菌たちが抗生物質に勝ち始めていて、ついには、抗生物質の「最終救済薬」とされているコリスチンというものも効かない細菌が出現したことなどを、

バクテリアが人類に勝利した日:「最終救済薬コリスチン」を含めた「すべての抗生物質が無効」のウルトラ耐性菌が猛スピードで全世界に拡大している
 2015/12/07

という記事などでご紹介しまして、それから、もう10ヵ月近く経つわけですが、確かに徐々に耐性菌は蔓延し続けていて、上の記事でも WHO が「 2050年までに、全世界で累積 1,000万人が耐性菌によって死亡するだろう」と述べていたり、あるいは、イギリス政府が、

「2050年には、3秒に 1人が耐性菌で死亡する時代になる」

という報告を出したこともありました。

英国政府の報告について報じた2016年5月20日のメディア記事

super-bug-2050arstechnica.com

そして、英国政府は、その頃にはスーパー耐性菌により、経済的に全世界で 100兆ドル( 1京円 / 1000兆円 × 10倍)程度のダメージを与えられる可能性があると考えているようです。

こういうような主要国の GDP の合計をはるかに超えるような金額のダメージを提示されても現実感はないですが、ただ、抗生物質に頼り切っている医療の現状を見れば、この見通しもそれほど悲観的なものともいえないのかもしれません。

そういうわけで、この「対バクテリア戦争」に、人類はすでにほぼ負けることが確定的で、今の段階で何か、「医療に対しての奇跡的な考え方の転換」を世界全体として果たさなければ、人類は耐性菌に屈することになりそうです。

この「医療に対しての奇跡的な考え方の転換」というのは、それほど難しいことだとも思わないのですが、これに関しては・・・現状の西洋医学的認識の根本にあるものが、全体として劇的に変わるということは難しいものだと感じます。ですので、これは、ひとりひとりの考え方の問題に帰結するように思います。

まあしかし、今回はこのような「病気全般の話」ではなく、「性」に関してのことを書きたいと思っています。

「性」に関してというか、「性を媒介して感染する病気」のことで、いろいろあると思いますが、バクテリアの中でよく知られているところで、

梅毒
・淋病
・HIV / エイズ

などが有名かと思われます。

そして、この中の「淋病」に関しまして、現在、冒頭に書きましたように、耐性菌として登場した、いわゆる「スーパー淋病」という存在が拡大し続けていまして、世界的に非常に懸念されています。

淋病は抗生物質が有効な病気ですが「それが効かない」ので「治す方法がない」のです。

これに関しては、3年くらい前にアメリカなどに登場した時に話題となり、その時点で、英国のデイリーメールは記事の中で、医師の談話として、

「抗生物質による治療を繰り返すことで、抗生物質に耐性を持つ新しい淋病が次々に誕生する可能性がある」

としていて、そして、スーパー淋病が「エイズよりも多くの人を殺す可能性」について言及しています。

そのスーパー淋病のイギリスでの現状を、冒頭のインディペンデントの記事はそれほど長いものではないですので、ここでご紹介しておきたいと思います。日本にも十分に当てはまる話だと思います。なぜなら、後述しますが、このスーパー淋病が初めて生まれたのは日本なのですから。


Super-gonorrhoea outbreak could be out of control as attempts to stop spread fail
Independent 2016/09/09

病気の拡大阻止に失敗したことにより、スーパー淋病の流行が制御不能の状態になるおそれ

この性感染症の蔓延を阻止しようとする試みは失敗に終わった

英国でのスーパー淋病の流行拡大を食い止めようとする試みは今のところ成功しておらず、この性感染症の流行が制御不能に陥る可能性があると保健当局は警告している。

性感染症のバクテリアはますます治療薬に対しての耐性を持ち始め、今後、急速な拡大をおこす可能性があると懸念される。

今年4月に、いわゆる「スーパー淋病」と呼ばれている感染症が英国リーズで発生し、また、ウェスト・ミッドランズ、ロンドン、南イングランドでも同様のケースが指摘された。

これは最初、異性のカップルの間で流行が始まったが、その後は、男性同士で性行為を行う人たち(MSM)の間で流行している。

イングランド公衆衛生局(Public Health England)が 9月9日に発行したレポートは、以下のように警告する。

イングランドで HL-AziR 淋病(いわゆるスーパー淋病)の流行が継続している。2016年には、これまで 17例の HL-AziR 淋病の患者が報告されている。 2015年は 1年間で 15例だった。2014年11月から 2016年8月に確認された HL-AziR 淋病の総数は 48例となった。

MSMを含む高リスクの性的ネットワークでの HL-AziR 淋病の急速な流行の拡大の可能性が懸念される。

この疾患は、骨盤内炎症性疾患、さらには不妊などの重大な不快な結果をもたらす可能性がある。

そして、男性の感染者 10人のうちの 1人、あるいは女性の感染者の半数で、症状が現れないことがあるのだ。

症状には、性器から緑や黄色の分泌物が出たり、排尿時の不快感、月経時の不正出血などがある。

性的な疾病に対しての慈善団体 FPA の CEO 、ナティカ・H・ハリル(Natika H Halil )氏は、以下のように述べた。

「性に関しての法制定と教育が必要です。英国政府は行っていないために、性的サービスに簡単にアクセスできるのが現状です。かつてないまでに縮小されている公衆衛生の予算と、地方当局にかかる人々の多様な健康に関しての要求の圧力を考えると、法制定と教育の必要性の懸念は現実となっていとるいえます」

「イングランド公衆衛生局の報告書は、人々が、どのように自分自身を守ることができるかということを知るためのタイムリーなものだと思います。状況に応じて、早期に診断を受けることで、パートナーに感染を拡大することを防ぐことができるのです」

「健康当局がおこなった調査で、一部の人々はコンドームを使用することを快く思っていないことがわかっています。性行為の快楽を阻害すると考えているのです。しかし、現時点で、性感染症の拡大を防ぐ最良の方法はコンドームしかありません」


 

ここまでです。

日本で何が起きているのか

この全世界の医療体制にとって脅威となりつつあるスーパー淋病。

その発祥地は何と「日本」でした。

2011年のことです。

すでに当時で、淋病にはペニシリンなどが効きにくくなっていて、その中で最後の砦ともいえるセフトリアキソンという抗生物質があるのですが、「それに耐性を持つ完全な耐性淋病菌」が発見されたのが日本だったのです。

2014年の週刊ポストに、発見された時のことが記されています。

週刊ポスト抗生物質効かないスーパー淋病 日本の風俗店の女性から発見より

「最後の切り札」ともいえるセフトリアキソンにも耐性をもつ「スーパー淋病」がすでに誕生している。しかも、世界で初めてこのスーパー淋病が発見されたのは日本だった。

その耐性菌を発見したのが、保科医院(京都市)の保科眞二医師である。

「京都市内のファッションヘルスに勤める女性(当時31歳)の定期検診で、咽が淋菌に感染していることがわかり、セフトリアキソンを投与したところ、菌が消えなかったのです。

それで菌を採取したのち、もう一度、投与したところ、菌が消えた。ただ、咽頭淋菌は、当医院の調査によると25%は自然になくなっていくので、抗生剤が効いたのか、自然になくなったのかは定かではありません」

採取した淋菌を解析したところ、セフトリアキソンに対する非常に強い耐性をもっていることが判明したのだ。世界にショックを与えた、スーパー淋病発見の瞬間である。

日本はいろいろと世界に衝撃を与えることも多いですが、耐性菌でも世界に衝撃を与えたのでした。

さて・・・。

性を介して感染して、そして人体への影響の大きな病気が拡大するということは、社会全体にそれなりにダメージを与えるものだと思うのです。

一概にはいえないですが、そういう「性」の場の中心にいるのが、これから子どもを作っていくような年齢の若い女性たちだったり、あるいは、男性の場合は年齢はともかくとしても、家庭やパートナーを持っていることで、そちらの影響もあります。

それで、スーパー淋病の例で見るように、「患者に対して抗生物質が多用されることで、耐性菌が生まれていく」とするならば、単純に、「性感染症の患者が増えれば増えるほど(治療に抗生物質が使われるため)耐性菌が生まれやすい環境になりやすくなる」ということも言えそうに思います。

そんな中で、たとえば、もうひとつの性感染症の雄というかの何というのか、「梅毒」というものがありますが、これは今どのような推移となっているかご存じでしたでしょうか。

下のグラフは厚生労働省の資料にある「日本の梅毒の患者数の推移」です。

厚生労働省による梅毒感染者届出数の統計

baidoku-2016厚生労働省

この5年ほどで、男性で3倍くらい、女性で4倍くらいの増加となっています。

これが「東京都」に限りますと、もっとすごいグラフとなっています。

東京都の梅毒の流行状況(2006年~2015年)

2006-2015-syphilis
東京都感染症情報センター

過去 10年でも男性も女性も 10倍くらいの、急増としかいいようのない増え方で、特に「 2015年」がすごい。

これを見て、

「 2015年の日本に何があった?」

と思わざるを得ないのですが、考えてみても「わからない」のです。

梅毒には今のところ耐性菌は出現していないですので、抗生物質で治療できるのですが、しかし、永続的に効き続けるものなのかどうかはわかりません。

日本では、HIV / エイズも増加していますけれど、この5年くらいで一体何がどうしているというのでしょうかね。

2015年になって、突然、多くの男性女性が風俗通いを始めたというようなことも考えにくいですし・・・。

そして、若い人たちの性や恋愛に関して、現在の「プライベートの状況」はものすごいことになっています。

下は、毎日新聞に掲載されていた、結婚や出産に関する意識などを調べる「出生動向基本調査」の 2015年の結果です。

2015年 出生動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)より

japan-birth-data毎日新聞

 
「交際相手がいない」という未婚の人たちは、男女ともに過去最高を更新しているそうなのですが、男性で7割が交際相手がいない、女性も約6割りが交際相手がいない、という、すさまじい結果となっていて、「性経験がない」という未婚の人たちも、男性女性共に4割を超えているということになっています。

未婚者の半数近くが性経験がなく、大部分が交際相手がいないという若い世代たちを中心とした社会状況の中で、なぜ、性感染症だけは増え続けているのか・・・しかもこの数年で、さらにいえば、「 2015年に突然」というのがわからないです。

何かが起きているのでしょうけれど、それが何なのか。

性感染症がことごとく抗生物質に耐性を持ったような社会になった時には、状況をとわず「性交渉そのものが危険な行為」ということになりかねない世界となるわけで・・・。とはいえ、若い人たちを中心に、ここまで「リアルな性や、リアルな異性」と疎遠になっているのが現状なら、心配するような話ではないのかもしれないですが・・・。

いずれにしても、人間にとって、あるいは、あらゆる生物にとって最も大事な「性」と「性行為」という存在が、人の命や生活を脅かすものとなっていくという過程は、社会的にもなかなか厳しいものがあるようには思います。

 

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