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スイス連邦政府が「スイス銀行の北朝鮮関連資産の凍結」を含む新しい制裁を予告なしに発動。それに対しての労働党委員長の現在の心境はいかに

   

ラジオ・フリー・アジアというメディアの報道を見ていましたら、トップニュースに少し気になるものがありましたので、ご紹介しておきたいと思います。

2016年5月18日のラジオ・フリー・アジアより

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先日、36年ぶりに朝鮮労働党大会が開かれたことが話題になっていた北朝鮮と、その労働党大会で、敬称が「第一書記」から「朝鮮労働党委員長」と改まった金正恩氏。

噴火が間近いとも言われる白頭山に立つ金正恩労働党委員長

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吹雪く白頭山の上で、笑顔で男らしさを見せている党委員長ですが、「この笑顔が崩れやしないか」と思うことがありまして、それが冒頭にあります報道で、日本時間の今日 5月19日、スイス政府から電撃的に発表された「対北朝鮮独自制裁」なのであります。

スイス銀行の口座閉鎖を含めた厳しい制裁のようなのですが、まずはそのラジオ・フリー・アジアの報道の内容をご紹介したいと思います。

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rfa-0519RFA 2016/05/18

スイス政府、北朝鮮の資産凍結と口座閉鎖を電撃的に断行

スイス連邦政府は 5月18日、スイス国内の北朝鮮関連資産の全面凍結と銀行口座の閉鎖など、強力な金融制裁を含む包括的対北朝鮮制裁を電撃的に断行した。

同日午後6時から全面的に施行された新しい対北朝鮮制裁は、金融、輸出入、船舶、航空機運航、教育など多方面に渡り、その対象と幅が非常に広く、強力な制裁だと連邦政府は評価する。

まず、金融分野では、スイス国内のすべての北朝鮮関連資産が凍結され、金融サービスも禁止される。 北朝鮮労働党を含む北朝鮮当局が、スイス銀行などを介して直接、または間接的に所有しているすべての資産も凍結される。

ただし、スイスの外交公館の活動に必要な資金は今回の措置では例外とされた。 北朝鮮当局や関連会社、あるいは関連機関などはスイス銀行に口座を開くことはできず、既存の銀行口座も来月2日までに閉鎖しなければならない。

スイス国内にある北朝鮮の銀行とその支店の口座も、同じ期間内に閉鎖する必要がある。 輸出入の分野では、北朝鮮に対しての輸出と輸入の場合は、全商品について通関で検査がなされるようになる。

対北朝鮮輸出品は、例外なく、スイス連邦経済省傘下の対外経済本部の事前承認を経なければならない。 ジェット燃料は、北朝鮮への輸出と供給が禁止され、また、北朝鮮産の金と石炭、鉄、そしてレアメタルの輸入は禁止される。

海上と航空運航と関連し、北朝鮮の企業や関連組織とは賃借契約を締結することができないようになり、北朝鮮との関連が疑われる場合は、航空機の離着陸と領空通過を拒否することができるようになる。

このほか、北朝鮮の国民スイスで学ぶ場合、高等物理学、コンピュータ、および核工学関連科目を受講することはできなくなる。

スイス政府の今回の対北朝鮮への独自制裁には、高級時計はもちろん、スノーモービルなどのスキー関連製品やゴルフ関連製品、そしてボーリングなどのスポーツ用品も輸出禁止品目に多数含まれている。

スイス政府は、今回の措置が北朝鮮の核とミサイル実験に対応した国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁 2270号による措置と明らかにした。


 

ここまでです。

これの何があれかというと「スイス銀行の口座を閉鎖して、資金を凍結する」というあたりがあれなのですよね。

北朝鮮というか、金一族には、昔から「スイスの銀行に莫大な資金を隠している」ということが言われ続けています。

「凍結」とありますので、仮に北朝鮮がスイス銀行に多額の資金を持つのだとすれば、返還されないということになるのですかね。

2011年に亡くなった金正日総書記の時代に、スイス銀行に数十億ドル、つまり日本円で数千億円の隠し財産があるというようなことは言われていました。

しかし、仮にそういう可能性があるのだとして、下のはずいぶん古い記事ですが、下のような記述などがいろいろなところで見られます。

“北”は制裁に耐えられる―― 米国議会専門官の予測

日経BP NET 2006/11/28

北朝鮮からの情報では、北朝鮮の外貨は既に減少を始め、合法の貿易の額も減り、中国の4大銀行の北朝鮮との取引停止も北の外貨保有をさらに減らす効果を発揮しつつあるという。

しかしそれでもなおニクシュ氏の分析では、米国主導の経済制裁が北朝鮮の外貨取得をいまの50%以下に削減することは難しい、というのだ。その理由として同氏は以下のような要因をあげる。

(以下はいくつか理由が挙げられている中のひとつの抜粋です)

・金正日総書記自身がスイスやその他の数カ国の銀行に個人の秘密口座を持ち、合計40億ドル(約4400億円)ほどの資金を保有している。スイスの銀行は顧客の秘密を守ると称して、その実態を明かさない。この個人資金を当面はエリート層の贅沢品購入に回すこともできる。

とあり、あるいは、

スイス銀行 – Wikipedia

北朝鮮の金正日などがスイスの銀行に巨額の財産を隠しているとの噂は多々あるものの、スイスの銀行法によりスイスの銀行は法的に犯罪が立証されない限り情報を開示できないため、実際に判明した事例は少なかったが、フィリピンのマルコス元大統領の不正蓄財の発覚と返還をきっかけに、退任したり逝去した国家指導者や独裁者の不正な蓄財が明らかになるケースが増える傾向にある。

というように、北朝鮮の金正日総書記の時代から、日本円で数千億円単位のお金がスイス銀行に存在しているという可能性があり、それが「凍結」ということになれば、北朝鮮のトップと上層部にはかなりの打撃なのではないでしょうか。

それらを刺激してしまわないですかね。

まして、金正恩党委員長は確かスイスに留学していて、少なからず縁のある国だと思うのですが、その国から、上の報道にありますような相当厳しい制裁を出されてしまったいうのも、何かと腹の立ちやすそうな彼の逆鱗に触れたりしないものかと。

それとも、お金はいろいろなところに分散しているのですかねえ。

気になって調べてみましたら、根拠が曖昧ですが、英国テレグラフの 2010年の下の報道が出てきました。金正日総書記が存命していた時のものです。

2010年3月14日の英国テレグラフより

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このテレグラフの記事によれば、この 2010年頃から、スイスの銀行でのマネーロンダリングの規制が厳しくなって、「北朝鮮の工作員たちは資金をルクセンブルグの銀行に移動させている」と書かれてあります。

うーん、何が本当で、何が本当でないのかわかりません。

そういえば、朝鮮半島では何となく「変な出来事」が昨日ありました。

 

何となく奇妙な韓国と北朝鮮

昨日 5月18日に、韓国で下のような出来事があったのです。

2016年5月18日の韓国の報道

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韓国でマグニチュード 6.5の地震が発生したという「誤報」が流れてしまったというものでした。 その誤報の第一報は下のようなものでした。

5月18日の韓国聯合ニュースより

19日午後2時、江原道横城郡北東 1.2kmの地域でマグニチュード 6.5の地震が発生したと韓国気象庁が発表した。

気象庁は「発生地域周辺に地すべりが発生する可能性が高く、建物の崩壊などの被害が懸念されるので、住民の皆さんにおいては、安全な場所への避難を望みます」と述べた。

北朝鮮の核実験などによる人工地震かどうかは確認されなかった。

これは、18日のニュースなのに、

> 19日午後2時

と、いきなり「未来ニュース」となっているわけですが、これは結局、韓国気象庁が、安全訓練などに供えて仮説的に設定してあった訓練状況の情報が誤って報道機関に流出してしまったと後に説明されていました。

でも、まあ何か変なニュースではあります。 たとえば、誤報の中に、

> 北朝鮮の核実験などによる人工地震かどうかは確認されなかった。

ありますが、これまで北朝鮮の核実験で、マグニチュード 6.5などという大きな規模が観測されたことはなく、これまでの北朝鮮の核実験でのマグニチュードは以下のようになります。

 

・2006年の北朝鮮の核実験 マグニチュード 4.2 (USGS)

・2009年の北朝鮮の核実験 マグニチュード 4.7 (USGS)

・2013年の北朝鮮の核実験 マグニチュード 5.1 (USGS)

・2006年の北朝鮮の核実験 マグニチュード 5.1 (気象庁)

 

ちなみに、マグニチュードが示す規模は、

マグニチュードが 1 増えると地震のエネルギーは約31.6倍になり、マグニチュードが 2 増えると地震のエネルギーは1000倍になる。(Wikipedia

ということになっていて、つまり、マグニチュード6の地震は、マグニチュード4の地震より「 1000倍違規模が大きい」ということになり、ここから、最近の熊本のマグニチュード7とか、東日本大震災のマグニチュード9とかいうものが、どれだけ壊滅的な規模を示しているかがおわかりかと思います。

それはともかく、もし今後、北朝鮮の核実験があったとして、それが先ほどの誤報にあったようなマグニチュード 6.5だとした場合、「前回より途方もなく大規模な爆発だった」ということになり(2006年の核実験の 1000倍以上)、韓国気象庁はそういうことを想定していたのかな、と思うと、何か変かなと。

つい先ほども、「韓国の米軍キャンプで10回連続のガス爆発が起きた」と報道されていました。

5月19日の韓国報道

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insight

 

いずれにしても、朝鮮半島もいろいろとありそうです。

もっとも、北朝鮮の指導者が冷静で落ち着いた人ならば、さほどいろいろと懸念しなくてもいいのかもしれませんが、過去の報道を見ると、やはり、そういう感じではなさそうな雰囲気が強いです。

アメリカのキャンベル前米国務省東アジア太平洋次官補は、当時、その「人となり」がまったくわからない金正恩党委員長の性格を把握するために、スイスに留学していた時の同級生など、彼の幼少時を知っているすべての人と接触して金正恩党委員長の「性格と性質」を調べたことを 2013年に述べています。

「スイス留学時代の金正恩、予測不可能でとても危険」

中央日報 2013/12/18

米国政府が北朝鮮の金正恩第1書記のスイス留学時代の同級生を対象に過去の行動を追跡してきたと明らかにした。米政府はこのような調査の結果、金正恩が非常に危険で、予測不可能な人物という結論を下したことが確認された。

キャンベル前米国務省東アジア太平洋次官補はCNNとのインタビューで、「米国政府は金正恩の性格を正確に把握するため、スイス留学時代の同級生に面談するなど、多くの努力を傾けた」と話した。キャンベル前次官補は、「その結果われわれは彼が非常に危険で、予測不可能で、誇大妄想症があり、とても暴力指向的という結論を下した」と述べた。

面談対象者と関連しては、「スイスの学校の同級生だけでなく、幼少時の生活を知っているほぼすべての人に接触し会った」と明らかにした。キャンベル前次官補はまた、金正恩が北朝鮮を離れ、スイスにある学校で7~8年間生活したと理解しているとも話した。

 

このインタビューの中でキャンベルさんは「年齢が幼い上に極めて暴力的な人物が北朝鮮の指導者というのは十分に脅威的」と述べていまして、いろいろな人から金正恩党委員長の「人物像」を求めて調査した結果の言葉がそれでした。 そういう隣人がいる場所に私たちはいるわけです。