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人類絶滅ウイルス「ジカ」の正体 : ジカウイルスに感染したオスは2週間後から睾丸内部の細胞が崩壊し、性ホルモンと精子の激減により男性の生殖能力が事実上崩壊することが明らかに

   

2016年11月1日のオーストラリアの報道より

zika-men-infertilenews.com.au

 

ジカウイルスの本当の脅威かもしれない示唆が露見

mosquitoes-2016b

ジカウイルスに関しては、以前よく記事にしていまして、「胎内の赤ちゃんに不可逆的な障害を残す副作用を持つ感染症」という概念自体に、とても終末的な感じを受けていたのですが、最近のネイチャーに発表された論文に非常に驚愕する実験結果が発表されたのでした。

それは、

「ジカウイルスは、男性に感染すると、その生殖機能をほぼ破壊する」

という可能性を示唆するものでした。

可能性を示唆、という意味は、これがマウスによる実験であることから人間ではわからないという意味での表現ですが、以前まで行われていた、ジカウイルスが胎児に与える影響についてのマウスの実験結果と人間の感染後の結果にあまり差異が見られないことから、この「男性の生殖機能の崩壊」という部分も程度の差はあるにしても、人間にも影響を与える可能性はかなり高そうです。

社会にとっても個人にとっても厄介・・・というより、脅威といえるジカウイルスの新たな側面がわかったのかもしれません。

ブラジルだけでも今年の春までに 150万人近くが感染(厚生労働省による)したとされていますが、そのような感染拡大の可能性を持つ病気が、「男性をことごとく不妊にしてしまう」というのは圧倒的な響きに思えます。

まずはその研究についての冒頭の記事をご紹介します。

なお、記事に「テストステロン」というものが出てきますが、これは男性ホルモンの一種で、テストステロン – Wikipedia によりますと、

哺乳類のオスでは睾丸で95%、副腎で5%、分泌される。

ということですので、男性の睾丸が破壊されると、この男性ホルモンはほとんど分泌されないということになります。

マウスの研究では、ジカウイルスに感染したオスはその状態に陥ります。

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Zika virus ‘could shrink a man’s testicles, lower his testosterone levels and leave him infertile’
news.com.au 2016/11/01

ジカウイルスは睾丸を縮小させ、テストステロンのレベルを低下させることにより、男性に不妊をもたらす可能性がある

新しい研究は、ジカウイルスへの感染が男性の睾丸を縮小させ、また、感染した男性のテストステロンのレベルを低下させることにより不妊をもたらす可能性があると警告している。

この新たな知見はマウスでの実験によりもたらされたものだが、科学者たちは、この発見は、蚊が媒介するジカウイルスに感染した人間の男性たちにも厄介な結果をもたらす可能性がある研究結果だと述べている。

現在までのジカウイルスについての研究の多くは、妊娠中の女性への影響、そして、その胎児に深刻な先天性欠損症を引き起こすメカニズムを解明することに焦点が当てられてきた。

そしてまた、これまでの研究では、ジカウイルスへの感染は、神経の麻痺を人にもたらす可能性のあるギラン・バレー症候群を発症する危険性が増大することが示されてきた。

しかし、今回のアメリカの研究では、ジカウイルスの感染により、男性がその生殖能力に影響を受ける可能性があるという恐れが露見した。研究では、ジカウイルスが男性生殖器をターゲットにしている可能性が示されたのだ。

ジカウイルスに感染したオスのマウスたちは、感染から3週間後にその睾丸は縮小し、また、性ホルモンレベルが低下することにより生殖能力が落ち込んだ。

その結果、これらのオスマウスのメスのマウスに対しての生殖力は著しく低下した。

研究の共同執筆者である米国ワシントン大学医学部のマイケル・ダイヤモンド教授(Professor Michael Diamond)は以下のように言う。

「私たちは、男性がジカウイルスに感染した場合の影響を理解するためにこの研究を行いました。そして、このような結果が出たのですが、しかし、私たちの研究はマウスによるものですので、同じ影響を人間の男性が受けるかどうかは現時点ではわかりません」

「しかし、実験でこのような結果が出ている以上、ジカウイルスへの感染後に、テストステロンと精子の数の低下に見舞われることで、人間の男性の生殖能力に影響を与えるという事態に直面する可能性もあるかもしれません」

これまでの研究で、ジカウイルスは、感染後の男性の精液中に数ヶ月間生き続けていることが明らかになっている。

アメリカ疾病対策予防センター(CDC)は、ジカウイルス流行地域を旅行した男性には、その本人に感染の症状があってもなくても、パートナーなどとの性交渉の際には、少なくとも6カ月間のコンドームの着用を奨励している。

しかし、この男性の生殖器の中で数ヶ月間生き続けているウイルスが、男性にどのような影響を与えるのかは知られていなかった。

この問題を調査するために、今回、研究者たちは、オスのマウスにジカウイルス感染させた。

感染1週間後に、睾丸は炎症の徴候を示した。

感染2週間後、マウスたちの睾丸は顕著に縮小し、そして、その睾丸の内部構造は崩壊した。睾丸内の多くの細胞は死んだか、死にかけていた。

3週間後、マウスたちの睾丸は通常のサイズの 10分の1に縮小し、睾丸の内部構造は完全に崩壊した。

マウスたちのモニタリングは6週間続けられたが、その間、ウイルスが血液中から消え、ジカウイルス感染症が去った後も睾丸の状態は治癒しなかった。

ダイヤモンド教授は、ジカウイルス感染による睾丸へのダメージは永久的である可能性が高いと述べている。

「確かなことはまだわからないですが、睾丸の損傷は不可逆的なものだと考えています。なぜなら、その内部構造を保持する細胞が破壊されているためです」

睾丸は、精子とテストステロンの生産を担当しているため、マウスたちの精子の数は急速に減少した。

6週間の経過の中で、運動する精子の数が 10倍以上減少し、テストステロンのレベルも同様の低さになったという。

研究の共著者ケル・モーリー博士(Dr Kelle Moley)はこのように言う。

「このウイルス(ジカウイルス)は、私が知っている中で、不妊のような重篤な生殖不全を引き起こす唯一のウイルスといえます」

現在までに、ジカウイルス感染に関しての男性の不妊との関連は報告されていないが、これは、調査で識別するのが困難な症状である可能性があるという。

「人は、多くの場合、自分が子どもを持ちたい思うまでは、自分が不妊かどうかを検査しようとすることはありません。そのため、仮にジカウイルス感染による男性の不妊のようなことがあったとしても、それが露見するまでは数年、十数年かかる可能性があります」

一般的に、血液検査から検出される低テストステロンの男性は、低性欲のリスク、勃起不全、疲労、体毛や筋肉の損失が見られる。

ダイヤモンド教授は、ジカウイルスの男性への感染の影響を把握するために、ヒトでの研究が必要であると述べている。

研究は科学誌ネイチャーに掲載された。


 

ここまでです。

この中に、

> 露見するまでは数年、十数年かかる

というようなことも書かれてありますが、確かに、特に男性の場合、自分が不妊の状態かどうか、とか、自分の精子の数は少ないのではないか、というようなことを結婚する、あるいは自分が子どもを持つような状況にいたる前から考える人は少ないと思います。

自分も考えたことはなかったはずです。

 

 

ただでさえ今でも「年間2%ずつ」世界の男性の精子は減少し続けている

ちなみに、男性の「精子の数」は、この数十年で激しく減少し続けていることが、かなり以前から研究ではっきりしています。

下のグラフは、2013年のフランスの研究結果で、35歳の男性の精子の数の 1989年から 2005年までの推移です。

1989年を「0」とした場合の2005年までの35歳男性の精子の数の推移

sperm-declineWSJ

これは、フランスの 35歳男性の例ですが、他の様々な研究でも、世界中で 18歳から 25歳までの若い男性の精子が著しく減少していることが示されています。

そして、この研究は 2005年までのものですが、その後さらに減少し続けていると推測できます

なぜなら、先ほどのフランスの研究では、

「1989年~2005年までのデータ解を析すると、精子の数は 1年ごとに約 2%減少している」

ことがわかったのだそうで、そのデータ通りに進んでいるとしましても、2005年から 11年たった現在は、この時よりさらに少なくとも 20%以上は減少しているという可能性が高いと思われます。

もちろん、日本人も激しく減少していますが、日本のデータは 1990年代で止まっていますので、現在はさらに著しいと思われます。

japanese-spmfuninsyou-senki.com

 

詳しい数字はともかくとしても、世界の主要国では、ほぼすべてが「過去に比べて著しく男性の精子が少ない」という状況になっているのは事実だと思います。

これに関しては、「これから突然増えていく」という可能性を考えるのは難しいです。なぜなら、理由はわからないながらも、「理由があって精子は減少している」はずだからで、その原因は、おそらくは生活の中のどこかに、あるいは自然や宇宙環境の何かにあるのでしょうけれど、「その原因がいきなり消滅する」ということは考えにくいからです。

いずれにしても、何もしなくとも、地球の男性の精子は減り続けている。そして、そこに加えて、ジカウイルスの感染は「男性から生殖能力のほぼすべてを奪う」という可能性が出てきたわけで・・・。

今年は、ジカウイルスは南米以外では大流行にはなりませんでしたが、もともと、ジカウイルスはその発症率が低く、WHO によれば、感染しても発症する人の割合は2割ほどとされているので、「発症していないけれど感染した」という人の数は、発表された数の何倍も(場合によれば 5倍も 10倍も)多いはずです。

そして、今回の記事にもありましたが、男性が感染した場合、本人が発症しなくとも、ジカウイルスは「精子の中で数ヶ月生きている」上に、「性感染も数多く確認されている」ということで、今後数年、十数年の間に、人類の生殖の在り方というものが変化していく可能性さえ感じるジカウイルスの新しい研究でした。