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トランプ氏の明日(9月3日)の発表も気にはなりますが
たまにご紹介させていただくことのある、米ラザフォード研究所の代表であるジョン・ホワイトヘッド氏の最新の寄稿文を読んでいました。
ジョン・ホワイトヘッド氏をご紹介した最近の記事は、以下のもので、「ウェアラブルの罠」という記事を取り上げたものです。
In Deep 2025年7月23日
ホワイトヘッド氏は、保守派でありながら、どちらかというと憲法を無視する傾向にあるトランプ氏のやり方が弁護士として気に入らないようで、トランプ氏の就任以来、かなり強い批判を繰り返していた方です。
そういえば、トランプ氏といえば、先日、「数日間、公の場所に姿を現さない」ということで、いろいろな「噂」がのぼっていました。8月30日頃には「死亡説」なんていうものもあったわけですが、その日のうちに、ゴルフ場でプレイしている姿が報じられました。
ただ…。何か表情に元気がないんですよね。
ゴルフ場で撮影されたトランプ大統領(8月30日)
BDW
他に、車に乗っている写真なんかもありましたが、良い意味でも悪い意味でも、あの覇気というのか生気というのか、そういうのが感じられないんですよ。
そして、あれだけ話好きのトランプ氏としては珍しいのですが、
「もう 6日間も、公の場所で声を出していない」
ようです。
まあ単に疲れているのか、あるいは別人なのか(おいおい)、何となく気になっていたのですが、今日(9月2日)にホワイトハウスから、
「9月3日 午後2時 大統領からの発表」
という告知がなされていました。
こういう告知は珍しいので、これもまたいろいろな噂や憶測を呼んでいますが、明日のアメリカ時間の午後2時というと、日本時間では、9月4日の早朝頃ですかね。そのくらいになれば、何かわかるのだと思います。
遺伝子にコード化される「恐怖の鋳型」
トランプ氏のことはともかく、ジョン・ホワイトヘッド氏の記事のタイトルは「アメリカ政府は国民に対して心理戦を仕掛けている:ディープステートの心理作戦マシンの内側」というもので、タイトルの通りの内容で、冒頭は以下のようなものです。
ジョン・ホワイトヘッド氏の記事より
バイラルミームから軍事レベルの影響力行使まで、アメリカ政府は外国の敵ではなく自国民に対して、あらゆる範囲の心理戦を仕掛けている。
目標は?コンプライアンス、コントロール、適合。
戦場はもはや物理的なものではなく、心理的なもので、アメリカ国民が標的となっている。
ディープステートによる真実と独立した思考に対する戦争はもはや隠蔽工作ではなく、組織的かつ計画的に行われている。
しかし、長らくディープステートに仕えてきた両大政党が世論形成のためにマスコミュニケーションを武器にしてきた一方で、トランプ政権はそれを、ミーム戦争、インフルエンサー心理作戦、バイラルデジタルコンテンツを組み合わせた新たな芸術形式へと高め、言説をコントロールし合意を形成しようとしている。
数多くの資料と報道がリンクされている記事ですが、ホワイトヘッド氏の記事は、いつもやたらと長くてですね、何となく適当に読んでいたのですが、その中に、「アメリカ国民に対して心理戦が繰り広げられている例」というのが挙げられていまして、そして、その中に、
「遺伝子を武器にする」
という項目があったことに興味を持ちました。以下のように書かれています。
遺伝子を武器にする。恐怖は私たちを条件付けるだけでなく、私たちを変えてしまうこともある。トラウマや恐怖反応は DNA にコード化され、未来の世代に受け継がれることが、エピジェネティック遺伝に関する研究で示されている。
なお、ここでリンクされているのは、2013年の米ワシントンポストの記事ですが、ワシントンポストは会員制となっていて、全文は読めないですので、元論文を探してみましたら、ネイチャー誌の論文を見つけました。
「へえ、恐怖って、DNAにコード化されて、世代的に受け継がれるものなんだなあ」
と知りまして、しかし、そうだとすれば、親が恐怖を感じやすい気質とか(私のように)、あるいは、トラウマに残るような恐怖体験をした親の子たちは「何となく不利」な気もしないでもなく、つまり、その恐怖の「鋳型」も遺伝子レベルで伝承されてしまうのかなあ、などとも思いました。
そういえば…。
観念としての「恐怖の鋳型」
最近、昔の In Deep の記事をこちらのサーバに少しずつ移転しているのですが、最近、移転した記事に、「日本初のヨガの行者」ということになります中村天風さんの本(講演録)を読んだ時に書いた 2015年の以下の記事がありました。
In Deep 2015年4月29日
先ほど書きました遺伝子の話とはまったく関係ない話なのですけれど、中村天風さんのその本に、
「恐怖の鋳型」
という表現が出てきます。
以下のような部分です。
中村天風『運命を拓く』 恐怖への戒め より
何度も言っているとおり、宇宙霊という生ける大きな生命は、常に我々人間の心で思ったり、考えたりする事柄の中で、特に観念が集中し、深刻な状態の時に、その観念が、その事柄に注がれると、咄嗟にそれを現実の「すがた」に表現しようとする自然作用があるのである。
さあそこで考えてみよう。一生忘れないような深刻な記憶に出来るくらいに、瞬間的でも、観念が集中されたとすると、それが宇宙霊の力を受け入れる「鋳型」が用意されたことになる。
そのとき出来上がっている「鋳型」というものが、良かろうと、悪かろうと、極めて確実な「すがた」が出来上がったことになる。そうすると、その恐怖している事柄が、やがて事実となって現実化してくる。
否、むしろ、そうなることが当然である。
いずれにしても、感情というものは、その種類が、いかなるものであろうと、我々の肉体や、人格に影響せずにはいられないように出来ているのである。
天風さんの場合は、このようなことがあるため、
「恐怖という観念を持つこと自体が、現実の恐怖を呼び寄せてしまうのだから、恐怖の観念というものは非常に無駄で不要なものである」
と述べているのですが、しかし、先ほどの話のように、遺伝子レベルで「鋳型」が出来てしまっている場合、そこから逃れることはできるのかなあ、とかも思いました。もはや、意志とは関係ないものですものね。
ちなみに、中村天風さんについての記事は、以下にもありまして、20代のとき、「神の概念について、下北沢のロックバーの主人と大げんかした話」などが書かれています(笑)。
In Deep 2015年4月2日
下北沢のガソリンアレイっていうロックバーでした。
さて、話がそれ曲がってきましたので、「遺伝子に刷り込まれる恐怖」という話に戻りますけれど、それが実際であるならば、
「恐怖の鋳型を世代を超えて人々に定着できる」
こともできるのかもしれませんね。
先ほどのネイチャー誌の論文を紹介している別の記事を見つけましたので、それをご紹介して締めさせていただきたいと思います。
2019年の英国 BBC の記事で、オリジナルはおそろしく長い記事ですので、ネイチャー誌の実験にふれていた部分を抜粋します。なお、どうも、「恐怖やトラウマを世代を超えて遺伝させているもの」は、RNA である可能性が高いようです。
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トラウマの遺産は世代を超えて受け継がれるのだろうか
Can the legacy of trauma be passed down the generations?
BBC 2019/03/29
マウスを用いた対照実験により、研究者たちはこの疑問(世代を超えて遺伝子にエピジェネティックな変化が見られたこと)に焦点を絞ることができた。
2013年の研究では、香りに関連するトラウマが世代を超えて影響を及ぼすことが明らかになった。研究者たちは、成体のオスマウスのケージに桜の香りを持つアセトフェノンを吹き込み、同時に足に電流を流した。数回繰り返すうちに、マウスは桜の香りを痛みと関連付けるようになった。
その後まもなく、これらのオスマウスはメスマウスと交配した。
すると、子マウスは桜の香りを嗅ぐと、恐怖心を植え付けられていない父親マウスの子マウスよりも、より神経質になり、びくびくするようになった。子マウスが何らかの形で親マウスから香りを学んでいる可能性を排除するため、子マウスは桜の香りを嗅いだことのない血縁関係のないマウスに育てられた。
トラウマを受けたオスの孫たちも、その匂いに対する感受性が高まった。どちらの世代も桜以外の匂いに対しては感受性が高まった様子は見られなかったことから、遺伝はその匂いに特有のものであることが示唆された。
桜の香りに対するこの敏感さは、精子 DNA のエピジェネティックな変化に起因していた。DNA上の化学マーカーは、鼻と脳の間にある嗅球で発現され、桜の香りを感知する嗅覚受容体をコードする遺伝子にも見つかった。
研究チームが仔マウスの脳を解剖したところ、対照マウスと比較して、桜の香りを感知するニューロンの数が多いことも判明した。
恐怖が世代を超えて受け継がれるのではなく、ある世代の恐怖が次の世代の感受性につながる
第二世代と第三世代は、香りそのものへの恐怖ではなく、香りに対する感受性が高まっているように見えた。
この発見は、しばしば見落とされがちなエピジェネティック遺伝の微妙な側面、すなわち次世代が必ずしも親世代と全く同じ形質を示すわけではないという点を浮き彫りにしている。
恐怖が世代を超えて受け継がれているのではなく、ある世代における香りへの恐怖が、次の世代における同じ香りへの感受性へとつながっているのだ。
「ですから、これは『まったく同じもの』ではありません」と、この研究の著者であり、エモリー大学と米国ヤーキーズ国立霊長類研究センターの研究者であるブライアン・ディアス氏は言う。
「遺伝」という言葉にも、ここでは限定的な意味合いがあると彼は付け加える。
「遺伝という言葉は、受け継がれてきた形質を忠実に再現したものでなければならないことを示唆しているのです」
トラウマの影響が世代間で微妙に変化したとしても、受け継がれる影響は甚大だ。親の経験を踏まえた上での人生観も変化し、生理機能や精神衛生にまで影響を及ぼすだろう。
そして、私たち自身の行動や経験の結果が、子どもたちの人生に(彼らが妊娠するずっと前から)影響を与える可能性があることを知ることは、私たちがどのように生きるかの選択にまったく異なる見方をもたらす可能性がある。
こうしたトラウマの残響が世代を超えて受け継がれているにもかかわらず、エピジェネティック遺伝の研究には大きな障害がある。それがどのように起こるのか、誰も確信が持てないのだ。一部の科学者は(エピジェネティックな遺伝は)実際には非常に稀な出来事だと考えている。
理解が広く普及していない理由の 1つは、DNA 上の一種のエピジェネティックマーク (メチル化と呼ばれる化学物質の塊の追加) の大部分が生命のまさに初期に消去され、DNA にこれらの化学基を追加するプロセスがほぼゼロから始まるためだ。
「哺乳類では、精子が卵子に入るとすぐに、父方染色体の DNA メチル化が急速に失われます」と、ケンブリッジ大学でエピジェネティクスを研究するアン・ファーガソン=スミス氏は言う。
「だからこそ、世代を超えたエピジェネティックな遺伝は驚くべきものなのです」
「すべてのエピジェネティックなマークが除去され、次の世代に新しいマークが付けられるというプロセスがあるのに、どうやってエピジェネティックな遺伝が起こり得るのかを想像するのは非常に困難です」
しかし、ゲノムには完全に消去されない部分がある。ゲノムインプリンティングと呼ばれるプロセスによって、ゲノムの特定の箇所のメチル化が保護される。しかし、これらの部位は、トラウマに関連するエピジェネティックな変化が見られる部位ではない。
ファーガソン・スミス氏のグループによる最近の研究では、マウスではエピジェネティックな遺伝はおそらく非常に稀であることが示唆されている。
しかし、他の研究者たちは、ヒトだけでなく動物においても、いくつかの形質におけるエピジェネティック遺伝の特徴を発見したと確信している。
RNA がトラウマの影響の遺伝に何らかの役割を果たしている可能性を示す強力な証拠
さらに、彼らはそれがどのように機能するかのメカニズムも発見したと考えている。今回は、DNA に似た分子、つまり RNA が遺伝子の機能を変化させている可能性がある。
最近の論文で、RNA がトラウマの影響の遺伝に何らかの役割を果たしている可能性を示す強力な証拠が明らかになった。
研究者たちは、マウスの子を生後すぐに母親から引き離すことで、幼少期のトラウマがどのように受け継がれるかを検証した。
「私たちのモデルは非常に独特です」と、この研究を率いたチューリッヒ大学とチューリッヒ工科大学のイザベル・マンスイ氏は語る。
「離散家族、あるいは時に見られる虐待、ネグレクト、そして精神的ダメージを模倣するのです」
これらの子マウスが成長するにつれて示した症状は、幼少期のトラウマを経験した子どもに見られる症状と類似していた。マウスは、幼少期のトラウマを経験した人に見られるリスクテイクの増加とカロリー摂取量の増加の兆候を示した。
オスマウスが成長すると、過食、リスクテイク、そして反社会的行動の増加といった同様の特徴を示す子マウスが生まれた。
研究者たちは、トラウマを負ったオスマウスの精子から RNA 分子を抽出し、両親が幼少期のトラウマを経験していないマウスの初期胚に注入した。その結果生まれた仔マウスは、両親がトラウマを経験した仔マウスに典型的な行動パターンの変化を示した。
また、RNA 分子の長さの違いが、異なる行動パターンと関連していることも発見した。RNA 分子が長いほど、食物摂取量が増加し、インスリンに対する体の反応が変化し、リスクテイクが増加する傾向があった。一方、RNA 分子が短いほど、絶望の兆候を示す傾向が見られた。
これらの RNA 分子がどのようにして複数世代の行動を変化させるのかはまだ解明されていない。
マンスイ氏は現在、ヒトにおいて同様のプロセスが働いているかどうかを調べるために、ヒトを対象とした実験を行っている。他の研究者による初期の実験では、男性においてはこれが当てはまる可能性が示唆されている。
トラウマの影響におけるエピジェネティックな遺伝に関する科学はまだ始まったばかりだ。
ここまでです。
このような研究で何かが解明されれば、以下のふたつが実現できるかもしれません。
・恐怖やトラウマの世代を超えた伝播を止めること
・恐怖やトラウマの世代を超えた伝播を「故意に作り出す」こと
RNA は今では、ワクチンの台頭により、その言葉そのものもそれほど遠い存在ではなくなっていますし(私を含めて、ワクチン以前は多くの人が RNA なんてのは、その概念もよく知らなかったですから)、いろいろな「応用」も将来的にはありそうです。
それにしましても、今回の記事は、トランプ氏やら中村天風さんやらを経由して、RNA の話に行き着くという、やや混乱した展開で申し訳ありませんでした。
連日暑いですからねえ。
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