武漢というキーワードが出現してから1年
1975年に発売され大ヒットした都はるみさんの「北の宿から」には、
♪あなた変わりはないですか
日ごと寒さがつのります
とありますが、寒さがつのる中で、最近、英国デイリーメールの記事で「変わりはないですか」というフレーズを思い出す記事を見かけました。内容は「公開されていた武漢ウイルス研究所の研究を含むコロナウイルスのデータと論文がすべて中国当局によって削除された」という記事でした。
武漢ウイルス研究所…。今となれば、なつかしい響きです。
同じ 1975年の大ヒット曲に太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」という歌があり、この歌詞には(歌はもういいから)。
このブログで最初に新型コロナウイルスについての記事を書きましたのは、2020年の1月24日のことで、以下の記事でした。
新型ウイルスが発生した中国武漢は「世界で最も危険な病原体(バイオセーフティーレベル4)」を研究する施設がある場所だった…
投稿日:2020年1月24日
そして、同じ頃からブログ地球の記録で、感染確認数と死者のカウントを始めています。
以下は、今から大体 1年ほど前の 2020年1月28日の「新型コロナウイルスの世界の感染者数」です。
2020年1月28日の新型コロナウイルスの感染確認数と死者数
Earth Review via SCMP
この時は、このコロナウイルスが、公式に「Wuhan Virus (武漢ウイルス)」と呼ばれていたことを思い出します。
そして、下が今でしょ。
2021年1月11日の新型コロナウイルスの感染確認数と死者数
SMCP
すごいですねえ。
やはり 1975年のヒット曲……と書き、ふと調べますと、1975年はもう歌謡曲の黄金年ですね。年下の男の子、シクラメンのかほり、襟裳岬、昭和枯れすすき、港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ……他にも今でもそらで歌える曲ばかりなんですね。1回聞いただけでおぼえるタイプの歌ばかり。
どうして歌謡界って今みたくおぼえられない曲ばかりになっちゃったんでしょうね。理由として考えられることのひとつとしては(ここではそれはいいから)。
ともかく、この武漢ウイルスの話題が出てから1年後の今も、私たちは緊急事態宣言というようなものの中にいます。
なら1年後はどうでしょうか。
いずれにしましても、まずは、英国デイリーメールの記事をご紹介します。
記事の後に、登場する人たちについて、多少補足させていただきます。
中国当局が武漢研究所に関する重要なデータを消去し、300件にのぼる研究の詳細が消えたことについて、ここに新たな証拠隠蔽の懸念がある。ここには、バットウーマンと呼ばれるウイルス学者によって実施されたすべての研究が含まれる
New cover-up fears as Chinese officials delete critical data about the Wuhan lab with details of 300 studies vanishing - including all those carried out by virologist dubbed Batwoman
Daily Mail 2021/01/09
中国政府は、 Covid-19 の発生源であると疑われ続けている武漢の研究所に関する重要なオンラインデータをすべて削除し、これにより、隠蔽工作ではないかという新たな非難に直面している。
数日前、武漢ウイルス研究所によって実施された極秘の研究に関連する何百ページもの情報が消去されたことが明らかにされた。
国営の中国国家自然科学基金(NSFC)によってオンラインで公開されていた、動物から人間に伝染する多くの調査疾患を含む 300を超える研究の詳細は、今では閲覧することができなくなった。
これらの重要な証拠の削除は、中国当局がコロナウイルスの起源の調査を「消滅」させようとしているのではないかという懸念を再燃させている。
これらの研究論文とデータの削除は、先週(1月第1週)、世界保健機関からの調査員たちの中国への入国を、習近平国家主席が拒否し、国際的な非難を引き起こした動きの後に行われた。
多くの論文が消えた一方で、中国メディアは、新型コロナウイルスが武漢市で発生したものでさえないと主張する何百もの記事を発表した。
中国自然科学基金によるオンライン論文の削除の一環として、武漢を拠点とするウイルス学者で、コウモリからサンプルを収集するために旅行を繰り返していたことからした「バットウーマン」というニックネームをつけられていた石正麗(シー・ツェンリ)が行った調査と研究もまたすべて削除された。
彼女が行っていたような、コウモリのコロナウイルスによるコウモリからの種間感染のリスクに関する研究や、コウモリによって運ばれるヒト病原体に関する研究など、ウイルスの発生源を調査するための鍵となる研究もすべて削除された。
英国の対中政策同盟のメンバーである元保守党の指導者イアン・ダンカン・スミス氏は、これは中国の隠蔽工作の別の例であるとして以下のように述べた。
「中国は明らかに証拠を隠そうとしている。何が起こったのかを徹底的に調査することが重要だが、中国はそれを止めるためにできる限りのことをしているようだ」
「武漢の研究室でどんなことが行われていたのかはわからない。武漢の科学者たちが、コウモリのコロナウイルスに手を加え、ある種の間違いを犯したという可能性も考えられなくもない。(論文削除の行動について)世界は、中国が何かを隠そうとしていると考えるだろう」
中国がウイルスの起源に関する重要な証拠を隠そうしたとして非難されたのはこれが初めてではない。
2019年12月に武漢で SARS 様肺炎の発生が警告された数日前、武漢ウイルス研究所はウイルス性病原体のデータベースの変更を開始した。
野生生物が媒介するウイルス病原体データベースは、他の野生動物のウイルス変異体に関する情報が含まれているという点で、武漢ウイルス研究所のこのデータは、独自のものだった。
そのデータベースから「野生生物」などのキーワードが削除された。
タイトルは「野生生物媒介ウイルス病原体データベース」から「コウモリおよび齧歯動物媒介ウイルス病原体データベース」に変更された。「野生動物」という用語は、「コウモリとげっ歯類」または「コウモリとラット」に置き換えられた。
データベースとアウトブレイクを結び付ける他の用語も消去された。データベースの元のバージョンでは「新興感染症」と「異種間感染症」というキーワードが使用されていたが、変更後には削除された。
ここまでです。
この記事の中に出てくる石正麗(シー・ツェンリ)さんという人は、コウモリへのコロナウイルスの感染実験の研究者として著名な人物で、最初にブログ In Deep に登場したのは、昨年 2月の以下の記事においてでした。
人民解放軍の生物化学兵器部門最高責任者の少将が武漢ウイルス研究所の新しい責任者に。そのことを調べるうちに浮かび上がる「優秀すぎた3人の中国人女性たち」
投稿日:2020年2月11日
ここでは、武漢ウイルス研究所とコロナウイルスに関わる三人の優秀な中国人女性科学者たちのことを書かせていただきました。以下の三名の女性です。
・陳薇(チェン・ウェイ) / 人民解放軍少将、軍の生物化学兵器部門最高責任者
・王延軼(ワン・ヤンイ) / 武漢ウイルス研究所の所長
そして、コウモリへのコロナウイルス感染実験の世界的権威であった、
・石正麗(シー・ツェンリ) / 武漢ウイルス研究所の研究員
という三名の方をご紹介しています。
2018年11月 上海でコロナウイルスについて講演を行うシー・ツェンリさん
NTDTV
シー・ツェンリさんのコウモリの研究が科学誌ネイチャーに発表されたのは、2015年のことで、以下のようなタイトルの論文でした。
コウモリに流通している SARS 様コロナウイルスのクラスターが、ヒトにも出現する可能性を示した
A SARS-like cluster of circulating bat coronavirises shows potential for human emergence
ここに
> ヒトにも出現する可能性
とありますように、シー・ツェンリさんが行っていた研究は、「コウモリにだけ蔓延しているコロナウイルスをヒトの気道に感染させられるメカニズム」を探ることで、彼女は、
「それに成功した」
のです。それまではコウモリだけが持っていた野生のコロナウイルスを人間の病気とする改変に成功した、ということです。
このネイチャーに掲載されているのはその内容でした。
当然、多くの科学者たちは、これに懸念を示し、2020年2月4日のアメリカの中国語メディア「新唐人テレビ」は以下のように報じていました。
石正麗が、5年前、人間の呼吸器に感染する可能性のある新しいコロナウイルスを作成していたことが明らかに
石正麗のコロナウイルスに対しての研究は、当時、学問的な懸念を引き起こした。
科学誌ネイチャーは、他のウイルス学者たちが、この研究の必要性に疑問を呈していることを報告しており、このような実験は、大きなリスクを伴うと主張した。
パリのパスツール研究所のウイルス学者は、「ウイルスが流出した場合、誰もその行き先を予測することはできないのです」と指摘している。
このようなタイプの研究は、バイオセキュリティ上のリスクを考慮して、長く非難されたため、アメリカ国立衛生研究所(NIH)は 2013年10月以降、こうしたすべての研究への資金提供を停止した。
しかし、上記の論文の研究は、アメリカが資金提供を停止するずっと以前に始まったため、国立衛生研究所がこの研究を発表したという経緯がある。 (NTDTV 2020/02/03)
これらの研究が、その後の新型コロナウイルスの流行と関係があるのかどうかは今でもわからないままですが、「非常にリスクの高い研究」であったことは確かです。
新型コロナは HIV 同様に働くという現実に対して
同じ 2020年2月には、
「新型コロナウイルスに HIV のタンパク質が含まれている」
ことが、インドの科学者たちによって見出されます。以下の記事にあります。
新型コロナウイルスに「HIV (エイズウイルス)」のタンパク質が挿入されていることをインド工科大学の科学者たちが発見。さらに「感染しても免疫を獲得できない示唆」を中国当局が示し、事態は新たな局面に
投稿日:2020年2月1日
最近、コロナについては「後遺症」のことが報じられることも多く、今回は武漢絡みの記事ですので、その武漢の場合だと、以下のように報じられています。
コロナ後遺症、発症半年後も疲労感や睡眠障害など76%…中国・武漢市
新型コロナウイルスの感染拡大が最初に深刻化した中国・武漢市で、感染者の約76%が、発症から半年たっても疲労感や睡眠障害など、少なくとも一つの後遺症を患っていると、中国の研究チームが発表した。
論文は1月9日に英医学誌ランセットに掲載され、後遺症が長期化する可能性を示している。
チームは、昨年1~5月に武漢市内の病院を退院した患者1733人を対象に、発症から約半年後の体調を調べた。面接や6分間の歩行試験などを行った結果、疲労感や筋力低下の症状を示す人が63%と最も多く、睡眠障害が26%、不安やうつ症状も23%に上った。脱毛も22%にみられた。不安やうつ症状は女性の方が頻度が高かった。 (読売新聞 2021/01/09)
こういう「後遺症とされるもの」というのは、もしかすると、先ほどの HIV 云々と関係したりするものではないのかなあと思う部分があるのですけれど、たとえば、その後の研究では、
「新型コロナが HIV 同様に免疫細胞を攻撃している」
ことが次々と見出されています。
以下は、米ペンシルバニア大学の研究をご紹介した昨年 6月の記事です。
「Covid-19 は HIV」:米ペンシルバニア大学の研究で新型コロナウイルスが人間の重要な免疫細胞を「エイズ同様に消滅させている」と結論付けられる
投稿日:2020年6月28日
人間の免疫応答の中心となる T細胞というものや B細胞というものが、新型コロナウイルスの感染者では「不活性」である場合が多いことがわかったというものです。
これらの免疫細胞が働かなければ、コロナがどうだこうだというより「あらゆる感染症に脆弱になってしまう」はずです。
こういう部分が、「エイズと似ている」部分です。
コロナの免疫への攻撃に関する米ニューヨークタイムズの記事
How the Coronavirus Short-Circuits the Immune System
発症していない人たちも同じように免疫細胞に影響を受けているかどうかはわかっていないと思われますが、少なくとも発症者や特に重症者では「免疫細胞が攻撃されているので、普通なら治るものも治らない」という感じでしょうか。
これらを知って、昨年何度か記したことがありますが、無症候者を含めて地球上の非常に多くの人たちが、「 HIV のような爆弾を抱えて人生を生きていく」ことになるのではないかと懸念していました……というか、今でもそう思っています。
じゃあ、どうすればいいのかというと、
「だからこそ健全に日々を過ごさなければならない」
と考えるようになったのが、ロックダウンや緊急事態宣言のような苦痛やストレスを生み出すだけの政策に反対するようになったキッカケです。
もしかすると私も含めて多数の人たちが HIV という爆弾をすでに抱えてしまっているかもしれない。
それであるならば、一生できるだけ感染症に対しての免疫を強くし続ける生活をするしかないと。
・ストレスをできるだけ回避する
・孤独化をできるだけ回避する
・太陽光にできるだけあたる
・笑う
・適度な睡眠
・きれいな空気をたくさん吸う
・適度な栄養
こういうようなことが感染症への基本的な対策のはずですが、今はそれがほぼ損なわれている社会ですので、「人々の健康と健全」という意味では、明るい未来をなかなか想定し難い部分もあります。
免疫といえば、コロナにも HIV にも最もよろしいものとしては「緑茶」があります。
正確にいうと、緑茶の中の「エピガロカテキンガレート(EGCG)」というものですが、2007年に英国のシェフィールド大学が、エピガロカテキンガレートが HIV の感染を防ぐことを見出して以来、さまざまな研究がそれを示しています。
新型コロナに対しても、奈良県立医大が昨年 11月に発表した内容によれば、「市販のお茶に新型コロナウイルスを不活化(無害化)する効果がある」とのことです。
緑茶については、昨年 4月の以下のふたつの記事で書かせていただいています。
HIVからも防御 : 緑茶のエピガロカテキンガレートは、エイズウイルスの感染と発症を防ぐ。そして、仮に新型コロナウイルスとの付き合いが「一生」になるのなら考えてみたい「ウイルス干渉の原則」のこと
投稿日:2020年4月14日
治療薬として有望なクロロキン等より「緑茶に含まれるエピガロカテキンガレートのほうが新型コロナウイルスへの抗ウイルス作用がはるかに高い」ことが公開された論文で判明。そして思う日本人の日常食のすごさ
投稿日:2020年4月3日
インドの研究では、調査したすべての食物成分の中で、エピガロカテキンガレートのコロナに対しての抗ウイルス活性が「ダントツ」であることが示されています。
緑茶はいろいろなものに良いようです。
私はもともとお茶をよく飲みますが、この1年は、緑茶の比率が上がりました。
話が転々としてしまいましたが、武漢ウイルス研究所という懐かしい響きさえある中国の施設の研究データが「すべて削除され」てしまいました。
そして、これからの私たちにでき得ることは、先ほどの「感染症対策」をできる限り行える生活を維持することだと思います。
実際のところ、「日々を楽しみましょう」と言われても、なかなか楽しめない状況であることもまた事実ですが、自分や家族を守るためにも、ストレス回避、孤独化の回避、太陽光、笑い、などを失わない生活は大事だと思います (うっきゃっきゃっきゃっ ←笑いの質が不健全)。
さて、1975年の歌謡曲を再度振り返りますと(いいから)。
>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
▶ ご登録へ進む