CIAによるエキサイティングな機密文書
世界中の株式市場が激しく動揺していますが、今回は置いておいて、まったく関係のない話です。
米 CIA というのは、正式な諜報機関でありながら一種トンデモ系の機密文書を出したりする機関として有名で、最近では、
「失われたアーク(契約の箱)を、リモートビューイング(遠隔透視)で発見した」
ことが記された 2000年8月に機密指定が解除された文書を以下の記事でご紹介したことがあります。
・機密指定を解除されたCIAの極秘計画サン・ストリーク文書に「米国政府はリモートビューイングで失われたアークを発見した」と書かれてある
In Deep 2025年3月27日
その少し前には、
「NASAがアストラル投射を利用して、紀元前約 100万年前に被験者を火星に輸送した経緯が詳しく記されている」
という、やはり 2000年8月に機密指定が解除された文書を以下でご紹介したことがありました。
・アストラル投射旅行により、地球人はNASAにより100万年前の火星に移送されたと主張するCIAの文書
In Deep 2024年12月25日
これなどは、「アストラル投射旅行」とか「 100万年前」とか、訳のわからない概念に満ちたものですが、最近、また CIA の不可思議な機密文書が話題になっています。
それは、要約すれば、以下のようなものです。
約 35年前にシベリアのソ連軍部隊が、上空を飛行する UFO を撃墜したが、そこから脱出した 5人のエイリアンが、ソ連兵たちに攻撃を仕掛け、兵士 23人が瞬時に「石化」した。
瞬時にして石化(笑)。
CIA の文書は以下にあります。100ページある文書です。
その文書の1ページ目
cia.gov
英デイリーメールが記事にしていたもので、ともかく、まずはその記事をご紹介しましょう。
そして、その後調べていくうちに、
「意外と適当な CIA の文書作成能力」
という現実も浮かび上がります。
機密解除されたCIAの恐ろしい文書は、UFOが撃墜された後にエイリアンが「復讐の虐殺」を行ったことを明らかにしている
Chilling declassified CIA file reveals aliens committed 'revenge massacre' after UFO was shot down
dailymail.co.uk 2025/04/03
CIAによって機密解除された背筋が凍るような文書は、墜落した UFO から来たエイリアンが軍隊全体を石に変えたとされる大量虐殺を暴露した。
報道によれば、ソ連軍はおよそ 35年前にシベリアのソ連軍部隊の上空をホバリングしていた空飛ぶ円盤を撃墜したが、 その後に起こったことは実に恐ろしいものだったという。
米諜報機関 CIA が入手した 250ページに及ぶ極秘ファイルを要約したこの文書では、5体のエイリアンが難破した宇宙船から脱出し、その 5体は 1体の生物に合体し、強烈なエネルギーを放出して爆発し、兵士23人を固い岩に変えたと生き残った目撃者たちは述べている。
ある CIA 当局者は、この衝撃的な戦闘を「地球外生物による恐ろしい復讐の光景であり、身も凍るような光景である」と評した。
同局は、この「極めて脅威的な事件」は、地球を訪れたエイリアンが米国政府の「想定」をはるかに超える武器や技術を保有していたことを証明しており、米国政府がすでにエイリアンの存在を知っていたことを示唆していると付け加えた。
2000年に機密解除されたこの発掘された文書は最近、ポッドキャスト「AI or Evil」で話題となり、司会者のジョシュ・フーパー氏は UFO 墜落現場にいた兵士のうち 2人が実際に生き延びたと明かした。
しかし、23人の「石化した兵士」は救出できなかった。
彼らの遺体と宇宙船の残骸はモスクワ近郊の秘密研究基地に移されたと伝えられている。
CIA ファイルのさらに懸念される詳細は、この虐殺に関与したとされるエイリアンの描写だ。このエイリアンは、UFO の報告や目撃情報で 80年近くにわたって言及されてきた。
この CIA の文書のタイトルは「UFO が関与する事故に関する証拠とされる内容を報告した文書」というものだ。
1989年から 1990年の間に起きたとされるこの事件は、ソ連とその秘密警察組織である KGB の崩壊後に初めて CIA によって発覚した。
CIA の文書では、ソ連軍が訓練任務に従事していた際、その異星人の飛行体がソ連軍の上空を低空で静かに飛行していたと説明されている。
当局は、「理由は不明だが」ソ連が UFO に向けて地対空ミサイルを発射し、UFO は部隊の位置付近の地球に墜落したと記している。
生き残ったたった 2人の兵士によると、兵士たちが宇宙船に近づいたとき、5人のエイリアンが UFO の残骸から脱出し、残骸の近くに集まってきたという。
しばらくして、ソ連兵士たちは、エイリアンの集団が「一つの物体に融合し、球形になった」と語った。もっと簡単に言えば、エイリアンたちはどういうわけか巨大な球体に変形したということだ。
そのとき、その新しい球状のエイリアンがブンブンと音を立て、シューという音を立ててから、輝く白い光を放ち始めた。
兵士たちが見守る中、光の球が巨大なエネルギーの炎のように噴出し、25人のソ連兵のうち 23人を「石柱」に変えた。
報告書によれば、2人が生き残った唯一の理由は、エイリアンのエネルギー爆発時に日陰に立っていたためだという。
兵士たちの遺体を検査したところ、エイリアンによる爆発が何らかの形で生体組織を石灰岩によく似た物質に変えていたことが判明した。
CIA の文書は、ソ連を致命的に変えてしまった爆発の原因は「地球人にはまだ知られていないエネルギー源」であると付け加えた。
2025年になっても、このような衝撃的な変化の背後にある科学は、医学的にも技術的にもまだ説明が難しい。
『応用物理学ジャーナル』によれば 、高エネルギー放射線や電磁パルスを使用して、通常の物質をプラズマ(液体でも固体でも気体でもない形態)に変えることは可能だ。
報告書の中で、CIA はエイリアンを「大きな頭と大きな黒い目」を持つ小柄なヒューマノイドだと表現した。
この記述は、UFO 研究者、宇宙人に誘拐されたとされる人々、そして宇宙生命体を信じる他の人々が「グレイ」と呼ばれる種族と呼ぶ存在と一致している。
彼らの特徴は、宇宙から来たエイリアンについて議論するときに一般の人が思い浮かべる典型的なイメージとなっている。
つまり、小柄で痩せており、灰色の肌をしており、頭は特大で、瞳孔のない大きな黒い目を持つエイリアンだ。
グレイは最終的に、1947年の悪名高いロズウェル事件と関連付けられることになり、後に CIA の文書で、ニューメキシコ州の疑わしい墜落現場からエイリアンの存在が引き出されたことが示唆された。
これらの奇妙な生物は、スティーブン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』をはじめ、数え切れないほどの SF 番組や映画でも異星生命体として描かれることになる。
地球外生命体研究において重要な位置を占めているにもかかわらず、この不穏な事件は、これらの生命体がこのような恐ろしい偉業を成し遂げた可能性があると人間が主張した初めてのケースのようだ。
ここまでです。
> 5体のエイリアンの集団が 1つの物体に融合し、球形になった
とか、
> 25人のソ連兵のうち 23人を「石柱」に変えた
とか、私が中学生だったのなら、震えるほど刺激的な表現が続きますが、しかし、
「なんで、そんな高度な科学技術を持つエイリアンが、昔のソ連軍に撃墜されるん?」
という素直な疑問はわきます。
それはともかくとして、この CIA 文書の 1ページ目と、そして、海外のいくつかの報道などから、
「この CIA 文書はおそらく娯楽系の記事がネタ元」
だと推測できるようになるのです。
カナダのタブロイド
先ほどの CIA 文書の 1ページ目の冒頭は以下のように始まります。この話の情報元についてです。
> 権威あるカナダの雑誌「ウィークリー・ワールド・ニュース」が報じたところによると…
ここに、ウィークリー・ワールド・ニュースという名前が出てきます。
どんなものか調べてみましたら、以下のようなものでした。
ウィークリー・ワールド・ニューズは 1979年から 2007年にかけてアメリカ合衆国及びカナダ向けに発行されていた週刊タブロイド紙。
超自然現象や超常現象に関するフィクションに紙面の多くを割いていることを特徴としている。2007年に刊行は終了した。 wikipedia.org
ウィークリー・ワールド・ニュースは、UFO や宇宙人に関しての記事は特別よく掲載されていたようで、以下のように書かれています。
UFO や宇宙人の記事はしばしば掲載される。アメリカ合衆国大統領選挙のたびに、ロス・ペロー、ビル・クリントン、ジョージ・H・W・ブッシュといった有力大統領候補達と密会する宇宙人がスクープされていた。
ここから見ますと、カナダの「オカルト系タブロイド紙」が CIA の先ほどの文書のネタ元だったことになります。おそらくは、このタブロイド紙の記事をロシアの諜報機関が資料として保管していたものを、その後、CIA が入手したということだと思われます。
また、海外メディアは、元 CIA エージェントの言葉を以下のように報じています。
4月4日のニュースネーションの報道より
国家安全保障担当記者で元 CIA エージェントのトレイシー・ウォルダー氏は、この文書は CIA のファイルの一部かもしれないが、CIAが書いたものではないと述べた。
「これは CIA が作成した文書ではありません」と彼女は語った。 newsnationnow.com
どうやら、この文書を作成した当時の CIA の担当者は、
「タブロイド紙の記事をそのまま CIA 文書としてファイルしてしまった」
ようです。
過失(ロシアの諜報資料にあったために本物だと信じてしまった)か、故意(娯楽記事だとわかったけれど、ソ連の諜報資料にあるのだからとファイルしてしまった)かはわかりません。
この事件があったとされている 1990年頃というのは、ソ連の崩壊が進んでいる渦中であり、「ソ連とソ連軍に関する情報なら何でもほしい」ということもあったのかもしれないですが、それにしてもネタ元がそれでは。
この感じでは、他の数々の「不思議な CIA 機密文書」の内容も、ものによっては信頼性が薄いものなのかもしれないですね。
しかし、一方で、CIA の文書には魅力的なものも多く、たとえば、
「精神の力で、血液細胞を変化させる」
ことについての研究を以下でご紹介したことがあります。
・「細胞の状態は自分の意志で完全に変化させられる」ことを突き止めた米国CIAの研究…
In Deep 2020年8月1日
この記事を書いた 2020年 8月は、1回目だか 2回目だかの緊急事態宣言だったか、ともかく、そういう狂気のまっただ中でしたから、上の記事も前半はパンデミック対策に対しての理論的な非難となっていますが、CIA の研究については、記事の後半にあります。
なお、CIA は、2005年にリリースした文書で、「 2025年までにコロナウイルスによるパンデミックが発生する」ことを描写していました。
その文書では以下のように予測していました。
2005年の CIA 文書の概要
・2025年までにパンデミックが起きる可能性が高い
・病原体は、新型インフルエンザか変異したコロナウイルスの呼吸器感染症
・最終的には、全世界の約 3分の1が感染し、数億人が死亡する
死亡数以外は、おおむね正確に描写できていました。…しかしまあ、死亡者数も、その後のワクチンを含めれば、「最終的には」案外正確なのかもしれません。
これについては、以下の記事の後半で翻訳しています。
・15年前のアメリカ中央情報局の報告書には「2025年までに、伝染性が強く治療法がないコロナウイルスによる世界的パンデミックが発生し、全世界の3分の1が感染する」という予測が示されていた
In Deep 2020年4月6日
ともかく、今回のエイリアンの話については、内容的にはとても刺激的なものですが、どうやらあまり信憑性はないようです。
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