消毒剤を攻撃していた時代を振り返り
米エポックタイムズで「消毒液は捨てて、免疫システムを鍛えよう」というタイトルの寄稿記事を読みました。
書いていらっしゃるのは、何十年にもわたり畜産経営をされている方ということで、「消毒しない生活」を読者に勧めています。
しかし、ご本人は、やや過激な生活習慣ではあるようで、記事には、
> 私のことをよく知っている友人は、私が普段から牛と一緒に牛の水槽から水を飲んでいることを知っている。
とあったりして、「それはちょっと真似できないな」とか思うのですけれど、それはともかくとして、この「消毒剤の問題」は、コロナの頃にずいぶんと書いたものでした。
たくさんの記事を書かせていただきましたが、たとえば、以下の記事のように、やや過激なタイトルにしたものもあります。
・過剰な消毒がどのように小さな子たちを殺していくか
In Deep 2021年10月21日
大人はともかく、過剰な消毒は、少なくとも「子どもや赤ちゃんには大変に悪いこと」なんです。腸内細菌の話を出さなくとも、身体には膨大な細菌が常在していて、それらには当然、「役割」があります。
病原体の駆逐のために過剰に殺菌するということは「体内の有用な細菌まで殺してしまう」ということになりかねません。
もともと、このことを考え始めたのは、コロナのずっと以前の今のから 10年くらい前の以下の記事からでした。
・数百万の「無菌室」が導く崩壊 : 「微生物との共生を拒否した日本人」たちが創り出す未来の社会は
In Deep 2016年12月13日
適度な衛生環境は確かに必要なものですが (衛生環境の改善により小さな子どもが亡くならなくなったために、戦後の日本の平均寿命は、栄養状態の改善も伴いながら著しく伸びた)、しかし、日本などの場合、どう考えても「行き過ぎて」いました。それがコロナの中でさらに極端になり、狂気のレベルの殺菌・消毒が何年も続けられたわけです。
学校はもちろん、「幼稚園」でも。
そんなこともあり、コロナの時代に幼稚園児や小学校低学年だった人たちは、今後、数年あるいは十数年、数十年と何らかの問題が表面化してくるのではないかとは思っています。
……というようなことを思っていたのですけれど、考えてみれば、
「消毒剤もほとんど石油由来」
であることに気づきます。
主要な殺菌剤や消毒剤はほぼ石油由来
たとえば、私が「非常に問題がある」と考えている「第四級アンモニウム塩」という消毒剤成分が、身体にはかなりのダメージを与えるということを 2021年に書いたことがあります。
第四級アンモニウム塩は、その工程は複雑とはいえ、石油化学製品(エチレンなど)から合成されます(ライオンのページ)。
それどころか、市販されているほとんどの消毒剤が石油由来です。代表的な消毒剤としては、以下のようなものが石油由来の原料から合成されています。
石油由来の原料から合成されている消毒剤等
・合成エタノール
・イソプロパノール
一方で、「石油由来ではない殺菌・消毒剤」は以下のようなものです。
石油由来「ではない」消毒剤等
・植物由来のエタノール(バイオエタノール)
・塩素系消毒剤(ハイターやカビキラーなどの殺菌剤)
・植物抽出系(カテキン、ヒノキ、ユーカリなどの抽出成分)
・ヨウ素系(イソジンなど ← 海藻なとせに含まれる要素を使用)
などです。
一般的に考えれば、石油由来の消毒剤の使用が圧倒的だと思われますけれど、今の石油危機で、
「これらの供給も危うくなっている」
とは言えます。
三協化学株式会社は、3月24日に「イラン情勢の悪化によるエタノール、変性アルコールの品薄と代替品を解説」という記事を投稿していましたが、冒頭は、
> 2026年2月28日のイラン攻撃から、イラン情勢は急速に悪化し、原油の海上輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されました。エタノールや変性アルコールを始め、多くの石油化学品の供給状況に不安が広がっています。
で始まるものです。
これが 3月24日の記事で、今はそれから 1カ月近く経ちます。
ホルムズ海峡は 4月18日に再び閉鎖され、イラン側が許可した船以外は、海峡を通過することはできていません。
もちろん、日本に向かう船の通過は相変わらず「ゼロ」です。今の状態ですと、石油危機が消毒剤危機につながる時はそれほど遠くないとも思われます。
一般の市場から消毒剤が枯渇していくことは(個人的には)ある程度は悪くないことだと思いますが、しかし、医療用など「必ず消毒剤が必要な場合」が確実にあるわけで、医療用手袋などが不足している中で、殺菌・消毒剤まで消えていくとなると、医療は本格的に厳しい局面に立たされるのかもしれません。
とにかく、あと…まあ、最短で 1〜 2カ月くらいで「市場から消えていく」ものが多いことは現実的な予測で、そこには消毒剤も含まれます。
ちなみに、農薬には賛否があるかもしれないですが、農薬も基本的にナフサを原料として作られます。
賛否はともかく、「農薬がなくなれば」現代農業は成立しない可能性さえあります。無農薬は手間が大変なんですよ。とても、現在の大規模生産農業には向いていない。
ともかく、消毒剤について、最初に書きましたエポックタイムズの記事をご紹介させていただきます。
なお、記事の中にジャレド・ダイアモンド氏という方の、『銃・病原菌・鉄』という著作のことが書かれていますが、日本語版がアマゾンにあります(上巻、下巻)。130万部も売れた本のようです。
ここから、エポックタイムズの記事です。
消毒液は捨てて、免疫システムを鍛えよう
Ditch the Sanitizer and Exercise Your Immune System
Epoch Times 2026/04/17
細菌、ウイルス、そして病気 --- これらの病気は、人々が「どうすれば免疫力を高められるのか?」という疑問に悩む中で、数え切れないほどの会話に忍び込んでくる。
従来の製薬・ワクチン業界が提示する結論は、機能的な健康は錠剤、注射、あるいは何らかの医療処置によって得られるというものだ。
何千頭もの家畜を飼育し、獣医費用を一切支払っていない農家として、私は畜産業界における一般的な考え方として、病気の動物は明らかに薬による治療において不利な立場にあると断言できる。
私の考え方はまったく逆だ。病気の動物は、私の過ちを証明するものだと考えている。
何十年にもわたる畜産経営の中で、様々な種類の動物で経済的に大きな損失をもたらす病気の発生を 6回ほど経験した。その都度、原因は私の責任だった。衛生状態、食事、ストレス、不快感、そして毒素。動物が病気になる理由は様々だが、医療を受けられなかったことが原因とは限らない。
そこで、人間について考えてみよう。ジャレド・ダイアモンド氏は、ニューヨーク・タイムズのベストセラーとなった名著『銃・病原菌・鉄』の中で、家畜と密接な関係を築いた文化が繁栄した理由を説明している。家畜と密接な関係を築いた人々は、より優れた免疫システムを発達させたのだ。
何年も前、イギリスの疫学者デイビッド・ストラチャン氏は、年上の兄弟姉妹が多い子どもほどアレルギーが少ないことに気づき、幼少期に感染症にさらされることで持続的な免疫が得られる可能性を示唆した。
この分野の研究者の多くは、免疫系は筋肉のようなもので、強く保つためには定期的な訓練が必要だという「衛生仮説」を支持した。ダイアモンド氏の全体的な研究結果と一致して、この理論はフィンランドの研究によって最もよく裏付けられている。
20年ほど前から、フィンランドの研究者たちは「免疫系は筋肉のようなもの」という概念を検証し始め、異なる環境で暮らす近親者(いとこや兄弟姉妹)の全体的な健康状態を比較した。その結果、免疫系が筋肉に似た特性を持っているという考えに大きな説得力が加わった。
農場で育ち、幼児期に納屋に通っていた子どもたち(幼児が指で何でも触ってしまうことはご存じだと思う)は、都会の子どもたちよりもはるかに丈夫だった。
少量の堆肥や土、カビの生えた干し草や穀物が免疫系を刺激し、風邪やインフルエンザ、その他の一般的な小児疾患に対する抵抗力を高めていたのだ。
個人的なことを少しお話しさせていただきたい。私のことをよく知っている友人は、私が普段から牛と一緒に牛の水槽から水を飲んでいることを知っている。
喉が渇いているからではなく、腸内細菌叢に多様な微生物を増やしたいからだ。そして、目に見えない敵対物質にも触れておきたいのだ。要は、免疫システムを鍛えて、本当に深刻な病気にかかった時に、それを撃退できるだけの強さを身につけておきたいのだ。
確かに、私は明日死ぬかもしれない。しかし、何十年もの間、多くの人々を悩ませるような一般的な問題とは無縁で過ごしてきた。これは自慢ではなく、私たちが持つ体は、少しでも機会を与えれば健康を維持できる、恐ろしくも素晴らしい造形物であるという謙虚な認識なのだ。
飛行機に乗ると、客室乗務員が抗菌消毒クロスが入ったカゴを持って立っているのを見て、私は微笑んで身を乗り出し、丁重にこう言う。
「いえ、結構です。私はそちらの細菌が欲しいんです」
すると必ず怪訝な顔をされ、ギャレー (航空機等の配膳準備スペース)では「あそこにいる変な人、見てよ。私の細菌が欲しいんだって」なんて会話が交わされているに違いない。
先日のフライトで、あるカップルが A席と B席に座った。私は通路側の C席だった。マスクを着けた二人は席に着くとすぐに除菌シートを取り出した。
食事のトレイ、座席の背もたれ、肘掛けなど、あらゆるものを念入りに拭き上げた。それから彼女が私にその雑巾を差し出してきたので、私は「いえ、結構です。あなたの虫を吸い込みたいですから」私は言った。
マスク越しには、きっと恐怖に顔を歪めていたことだろう。
飛行機が離陸するとすぐに、お菓子が出てきた。プリングルズ、ツイッツラー、リーシーズ・ピーセス、ソフトドリンク --- まるでスーパーのお菓子売り場を丸ごと一つ、彼らの大きな機内持ち込みバッグに詰め込んだかのようだった。
私は彼らが 1時間もの間、このジャンクフードをむさぼり食うのを見ていた。2時間後(3時間のフライトだった)、彼らは呼び出しボタンを押した。私は一体何事かと不思議に思った。
「糖分が不足しているので、リンゴジュースを持ってきていただけますか?」
冗談だろう? あらゆるものを殺菌消毒しておきながら、砂糖や人工甘味料を摂取するなんて、私の頭をよぎったのは「こんな人たちが投票するなんて」という思いだった。
ジャンクフードを食べ、虫を過剰に恐れるのは免疫機能の低下を招く原因だが、私たちはこのようなディストピア的な行動をあまりにも頻繁に目にする。
幸いなことに、筋肉と同等の免疫力が実在するという認識が広まりつつあるようだ。新米ママたちが幼児を連れてふれあい動物園や土遊び場に行くことが乳幼児の健康分野で新たなブームとなっている。
これは健全な変化であり、多くのメリットをもたらす可能性のあるトレンドだ。
もしこのコラムをここまで読んでくださった賢明な起業家の方がいらっしゃれば、100万ドル規模のビジネスアイデアを一つ提案させてほしい。強力な免疫機能を求める都会の人々に、堆肥と土を混ぜ込んだ透水性マットを販売するのだ。
4ヶ月ごとに誰かが来て古い堆肥と土を捨て、新しい材料をマットに詰め替える定期購入サービスにすれば良いだろう。玄関マットとして使うのも良いだろうし、シャワーから出るときに素足にこれらの栄養分を塗布できるマットとして使うのも良いかもしれない。
きっと誰かが、田舎を都市に近づける方法を考え出すほど賢いはずだ。
もちろん、下水道がむき出しで冷蔵庫もない時代に戻れと私は言っているわけではない。私が言いたいのは、人類があまりにも無菌状態になりすぎる可能性があるということだ。
数十億個もの微生物からなる私たちのマイクロバイオームは無菌状態ではないし、生命力の第一の指標は腸内微生物の多様性だ。このアイデアに報酬を払う必要はない。ただ、ブランド化して展開していけばいい。
加工されていない本物の食品を食べると、多様な微生物を摂取でき、免疫系が活性化される。テクノロジーが高度化した現代社会では、私たちはあまりにも無菌状態になり、その結果、免疫系が衰えてしまっている。
庭に出て土に触れ、微生物と触れ合い、免疫系を活性化させよう。少なくとも農場を訪れてみてほしい。注射や薬に頼って体の衰えを食い止めるよりも、ずっと良い方法だと思われないだろうか。
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