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4月18日にメルマガ謎の星ブラックスターの話。そして、経済破綻への心構えや準備の話を発行させていただきました。

人類の未来 地球という場所の真実 宇宙の中の地球

地球の磁場の消失は、大絶滅の側面よりも「まったく新しい人類的生物の登場」の側面のほうが強かったりして…と考える

投稿日:


pubs.aip.org




 

磁場の消失局面に思ういくつかのこと

少し前に、以下の記事で、「蝶を含めた、あらゆる昆虫や鳥類が大幅に減少している」原因について、

「地球の磁場が弱体化しているためではないか」

というようなことを書かせていただきました。

アメリカの蝶が壊滅的な速度で消滅していることを突き止めた研究から思い出す「その最大の要因」。それは農薬でも殺虫剤でもなく…
 In Deep 2025年3月11日

地球の磁場が弱くなり続けていることは事実であり、たとえば、 2020年の ESA (欧州宇宙機関)の記事では

「過去 200年間で、地球全体の磁場は平均して約 9%の強度を失った」

と述べられています。

地球の磁場が弱くなることが、なぜ問題なのかというと、この ESA の記事の冒頭に述べられています。

地球の磁場は、地球上の生命にとって不可欠だ。それは、太陽からの宇宙放射線や荷電粒子から私たちを守る複雑で動的な力だ。

ESA 2020/05/20

以下は、1945年からの地球の磁場の強度です。

1945年〜2024年までの地球の磁場の強度 (4.8%の低下)

spaceweatherlive.com

磁場をコントロールしているものは何かというと、一般的な科学的解釈では以下のようになります。先ほどの ESA の記事からです。

磁場は主に、私たちの足元から約 3,000km下にある外核を構成する過熱され渦巻く液体鉄の海によって生成される。自転車のダイナモの回転導体として機能し、電流を生み出し、それが次に、絶えず変化する電磁場を生み出す。

ESA 2020/05/20

何が、この地球内部の「過熱され渦巻く液体鉄の海」をコントロールしているのかは定かではないですが(というか、普通に考えれば、宇宙からのエネルギーであることは間違いないでしょうが)、このような磁場の弱体化が示していることが「次に起きる何を示している」のかというと、それも ESA のページにあります。

現在の磁場の弱まりは、地球が磁極の逆転(北磁極と南磁極が入れ替わる)に向かっている兆候ではないかと推測されている

このような現象は地球の歴史を通じて何度も起きており、逆転が起こる平均速度(およそ 25万年ごと)からするとかなり遅れているとはいえ、現在南大西洋で起きている磁場の強度低下は、通常の変動レベルとみなされる範囲内だ。

ESA 2020/05/20

つまり、「地球の磁極の逆転に向かっている」と推測されているわけです。磁極の逆転の際には、一時的に地球は磁場を完全に失います

北の磁極は以下のように移動し続けています。

過去約190年間の北磁極の移動

Independent

「北の磁極の移動のスピードの加速」が示していますように、わりと急速に磁場の逆転の状態に向かっている可能性もあります。

面白いこととしては、北の磁極がこれだけ大きく移動しているのなら、そして、それが「磁極の反転」につながるのなら、南の磁極も同程度に移動していないと均衡がとれないことになるのですが、

「南の磁極は北ほど移動していない」

のです。

以下の図は、2021年2月の論文にあるものです。

北極と南極の磁極の移動(1900年 - 2025年)

springeropen.com

これについては、2021年の以下の記事でふれたことがありますが、今のままの「バランスの取れていない北と南の磁極の移動の状態」が続くと、

「一時的に、地球も多極化してしまう可能性があるのではないか」

と思った次第でした。

地球の「北極の移動」速度が劇的に上昇しており、「南北の磁極の不均衡による磁場の崩壊」が近づいているかもしれない
 In Deep 2021年12月27日

多極化というのは、つまり、今の地球は「北極」と「南極」のふたつの極で構成されていますけれど、これが「複数になる」というような話でしょうか。

そんなことはあり得ないと思われるかもしれないですが、

「 2012年に太陽で起きていた」

ことです。

以下は、日本の国立天文台が 2012年4月に発表した内容に関する報道からです。

太陽磁場、来月に4極化か…300年前は寒冷に

読売新聞 2012.04.20

国立天文台などは、5月にも太陽の磁場が反転し、北極と南極にN極(プラス磁場)、赤道付近に二つのS極(マイナス磁場)が出現する「4重極構造」に変化するとの予想を発表した。

同天文台の常田佐久教授らは、太陽観測衛星「ひので」を使い、磁場データを分析。昨年7月以降、北極の磁場がS極からN極に反転し始めたことを確認した。

一方、ほぼ同時に反転するはずの南極はN極のままで変化せず、4重極構造が確実視される状況となった。

文字だとわかりにくいと思いますが、国立天文台が発表したイラストは以下でした。

2012年4月19日の国立天文台の資料から作成し直した「太陽の変化の予測」

この頃の太陽はこんなことになっちゃってたんですよ。

これについては、13年前の記事で取りあげたことがあります。

太陽がそうなったことがあるわけですので、地球もそうなる可能性もないとはいえないのかなとも思います。

多極化してしまうと、地球の地磁気の状態はムチャクチャになってしまうと思われますが、そうなると、「地球の磁場に生かされている地球の生き物はどうなってしまうのだろう」と思ったのですね。

もちろん、人間も地球の磁場に生かされています。

北と南のバランスの問題は別として、現在の状態で、地球の磁極の移動が進んでいった場合、どう考えても、「さらに地球の地磁気は弱まる」ことになります。

欧州宇宙機関とロシア医学生物学研究所などが協力して開始された「火星有人飛行の研究」のトップ研究者だったロシア人科学者は、

「人間は地球の磁気圏の中でしか生存できない」

と述べていたことを記事でご紹介したこともありますが、確かに、さらに地球の磁場が弱まっていくと、多くの生物の生命に影響を与えることになると思います。

 

しかし、私はこのように「絶滅の方向」だけを考えていたのですが、先日、読者様からメールをいただきまして、ある論文を紹介していただき、それによって、

「磁場の消失で大量の絶滅も起きるが、歴史では、それにより、それまでとまったく異なった新しい生命の登場にもつながっていた」

ことを知ったのです。

簡単にご紹介させていただきます。




過去の生物登場の「爆発」は地磁気の消失時期だった

そもそも、私は昨年、磁場の弱体化は、

「いっぽうでは、絶滅を促進すると共に、いっぽうでは、新しい生命への進化を促進する」

ことを述べていたメディア記事を以下で取りあげていたんですよね。

極度の太陽活動と「地球の磁場の弱体」が生命に劇的な影響を及ぼす可能性がある。一方は進化、一方は絶滅
 In Deep 2024年7月16日

すっかり、このことを忘れていました(認知レベルの著しい低下)。

そこでご紹介した記事には以下のようにあります。

2024年7月のカンバセーション誌の記事より

大きな進化の出来事も、地球の地磁気と関連している。南オーストラリアのフリンダース山脈の化石に記録されているように、エディアカラ紀末期(5億6500万年前)の多細胞動物の起源は、2600万年にわたる磁場の弱化または消失の期間の後に起こった。

同様に、カンブリア爆発(約5億3900万年前)における多様な動物グループの急速な進化も、地磁気(の消失)と高い紫外線レベルに関連している

エディアカラ紀末期というのは、強力な生物群の進化が起きたとされている時期で、「地球で最初の多細胞生物」が誕生したのも、この時期だと考えられています。そして、その時期には、

「 2600万年に渡って、地球の地磁気が弱体化あるいは消失していた」

のですね。

そういうときに、地球上でも最大・最強レベルといえる「進化」が起きたと。

2600万年という年数は、なかなかものすごいものですが、そのくらいはかかるものなんでしょうね。

 

 

新しいDNA群

ちなみに、これは一般にいわれている「進化論」というものとは結びつかない進化であり、形態のまったく異なる生物が出現してくるという感じだと思います。

地球には、絶えず宇宙から「 DNA の構成要素」が降り注がれていますが、そういうものが「1から組み立てられる」というようなことでしょうか。

DNA の構成要素がすべて宇宙にあることについては、以下の記事をご参照いただければ幸いです。

地球の生命は宇宙から来たことが確定か:北海道大学やNASAによる国際研究で、「隕石から5種類すべてのDNA・RNAの塩基」が世界で初めて発見される
 In Deep 2022年5月2日

あるいは、ブログのカテゴリー「パンスペルミア」、あるいは、「第一期 In Deep の同カテゴリー」に、十数年くらい前からの記事がすべてあります。

進化というより「全然別の生物」が、その時その時の地球の環境に応じて、数百万年とかの時間をかけて「新たに誕生する」というようなイメージでしょうか。

それで、読者様が教えてくれた論文というのは以下にあります。

(論文)地球の磁気双極子が崩壊し、生命が爆発する
Earth’s magnetic dipole collapses, and life explodes
pubs.aip.org 2025/03/13

長い上に内容もやや難解ですが、概要の以下の部分を理論的に説明しているものです。

現在の磁場は生命を守っているが、磁場が崩壊寸前だった古代の段階は、進化の重要な段階と一致していた。地球の深部の変化が、そのすべての始まりだったのかもしれない。

現代の私たちの歴史の認識は、数十年とか数百年とか、あるいは科学の分野でも、数万年や数百万年くらいまでの認識が多いものですが、生物の歴史というのは、実際にはもっともっと長いものだと実感します。

現在の地球がどういう方向に向かっているのかはわかりませんが(磁極の移動は、方向も速度も予測ができない)、今のスピードで磁極が移動し続ければ、少なくとも数千年の間には、地球の磁場が消えてしまう時も来ると思われます。もちろん、もっと早いかもしれません。

その時には、現状の人類で生き残ることのできる人はいないでしょうが、何か人類のようなものがまた新たに登場してくるということなのかもしれません。地球や太陽からの磁場に影響を受けない新しい人類が。

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Oka In Deep

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