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衛生的だけれど、やや有毒な飲料水に囲まれる日常
主要国の水道水というのは、日本を含めて、殺菌消毒による化学処理がなされているために、基本的に病原菌などが含まれていない、いわば清潔な水を水道から得ることができるわけですが、この
「化学処理」
の副産物として、「消毒副生成物 (DBP)」というものが生成され、それが、水道水の飲料水を「清潔ではあるけれど、やや有毒な状態」としているのですが、米エポックタイムズが、その消毒副生成物についての特集を組んでいました。「アメリカの飲料水の90%に潜むリスクとその軽減方法」というタイトルの記事です。
この「清潔ではあるけれど、やや有毒な状態」を作り出している消毒副生成物の何が問題かというと、たとえば、2017年の論文の以下の冒頭部分でわかります。
2017年の論文より
飲料水の消毒は、高品質で安全かつおいしい水道水を生み出す重要な公衆衛生サービスだ。飲料水の消毒によって水系感染症が減ったことは、20世紀の公衆衛生における傑出した成果だった。
しかし、意図せぬ結果として、消毒剤が天然有機物、人為的汚染物質、臭化物/ヨウ化物と反応して消毒副生成物(DBP)が生成される。
多くの消毒副生成物に細胞毒性、神経毒性、変異原性、遺伝毒性、発がん性、催奇形性がある。疫学研究では、消毒された飲料水と健康への悪影響の間には、低いながらも有意な関連性が実証されている。
病原菌の含まれない衛生的な水を作り出すことの副産物として、こういうことになっているということのようです。
エポックタイムズの記事は、数多くの研究論文などを引用したものですが、驚いたのは、化学処理によって生成される消毒副生成物の種類の多さでした。
どんなものかはわからないにしても、私が名前を知っているものは、残留塩素だとかトリハロメタンだとかくらいですが、2007年の時点で、
「 600種類以上の消毒副生成物が同定されていた」(論文)
のでした。
そして、2023年に発表された研究では、
「 6310件の消毒副生成物がデータベースに加えられた」 (論文)
とあったのでした。全データベースはこちらのページで検索できます。
6000種類ですよ。
これだけありますと、結局「完全にクリーンな水道水というものは存在しない」ということになりそうですが、この消毒副生成物がさらに他の副生物を生成することもあるようで、消毒剤由来の副生成物の世界は、果てがないもののようです。
エポックタイムズの記事にも、
> 飲料水中に副生成物がどの程度存在するか、またどの程度有害であるかを判断することは困難だ。
とあり、実際には水道水はブラックホールのような状態となっているようなのですが、かといって、消毒による化学処理をしないわけにもいかず、この状況は今後も(上水道システムが続く限り)永遠だと思われます。
具体的な影響としては、以下のような研究があります。
・100種類以上の消毒副産物が生きた細胞や DNA に有毒であることが判明
・男性において膀胱がん(特にトリハロメタン)、あるいは大腸がんのリスク増加と関連していることが判明
さらに問題だと思いましたのは、以下です。
・妊娠中の女性が一部の消毒副産物に曝露すると、赤ちゃんの低体重のリスクや早産リスクの上昇、あるいは、流産、そして先天異常との関連が認められた
結局、手軽な方法としては、浄水器を使うということが手っ取り早いとは思います。
もちろん、先ほど書きましたように、消毒副産物は数千種類あり、それらをすべて濾過することは不可能ですが(というより、自分の家の水道水にどんな消毒副産物が含まれているかを知ることも不可能です)、代表的なものだけでも濾過することで、多少はリスクは下がるのかもしれません。
私もずっと浄水器を使っていますが、以前までは人から勧められた据え置き型のものを使っていたのですが、本体がデカかったり、メンテナンスが必要だったりと面倒になり、今では、水道水に直接つけるタイプのを使っています。
パナソニックの「蛇口直結型浄水器 PFOS/PFOA除去対応 TK-CJ14-W」という浄水器です。PFAS (PFOS と PFOA はどちらも PFAS)対応というのに何だか惹かれました。
今は浄水器の価格もわりと手頃です。
エポックタイムズの記事には、「逆浸透システム」という言葉が出てきまして、Amazon を見ましたら、逆浸透浄水器というものもありましたけれど、価格も本体の大きさもなかなか大げさな感じですが、確かに除去効果は高いようで、説明には、
> 1,000 を超える汚染物質を最大 99%効果的に除去します。
と書かれていました。
本当に飲料水が気になるのでしたら、こういうもののほうがいいのかもしれません。
ともかく、水道水に含まれる消毒副産物というものが、予想以上に多岐に渡って存在していることと、その影響も、微細ながら、わりとあるものなのだなあと知った次第です。
特に小さなお子さんのいる方や、妊娠されている女性などは、水道水には多少気をつかっていもいいのかもしれません。
以下がそのエポックタイムズの記事です。論文はすべてリンクしています。
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アメリカの飲料水の90%に潜むリスクとその軽減方法
The Hidden Risk in 90 Percent of America’s Drinking Water—And How to Reduce It
Epoch Times 2025/09/22
塩素やその他の消毒剤は水道水を致命的な病原菌から守るが、その化学副産物には不確かなリスクが伴う。
米国では、90パーセントのアメリカ人が、消毒副産物を含んだ公共の飲料水システムから必要な水を得ているが、そのほとんどは規制されておらず、十分に研究されていない。
消毒副生成物は、水道会社が水から危険な病原菌を除去するために使用する化学処理の結果として生成される。一部の副生成物は、がんのリスクを高める可能性がある。
米国では、環境保護庁(EPA)が現在、消毒副生成物の安全性を 4つのカテゴリーに分類して規制している。しかし、研究者たちは、何百万人もの人々が飲んでいる水道水には、数百、あるいは数千もの規制されていない副生成物が潜んでいる可能性があると考えている。これらの化学物質の健康への影響は、ほとんど解明されていない。
水中に含まれる潜在的に有害な規制対象および規制対象外の副産物を最小限に抑えるために、家庭で実行できる簡単な手順がある。
公共飲料水の調達
大都市の浄水場は通常、湖、河川、貯水池などの表層水源、地下水、あるいはその両方から水を汲み上げる。小規模な町では、飲料水として地下水を利用する傾向がある。
アメリカ地質調査所は、2015年に米国で使用された水の 70パーセントが地表水源から、30パーセントが地下水から供給されたと推定している。
場所によっては、自治体の下水、雨水、農業用排水から得られるリサイクル水が使用される場合がある。
通常、最も処理を必要としない水源は地下水だ。
公共飲料水の処理
どこから来たかに関係なく、一般の人々に供給される水は、飲料水の安全性を確保するために、小さな粒子を除去するための化学物質の添加やろ過を含むいくつかの処理プロセスを経ている。
処理プロセスにおいて、水道会社はバランスを取る必要がある。EPA(環境保護庁)が定める処理用化学物質とその副産物の制限値を超えずに、安全性を確保するために十分な量の化学物質を水に添加する必要がある。
このプロセスには、次のようないくつかのステップが含まれる。
1. 凝固:塩、鉄、アルミニウムなどの化学物質を加えて小さな粒子を結合する。
2. 凝集:水を混ぜて粒子がより大きな塊を形成するようにし、場合によっては他の化学物質を追加する。
3. 沈殿:大きく重い塊が保管容器の底に沈殿する。
4. ろ過:残った透明な水を複数のフィルターに通し、残留粒子、寄生虫、細菌、ウイルスを除去する。一部の水処理施設では、特にリサイクル水の処理に逆浸透膜法を採用している。
5. 消毒:塩素やクロラミンなどの化学物質を使用して有害な細菌を殺し、コレラや腸チフスなどの水系感染症を予防する。
一部の処理施設では、この段階で紫外線(UV)やオゾンを使用することがあるが、水が人々の家庭に届くまで病原菌を殺菌し続ける必要があるため、消毒用化学物質は不可欠だ。UVとオゾンだけでは、その効果は期待できない。
消毒副産物による健康への懸念
2024年の EPA の報告書によると、消毒剤は効果的だが、水中の化合物と反応して有害な副産物を生成する可能性があり、処理施設の運営者は水処理プロセス中にこれらの副産物を除去する必要がある。
EPA の消毒規則では、水道事業者に対し、処理水に含まれる以下の 4種類の消毒副産物を監視することが義務付けられている。
・トリハロメタン
・ハロ酢酸
・緑泥石
・臭素酸
研究によれば、リサイクルされた水を処理するにはより多くの化学物質と高度な浄化プロセスが必要であり、より多くの副産物が生成される可能性がある (論文)。
サウスカロライナ大学の化学教授、スーザン・D・リチャードソン氏はエポックタイムズに以下のように語った。
「消毒副産物と膀胱がんの間には一貫した関連性があり、大腸がんとの関連性もいくつかあります」
彼女はまた、消毒副産物と流産、そして先天異常との関連性も挙げた。
ハムスター細胞を使った研究では、100種類以上の消毒副産物が生きた細胞や DNA に有毒であることが示されている (論文)。
研究は限られているものの、消毒副生成物とがんとの関連性を示す最も有力な証拠は、 1月に Environmental Health Perspectives 誌に掲載された研究で明らかになった (論文)。
研究結果によると、副生成物であるトリハロメタンが、現行の規制値以下であっても、曝露量が最も高いグループでは膀胱がんのリスクを 33%、曝露量が最も低いグループでは大腸がんのリスクを 15%増加させることが示唆されている。
6月に Journal of Hazardous Materials 誌に掲載されたレビューによると、塩素処理された飲料水の長期使用と高濃度のトリハロメタンへの曝露は、特に男性において膀胱がんのリスク増加と関連していることが判明した (論文)。
2024年に発表された別の研究では、消毒副生成物は 600種類以上存在することが知られており、さらに数千種類存在する可能性があると示唆されている (論文)。
そのほとんどには精製された標準物質が存在しない。そのため、飲料水中に副生成物がどの程度存在するか、またどの程度有害であるかを判断することは困難となっている。
「これまでの研究では、配水システムにおける規制対象の消毒副産物の運命が調査されてきましたが、より毒性が高く、規制されていない副産物を調査した研究はほとんどありませんでした」とリチャードソン氏は述べた。
中国の人口ベースの研究により、規制されていない消毒副産物のグループであるニトロソアミンへの出生前曝露と新生児の出生体重低下および早産リスクの上昇との間に関連性があることが判明した (論文)。
リチャードソン氏が共著者となった 2021年の研究では、消毒副生成物は通常、他の水質汚染物質の 100~ 1000倍の濃度で存在することが示唆されているが、著者らは、どの副生成物が膀胱がん、流産、先天異常と関連しているかは依然として不明であると指摘している (論文)。
この論文の調査結果を受けて、リチャードソン氏と同僚たちは、米国で行われたこの研究において飲料水中の毒性の主な要因であったハロアセトニトリルとヨード酢酸などの規制されていない副産物について、規制対象として検討するよう勧告した。
リチャードソン氏はエポックタイムズに対し、同氏の研究グループの最新の研究は、処理水が処理場からパイプを通って人々の家に届く際に、 66種類の消毒副産物がどのように運命づけられているかを調査したもので、近々発表される予定だと語った。
リチャードソン氏は、配水管は反応炉のようなもので、消毒副産物が生成または分解し続け、時間の経過とともに一部は他の副産物に変化すると語った。
消毒副産物への曝露の低減
最近の環境ワーキンググループ(EWG)の調査によると、高度なパーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル(PFAS)処理技術により、トリハロメタンが平均で 42パーセント削減され、ハロ酢酸のレベルが 50パーセント低下したことがわかった。
しかし、現在米国の水処理施設のうち、こうしたシステムを備えているのはわずか 8%だ。
アメリカ水道協会の連邦関係担当ディレクターのスティーブ・ヴィア氏は、エポックタイムズに対し、水道事業者が副産物を減らすために塩素やクロラミンと組み合わせて使用している技術がいくつかあると語った。
しかし、EPA の表層水処理規則で義務付けられているように、家庭への給水時に水の衛生状態を維持するためには、塩素やクロラミン以外の代替手段は存在しないと彼は指摘した。これらの方法は、水道システムにおいて一般的にベストプラクティスと考えられている。
ほとんどの人は、処理場で自分の飲料水がどうなるかを制御できないが、自宅で潜在的に有害な副産物にさらされることを減らすことは可能だ。
リチャードソン氏は、彼女のグループの研究では活性炭フィルターが消毒副産物の一部を除去できることが示されたが (論文)、現在行われている研究ではこの点についてさらに詳しく調査中だと述べた。
逆浸透システムももう一つの選択肢だ。2017年に Journal of Environmental Health Science and Engineering 誌に掲載された論文によると、逆浸透システムは有機および無機の副産物とその前駆物質を同時に除去できることが示されている (論文)。
リチャードソン氏は、逆浸透はハロ酢酸などの荷電副産物や大きな分子に対して特に効果的であると指摘した。
ウォーターピッチャーのフィルターも曝露を減らすのに役立つが、消費者は水処理装置を購入する前に、それが懸念される汚染物質に対する NSF 基準 (飲料水の安全基準)に認定されていることを確認し、製造元の指示に従って装置を設置および保守する必要があることをアドバイスした。
活性炭フィルターは通常、水道管が家屋に入る箇所(入口)または蛇口につながるパイプに設置される。逆浸透システムは通常、シンクの下に設置され、蛇口に接続される。市販のフィルターシステムのほとんどは、活性炭ろ過と逆浸透ろ過を組み合わせることで、化学物質の除去効果を最大限に高めている。
ろ過システムの設置やピッチャーフィルターの使用は消毒副生成物の削減に役立つが、これらの方法はコストがかかる場合がある。しかし、低コスト、あるいは無償で曝露量を減らす方法がある。
「飲料水をピッチャーに入れて冷蔵庫に保管しておくと、消毒の副産物が消散するので、これも選択肢の一つです」とスティーブ・ヴィア氏は語った。
2019年に Science of The Total Environment 誌に掲載された研究によると、蓋の有無にかかわらず水を保管するとトリハロメタンを最大 47パーセント削減でき、水を 1分間沸騰させてから保管するとこれらの副産物のレベルを最大 92パーセント下げることができるという (論文)。
水に何が含まれているかについて詳しく知りたい人は、地元の水道会社に電話するか、水道会社の Web サイトにアクセスするか、EPA の消費者信頼度レポートの Web ページでレポートを検索することで、水質レポートにアクセスできる。
(※ 訳者注) 日本でも「水道水質に関する基準等」 (プラス都道府県名)などで検索すると、水道水質に関する基準が記載されているページが表示されます。
報告書には通常、規制対象の 4つの副産物、およびヒ素、フッ化物、硝酸塩などの無機汚染物質の濃度が記載される。また、鉛や銅、PFAS、ウランなどの放射性汚染物質の濃度も明らかになる場合がある。報告書には、水が表層水、地下水、またはリサイクル水から供給されたかどうかが示されることが多い。
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