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11月14日にメルマガ「自由という幻想。そして、村上名誉教授によるワクチン後データの発表や3I/アトラスの今」を発行させていただきました。

2025年からの世界 ディストピアへようこそ 人類の未来 人類の覚醒と真実

中国の科学者たちが遺伝子改変で「高齢のサルを生物学的に若返らせること」ことに成功。不老不死医学のスタートか、単なるディストピアの始まりか

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遺伝子を改変した細胞の移植で

中国科学院の科学者たちが、サルの研究で、

「老化を逆転させることに成功した」

ということが報じられていました。

論文はこちらにありますが、そのハイライトには以下のようにあります。

・遺伝子強化された老化抵抗性細胞 (SRC)は抗老化効果を発揮する

・これらの老化抵抗性細胞は霊長類の全身的老化を抑制する

・老化抵抗性細胞は認知機能と生殖機能の若返りを促進する

・老化抵抗性細胞はエクソソーム貨物を通じて老化防止効果を発揮する

内容は結構難解ですが、簡単に書けば、「間葉系前駆細胞」というものがあり、これは、たとえば、

> 脂肪細胞、骨芽細胞、線維芽細胞など、骨や脂肪、結合組織などのさまざまな間葉系細胞に分化する能力を持つ細胞。 Google AI

だそうで、これを遺伝子改変し、改変型の「老化抵抗性細胞」というものを作製し、対象のサルに移植したというものです。

この遺伝子改変は、FoxO3 という、健康寿命や長寿と関係していることが示されているタンパク質が細胞内で恒久的に活性を保ち、保護遺伝子を絶えずオンにするように間葉系前駆細胞というものを操作したのだそうです。

その結果、何が得られたかというと、以下のようなことが見出されたのでした。

・骨:骨密度が維持、あるいは改善さえ示した

・認知能力:物体を思い出す能力や迷路を進む能力が著しく改善

・炎症:血液検査で炎症マーカーの急激な低下を示した(慢性炎症の減少)

・臓器の若返り:脳、骨、さらには生殖器官の若返りが明らかに

つまり、「脳から骨まで、すべて若返った」と。

画期的な研究とされていますが、ただまあ、人間の老化と寿命は、どうしても「運命付けられたもの」というように私は考えますので、どうも、こういう科学技術が「仮に」ヒトへの応用でも成功した世の中というのは、どうもこう…ゾクッとします。

遺伝子改変技術による生物学的なものではあるにしても、「トランススヒューマン」的な雰囲気も漂います。

まあ、それでも、研究自体は興味深いものではあります。

ただですね。

人間というのは、他の生物と非常に違った「老い方」をしていまして、こういう老い方をする生物は他にほぼいないのです。

 

 

人間の老い方はもともとが異常

たとえば、人間は赤ちゃんから老人に至るまでに、同じ存在とは思えないほど容貌は変化していきますが……まあ、赤ちゃんとまで言わなくとも、若い時代と、高齢になったときでは、その外観はまったく異なります

実はあまりいないのですよ、老化とともにここまで外観が変わる生物って (場合によっては、まったくいないのかも)。

サカナや昆虫や爬虫類、あるいは他の多くの生物は、成長してから死ぬ直前まで姿はほとんど変わりません。

哺乳類にしたって、犬や猫や馬を見ていても、多少は老化で変化はあるかもしれないですが(元気がなくなったりはしますし)、それでも、外見に関しては、人間ほどの変化はない。

「人間は他の生物より長生きだから外見が変化する」という意見もあるかもしれないですが、100年以上生きることもあるゾウガメなども、老後の外見はほとんど変化しません。

ちなみに、このゾウガメというのは、興味深い寿命のパターンを持っていまして、

「ゾウガメ(の一種)は、長生きすればするほど死ににくくなる」

のですね。

人間は、高齢になればなるほど死亡率が上昇していきますが、ゾウガメはまったく逆なんです。

これについては、以下の記事に、研究についてのニュースリリースをご紹介しています。12年前の記事です。

「なぜ老いるのか」という理由がわからなくなった科学界
In Deep 2013年12月12日

 

地球の生命種の寿命に関するグループとしては、

・年を取るにつれて死亡率が上昇する
・年を取るにつれて死亡率が「下がる」
・死亡率が一生を通じて一定

などがあり、すべての生物が人間のように年齢と共に死亡率が上昇するわけではないのです。年を取れば取るほど死ににくくなる生物種も結構あるのですよ。

 

ともかく、中国でのサルを使った「若返り」の研究をご紹介します。

なお、記事中に「ヒドラ」という生物の名前が出てきますが、これは、比較的最近(といっても 10年前)の研究で、

「老化で死なない」

ことが判明している生物です。ヒドラは、幹細胞で自分の体を更新し続けることにより「永久の生命を持つ」ことがわかったのですね。

ヒドラの一種

以下の記事で研究を紹介したことがあります。

確認された「永久の生命」:ヒドラは「老化では死なない」ことを米国ポモナ大学とドイツ・マックスプランク研究所が10年に渡る研究により明らかに
In Deep 2015年12月25日

 

今回の中国の研究は、こういうヒドラの「老化で死なないメカニズム」も参考にした部分があるとは思います。

ここから記事です。





不死のサルではないが、科学者たちは「スーパー」幹細胞で老化を逆転させることに成功した

Immortal Monkeys? Not Quite, But Scientists Just Reversed Aging With 'Super' Stem Cells
zerohedge.com 2025/10/05

要点:

・「スーパー幹細胞」はサルの記憶力を高め、神経変性に対する保護を提供した。

・研究チームは、加齢に伴う骨量の減少を食い止め、検査した61の組織のうち半数以上で活力を回復させた。

・この治療法は有害な炎症を抑え、老化細胞(体全体の老化を促進する老化した非分裂細胞)の負担も軽減した。

中国の科学者たちは、老化に重大な影響を与える可能性のある発見として、 かつては不可能と思われていたこと、すなわち高齢動物を生物学的に若返らせることへの劇的な一歩を踏み出した。この研究は先月、 Cell 誌に掲載された。

長寿と長く結び付けられている遺伝子で人間の幹細胞を強化することにより、彼らは高齢のサルを若返らせ、記憶力を改善し、骨を保護し、炎症を鎮め、数十の臓器にわたって若々しい活動を回復させた。

この研究はまだ動物実験ではあるが、霊長類の老化は回復可能である可能性を実証した最も説得力のある研究の一つだ

 

画期的な成果の背後にある科学

この研究の中心となるのは、骨髄や結合組織に存在する幹細胞のような細胞の一種である間葉系前駆細胞(MPC)だ 。これらの細胞は体のメンテナンスクルーとして機能し、骨、軟骨、脂肪、筋細胞へと分化する能力を持ち、また、近傍組織の自己修復を助ける因子を分泌する。

しかし、他の細胞と同様に、間葉系前駆細胞も私たちと共に老化し、最終的には老化、つまり 永久に退行する状態へと陥る。そして、老化細胞はもはや分裂しなくなる。さらに悪いことに、炎症性分子、瘢痕組織シグナル、その他の「有害な雑音」を放出し、近隣細胞の老化を加速させる。つまり、老化細胞は衰退を広めるものだ。

 

FoxO3タンパク質による修復システムのアップグレード

この疲労を克服するため、研究者たちは長寿遺伝子調節因子として知られるタンパク質 FoxO3 に注目した。健康な若い細胞では、FoxO3 は配電盤のオペレーターのように働き、 DNA 修復経路、抗酸化防御、ストレス耐性プログラムを活性化する。

しかし、老化した細胞では FoxO3 の活性が低下し、損傷を受けやすくなる。

無限に再生可能な淡水生物であるヒドラは、幹細胞の活性維持に FoxO3 に大きく依存している。ヒトもこのタンパク質を共有しており、遺伝子研究では FoxO3 の変異体がヒトの並外れた長寿と関連していることが示されている

不滅の生物ヒドラ

中国科学院の研究チームは、FoxO3 が核内で恒久的に活性を保ち、保護遺伝子を絶えずオンにするように間葉系前駆細胞を遺伝子操作した。

研究者たちは、 DNA 修復、ストレス耐性、ミトコンドリア機能を制御する遺伝子を改変することで、老化抵抗性細胞 (SRC)を作製した。この強化細胞は、人間の 60代から 70代にほぼ相当する高齢のマカクザルに移植された。

この老化抵抗性細胞治療により、加齢に伴う脳の萎縮が緩和され、 複数の臓器や組織が若返ることが分かった

簡単に言えば、間葉系前駆細胞はハードウェア (身体の自然な修復チーム)を提供し、FoxO3 は老化に耐性を持たせるソフトウェア アップグレードとなった。

 

サルの体内で何が起こったのか

結果は驚くべきものだった。

・骨の健康:通常、高齢の霊長類は進行性の骨量減少を示し、これはヒトの骨粗鬆症によく似ている。老化抵抗性細胞を投与されたサルは骨密度を維持、あるいは改善さえ示しており、この治療によって骨格の衰えが改善したことを示した。

・認知能力:記憶と学習の課題についてテストしたところ、治療を受けたサルは治療を受けていないサルに比べて、物体を思い出す能力や迷路を進む能力が著しく優れていた。

・炎症:血液検査で炎症マーカーの急激な低下が明らかになった。慢性炎症は多くの加齢関連疾患の原因となるため、この発見は、老化抵抗性細胞が複数の疾患の根本原因を緩和するのに役立つ可能性を示唆している。

・臓器の活力:治療後のスキャンと生検により、脳、骨、さらには生殖器官の若返りが明らかになった。研究者たちは、この広範な効果はエクソソームによってもたらされたと考えている。エクソソームとは、老化抵抗性細胞から放出される微小な小胞で、若返りタンパク質や遺伝物質を他の細胞に運び、若返りのメッセンジャーとして機能する。

主任科学者の一人であるシ・ワン氏は「若返りの証拠が見られる」と述べた。

 

これがなぜ重要なのか

これまで検証されてきた抗老化戦略のほとんどは、ラパマイシン (免疫抑制作用と抗増殖作用を持つ薬剤)から断食模倣薬まで、主にげっ歯類で効果を発揮してきた。これらの効果を、寿命が長く生理機能が複雑な霊長類に適用することは、これまで困難な目標だった。

この研究はこれまでとは異なる。マカクザルにおける機能的な若返りを示すことで、マウスの生物学的特性と人間の潜在能力との間の溝を埋める研究といえる。この研究結果は、老化が単なる受動的な消耗の結果ではなく、少なくとも部分的にはプログラム可能かつ可逆的であることを示唆している

同様のアプローチが人間にも有効であれば、老化抵抗性細胞は将来、骨粗鬆症や記憶力の低下だけでなく、老化そのものの、より広範な症候群を治療できるようになるかもしれない。

 

しかし、大きな疑問が残る

専門家たちは、結果は有望であるものの、人間への応用が確実ではないことを強調しており、次のような疑問が浮かび上がる。

・安全性:老化耐性細胞は予測どおりに行動するのだろうか、それとも長期間存続してがんリスクを高める可能性はあるのだろうか?

・持続性:効果はどのくらい持続するのか? 数か月なのか数年なのか。あるいは一生、持続するのか?

・提供:このような細胞は大規模に製造できるものなのだろうか? また、体は免疫拒絶反応なしにそれを受け入れることができるのだろうか?

・倫理:こうした治療法は人間に対してどのようにテストされるべきか、そしてそれが有効である場合、誰がその治療法にアクセスできるようになるべきなのか?

「これは画期的な出来事だが、人類の不死性という見出しに飛びつくべきではない」と、ある老年学の独立専門家は述べた。「この研究は、霊長類における全身的な老化は調節可能であることを示している。それだけでも十分に意義深いことだ」

 

未来を垣間見る

今のところ、マカクザルの研究は続いており、移植された細胞から若返りのシグナルが彼らの体から発せられている。

しかし、その意味は計り知れない。科学者が老化に抵抗するように設計された細胞で体の修復機構を補充できれば、医学は個々の疾患を治療するのではなく、疾患の共通の根源に取り組むようになるかもしれない。

かつては SF として片付けられたその構想は、今では科学的事実に近づきつつある。

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