午後過ぎに用事があって、出かけていました。
しばらく歩いていましたら、ふと、
となりましてですね。
「空よ……まだ 6月の中旬過ぎだぞ?」
と言ったところで、太陽放射が止まるわけでもなく(止まったらコワいですが)、トボトボ歩きながら、結局、途中でチューハイを飲んで一息ついている始末でしたが、私の住む漂流教室市では(どんな市だよ)ここのところ、連日、最高気温が 34℃だ 35℃だとなっておりまして。
ウェザーマップの杉江勇次さんによると、
「 6月中旬に梅雨前線が消滅した」
とのことでした。
6月中旬に梅雨前線が消滅するのは、過去 10年のデータでは、「 1%の確率」という異常事態になっているようで、こうなると、「これは異常気象」といえるものなんですが、天気予報を見ましても、この後もずーっと「晴れ」です。真夏の気温が続くようです。
「このまま梅雨前線が復活しなかったら、どうすんだよ」
とも思いますが、しかし、どうにもならないですし。
渇水だとか、農業用水の不作とか、いろいろと問題は出てきそうですが、実に異常ではあります。
私の住むあたりなども中東のような気象状況になっていますけれど、イランとイスラエルの話です。
21世紀の地球での最大の緊張状態
イランとイスラエルの現在の戦争について、最近の記事では、
「イラン側に不利に見える」
というようなことを書きました。
しかし、その後の展開を見ますと、もちろん、今後のことはわかりようもないですが、あくまで現時点では「イランが不利には見えてはいない」のですね。
現在、イスラエルは「イランの攻撃による自国の被害」について検閲をおこなっていて、一般的なメディア報道では、イラン側の被害について語られるところが多いですが、X などのソーシャルメディアでは、
「イスラエルは建国史上最大の攻撃被害に見舞われている」
ことがわかります。
イスラエルの防御の強みは「アイアンドーム」というスラエルが開発した防空システムで、「世界最強」と言われています。
しかし、この 2日間くらい、どうももあまり機能していないように見えるとしか言い様のないほど、イランのミサイルがイスラエルに着弾して、相当な被害を出しています。
イスラエル各地の被害とされる編集映像
We’ll Crush the Zionist Regime. pic.twitter.com/HsOZ6ApHSN
— Daily Iran Military (@IRIran_Military) June 16, 2025
ふと「アイアンドームって、迎撃ミサイルが枯渇したりすることはないのかなあ」と、X の AI である Grok に聞きましたら、以下のように答えていました。抜粋です。
アイアンドームに関する Grok の回答
2024年時点で、イスラエルは(アイアンドーム)10個中隊を運用中とされており、計画では15個中隊まで増強予定です。これに基づくと、即時運用可能なミサイル数は10個中隊で約600発(10中隊 × 60発)と推定されます。
イスラエルは数千発規模の迎撃ミサイルを備蓄している可能性が考えられますが、具体的な備蓄総数は非公開です。
アイアンドームは、同時に対処可能な目標に限りがあり、例えばハマスやヒズボラによる飽和攻撃(数百発以上のロケット弾を短時間で発射)を受けた場合、迎撃ミサイルの消費が急速に進み、備蓄が枯渇するリスクが指摘されています。
特に、ヒズボラが保有する15万発のミサイルに対抗する場合、アイアンドームの備蓄数が不足する可能性があると米当局者が懸念を表明しています。
全文は、こちらにあります。
迎撃ミサイル数は 10個中隊で約 600発使うとして、すでに戦争突入 5日目くらいですかね、になっていまして、毎回のイランからの攻撃に対処しているとすると、イスラエルのアイアンドームはすでに 3000発程度の迎撃ミサイルを使用した可能性があります。
今後も果てしなくイランからの攻撃が続く、あるいは、15万発のミサイルを所有しているとされるレバノンのヒズボラ(イランの支援を受けています)が、イランと同時に攻撃を仕掛けた場合、
「アイアンドームの迎撃ミサイルが枯渇する可能性が高い」
とも思われるのです。
まあ、ここでアメリカが攻撃に介入すれば、また別の話となりますが、まだアメリカが直接介入していないと見られる現時点では、あと数日から十数日、攻撃を受け続けた場合、イスラエルのミサイル防御網が破綻する可能性もそれなりにあると見られます。
「こんな誰でも計算できるような状況が存在して、なんで、イスラエルはイランに奇襲をかけたん?」
とも思いますが、イスラエルには何らかの勝算があるのでしょうかね。
ところで、ガザ戦争が始まった 2023年10月に、「今後の予測される最悪のシナリオ」という文章 (翻訳記事)を寄稿していたフィンランド・ヘルシンキ大学の経済学准教授であるトゥオマス・マリネン氏が、このイラン・イスラエル戦争について新たな投稿をしていました。
少しご紹介します。
欺瞞の時代
このトゥオマス・マリネン氏というのは、2023年10月の時に、以下のような最悪の展開を想定していました。
2023年10月10日時点のマリネン准教授の「最悪のシナリオ」
1. 紛争は地域戦争にまでエスカレートし、米国も直接関与することになる。
2. OPECは石油禁輸で対抗。
3. イランがホルムズ海峡を封鎖。
4. 原油価格は 1バレルあたり 300ドルに達する。
5. ヨーロッパは LNG 不足により本格的なエネルギー危機に陥る。
6. エネルギー価格の大幅な高騰はインフレを再活性化し、中央銀行もそれに応じて対応する。
7. 金融市場と世界の銀行セクターは崩壊する。
8. 米国は債務危機に見舞われ、連邦準備制度はさらなる金融市場救済策の制定を余儀なくされる。
9. オイルダラー貿易は崩壊する。
10. ハイパーインフレが発生する。
「 1 」以外はどれも起きなかったわけですが、イランが直接関係している現在、「 3 」(ホルムズ海峡の閉鎖)あたりからの動きの可能性も出てきました。
今回のマリネン准教授のサブスタック記事をご紹介します。太字はこちらで施しています。
准教授は今回も大変に悪いシナリオを想定しています。
欺瞞の時代
The Age of Deception
Tuomas Malinen 2025/06/17
ここ数日、イラン・イスラエル紛争について多くの情報を得ている。状況は非常に流動的で、プロパガンダが飛び交っている。今日は、この紛争の背景にある戦略的側面について少し考察したいと思う。
週末、イスラエルかイランのどちらかが勝利すれば戦争はすぐに終結すると主張するアナリストたちがいた。
こうした発言には、両国が 50年近くもこの紛争に備えてきたという理解が欠けていることが多い。私は中東の専門家とは言えないが、この地域の歴史についてはかなり文献を読んでいる。
エルサレムを一度訪れたこともあり、ユダヤ人とアラブ人の居住地域やイデオロギーの違いを十分に理解してもいるつもりだ。また、多くのユダヤ人とアラブ人が平和に暮らしたいと願っていることも知っている。
私は当然ながらどちらの側にも立っていないが、ガザにおけるイスラエル国防軍による大量虐殺行為は忌まわしいと感じている。
しかし、いつものように、これらの行為は私や私たちの分析や予測に影響を与えるものではない。事実は、少なくとも 3000年もの間、同じ土地をめぐって両陣営が争ってきたということだ。両陣営とも残虐行為を犯してきた。
とはいえ、私の当初の評価は正しかったと同時に間違っていたとも言えるだろう。先週、金曜日に私は次のように述べた。
> 私たちが問わなければならないのは、テヘラン政権は自国領土内で核爆発を起こすリスクを負う覚悟があるかどうかだ。
私はそうではないと信じたい。私の考えでは、これはイランの報復が限定的になることを意味している。
それは当然のことながら、イスラエルの空爆がどれだけ長く続き、どれほどの被害をもたらすか、そしてテヘランが実用可能な核兵器にどれだけ近づいているかに左右される。
もしイランがすでにその段階に達しているならば、イスラエルへの攻撃は壊滅的なものとなり、迅速に実行される可能性が高い。
イランは私が考えていた以上にイスラエルを激しく攻撃した。しかし、テヘランが核兵器にどれほど近づいているのか、そしてロシアとイランの間で署名された包括的戦略パートナーシップ条約がどれほど包括的なものなのかは、私たちには分からない。
余談だが、プーチン大統領の側近でロシアの哲学者でもあるアレクサンダー・ドゥーギン氏は、イランは攻撃直前にロシアとの軍事同盟を拒否しただろうと(伝えられるところによると)述べている。これは興味深いことだ。
彼によると、これはイランの有力者の一部が依然として西側諸国との合意を望んでいたためだとされている。例えば、イランの首席交渉官であるアリ・シャムハーニ氏は、わずか 2週間前に、制裁の即時解除と引き換えに、イランは核兵器を保有しないこと、濃縮ウランの備蓄をすべて廃棄すること、そして IAEA 査察官がすべての核施設に無制限にアクセスすることを許可することを約束する用意があると述べていた。
彼は現在亡くなっている。
これに関連して、トランプ大統領の動機に関する興味深い分析を 2つ読んだ(こちらとこちらを参照)。1つ目は、トランプ大統領がイランではなくイスラエルを罠にかけ、勝てない紛争に巻き込み、イスラエルの政治ドクトリンの再構築を迫り、米国政治システムにおけるイスラエルの影響力を低減させようとしたというものだ。
もう 1つは、イランの強硬な対応により、米国防総省はゼロサム計算をせざるを得なくなり、米国の資源が限られていることを認めざるを得なくなったというものだ。
戦争が長引けば、米国の資産はウクライナから確実に撤退するだろうが、これはトランプ大統領がこの紛争をどれだけ長く続けられるかについて、かなり厳しい期限を設定する可能性もある。
インド太平洋ドクトリン(台湾)が優勢になる可能性が高いことを忘れてはならない。これは、イスラエルへの「電源プラグ」をいつか抜く必要があることを示唆している。2つの説のうち、私は後者の方がより可能性が高いと考えている。
イランによるイスラエルへの攻撃に関する動画を 2本ご紹介する。
主流メディアとイスラエル政府が伝えているのは嘘だ。もちろんイランも被害を受けてはいるが、 「イランの攻撃による被害は最小限」という主張は信じないでほしい。
1本目は金曜日にテルアビブで、2本目は土曜日にハイファで撮影されたものだ。Grok (AI)はどちらも本物だと確認した。 (※ 動画はページでご確認ください)
最近、イスラエルと米国がアイアンドームに残せる弾薬はわずか 15~ 20日分しかないという信頼できる分析を読んだ。
報道によると、イラン革命防衛隊の将軍は、イランは現在のペースでイスラエルを 6ヶ月間攻撃し続けることができると述べていたという。もしそうだとしたら、計算上はイスラエルに不利だ。
さらに、私が目にした分析はすべて、イランがすでに保有する旧式(20~ 30年前の)ミサイルをすべて廃棄したという結論を示している。つまり、イランが最新鋭ミサイルでイスラエルに与えることができる被害のほんの一部しか、私たちが目にしていない可能性があるということだ。
これらを考慮すると、イランのインフラと指導部を狙った首切り攻撃が失敗した場合(今やその可能性は高いと思われる)、イスラエルにはどのような選択肢が残されているのだろうか。
それはたった 3つしかない。
1. 降伏し、中国とロシアに仲裁を求める。
2. 米国を紛争に直接巻き込むための必死の努力として、イラン付近の米軍基地で偽旗作戦を実行する。
3. イランに核攻撃を仕掛ける。
トランプ大統領が冷静さを保ち、戦争への介入を控えるならば、これらの選択肢が生まれるだろう。
最後に、イランにとっての影響力(同盟国)となり得るもう一つの要因として、パキスタンを挙げておきたい。
伝えられるところによると、パキスタンはイラン当局に対し、イスラエルがイランを核兵器で攻撃した場合、核兵器で報復する意向を確認したという。現時点では、これがイスラエルにとってどれほどの脅威となるのかを判断する能力はないが、調査を進めている。
個人的には、イスラエルとトランプ大統領が飲み込める以上のことをしようとしているのか、それとも次の展開の裏に何か驚くべきものが待ち受けているのか、考えずにはいられない。今週は興味深く、危険で、そして残念ながら命取りとなる週となるだろう。
ここまでです。
これはエゼキエル戦争なのか?
ガザ戦争が始まったときに、以下の記事を書いたことがあります。
・「2023年の911」なのか「偽の黙示録」なのか
In Deep 2023年10月9日
この「黙示録」のひとつに、旧約聖書のエゼキエル書38章と39章に描かれている「エゼキエル戦争」があります。
簡単にいえば、以下のようなものです。
エゼキエル戦争は、旧約聖書のエゼキエル書38章と39章に預言されている、終末におけるイスラエルに対する攻撃と、それに続く神による介入と勝利を描いた戦いのこと。この戦いは「ゴグとマゴグの戦い」とも呼ばれる。
エゼキエル戦争は、ヨハネの黙示録に登場するハルマゲドンと関連付けて解釈されることもあるものですが、現在行われている戦争が、エゼキエル戦争ではないにしても、「近づいている」感じはします。
始まると、どのくらいの期間、どうなるかといいますと、旧約聖書のエゼキエル書には以下のようにあります。
エゼキエル書/ 39章 09節
イスラエルの町々に住む者は出て来て、もろもろの武器、すなわち盾と大盾、弓矢、棍棒、槍を火で燃やす。彼らはそれで七年間火を燃やし続ける。
と、「 7年間」というような年数が出てきます。そういうものへの始まりとなっているのかどうかはわかりませんが、いずれにしても、現在のイスラエルは過去最大の攻撃による荒廃を経験しており、アメリカなどが介入しない限り、厳しい状況は続くと見られます。
イラン国営テレビなどは、今日明日中に「非常に大きなことが起きる」というように述べていますが、それが何かはともかく、今後数日も大変に緊張した状態が続きそうです。
アメリカなどが絡んできた場合、さらに事態は大きなものとなる可能性もあります。
そして、何か間違いがあれば、これがエゼキエル戦争に突き進んでいくのかもしれません。時代的には適合しています。
今から約 100年ほど前に書かれた詩人イェイツの詩『第二の誕生』で、
「ベツレヘムで再臨しようとしているのはキリストではなく不気味な獣だ」
と示唆している時期がまさに今でもあるからです。
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