米国製のバンカーバスターで爆撃されたヒズボラ司令部
Mouniryouniss
イスラエルの暴走は続く
9月27日、イスラエル軍は、レバノンの首都ベイルートに大規模な空爆を行いましたが、その空爆のターゲットが「ヒズボラの司令部ビル」だったことから、また戦争の行方がエスカレーションしていく可能性が出てくると共に、いろいろと不透明になってきています。
ベイルートに対しての空爆は以下のような激しいもので、投稿者は、「何十万人もの民間人が住んでいる場所にこんな絨毯爆撃を行うのか」と憤っています。
Jesus fucking Christ. I have never seen anything like this in south Beirut, not since 2006. This is a carpet bombing of an area with hundreds of thousands of people.pic.twitter.com/tBYODZ71ep
— Séamus Malekafzali (@Seamus_Malek) September 27, 2024
さらには、
「この空爆でヒズボラの指導者が死亡したかもしれない」
という話が出ており、非常に緊迫した局面にあるようです。
ヒズボラの指導者は、ハッサン・ナスララ師という人なのですが、空爆後に応答がないために、「死亡あるいは負傷した可能性が高い」と、イスラエルや西側のメディアは伝えています。
安否について情報が交錯するヒズボラの指導者ナスララ師
presstv.ir
もっとも、イスラエル側の報道と、たとえばイランなどとの報道は真逆にはなっています。
(イスラエル紙の報道のタイトル)
イスラエルはヒズボラ本部爆撃でナスララを標的とし、ナスララは死亡したとの確信が強まっている
Time of Israel 2024/09/24
いっぽう、イランでは以下のように報じられています。
(イランの報道)
ヒズボラ筋によると、イスラエルの空爆後ナスララ師は無事
Press TV 2024/09/27
以下はイランの報道です。
イラン国営プレスTVより
ヒズボラの治安筋はプレス TV に対し、ヒズボラ抵抗運動の指導者サイード・ハッサン・ナスララ師は安全な場所におり、ベイルートの南郊に対する最近のイスラエルの空爆による被害は受けていないと伝えた。
この声明は、ナスララ氏が 9月27日にイスラエル政権によるベイルート南部のダヒヤ地区への大規模な空襲の標的になったことを示唆するソーシャルメディア上で広まっている噂を受けて出されたものだ。
報道によると、ヒズボラ執行評議会議長サイード・ハシェム・サフィディン氏は無事であり、イランのタスニム通信はレバノンの情報筋の話として、イスラエルのテロ攻撃でヒズボラの司令官が殉教したことはないと伝えた。
ベイルートの南郊外に対する、このイスラエルの侵略の結果、6棟の建物が破壊された。レバノン保健省は、この攻撃で少なくとも2人が死亡し、76人が負傷したと発表した。
イスラエル軍のラジオは、F-35戦闘機がバンカーバスターを使用して攻撃を実行したと伝えた。
安否がどちらかはわからないですが、ただ、空爆後にヒズボラからの反応やメッセージがまだ出ていないことは確かなようです。
そして、さらに事態が複雑化しているのは、先ほどの激しい空爆で使用された兵器が、「アメリカ製のバンカーバスター」だったとジャーナリストが伝えていることです。
このジャーナリストは、以下のように述べています。
ジェレミー・スカヒル氏の投稿より
現在、ナスララ師の運命に大きな注目が集まっている。イスラエルがベイルートの人口密集地域に投下した米国製の巨大な爆弾で、何人が亡くなったのかはまだわからないが、非常に大きな数字になるはずだ。
米国はさまざまな方法で、イスラエルが「自衛」や「テロリスト」殺害の名の下に、米国の武器により好きなだけ民間人を殺害しても罰せられないという教義を推進することを可能にした。
ベイルートで私たちが目撃しているのは、米国とイスラエルが暗殺を正当な政策として数十年にわたって常態化してきた結果だ。「悪者」を殺すために民間人が何人死ぬかは問題ではない。
バンカーバスターは、日本語では「地中貫通爆弾」と呼ばれる以下のようなもので、地表だけではなく、「建物の地下も破壊する」爆弾です。
地中貫通爆弾は、航空機搭載爆弾の一種。硬化目標や地下の目標を破壊するために用いられる。高速度で落下することでコンクリートや盛土などの遮蔽物を貫通し、目標に到達したのちに爆発する。
遮蔽物の貫通能力は、自由落下のみの場合で粘土層を 30m、ロケットブースターによる加速があった場合は鉄筋コンクリート壁を 6.7m貫通したとされる。
アメリカ側は、「イスラエルからの事前通告はなかった」として、この攻撃が行われるのを「知らなかった」としています。
ヒズボラの指導者の安否は不明ですが、このヒズボラ司令部への空爆という事態を受けて、ヒズボラを支援しているイランの最高指導者であるアヤトラ・アリ・ハメネイ師が、
「最高国家安全保障会議の緊急会議を招集した」
ことをニューヨークタイムズが伝えています。
また、イラン最高指導者顧問のアリ・ラリジャニ氏という人は、以下のように国営テレビに述べたと報じられています。
「イスラエルは越えてはならない一線を越えており、状況は深刻になっている」
少し前の「戒厳令下のイスラエルは戦闘を急拡大し…」という記事でも書きましたが、イスラエルの暴走が途方もないレベルになってきています。
先ほどのジャーナリストが書かれていたように、
「自衛やテロリスト殺害の名の下に、米国の武器を使って、好きなだけ民間人を殺害しても罰せられないという教義」
のもとに暴走をエスカレートさせているわけです。
なお、実は、この攻撃が行われていた日に、イスラエルのネタニヤフ首相は「国連総会で演説していたのでした。
正確には、国連での演説が終了してから 30分ほどで、イスラエル軍の空爆が開始されました。
この時の演説全文が、タイムズ・オブ・イスラエル紙に掲載されていまして、さすがに全部は長いですが、冒頭は以下のように始まります。
イスラエルのネタニヤフ首相の2024年9月27日の国連演説冒頭
皆様、私は今年ここに来るつもりはありませんでした。私の国は戦争状態にあり、私たちは存亡をかけて戦っているのです。
しかし、この演壇に立つ多くの演説者が我が国に対して嘘や中傷を浴びせているのを聞いて、私はここに来て事実を正そうと決心しました。国民のために発言するためにここに来ることを決心したのです。
祖国を代表して、真実を語ります。真実はこうです。イスラエルは平和を求めています。イスラエルは平和を切望しています。
イスラエルは平和を実現するでしょう。しかし、私たちは私たちの絶滅を企む残忍な敵に直面しており、彼らから自衛しなければなりません。
これらの残忍な殺人者、私たちの敵は、私たちを滅ぼそうとしているだけでなく、私たち共通の文明を破壊し、私たち全員を暴政と恐怖の暗黒時代に戻そうとしています。
昨年ここで講演した際、私は、私たちが数千年前、約束の地に入ろうとしていたイスラエルの民にモーゼが突きつけたのと同じ永遠の選択に直面していると述べました。モーゼは、私たちの行動が、未来の世代に祝福を残すか呪いを残すかを決定すると告げました。
そして、それが今日私たちが直面している選択です。イランの絶え間ない侵略の呪い、それともアラブ人とユダヤ人の歴史的和解の祝福です。その演説の後の数日間で、私が語った祝福がより鮮明になりました。
ちなみに、このネタニヤフ首相が演説をしに壇上に登場した時には、国連総会の参加者たちから一斉に「ブーイング」が飛び、そして、かなりの数の人たちが「退席」しています。以下が映像です。
Netanyahu booed at 79th session of UN General Assembly pic.twitter.com/NEykMBR658
— RT (@RT_com) September 27, 2024
今や相当嫌われている感じとなってきているのですが、もうそんなことはお構いなしでしょう。
ネタニヤフ首相の長い演説の最後は以下のように締められます。
ネタニヤフ首相の演説より
私はあなた方に伝えたいことがあります。イスラエルはこの戦いに勝利するでしょう。私たちには選択の余地がないわけで、私たちはこの戦いに勝利するでしょう。
何世代にもわたり、国民が虐殺され、容赦なく虐殺され、誰も私たちを守ろうとはしませんでしたが、今、私たちは国家を築きました。私たちは今、勇敢な軍隊、比類のない勇気の軍隊を持ち、自らを守っているのです。
聖書のサムエル記にはこうあります。
「イスラエルの永遠は揺らぐことはない」
古代からのユダヤ人の壮大な旅、そして現代の嵐と激動を乗り越えた私たちの旅において、その古代の約束は常に守られ、そして永遠に真実であり続けるでしょう。
偉大な詩人の言葉を借りれば、「イスラエルは穏やかに安らかな夜を迎えることはないだろう。イスラエルの灯は永遠に明るく輝き続け、光が消えることに激怒する必要は決してないだろう」ということです。
イスラエルの人々とイスラエルの兵士たちに言います。強く、勇気を持ってください。
「我々はまだ生きている。イスラエルの人々は今も、明日も、そして永遠に生きる」
詩人イェイツが授かった「地球の未来」
あれは…いつでしたかねえ…。1923年にノーベル文学賞を受賞した詩人イェイツのザ・セコンド・カミング(The Second Coming)という詩をご紹介したのは。
ああ、およそ 1年くらい前の以下の記事ですね。
(記事)また詩人イェイツが! 米法律事務所ラザフォード研究所の「人間の顔をした怪物が私たちの自由を破壊する」という記事
In Deep 2023年10月26日
詩人イェイツのことと、この詩は、世界最大の資産運用会社ブラックロック社の元投資マネージャーであるエドワード・ダウドさんが X に投稿していた内容で知りました。リンクに詩の原文があります。
この詩の衝撃の部分は、イエス・キリスト没から 2000年後に、ベツレヘムに再臨するのは、
「キリストではなく、獣」
とした部分です。
この詩についての、津田塾大学の柿原妙子さんの論文の一部を先ほどの記事に載せていますが、以下のように書かれてらっしゃいます。
柿原妙子「怖ろしい『第二の誕生』」より
この謎めいた短い詩が書かれたのは、1918年夏から 1919年にかけてのことである。
結婚して間もないイェイツと妻ジョージは自動筆記のオカルト実験に没頭し、見えない「指導者」との対話を通して明らかになる驚くべき歴史の仕組みに興奮していた。
それによると、2000年近く続いたキリスト教の時代がまもなく終わり、これから新しい時代が始まろうとしているのだった。
「指導者」 はそれを二つの巨大な円錐の運動として説明した。
“The Second Coming” のベースにはこのような時代交替の構造がある。
聖書によれば、磔刑死したキリストは再び世に戻ってくると預言されているが、その知識を持ってこの詩を読んだ者は最後に、これからベツレヘムで生まれようとしているのがキリストではなく不気味な怪物であることに衝撃を受ける。
この詩は、単に「想像」で書かれたものではなく、オカルト的な存在からの「過去と未来の知見」を受けてのものでした。
この論文には、
> それによると、2000年近く続いたキリスト教の時代がまもなく終わり、これから新しい時代が始まろうとしているのだった。
とありますが、その新しい時代は、
「不気味な怪物の時代になる可能性」
を示唆している詩なのでした。
この詩人イェイツの「オカルト実験」(目に見えない存在たちからメッセージを受け取ること)については、イェイツの『ヴィジョン』という著作に詳しく書かれてます…が、その後は、Amazon などでは、常に在庫ナシの状態でして、まあ…私はギリギリで古本を購入できたのですけどね。
あ…今見たら、Amazon に『ヴィジョン』あった。お高いですけど。
この『ヴィジョン』を手にしたときの喜びは、その週のメルマガのタイトルに十分に表されています。
(2023年10月27日の In Deep メルマガのタイトル)
「ヴィジョンの果てにランランラン♪」
ふっざけてるなあ、と自分ながら思いますが、『ヴィジョン』は、ランランラン♪ と踊りたくなるような衝撃的な著作でした。
いずれにしましても、詩人イェイツが見えざる指導者たちから告げられていた「未来の地球」の姿、つまり、モンスターが支配する地球の姿が、現在のイスラエルの動きから、やや想定できる世界になってきているのかもしれません。
今のイスラエルは、確かに獣の出現を想像させる存在です。
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