カート・コバーンのドキュメンタリー「モンタージュ・オブ・ヘック」 (2015年)より
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満たされない彼の心への黙祷
ニルヴァーナというアメリカのバンドがあり、1990年代の初頭で、少なくとも ビジネス的には世界でナンバーワンのロックバンドでした。
そのニルヴァーナのボーカルとギターであり、象徴的な存在であったカート・コバーン(英語での正確な読みはいろいろですが、そのあたりはどうでもいいです)という人が、自殺により亡くなったのは、今から 30年以上前の 1994年4月のことでした。
公式には、「散弾銃で自分の頭部を撃って自死した」ということになっていて、今でもそれが定説となっています。 Wikipedia には以下のようにあります。
> 1994年4月5日、シアトルの自宅で薬物を服用の上、ショットガンで頭部を撃ち抜いて自殺しているのが発見される。 Wikipedia
最近、民間の法医学者チームが、カート・コバーンの死を検証し直し、
「これは殺人である」
とする論文が提出され、それを各メディアが伝えています。
今回は、それを取りあげた英デイリーメール紙の記事をご紹介します。デイリーメールには、論文そのもののリンクがないのですが、おそらく以下の論文だと思われます。
(論文)カート・コバーンの死に関する多角的な分析
A Multidisciplinary Analysis of the Kurt Cobain Death
その内容についてはデイリーメールの記事でおわかりになると思うのですが、何だか私は、これが自死か他殺かということを別にしても、「またカート・コバーンで落ち込ませられるのか」と思わずにはいられませんでした。
カート・コバーンについては、2017年ですから、今から9年くらいの前の In Deep の記事「2015年から加速しているアメリカの「ヘロイン / オピオイド地獄」が人ごとではないと思うのは…」の中盤にある「必ず人を破滅に導くものは」というセクションでふれていますが、当時、カート・コバーンのドキュメンタリーである『モンタージュ・オブ・ヘック』という映画を見たのです。
これは、「人生で映画を見ていて、最もつらい気持ちになった」作品のひとつでした。
いろいろな心境については、先ほどリンクした記事に書いていますけれど、一言でいえば、
「生まれてから死ぬまで愛されることを知らないで生きて、そのまま死んだ」
ということがリアルに伝わる作品であり、まあ……場合によっては、私も心境的にわからないではない面もないではなかったかもしれないからかもしれないですが、途中から涙が止まらなくなり、「こんな不幸な人間がこの世にはいるんだ」と愕然とした次第です。
音楽的な成功というのは、ある意味では、彼の幸福とはほぼ関係がなかったこともわかります。今思い出しても涙が出る映画です。
この映画は、その 9年くらい前に奥さんと一緒にお酒を飲みながら見たのですが、先日、奥さんに、
「あのカート・コバーンのドキュメンタリー、もう一回見てみようか」
ときくと、「絶対にイヤ」と即答したくらいです。10年近く前に 1度だけ見た映画に対して、この反応ですから、人によっては、途方もない絶望感を味わう映画かもしれません(逆にいえば、それだけよくできているドキュメンタリーではあるのですけれど)。
この映画は今は Amazon にもあります。落ち込みたい方はどうぞ。
どのみち、カートは、自死しなくても、ヘロインでどうにかなってしまっていたとは思いますが、その最期が自死ではなく「誰かに殺された」というのなら、何をどう思ったらいいのか…。
カート・コバーンの「声」の衝撃
ニルヴァーナの曲を初めて聴いたのは、メジャーのファーストアルバムが出た頃だと思いますので、1991年とか 1992年とか、そんな頃だと思いますが、情けないことに、初めて聴いたのは、東京・西荻窪の駅のすぐ近くにあった(今はないです)居酒屋チェーンの「つぼ八」で、でした。ここは、常に音楽ビデオが流れていました。
当時は、私がすっかりロックに興味を失っていた頃で(ロックどころか音楽全般)、音楽などはどうでもよくなっていた時期でした。そんな気持ちになったのは、子どもの頃以来、初めてでした。
ともかく、つぼ八で(何だかつくづく情けないシチュエーションだな)友人 4人くらいと飲んでいた時に、ふと、ニルヴァーナの音楽が流れたんです。そして、カート・コバーンの声を聴いた途端、
「え?」
と思って、その音楽ビデオが流れているモニターを見つめました。一緒にいた友人に、「誰これ?」と聞くと、「知らないんですか? ニルヴァーナですよ」と答えられました。かかっていたのは、メジャーのファーストアルバムの 2曲目の「イン・ブルーム (YouTube)」という曲でした。
私が、「この人たちは売れるよ」と言うと、「もうすでにバカ売れしています」とも言われましたが、カート・コバーンの声というのは、私が音楽を聴いてきた中でも最大の衝撃でした。音楽というより「声」の方です。
でも、本当にニルヴァーナの出現は誰にとっても衝撃的だったようで、何かのドキュメンタリー……なんだろう、ヒストリーチャンネルだか何か他の 1990年代のドキュメンタリーテレビで、エルヴィス・コステロさんが、
「セックスピストルズの出現により始まった音楽界の混乱が収まるのに 10年から 15年かかった。それはニルヴァーナの出現までかかった」
と述べていたことがあります。
えーと……ちょっと映像探してみます。
これだ。
どこの何の映像かもうわからないですが、当時、VHS ビデオ作品で持っていました。
ともかく、そういう音楽の歴史の「変化」の大きな役割を果たしたニルヴァーナであり、その中核だったカート・コバーンですけれど、心の中の「真の欲求」は最期まで満たされなかったと考えています。
余談が過ぎましたが、英デイリーメール紙の報道です。
カート・コバーンの死は「殺人」:衝撃的な新たな法医学調査が自殺判決に疑問を投げかける
Kurt Cobain’s death was ‘homicide’: Shocking new forensic investigation questions suicide ruling
dailymail.co.uk 2026/02/10
ニルヴァーナのリードシンガー、カート・コバーンは1994年4月5日、シアトルの自宅でショットガンによる自殺により27歳で亡くなった。
現在、科学者チームが事件の再捜査に取り組んでいる。
カート・コバーンの死はファンに衝撃を与え、音楽界に波紋を呼んだが、数十年経った今、彼の最期の瞬間が改めて検証されている。
ニルヴァーナのリードシンガーであるカート・コバーンは 1994年4月5日、シアトルの自宅でショットガンによる自殺により 27歳で亡くなった。
当時、キング郡の検視官は、彼の死は散弾銃 (レミントン モデル11 20ゲージ)による自殺であると判断した。
現在、非公式の民間法医学者チームが、薬物の過剰摂取とそれに続く銃撃による外傷の事件を担当していた専門家、ブライアン・バーネット氏を招き、コバーンの検死結果と犯罪現場の資料を改めて調査している。
チームに協力した独立研究者のミシェル・ウィルキンス氏はデイリー・メール紙に対し、バーネット氏はわずか 3日間、新鮮な目で証拠を調べただけでこう語ったという。
「これは殺人です。何か手を打たなければなりません」
ウィルキンス氏は、検死結果を徹底的に検討した結果、即座の銃撃による死亡とは矛盾する兆候が明らかになったため、この結論に至ったと述べた。
査読を受けたこの論文は、コバーンが1人または複数の襲撃者からヘロインの過剰摂取を強要されて無力化され、その後、そのうちの1人がコバーンの頭を撃ち、銃をコバーンの腕に押し付け、偽造の遺書を残していったことを示唆する 10点の証拠を提示した。
「検死結果を見ると、『いや、彼は銃撃ですぐに死んだわけではない』ということがわかります」とウィルキンス氏は述べ、酸素欠乏に伴う臓器障害を指摘した。
「脳と肝臓の壊死は薬物の過剰摂取で起こります。散弾銃による死亡では起こりません」
バーネット氏は犯罪現場の分析と複雑な証拠の解釈において数十年の経験を持っている。
彼は、ジェームズ・サボー海軍大佐の死亡事件や、ビリー・ジョー・ジョンソン・ジュニアの捜査など、物議を醸した事件における専門的分析で全国的に評価されており、その綿密な法医学的再構成は、公式の調査結果に異議を唱えるものであった。
検死官事務所の広報担当者はデイリー・メール紙に次のように語った。
「キング郡検死官事務所は地元の法執行機関と協力し、完全な検死を実施し、死因が自殺であると断定するまでのすべての手順を(当時)踏んでいました」
「当局は新たな証拠が出てきた場合、いつでも結論を見直す用意はありますが、今のところこの事件を再度調査するような証拠は見当たらりません」
シアトル警察署の広報担当者はデイリー・メール紙に対し、事件の調査をを再開するつもりはないと語った。
「当局の刑事は彼が自殺したと結論付けており、この見解は当局の見解として引き続き維持されるます」と広報担当者は付け加えた。
デイリー・メール紙はコバーンの検死報告書を検証し、彼の遺体がガレージの上にある温室の床で発見された経緯を説明した。
「コバーンのジーンズの左前ポケットに入っていた雑多な書類を調べたところ、黒インクで「レミントン20ゲージ2-3/4シェルまたはそれより短いセットアップライトショット10888925」と書かれたものが見つかった」と 1994年6月20日の検死報告書には記されている。
ウィルキンス氏は「誰かが映画を演出し、これが自殺であると絶対に確信させたかったようです」と語った。
「銃の領収書は彼のポケットの中にあります。薬莢の領収書も彼のポケットの中にあります。薬莢は彼の足元に並べられていました」
新たな鑑識報告書によれば、コバーンの袖はまくられており、数フィート離れた場所でヘロインキットが見つかり、キャップ付きの注射器、綿棒、ほぼ同じ大きさの黒いヘロインの破片が入っていたという。
(当時)捜査にあたった警察は、コバーンがヘロインの常用者でも摂取するであろう通常の 10倍の量を注射したと述べた。
コバーンの検死結果では、肺に水が溜まり、目から出血し、脳と肝臓に損傷があったことが判明した。
法医学報告によると、こうした所見は、銃撃による急死としては珍しいが、呼吸困難や血流低下を引き起こすヘロインの過剰摂取による死亡ではよくあることだ。
目の出血と臓器の損傷は、彼の体が酸素欠乏状態にあった可能性を示唆しており、それは銃撃だけで起こったものではない可能性が高いとチームは結論付けた。
頭部を撃たれて死亡するケースの大半では、血液が気道に吸い込まれることが多いが、コバーンの検死結果にはこのことが記載されていなかった。
脳損傷により呼吸が止まることもあるが、これは通常、外傷の直後に起こり、このような重度の損傷の場合、気道内にいくらかの血液が流入することが通常予想される。
検死報告書によれば、呼吸を司る脳幹は損傷を受けていなかった可能性が高く、腕の位置からも脳幹損傷でよく見られる硬直した姿勢は見られなかったことが示唆された。
この法医学論文は、承認される前に『International Journal of Forensic Science』の編集プロセスによる査読を受けた。
ウィルキンス氏は、コバーンは致命的な銃撃を受ける前に身体的に無力になっていた可能性があると主張した。
「彼は薬物の過剰摂取で死にかけており、呼吸もほとんどできず、血液もほとんど循環していません」とウィルキンス氏は語った。
「つまり、脳と肝臓に酸素が供給されず、飢餓状態になり、死につつあったのです」
彼女はまた、銃の大きさと構造上、昏睡状態のコバーンがそれを扱えるはずはなかったと付け加えた。
「現場の写真を見れば、あの銃がどれだけ大きいか分かります」と彼女は言った。「昏睡状態で瀕死の状態、そして銃をどう持っていたか想像してみてください…6ポンド (約 2.7キログラム)もあるんです」
現場で見つかったレミントンモデル11 20ゲージ散弾銃。コバーンの死を調査した刑事が所持していた。
コバーンの手の位置と血しぶきがないことから、さらなる疑問が生じた。
彼の左手は銃身の銃口の端をしっかりと握っていたが、散弾銃の薬莢は、予想される排出方向とは反対の、衣服の山の上で発見された。
「つまり、彼はオーバードーズ(ヘロインの過剰摂取)で死にかけていたのです。つまり、昏睡状態なのに、引き金に手を伸ばして口に入れるために、これを持ち上げているんです。それは信じられない」とウィルキンス氏は言った。
チームはこの銃を再現し、「シアトル警察の報告書でカート容疑者の手があったと報告されている前方の銃身に手を置いた場合、銃は薬莢をまったく排出しない」ことを発見したとウィルキンス氏は述べた。
「つまり、あるべきでない場所に砲弾があるだけでなく、ショットガンの砲弾さえあるべきではないのです」
ウィルキンス氏はまた、コバーンの左手が異様にきれいだったことにも言及した。
「(通常の)ショットガンでの自殺の写真を見ればわかるでしょう。それは残酷な光景です。(コバーンのケースのように)手が血まみれになっていない世界なんて、どこにもありません。彼の手は本当にきれいだったんです」
ウィルキンス氏はまた、遺体が移動された可能性を示唆する血痕も挙げた。
「シャツの裾にも血がついています」と彼女は言った。
「シャツに血が付くのは、カートが持ち上げられて頭を下げていた場合だけです」
「彼の手には血がついていません。シャツの他の部分にも血はついていませんが、裾に大きな血痕があります」
遺書とされるものも精査された。「遺書の冒頭はカートの名で書かれています」とウィルキンス氏は述べた。
「自殺については一言も書いていません。基本的に彼がバンドを辞めたいって書いてあるだけです」
彼女は付け加えた。「それから、一番下に 4行あります。メモを見ればわかると思いますが、最後の4行は違う字で書かれています…文字が少し違います。文字が大きくて…走り書きっぽく見えます」
ウィルキンス氏は、チームは(これが殺人事件だとした場合の)逮捕を求めているのではなく、事実の透明性と証拠の再検討を求めていると強調した。
「逮捕しろと言っているんじゃないんです」と彼女は言った。
「私たちが持っていない追加の証拠を、あなた方(最初に捜査した当局)は持っていると言っているんです」
ウィルキンス氏はまた、コバーン氏の自殺により愛する人が命を絶った家族とも話をしたと述べた。
「 2022年、コバーンの自殺を信じた少年が自殺した。模倣自殺は今も続いています」
しかし、事件の再開を求める要請は却下された。
「二人とも『ノー』と答えました」とウィルキンス氏は語った。「つまり、あなた方の証拠を見ることすらしないということです」
彼女にとって、目標はシンプルだ。「もし私たちが間違っていたら、それを証明してください。私たちが彼らに求めたのはそれだけです。」
デイリー・メール紙はキング郡に連絡を取っている。
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