「私がこの偉業を成し遂げた者です」という雰囲気に満ちながら
米ホワイトハウスが、新型コロナの起源に関しての結論についての公式ページを発表していました。
タイトルは、「研究所からの流出 COVID-19の起源の真実」というもので、このタイトルの通り、
「アメリカ政府は公式に新型コロナが研究所から流出したものだと断定した」
内容のものです。
そして、流出元は、中国の武漢ウイルス研究所であることも断定しています。
しかし内容より何より、そのページの表紙がすごい。
以下なんですが、中央にトランプ大統領が立っていて、「私がこの偉業を達成しました」と言わんばかりのページとなっています(苦笑)。
ホワイトハウス「研究所からの流出 COVID-19の起源の真実」表紙
whitehouse.gov
ページの最下部には、 COVID-19 パンデミック特別小委員会という組織による「COVID-19パンデミック後の対応レビュー:教訓と今後の方向性」という PDF 書類がダウンロードができる状態で置かれています。
この PDF 書類が 557ページもあるもので、團伊玖磨氏の「パイプのけむり全シリーズ(27巻)」を読み抜く程度の気合いがないと、とても読めた量ではないですので、読んでいませんが、しかし、その PDF 書類の「 1ページ目」を見るだけで、このホワイトハウスの特設ページと PDF 書類は、共に、
「アメリカの現政権の宣伝の意味合いも強い」
ことがわかります。
たとえば、PDF 書類の 1ページ目には、7つの項目が、短く述べられていますが、その項目「3」には以下のようにあります。
コロナワクチンを迅速に展開させた「ワープスピード作戦」は、第一期目のトランプ大統領が進めたものです。
COVID-19 パンデミック特別小委員会の PDF書類より
3) ワープ・スピード作戦は大成功を収め、将来のモデルとなるだろう。現在では治療薬として分類される方が適切であろうワクチンは、重症化や死亡の可能性を低減することで、間違いなく何百万人もの命を救った。
このように自画自賛となっています。
結局、この書類は、
・バイデン前政権
・中国
を「共に悪者にできる」という意味合いは強いとは思われますが、それでも、ロックダウンやマスクや社会的距離などの方法論のすべてに意味がないと断定し、厳しく糾弾していたりと、今後について多少は良い影響もあるものかもしれません。
ともかく、ホワイトハウスの特設ページに書いてある内容をそのままご紹介します。トランプ氏の勇姿も再掲します。
研究所からの流出 COVID-19の起源の真実
LAB LEAK THE TRUE ORIGINS OF Covid-19
起源
1. このウイルスは自然界には見られない生物学的特性を持っている。
2. データによると、COVID-19 のすべての症例は、ヒトへの単一の侵入に起因している。これは、複数の流出事象が発生した過去のパンデミックとは対照的だ。
3. 武漢には中国最先端の SARS 研究施設があり、バイオセーフティ水準が不十分な状態で機能獲得研究(遺伝子改変および生物のスーパーチャージ)を実施してきた歴史がある。
4. 武漢ウイルス研究所の研究者たちは、COVID-19 が生鮮市場で発見される数ヶ月前の 2019年秋に、COVID のような症状を呈していた。
5. ほぼあらゆる科学的基準から見て、もし自然起源の証拠があれば、すでに表面化しているはずだ。しかし、それはまだ表面化していない。
近位起源論文:
「 SARS-CoV-2 の近位起源」という論文は、公衆衛生当局やメディアが研究室からの漏洩説を信用できないものにするために繰り返し利用したが、これはファウチ博士が COVID-19 は自然界で発生したという好ましい説を推進するために促したものだ。
機能獲得研究:
COVID-19の起源は、機能獲得研究に関わる実験室関連の事故である可能性が最も高い。この危険な機能獲得研究を監督するための現在の政府の仕組みは不完全で、非常に複雑であり、世界的な適用性に欠ける。
エコヘルス・アライアンス:
ピーター・ダザック博士率いるエコヘルスは、中国武漢で危険な機能獲得研究を促進するために、米国の納税者の税金を流用した。特別小委員会が、エコヘルスが国立衛生研究所(NIH)からの助成金の条件に違反していたという証拠を発表した後、米国保健福祉省(HHS)は正式な資格停止手続きを開始し、エコヘルスへのすべての資金提供を停止した。
新たな証拠によれば、司法省がエコヘルスのパンデミック時代の活動に関する捜査を開始したことも明らかになった。
国立衛生研究所の失敗:
国立衛生研究所(NIH)による潜在的に危険な研究への資金提供と監督の手続きは不十分で信頼性に欠け、公衆衛生と国家安全保障の双方にとって深刻な脅威となっている。
さらに、NIH は連邦記録保存法の回避を助長する環境を醸成しており、これはデビッド・モレンズ博士と「情報公開法(FOIA)の女性」マージ・ムーア氏の行動からも明らかだ。
保健福祉省の妨害:
バイデン政権下の保健福祉省(HHS)は、特別小委員会の調査を妨害し、公衆衛生当局の上級職員を有罪にしたり、恥をかかせたりする可能性のある証拠を隠蔽しようと、数年にわたる遅延、混乱、そして無反応のキャンペーンを展開した。HHSは、立法府からの監視要請に対応する部門へのリソース配分を意図的に不足させていたように見受けられる。
エコヘルスによる妨害:
エコヘルス社の代表ピーター・ダザック氏は、公開情報を提供し、スタッフに調査の範囲とペースを縮小するよう指示し、公開前に文書を改ざんすることで、特別小委員会の調査を妨害した。さらに、ダザック氏は議会に虚偽の陳述を行った。
デビッド・モレンズ博士:
ファウチ博士の上級顧問であるデビッド・モレンズ博士は、特別小委員会の調査を故意に妨害し、おそらく複数回にわたり議会に嘘をつき、連邦政府の COVID-19 記録を違法に削除し、NIH 助成金プロセスに関する非公開情報をエコヘルスのピーター・ダザック氏と共有した。
ニューヨーク州による妨害:
ニューヨーク州の行政委員会(現在はキャシー・ホークル知事が率いている)は、文書を編集し、多数の不当な特権を主張し、明白な法的根拠もなく数千もの文書を隠蔽し、パンデミック時代のクオモ前知事の失策に関する特別小委員会の調査を妨害した。
世界保健機関(WHO) :
COVID-19 パンデミックへの WHO の対応は、中国共産党の圧力に屈し、中国の政治的利益を国際的責務よりも優先させたため、惨憺たる失敗に終わった。
さらに、COVID-19 パンデミックによって悪化した諸問題を解決するための WHO の新たな取り組みである「パンデミック条約」は、米国に悪影響を及ぼす可能性がある。
社会的距離:
全国の学校や中小企業を閉鎖に追い込んだ「6フィート(約1.8メートル)」のソーシャルディスタンス推奨は恣意的で、科学的な根拠がなかった。ファウチ博士は非公開の証言で、このガイドラインは「ある意味、突然現れた」と証言した。
マスク着用義務:
マスクが COVID-19 からアメリカ国民を効果的に守ったという決定的な証拠はなかった。公衆衛生当局は、アメリカ国民に科学的データを提供することなく、マスクの有効性について二転三転し、国民の不信感を著しく高めた。
ロックダウン:
長期にわたるロックダウンは、アメリカ経済だけでなく、アメリカ国民の心身の健康にも計り知れない損害をもたらし、特に若年層に深刻な悪影響を及ぼした。
連邦政府と州政府の政策は、最も脆弱な層の保護を優先するどころか、何百万人ものアメリカ国民に、健康で経済的に健全な生活を送るための重要な要素を放棄することを強いた。
ニューヨーク州のパンデミックの失敗:
ニューヨーク州前知事アンドリュー・クオモ氏が 3月25日に発令した、新型コロナウイルス感染症陽性患者の受け入れを介護施設に義務付ける命令は、「医療過誤」に当たる。証拠は、クオモ氏と政権が自らの政策決定による悲劇的な結果を隠蔽し、責任追及を逃れようとしたことを示している。
COVID-19に関する誤情報:
公衆衛生当局は、矛盾したメッセージ、反射的な反応、そして透明性の欠如によって、しばしばアメリカ国民を誤解させている。最もひどいのは、連邦政府が代替療法を悪者扱いし、研究室からの情報漏洩説といった言説を軽視し、 アメリカ国民の健康に関する意思決定を強制し、支配しようとする恥ずべき行為を行ったことだ。
これらの取り組みが失敗すると、バイデン政権は「世界最大のソーシャルメディア企業を強制し、共謀して COVID-19 関連の反対意見をすべて検閲するという、徹底的な検閲」に訴えた。
ここまでです。
この後に、557ページに及ぶ資料が続きます。
ただ、この COVID-19 パンデミック特別小委員会の最終報告書が提出されたのは、「 2024年12月4日」です。5カ月以上前です。
トランプ氏が正式に大統領に就任(2025年1月20日)した時には、すでに存在していたものです。
であるなら、就任と同時に、この「新型コロナ研究所流出説」を公式に報告してもよかったはずですが、公式発表は、それから約 5カ月経った今となっています。
まあ、先ほどの文章で「徹底的に責められている」人たちや組織を見ますと、その理由は何となくわかります。
責められていた人や組織は、
・バイデン政権
・中国
・WHO
・ファウチ博士
・さまざまな民主党員
などで、「今や、みんなトランプ氏の敵」となっている人や組織ではあります。
ですので、公式発表は「地合を様子見しながら」ということだったのでしょうかね。
人工説は5年前には確定していた
先ほどのホワイトハウスの文書の中に、
> このウイルスは自然界には見られない生物学的特性を持っている。
という部分がありますが、これは 2020年3月にパンデミック宣言が出される以前からわかっていました。
2020年1月に、インド工科大学の研究者たちが、
「新型コロナウイルスに HIV のタンパク質が挿入されている」
ことを論文で発表したことがあります。
5年以上前の以下の記事で取りあげています。
・新型コロナウイルスに「HIV」のタンパク質が挿入されていることをインド工科大学の科学者たちが発見…
In Deep 2020年2月1日
この論文には、以下のように書かれていました。
インド工科大学の論文より
新型コロナウイルスのタンパク質は、 SARS と最も近い祖先を共有しているため、その2つのウイルスのタンパク質をコードする配列を比較した。そうしたところ、新型コロナウイルスから、SARS ウイルスにはない、以下の 4種類のタンパク質の挿入が見つかった。(略)
挿入しているこれらの配列は SARS ウイルスのタンパク質に存在しなかっただけではなく、コロナウイルスの他の種にも見られないものだった。
ウイルスがこのような独自な挿入を短時間で自然に獲得することはほとんどあり得ないため、驚くべきことだった。
この 4種のタンパク質の挿入は、最近の臨床患者の分離株から入手可能な新型コロナウイルスのすべてのゲノム配列に存在することが観察された。
これらの挿入源を知るために、さらに解析を進めると、予想外に、すべての挿入がヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)と一致した。
この論文は、後に撤回されましたが、論文の撤回を強制したのが、ファウチ博士であることが、2022年8月になって判明します。こちらの記事で取りあげています。
インド工科大学の研究者のひとりは、「コロナウイルスの生物兵器生産方法」というタイトルのメールをファウチ博士に送り、また、別の感染症の専門家も、ファウチ博士に、
「ウイルスの特徴のいくつかは人工的に設計されたように見える」
という内容のメールを送りますが、ファウチ博士は、それをすべて却下しただけではなく、これらの科学者を「脅した」のですね。
当時のインドのメディア報道より
さらに、インド・マニパル大学の地政学および国際関係学部長であるマダブ・ナルパット教授は、インドのテレビで、ファウチ博士が、「論文を発表した科学者の評判を傷つけ、キャリアを破壊すると脅した」と主張した。
「この研究について発言した科学者は誰でも、その科学者としてのキャリアは破壊されるだろうとファウチ博士から厳しく警告された」とナラパット教授はテレビで語った。
2020年にはすでに完全に明らかになっていた「人工的要素」は、長くアメリカ側からの警告で抑え込まれていたものが今になって発表されたということです。
本当に武漢ウイルス研究所なのか?
しかし何より、今回のホワイトハウスのページでは、流出元を「武漢ウイルス研究所」だと断定していることに問題もありそうです。
私自身は、2020年以来、
「アメリカ発である可能性のほうがやや高い」
と思っています。
昨年の 11月には、元 CDC 所長のロバート・レッドフィールド氏が、以下のように述べていました。
「 COVID-19 を引き起こす SARS-CoV-2 ウイルスはノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究室で『生物防衛プログラム』の一環として開発されたと考えている」
しかし、それ以前の話として、2019年から 2020年初めまでの動向の「事実だけ」を丁寧に探っていくだけで、次第に「アメリカが怪しい」という方向には進むのです。
以下の記事の後半で、それを綿密に追ったスリランカの報道メディアの記事をご紹介しています。
・元CDC長官が「新型コロナウイルスは米国の研究室で作られた可能性がある」ことを示唆。そこから振り返る2019年のコロナ発生時の状況
In Deep 2024年11月25日
米軍生物兵器研究所があった場所にあるフォートデトリック研究所という施設が、2019年8月に突然、「国家安全上の理由により閉鎖」されたという出来事がありました。
その際、フォートデトリック研究所は、CDC の調査も拒否したために、閉鎖の理由は今でもわかっていません。
しかし、閉鎖の後から、例年より異常に早い時期に、アメリカで過去にないほどの大規模なインフルエンザの発生が始まりました。その他にもいろいろなことがあり、先ほどの記事に記しています。
他にも、初期の流行時の「ウイルスの亜種の系統」の問題なども含めまして、自然に考えると、アメリカから最初に流行が始まったと考えるのが妥当なんです。
2020年4月のメルマガで、「新型コロナウイルスがアメリカ軍から武漢にもたらされた資料がさらに次々と」というタイトルのものを発行したことがありますが、以下の記事では、そのメルマガの一部を抜粋しています。
・米中ウイルス発生源戦争 : 中国国営放送の女性アンカーが「コロナウイルスはアメリカの研究所から流出した」と報道する中、ロシアの著名な微生物学者が「これは武漢の研究室で作られた」と発表
In Deep 2020年4月25日
まあしかし、どちらが流出元だったとしても、失われた年数が戻るわけでもなし、そして、日本などでは、いまだに多くの人がマスクをしているような現状であり、「多くのことが変わってしまった」ことを覆すには、大変に長い時間がかかります。
あるいは、一世代くらいは、このままかもしれません。
新型コロナに関しては、発生元がどこかという問題より、「どのように対応すべきだったか」がすべてであり、そして、そのすべてが間違っていたわけです。
しかし、多くの人が従ってしまった。
これが繰り返される限り、今後出るのがどんな感染症であろうと、ディストピア日本の状態は同じなのだと認識します。
>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
▶ ご登録へ進む