歴史上最悪の民族浄化
以前、以下の記事で、ピューリッツァー賞受賞歴のあるジャーナリストのクリス・ヘッジス氏という方の文書をご紹介させていただきました。
・ディープステートは解体され、さらに悪い「シン・ディープステート」の時代が解き放たれる
In Deep 2025年3月8日
アメリカの今後を語る「ディープステートの粛清と独裁への道」というタイトルのわりと強い内容のものでした。
このクリス・ヘッジス氏が、新しい記事を投稿していましたが、ガザで起きていることについての「ジェノサイドの最終章」というタイトルの記事で、これもわりと強烈な記事です。
クリス・ヘッジス氏は、イスラエルが行っていることを「大量虐殺」と断定していて、さらには、
「ガザで行われていることは歴史上最大規模の民族浄化となるだろう」
と述べていました。
今回はこの記事をご紹介させていただこうと思いますが、そう思いましたのは、イスラエルのやり方が次第に本当の意味での非人道的なものとなっていることを目にするからです。
イスラエルはガザへの支援物資をブロックしているため、3月の後半は、ガザへの食糧や医薬品などはまったく入ってきていないと見られます。
そして、「大量飢餓」の問題がますます現実的になっていて、今日などは、「ガザの製パン店がすべて閉店」と報じられていました (翻訳記事)。小麦粉もエネルギーもなく、パンを製造できないのです。
また、イスラエルによる人道支援物資の封鎖以来、ガザの流産率が 300%増加した、という報道もありました。
・イスラエルの援助封鎖によりガザの流産率が300%増加。手足を失った子どもの数は4000人を超える
BDW 25年3月29日
その記事には、以下のようにあります。
国際機関によれば、イスラエルの猛攻により少なくとも 2万5000人の子どもが負傷し、そのうち 3000人から 4000人の子どもが片足以上の切断を余儀なくされており、ガザ地区は住民 1人当たりの子どもの手足の切断者数が世界のどの地域よりも多くなっている。
この「子どもの犠牲者が多い」というのも、イスラエルの攻撃の特徴で、停戦を撤回した 3月18日からの攻撃での死者数は、たった 2日で以下のように報じられていました。
2025年3月20日の報道より
ガザ保健省は、イスラエルの新たな攻撃により、本日夜明け以降少なくとも 95人を含む 710人のパレスチナ人が死亡したと発表した。
そのうちの 1人は新生児だった。さらに 900人のパレスチナ人が負傷しており、その大部分は子どもと女性だ。負傷者の中には、3月2日に発効したイスラエルによるガザ全面封鎖による医療機器の深刻な不足で死亡した人たちもいる。
そもそも、2023年10月7日に始まったこの戦争の目的が、
「イスラエルによるガザの民族浄化だった」
ことが、戦争前に作成されたイスラエルの文書により判明しています。以下の記事の後半で、その流出書類の内容を取りあげています。
・戦争の目的は「イスラエルによるガザの民族浄化計画」であることがイスラエル情報省からの流出書類で判明
In Deep 2023年10月31日
この民族浄化計画も、いよいよ最終段階に入ったようで、ガザの食料は最大で 2週間分しかないと国際機関が発表しています。爆撃をしなくとも、ガザの人たちはどうにもできなくなります。
食糧危機の影響を最も受けるのは子どもですが、どうも、イスラエルは子どもや若い層を主要なターゲットにしているのではないかと思うところがあり、また、多くの攻撃で女性がターゲットになっているのも、女性は子どもを産むことができる存在だからのようにも思います。
パレスチナ人のエネルギッシュな年代の人口が増えないようにするためには、子どもと赤ちゃんと若い女性をターゲットにするということになっているのかもしれません。
ともかく、現代史では見たことのない虐殺と民族浄化が進行しているということになりそうです。
ここからクリス・ヘッジスさんの記事です。オリジナルの記事には、報道などの膨大なリンクが示されていますが、割愛しています。
ジェノサイドの最終章
The Last Chapter of the Genocide
Chris Hedges 2025/03/25
イスラエルは大量虐殺の最終段階に入った。パレスチナ人は死か国外追放かの選択を迫られることになる。他に選択肢はない。
これはジェノサイドの最終章だ。
これは、パレスチナ人をガザから追い出すための最後の血まみれの攻撃だ。
援助のブロックにより食料はない。医薬品もない。避難所もない。きれいな水はない。電気もない。
イスラエルは急速にガザを人間の悲惨さのダンテ風の大釜に変えつつあり、そこではパレスチナ人が何百人、そしてすぐにまた何千人、何万人も殺され、さもなければ彼らは二度と戻れないように追い出されるだろう。
この最終章はイスラエルの「嘘の終焉」を告げるものだ。
二国間解決という嘘。
イスラエルは「民間人を保護する戦争法を尊重している」という嘘。
イスラエルが病院や学校を爆撃するのは、ハマスが拠点として利用しているからだという嘘。
ハマスが民間人を人間の盾として利用し、イスラエルが捕虜のパレスチナ人をイスラエル軍より先に、潜在的に爆弾が仕掛けられているトンネルや建物に強制的に入らせるという嘘。
病院や国連の建物の破壊、あるいは大量のパレスチナ人の死傷者について、ハマスやパレスチナ・イスラム聖戦(PIJ)が責任を負っているという嘘。
ハマスがトラックをハイジャックしたり、武器や軍事物資を密輸したりしているため、ガザへの人道支援が阻止されているという嘘。
イスラエルの赤ん坊が斬首されたとか、パレスチナ人がイスラエルの女性を集団で強姦したという嘘。
ガザで殺された何万人のうち 75%がハマスの「テロリスト」だったという嘘。
ハマスが再武装し、新たな戦闘員を募集していたため、停戦協定の崩壊の責任があるという嘘。
そして今、イスラエルのむき出しの大量虐殺の顔が露わになった。
イスラエルはガザ北部からの撤退を命じたが、そこでは絶望したパレスチナ人が自宅の瓦礫の中でキャンプ生活を送っている。
今や大量飢餓が起こりつつあり、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は 3月21日、小麦粉の備蓄はあと 6日分しかないと発表した。汚染された水や食料が原因の病気で死者も出ている。
爆弾、ミサイル、砲弾、銃弾の容赦ない攻撃で毎日数十人が死傷している。
パン屋、浄水場、下水処理場、病院、学校、救援物資配給センター、診療所など何も機能しなくなるだろう。パレスチナ赤新月社が運行する緊急車両 53台のうち、燃料不足のため機能しているのは半分以下だ。まもなく車両は 1台も機能しなくなるだろう。
イスラエルのメッセージは明白だ。「ガザは居住不可能になる。去るか死ぬかだ 」
イスラエルが激しい爆撃で停戦を破った 3月18日以来、 200人の子どもを含む 700人以上のパレスチナ人が殺害された。
24時間の間に 400人のパレスチナ人が殺害された。
しかし、これは始まりに過ぎない。
大量虐殺に武器を提供している米国を含め、西側諸国はこれを阻止するつもりはない。ほぼ 16か月にわたる絶え間ない攻撃中のガザからの映像はひどいものだった。
しかし、今起こっていることはさらに悪いものになるだろう。
それは、1943年にナチスが行った大量飢餓、大量虐殺など、20世紀の最も残虐な戦争犯罪に匹敵するだろう。
10月7日は、パレスチナ人に対する残虐な扱いと服従を主張するイスラエルの政策と、パレスチナの歴史上における彼らの根絶と排除を求める政策との分岐点となった。
私たちが目撃しているのは、1876年6月のリトルビッグホーンの戦い (1876年に起きたアメリカ陸軍と北米先住民インディアンとの戦い)でジョージ・アームストロング・カスター率いる約 200人の兵士が全滅したことによって引き起こされた瞬間の歴史上(ガザで起きたことと)同等の出来事だ。
その屈辱的な敗北の後、ネイティブ・アメリカンは殺害される予定となり、生き残った人々は捕虜収容所(後に保留地と名付けられた)に強制収容され、そこで何千人もの人々が病気で亡くなり、武装した占領軍の容赦ない監視下で暮らし、貧困と絶望の人生に陥った。
ガザのパレスチナ人にも同じことが起こると予想され、おそらく世界の地獄の一つに放り出され、忘れ去られるだろう。
「ガザの住民よ、これは最後の警告だ」とイスラエルのカッツ国防大臣は脅した。
イスラエルとハマスの間の停戦協定は、3段階で実施される予定だった。42日間続く第 1段階では、敵対行為に終止符が打たれる。
ハマスは、 2023年10月7日に捕らえたイスラエル人の人質 33人(女性、50歳以上、病人を含む)を解放する代わりに、イスラエルに投獄されているパレスチナ人の男性、女性、子供 2,000人以上を解放するとなっていた(3月18日現在、イスラエルは約 1,900人のパレスチナ人捕虜を解放している)。
ハマスは合計 147人の人質を解放し、うち 8人が死亡。イスラエルによると、ハマスに依然として拘束されているイスラエル人は 59人で、うち 35人は死亡したとみられている。
停戦初日にイスラエル軍はガザ地区の人口密集地域から撤退した。
7日目には避難民となったパレスチナ人がガザ地区北部に戻ることが許可される。イスラエルは毎日、食糧や医薬品を積んだ救援トラック 600台がガザ地区に入ることを許可した。
停戦の 16日目に交渉が行われると見込まれている第 2段階では、残りのイスラエル人人質の解放が行われる。
イスラエルは、ガザとエジプトの8マイルの国境に沿って伸びるフィラデルフィア回廊の一部に駐留したまま、ガザからの撤退を完了することになっていた。
これにより、イスラエルは、エジプトへの国境検問所であるラファの支配権を明け渡すことになるはずだった。
第 3段階では、戦争の恒久的な終結とガザの再建に向けた交渉が行われることになる。イスラエルはキャンプ・デービッド合意やオスロ和平協定など、スケジュールや段階を定めた合意に署名するのが常だ。
イスラエルは第一段階で望みをかなえ(今回の場合は人質解放)、その後の段階に違反する。このパターンは一度も破られたことがない。
イスラエルは合意の第 2段階の履行を拒否した。
2週間前、同国は合意に違反してガザ地区への人道支援を阻止した。
また、停戦の第 1段階では、3月15日にガザ地区北部のベイト・ラヒヤでイスラエルのドローンが救援チームを攻撃し、少なくとも 137人のパレスチナ人を殺害した。この中にはジャーナリスト 3人を含む 9人の救援チームが含まれていた。
イスラエルによるガザへの激しい爆撃と砲撃は、ほとんどのパレスチナ人が眠っているか、聖なるラマダン月の間に夜明け前に食べる食事であるスフールの準備をしている間、3月18日に再開された。
イスラエルは、たとえ残りの人質が解放されたとしても、今攻撃を止めることはないだろう。これがイスラエルがガザへの爆撃と包囲を再開する理由としている。
トランプ政権はこの虐殺を応援している。彼らは大量虐殺を批判する人々を「反ユダヤ主義者」と攻撃し、彼らを黙らせ、犯罪者として処罰し、あるいは国外追放すべきだとしている一方で、イスラエルに何十億ドルもの武器を流し込んでいる。
イスラエルによるガザへの大量虐殺攻撃は、入植植民地計画とアパルトヘイト国家の必然的な結末だ。
歴史的パレスチナ全土の占拠とすべてのパレスチナ人の追放は、常にシオニストの目標であった。
イスラエルの最もひどい行為は、1948年 (第一次中東戦争)と 1967年 (第三次中東戦争)の戦争中に発生し、歴史的パレスチナの広大な地域が占領され、何千人ものパレスチナ人が殺害され、何十万人もの人々が民族浄化された。
これらの戦争の間には、東エルサレムを含むヨルダン川西岸でのゆっくりとした土地の盗難、殺人的な襲撃、そして着実な民族浄化が続いた。
しかし、過去の調整されたダンスは終わった。
現在が終わりだ。
私たちが目撃しているものは、パレスチナ人に対する歴史上のすべての攻撃をはるかに上回る。
イスラエルの狂気の大量虐殺の夢、つまりパレスチナの悪夢が実現されようとしている。
それは、私たちや西側諸国が法の支配を尊重し、人権、民主主義、いわゆる西側文明の「美徳」を守るという神話を永遠に打ち砕くだろう。
このイスラエルの蛮行は私たち自身によるものだ。私たちはこれを理解できないかもしれないが、世界の他の国々は理解している。
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