韓国で進められている鳥インフルエンザ・レプリコンワクチンの研究についての記事より。 CEPI
元CDC所長の懸念が現実化したかもしれない
今年 5月に、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の元所長が、「鳥インフルエンザウイルスの機能獲得研究により、大きなパンデミックが発生する可能性がある」と警告を発していたことを記事にしたことがあります。
・元CDC所長の「鳥インフルエンザの機能獲得研究が大パンデミックを引き起こす可能性についての警告」にある一部の欺瞞と一部の真実
In Deep 2024年5月19日
まさに、その懸念が現実になりつつあるというのか、現在、世界中で散発的にヒトへの感染も確認されている鳥インフルエンザ H5N1 が、
「機能獲得研究されたウイルスが漏洩したもの」
であるという可能性についての査読済み論文が発表されています。
論文は以下にあります。
・流行性高病原性鳥インフルエンザH5N1系統2.3.4.4bの近位起源と渡り鳥による拡散
Proximal Origin of Epidemic Highly Pathogenic Avian Influenza H5N1 Clade 2.3.4.4b and Spread by Migratory
その論文の概要の一部には以下のように記されていました。
論文より
現在、さまざまな動物種に影響を及ぼし、散発的にヒトに感染を引き起こしている高病原性鳥インフルエンザ H5N1系統 2.3.4.4b 遺伝子型 B3.13 の可能性のある実験室起源を調査しした。
近似起源は、ジョージア州アセンズのアメリカ農務省南東部家禽研究所とオランダのロッテルダムにあるエラスムス医療センターである可能性がある。
2020年にオランダで HPAI H5N1系統 2.3.4.4b が初めて検出されたことで、以前の機能獲得研究に対する懸念が生じている。
遺伝子解析により、2024年に出現する遺伝子型 B3.13 が、ジョージア州アセンズのアメリカ農務省の家禽研究所で 2021年4月にマガモで H5Nx 系統 2.3.4.4 の連続継代実験が開始された後、2022年1月にジョージア州で発生した遺伝子型 B1.2 にリンクしていることが示されている。
この遺伝子型 B1.2 は、2022年3月にフロリダでバンドウイルカで発見され、突然の新しい適応を示している。
H5N1 系統 2.3.4.4b(遺伝子型 B3.13)の NP 遺伝子は、マガモの鳥インフルエンザAウイルスに由来する可能性が高い。最近のヒトの症例で見つかった重要な変異は、連続継代実験とのリンクの可能性を示唆している。
この内容について、比較的かりやすく説明していた記事をご紹介したいと思います。
なお、最初に書いておきますと、この鳥インフルエンザウイルスが仮に機能獲得実験によるものだとした場合、
「毒性が高まったのではなく、毒性が非常に弱まっている」
ことが注目されます。
そして、パンデミックというのは、実際には、致死率の高いウイルスによるパンデミックよわりも「毒性が非常に弱いウイルス」によるパンデミックのほうが厄介なのです。
以下の記事は、2020年3月9日の記事で、コロナのパンデミック宣言が出される少し前ですが、ジョンス・ホプキンスの科学者が、2018年に
「地球規模の壊滅的な生物学的リスクは、致死率の高い病原体により起きるのではなく、発症しづらく致死率の低い軽い風邪のような病原体により発生する」
ことを述べていたことを紹介したものです。
・[究極のウイルス]人類を破滅に導くパンデミックは、エボラやSARSのような凶悪な病原体ではなく「発症しづらく致死率の低い軽い風邪のような病原体」だと2年前にジョンス・ホプキンスの科学者が警告していた
In Deep 2020年3月9日
新型コロナウイルスというのは、まさにこのような「発症しづらく致死率の低い軽い風邪のような」病原体でした (ただし、風邪とは構造がまるで異なります)。
新型コロナが、仮に機能獲得研究で「感染性や致死率を弱くされたもの」だったとしたなら、兄弟である SARS ( SARS-CoV ) と新型コロナ( SARS-CoV-2 )、あるいは MERS の以下のような比較も納得できます。
これらの数字は、2020年3月当時のもので、実際には新型コロナの死亡率は、それよりはるかに低いものでした。
コロナウイルスの致死率の比較
・MERS → 全体で致死率約 35%
・SARS → 全体で致死率約 10% (65歳以上は致死率 50%以上)
・新型コロナ → 不明確ながら感染しても発症しない人が多いため、致死率は 1%よりはるかに低いと思われます。
実際のところは、2021年までの時点では、高齢者や基礎疾患のある人たち以外のコロナの死亡率は極めて低く、また、ドイツの「全人口の調査」では、健康な子どもの死亡率は「完全なゼロ」でした。
以下にあります。
・ドイツの調査で、基礎疾患のない5歳から17歳の子どもたちの新型コロナでの死亡数は「完全なゼロ」であることが判明。一方、ワクチンによる子どもたちの被害は
In Deep 2021年12月11日
以下はこの記事でご紹介した論文にある表です。
パンデミック(2020年3月)からの15カ月間の年齢別の入院や死亡率
medrxiv.org
一番右側が「死亡数」ですが、
・5歳から 17歳は「完全なゼロ」
でした。
重症化(ICUに搬送される)率も、5歳から 11歳では「 5万人に 1人」という、本当に軽い病原体だったのです。
それでも、社会は 2020年からの 3年間、あれだけダメージを受けたわけで、もちろん、そのダメージのほとんどは、国や保健当局の対策によるものだったとはいえ、またパンデミック等が宣言されたときに同じことが起きないとも限りません。
ともかく、鳥インフルエンザウイルスの論文についての記事をご紹介します。
査読済み研究により、現在のH5N1鳥インフルエンザ株がUSDA研究所から漏洩した可能性があることが判明した
BREAKING - Peer-Reviewed Study Finds Current H5N1 Bird Flu Strain May Have Leaked from USDA Laboratory
MPHNicolas Hulscher, MPH 2024/11/09
疫学者ニコラス・ハルシャー、調査著者ジョン・リーク、臨床医ピーター・マカロー博士が執筆したマカロー財団の研究は、査読を通過し、家禽、水産、野生生物科学誌に「流行性高病原性鳥インフルエンザH5N1系統2.3.4.4bの近位起源と渡り鳥による拡散」が掲載されたばかりだ。
以下は、概要に記載されている私たちの研究の概要だ。
※ この部分は先ほど載せた論文の概要と同じですので、割愛します
CDCによると、2024年の流行中に米国で確認されたH5N1型鳥インフルエンザのヒト感染例は 46件だ。これは、2015年にエジプトで発生した大規模な流行以来、ヒト感染例が急増していることを意味する。
現在ヒトと牛の間で流行している株(系統 2.3.4.4b 遺伝子型 B3.13)は、以前の鳥インフルエンザの発生(エジプトでの発生、ヒトの症例の致死率:34% )と比較して、致死性が大幅に低下している。
この致死性の低下は、アメリカ農務省の研究所での機能獲得継代培養によって獲得された適応によるものと考えられ、これにより宿主範囲が拡大し、哺乳類における毒性が低下したと考えられる。
これまでのところ、米国では H5N1 によるヒトの死亡者は 0人だ。WHO によれば、最も一般的に報告されている症状は、結膜炎(ピンクアイ)と軽度の呼吸器症状だ。
現在、家禽類(2024年4月以降、商業用家禽 45群と家庭内飼育鶏 30群、計 2,237万羽が感染)と牛(2024年3月以降、米国 15州の乳牛 440群)で、機能獲得研究株と疑われるウイルスが広範囲に感染拡大している。
しかし、これらの数字は、大規模な PCR 検査によって誤って膨らんでいる可能性が高い。
また、農場で PCR が数例検出されただけでも、政府は無謀にも数百万羽の鶏の殺処分を命じている。
FDA (アメリカ食品医薬品局)はすでに、CSLセキーラス社が開発し、アメリカ生物医学先端研究開発局 (BARDA) がスポンサーとなっている H5N1 型鳥インフルエンザワクチン(AUDENZ)を承認している。
臨床試験の 1 つでは、現在世界中で人体への使用が認められている AUDENZ を注射された人の死亡率は、プラセボ投与群の 0.1% に対して 200人中 1 人 (0.5%) だった。
バイオ医薬品複合体は、この株が人間に完全に適応し、モデルナ社が開発した鳥インフルエンザ mRNA ワクチン、または、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)が資金提供した H5N1 レプリコン(自己増幅)注射を展開できるようになることを望んでいる。
重要なポイントは次のとおりだ。
1. PCR検査で陽性と判明した場合にウイルスを「根絶」するために殺処分(健康な群れ全体を大量殺処分)を行うという方法は無駄であり、食糧供給を制限することになるかもしれない。
現在の H5N1 系統 2.3.4.4.b 株は、これまでのところ、鳥類や哺乳類において剖検やレントゲン写真で確認された致命的な肺炎を引き起こしていない。
2. H5N1 の宿主範囲が渡り鳥や哺乳類に拡大したのは、機能獲得型の連続継代研究と実験室からの漏洩の結果として発生した可能性が高い。
3. H5N1 の伝染力が増すと、毒性は低下する。従って、東南アジアの事例から得た従来のヒト死亡率を使用するのは適切ではない。米国では鳥インフルエンザによるヒトの死亡例はこれまで一度もない。
4. バイオ製薬複合体によって広められた恐怖をあおる宣伝は、ワクチン製造業者とそのNGO支援者との有利な事前購入契約によって、動物と人間の大量ワクチン接種を促進するために設計されている。流行が拡大しているパンデミックへの大量ワクチン接種は、ワクチン接種を受けた人々のウイルス耐性株を促進するため、間違いである。
5. 多くの人が予想するように、将来的にヒトからヒトへの感染が起こった場合、それは人類に危害を加えることを目的として長年続けられてきた機能獲得研究の産物となるだろう。
ここまでです。
鳥インフルエンザワクチンのレプリコンも開発されているのですね。
鳥インフルエンザのレプリコンワクチン
感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)という組織のウェブサイトに、「 CEPI は将来の疾病 X から身を守るために韓国での新しい mRNA ワクチンの開発を支援している」という 2023年12月の記事があり、ここに以下のようにありました。
感染症流行対策イノベーション連合のウェブサイトより
韓国の忠北国立大学の革新的な技術は、将来の流行への対応を加速するだけでなく、mRNAワクチンへのアクセスも向上させる可能性がある。
自己増幅設計は、体に mRNAを複製するよう指示することで機能し、これにより生成されるタンパク質の量が増幅され、抗原の量が減少し、ワクチンの投与量が少なくて済むようになり、ワクチンのコストが削減される。
忠北国立大学ワクチンの特徴的な設計では、mRNA の典型的な特徴である 5'キャップを別の修飾に置き換えることを提案しているため、コストはさらに削減される可能性がある。
「5'キャップ」というのは、天然の mRNA の先頭側にある構造で、ここをさまざまに「修飾」する研究がさかんに行われているようです。要するに合成 mRNA を作り出す研究です。
いずれにしても、コロナもレプリコン、鳥インフルエンザもレプリコンという流れになっているようですね。
この感じでは、他のさまざまな感染症もレプリコンで、という感じになるのでしょうか(承認されるのは日本くらいしかなさそうですが)。
レプリコンの懸念については、ミラノの分子腫瘍学研究所の荒川 央さんがご自身の note に何度も書かれています。記事一覧から複数の記事にアクセスできます。
今年 10月14日の記事の冒頭は以下のようなものでした。
荒川 央さんの note 記事より
レプリコンワクチン (自己増殖型mRNAワクチン) は体内で自己増殖するワクチンです。そしてRNA複製には修復の機構が無いため、増殖の際には変異が起こります。それに加え懸念となるのは、レプリコンワクチンと野生のウイルスとの間で組換えが起こり、本来存在しなかったはずの新規ウイルスを生み出す事です。
2024年8月にオランダとオーストラリアの国際的共同研究により、レプリコンワクチンと野生のウイルスが組換えを起こし得る事が報告されました。
コロナのレプリコンを迅速に承認して、人々もわりと抵抗なく受け入れた日本ですので、鳥インフルエンザウイルスのレプリコンワクチンも日本でなら承認・展開される可能性もありそうです。
これから、どうなっちゃうんでしょうね。
現状では現在散発的にヒトにも流行している鳥インフルエンザの死亡率は著しく低く、WHO のデータでは、アメリカでは 0人、カンボジアとベトナムで 1人ずつです。
下手すると、普通の風邪より軽い。
しかし、最初のほうに書きましたけれど、こういう「軽い病原体」こそがとても厄介だということがあります。
誰も亡くならないので、じわじわと水面下で感染が広がる。しかも発症さえほとんどしないので、社会的には何か起きている(パンデミックが起きている)とは感じることはないのですが、ここに「 PCR 検査」が投入されると事情は変わります。
感染したかどうかさえ自分ではわからないような軽い風邪でも、「検査すればウイルスが検出される」からです。
その後、たとえばレプリコンワクチンが展開された歳に、荒川 央さんが書かれていたような、
「レプリコンワクチンと野生のウイルスとの間で組換えが起こり、本来存在しなかったはずの新規ウイルスを生み出す」
というようなことが起きると、それからまた新しい事態が発生していく可能性が高まります。
具体的にどうなるかはわかりようがないですが、良いシチュエーションはあまり想像できないように思います。
結局、2020年からの戦争状態は、まったく継続しているということになるのですかね。
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