疾病と公衆衛生の監視企業エアフィニティ社のニュースリリースより
airfinity.com
人為が引き起こした「病気の時代」
世界的な疾病と公衆衛生の傾向の監視と予測を専門とする英国を拠点とする分析会社のエアフィニティ社が、世界 40カ国の「パンデミック前と比較した」感染症の状況を発表していました。
それが示していることは、
「現在、世界中で免疫の状態がメチャクチャ悪くなっている」
ということでした。
前回書かせていただきました以下の記事の内容とも関係あることなのかもしれません。
(記事)次のパンデミックが「致死率50%」などになるなら、本来は全然恐ろしい流行ではないのですが、今が「106年前と同じ免疫状態なら」状況は深刻かも
In Deep 2024年6月17日
エアフィニティ社の調査によると、主要国に関しては以下のようなことが見られています。
パンデミック前と比較した、いくつかの感染症の増加の状況
・米国におけるインフルエンザの症例はパンデミック前の年と比べて40%増加した。
・中国では、2024年の最初の 4か月間で百日咳の症例が前年比で 45倍に増加した。
・オーストラリアでは、RSウイルス感染症の症例が 1年前と比べてほぼ 2倍に増加している。
・アルゼンチンとブラジルは、史上最悪のデング熱の流行に直面している。
・日本では、原因不明のA型連鎖球菌感染症が急増している。
・麻疹は英国、欧州大陸の一部、米国の 20州で再流行している。
・世界規模では、2022年に結核の新規感染者が 750万人に達し、これは世界保健機関が 1990年代半ばに世界的な監視を開始して以来最悪の数字。
このようなことになっているのです。
日本のA型連鎖球菌感染症に関しましては、日本でも「劇症型溶連菌感染症が過去最多 2023年の患者数を半年で上回る」など、他にもよく報じられています。
もちろん、このような急増の理由は「不明」とされています。
上のリストに、中国の百日咳が「前年比 45倍」というものがありましたが、英国やフィンランドはそれどころではありません。
英国の百日咳の症例は、昨年比「 350倍」となっています。
2023年2月からの英国の百日咳の症例の推移
BDW
フィンランドやチェコ(どちらも、百日咳ワクチン接種率は 100%)でも、異様なペースで百日咳の症例は増え続けています。
フィンランドは 660%の増加です。
フィンランドの百日咳の医療受診の推移(2018年〜2024年)
BDW
…さて、こんなことになった原因はなんでしょうか。
とかいうことを書くのも今さらアレですが、しかし、一般論メディアの世界では、これらを「コロナ(自然感染)の影響」と、「さまざまな感染症に対してのワクチン接種率の低下」とするのですね。
たとえば、冒頭のデータを発表した英国のエアフィニティ社のニュースリリースは以下のようなものでした。
感染症の世界的急増 40カ国以上でパンデミック前の10倍の感染拡大が報告されている
Global surge in infectious diseases as over 40 countries report outbreaks 10-fold over pre-pandemic levels
airfinity.com 2024/06/14
エアフィニティとブルームバーグによる新たな分析によると、麻疹、百日咳、結核、ポリオ、デング熱、コレラなどの病気の流行が世界中で急増していることが明らかになった。
本日発表した調査では、60を超える組織や公衆衛生機関から集められたデータがまとめられており、世界では少なくとも 13種類の感染症が再流行しており、多くの地域で感染者数がパンデミック以前より増加していることが示されている。
40以上の国や地域で、パンデミック前の基準の 10倍以上にあたる感染症の再流行が少なくとも1つ報告されている。
データは、上に示したインタラクティブなスパイク マップで提示されている。このマップでは、病気別の発生状況が示されており、上昇は、COVID-19 パンデミック前の 2017 ~ 2019 年の期間内の単一のパンデミック前のベースライン年と、パンデミック後の年 (2022年以降) の報告された症例数の倍数変化を表している。
私たちの分析によると、今日の流行は3つの主な要因に起因することが明らかになっている。
1つ目はワクチン接種率の低下だ。麻疹、ポリオ、百日咳、結核はすべてワクチンで予防できる。接種率の低下により、人々は脆弱になり、病原体が拡散することになる。
たとえば、麻疹の予防接種率は世界的に低下しており、現在全国的な流行が発生している英国(87%)を含むヨーロッパの 20か国では、2022年に 90%を下回った。
オーストリアでは、2024年の最初の 5か月間の症例数がパンデミック前のピークよりすでに 190%増加しており、記録的な麻疹の流行が発生している。
現在の百日咳の流行は、ウイルスが適応を獲得するための圧力によって部分的に引き起こされ、現在のワクチンの有効性に影響を与える可能性がある、あるいは遺伝的浮動によってこれが起こっている可能性があるという証拠がいくつかある。
スペインは、パンデミック後の 2024年に症例数が 134%増加すると予想されており、百日咳の負担が増加するヨーロッパの国々の 1つだ。フランス、ノルウェー、英国もまもなくパンデミック前のレベルを超えると予想されている。
2つ目は、パンデミックの期間中に集団免疫が全体的に低下したことだ。社会的交流の制限により、インフルエンザ、RS ウイルス (RSV)、マイコプラズマ肺炎、侵襲性 A 群連鎖球菌などの病原体の循環が抑制された。今日の再流行は、パンデミック後に感染しやすい集団が増えたことと、検査と症例報告が増加したことが主な原因だ。
たとえば、米国における昨シーズンのインフルエンザ症例総数は、2019年より 28%増加した。欧州では、昨シーズンのインフルエンザ症例総数は、2019年より 75%増加した。
エアフィニティ社のバイオリスクアナリスト、クリスタン・ピロエバ氏は、以下のように言う。
「麻疹、百日咳、ポリオ、RSウイルスなどの病気の再流行により、ワクチン未接種の子どもが最も大きなリスクにさらされています。これらの病気は、乳幼児の場合、一般成人よりも重症化することが多いのです。十分なワクチン接種率を確保することは、これらの脆弱なグループが重症化するのを防ぐ上で非常に重要です」
「ほとんどの人が熱帯病と考えるデング熱は、非風土病国でも症例が増加しています。気温が上昇し続けると、南ヨーロッパでこの病気が風土病になる可能性があります。エアフィニティ社のデング熱発生に関する世界の概要によると、現在、世界人口のほぼ半数がデング熱感染のリスクにさらされている可能性があります」
「病気の監視と検査の増加も、今日の分析において重要な役割を果たしています。監視能力を強化することで、これらの病気の蔓延をより正確に追跡し、その影響を軽減するためにタイムリーな介入を実施することができます」
ここまでです。
何が理由であれ、「 2024年になって」(自然感染のコロナが原因なら、もっと早くからこのような数値が出る)というのはキーポイントだとは思いますが、ともかく、ここにある専門家の主張の「病気の監視と検査の増加が重要」という話は、
「コロナの対策下のあの馬鹿げた対策をすべての感染症に適用することが大事だ」
と言っているのと同様です。
人々は、本当にすぐにいろいろと忘れますが、「濃厚接触者」という馬鹿げた言葉があったことを思い出していただきたいです。PCR 検査というイカれた検査システム(偽陽性だらけの)があったことも思い出していただきたいと思います。
今の現状では、こういうマッドな思考が、いつ復活しても不思議ではありません。
人類の歴史で、人為的に感染症の流行を抑えたこと、あるいは予防したことは一度もありません。
(記事)調べ続けて知る「ワクチンにより感染症の流行を抑制した歴史はない」ことを示す膨大なデータ。いかなるウイルスも自然の法則で拡大し、そして自然に終息する
In Deep 2021年1月18日
過去 100年、200年の主要国の人類の歴史で最も大きく変化したのは、「栄養状態の改善」と「衛生環境の改善」だったと思います(今は過度な衛生になってしまいましたが)。
子どもや若い人たちの免疫には「胸腺」という器官の働きが重要で、胸腺の発達には、タンパク質が欠かせません(あるいは過度なストレスが「ない」こと)。
(記事)スパイクタンパク質のターゲットが「胸腺」であることがイタリアの研究で判明。小さな子どもたちの胸腺の成長が阻害されると…
In Deep 2023年2月19日
栄養状態の改善と衛生環境の改善がなされている現在に、このような「子どもたちの病気の時代」がやってきているという現実があります。
もちろん、こんなことになった理由をワクチンのせいにすることは理論的に簡単ですけれど、理屈云々より、むなしさを感じるのは、
「馬鹿馬鹿しい行為に殺されていく人類」
という構図に対してでしょうか。
ともかく、先ほどご紹介したニュースリリースのように、世界中で感染症は爆発的に増加していて、今後もおさまることはないと見られます。
この後、夏が終われば、秋が来て冬が来ます。
感染症の流行が当たり前の時期です。
どうなるでしょうね。
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