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4月19日にメルマガ私たち現生人類は「鉄の種族」であることから思う生き方を発行させていただきました。

2019年からの世界 アメリカの憂鬱 人類の未来 拡大する自然災害

アメリカが「黙示録」に突入した可能性。竜巻の発生数が過去に例を見ない「1ヵ月間で500回以上」に達し、ミシシッピ川を含む河川の水位レベルは建国史上最大に

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現在のアメリカの異常な竜巻と洪水について解説する5月28日の米メディアの記事より


End of the American Dream




 

前例のない状態に突入したアメリカ

今年の 3月の終わりに、アメリカに歴史的な大洪水の兆しが見られることについて以下の記事で取り上げさせていただいたことがあります。

アメリカ中西部の大洪水は「真の黙示録への扉」を開けるものとなるのか? : 重大な食糧危機の発生の懸念と、それを発端とした経済・金融・社会の混乱の勃発の可能性が台頭

それから 2ヵ月経ちましたが、現在、ミシシッピ川やアーカンソー川などアメリカ中部の数々の巨大な河川の水位は、「それ以来、1度も低下することなく」上昇を続けているのです。

つまりは、この 2ヵ月間ずっと洪水が進行中なのです。

5月27日 上昇し続けるアーカンソー川の水に飲み込まれたオクラへ州タルサの街並


Tulsa County Sheriff

そして、今現在のアメリカは「竜巻のは発生」がすごいのです。

NOAA (アメリカ海洋大気庁)の統計によれば、アメリカの 5月の竜巻の発生平均数は 280回程度なのですが、今年の 5月は「 500回以上」報告されているのです。

この報告がすべて記録として確認されれば、この 5月は、平年の平均値とは比較にならないような異常な月となりそうなのです。

5月下旬 竜巻が通過した後の米中西部の住宅街


msn.com

冒頭に示しましたアメリカのメディア記事は、最近のそれらの事象について各報道の内容をまとめています。

それをご紹介したいと思います。

なお、洪水について、文中に「 1927年以来の」という表現が何度か出てきますが、この 1927年というのは、以下のような出来事がありました。

ミシシッピ大洪水 - Wikipedia

ミシシッピ大洪水は1927年に起こった、アメリカ合衆国史上最大の被害がでた洪水である。

1926年夏、ミシシッピ中央盆地に大雨が降ることに始まり、9月までにカンサス州とアイオワ州のミシシッピ川支流は飽和状態になった。 1927年初頭にはナッシュビルにおいてカンバーランド川の堤防を水が超える(水位17m)。

ミシシッピ川の堤防は145ヶ所で決壊し、7万平方kmが洪水に襲われた。

そして現在、そのミシシッピ川も、他のアメリカ中央部の河川も、ほぼすべてがこの 1927年の水位の記録を更新するか、更新しようとしています。

しかも、1927年には、「水位の上昇が半年ほど続いた後に洪水に至った」のですが、今年の場合は、まだ3ヵ月ほどしか経過していませんので、どれだけ急激な水位の上昇が起きていたかということを示してもいます。

洪水にしても竜巻にしても、「まったく歴史的な時」に、今のアメリカ中央部はあるのです。

 


This Is Not “Normal”: There Have Been More Than 500 Tornadoes In The U.S. During The Last 30 Days
endoftheamericandream.com 2019/05/28

これは「普通」ではない。過去30日間でアメリカでは500回を超える竜巻が発生している

現在、アメリカの中央部で起きている異常な竜巻の発生回数について、主流メディアは「経験したことのない領域」という用語を使用して説明しようとしている。

しかし、これは、私たちが目撃しているこれらの現象の歴史的な性質の真実を捉えているとは思えない。過去 30日で、アメリカでは 500回以上の竜巻が発生している。 これは普通の状態ではない。

さらには、この 5月28日は、竜巻が 12日間連続で発生した日となり、しかも、すべての日において、毎日 8回以上の竜巻が発生したのだ。

アメリカ中西部の多くの郡コミュニティは、現在「戦争地帯」のように見え、そして、すでに何十億ドル(数千億円)の経済的損害が発生している。 しかも、この危機はまだ終わったわけではない。5月30日には、より強力な暴風雨がアメリカ中央部で猛威をふるうと予測されている。

1998年からの統計によると、アメリカでの 5月の竜巻の発生数の平均値は 279回となっている。ここから見ると、現在の「 30日で 500回以上の竜巻が発生した」という状況は、平均を大きく超えていることを意味する。

msnは以下のように伝えている。

先週だけで、竜巻により、少なくとも 7人が死亡し、数十人が負傷している。連邦政府の天気予報官は、30日の間に 500回以上の竜巻が記録されたと予備報告を報告した。この報告が最終的に確認されたならば、それは非常に珍しい数字となる。

5月28日の夜は、アメリカ中西部の町や市が強力な暴風雨に見舞われ、竜巻がカンザス州東部からミズーリ州まで走り抜けた。竜巻は、カンザス州ローレンスで、木々と電力線をなぎ倒し、近くのリンウッドで家屋を粉砕した。

アメリカ国立気象局によると、戦没将兵追悼記念日(5月27日)の翌日 1日だけで、50回以上の竜巻が発生し、これは、この時点で 12日連続、しかも毎日 8回以上の竜巻の発生があった状態となっていた。

これらの暴風雨と竜巻によって発生した破壊と荒廃の規模は、計り知れない。オハイオ州デイトン郡の消防署長は、テレビメディアの取材に対して「私の町では、多くの一軒家が吹き飛ばされ、集合住宅は建物ごと破壊されました。全域で壁が破壊されています」と述べた。

数え切れないほどの数のアメリカ人たちが自分たちの生活の環境を破壊された。そして、アメリカ中西部は、すでにここ数カ月続いている前例のない洪水の影響からも脱していないのだ。

これまでのところ、ミシシッピ川とミズーリ川に沿った歴史的な洪水に焦点が当てられてきたが、今ではアーカンソー川の水位の上昇に伴う深刻な洪水が過去最悪の記録を更新しようとしている。

ウェザーチャンネルは以下のように報じている。

過去数週間にわたる豪雨は、5月のあいだ、ずっと水位の上昇の記録を更新させ続けた。そして、アーカンソー州とオクラホマ州の一部では河川の洪水が記録的なレベルに増大している。

アメリカ国立気象局によれば、アーカンソー州リトルロックの北西に位置するトード・サック貯水池からオクラホマ州の国境まで、アーカンソー川に沿って記録的な洪水が発生すると予測されており、この影響は夏まで続くと考えらる。

USA トゥディは、以下のように、オクラホマ州とアーカンソー州は「史上最悪の洪水に直面している」と明言した。

オクラホマ州とアーカンソー州は、この地域を到達すると予想される新たな暴風雨は、すでに一部の地域で記録的な水位に達している領域において、史上最悪の洪水に発展させる可能性がある。

5月27日のリポートによれば、オクラホマ州とアーカンソー州全域で、竜巻、強風、雹、大雨が報告されており、多数の人々の避難や高い水準の救助活動が行われている。この暴風雨は、過去 2週間でアメリカ中西部を襲った最も最近のものであり、少なくとも 9人の死者と、強風と洪水による被害の痕跡を残している。

ミシシッピ川の水位の上昇と洪水も続いている。ミシシッピ川の洪水は「過去 90年以上で最悪」と呼ばれており、川の一部では新しい記録がすでに更新されている。USA トゥディは以下のように報じている。

ミシシッピ州のヴィクスバーグでは、2月17日にミシシッピ川の水位が洪水のレベルを超え、それ以来、ずっと洪水状態のままとなっている。 国立気象局は、これは 1927年以来、ミシシッピ川が洪水レベルの水位となった期間として、最も長い期間であると述べた。

ルイジアナ州のバトンルージュでは、ミシシッピ川の水位が 1月上旬に洪水レベルを超えて上昇して以来、ずっとそのレベルを上回り続けている。 この記録的な長期間の洪水レベルの水位の連続と上昇が 6月まで続いた場合、統計が取られ始めた 1927年からの記録を破ることになると国立気象局は言う。

さらに北部では、アイオワ州とイリノイ州でのミシシッピ川の水位が、過去に記録されていた主要な洪水レベルを超えた水位の期間の最長の記録となっており、こちらも 1927年を上回った。

このように今のアメリカで発生している事態のどれも「普通のこと」ではない。そして、この 5月までの 1年間のアメリカは、その歴史の中で最も雨の多い12ヵ月だった。

この異常な雨の多さは、アメリカ中西部の農業にとって壊滅的なことであり、今のところ、2019年のアメリカの農業生産は、予測をはるかに下回ると見られる。今後数カ月のうちに食糧価格が高騰する可能性はかなり高い。

そして、残念なことに、アメリカでは、さらに雨が降り続きそうなのだ。ウェザーチャンネルは、以下のように、今後、別の一連の非常に強力な暴風雨がアメリカ中部を通過する予測をしている。

週明け、アイオワ州からオクラホマ州まで、激しい雷雨が予想され、地域によっては豪雨や洪水、鉄砲水が発生する可能性がある。また、地域によっては、雹嵐となる場所もありそうだ。

水曜日にかけては、テキサス州北部からオクラホマ州、アーカンソー州、ミズーリ州南部にかけて、さらに多くの雨が予想され、すでに進行中の河川の水位の上昇が悪化すると見られており、さらなる洪水が発生する可能性がある。

私たちは、現代のアメリカの歴史の中で、このような気象の年を経験したことがない。気象パターンが狂ってきていると言ってもいいのかもしれない。

しかし、気象のパターンが、さらに異常になった場合、あるいは現在のような竜巻や洪水がさらに頻繁に発生するようになった場合はどうなってしまうのだろう。

その先にあるのは、多くの人たちが予測するのと同じ光景の未来なのかもしれないが、いずれにしても、アメリカに住んでいるのならば、準備と「考えること」は必要だ。


 

ここまでです。

この中で、オハイオ州のデイトンという町の消防署長が、「私の町では、多くの一軒家が吹き飛ばされ、集合住宅は建物ごと破壊され」と語っていますが、それはたとえば、以下のような「竜巻の後の状態」を想像していただるとわかりやすいかと思います。

5月27日 竜巻が通過した後のオクラホマ州の町の様子


ABC News

すべての竜巻がこのような巨大な被害をもたらしているわけではないですが、現象としては同じ「竜巻」という事象が、1ヵ月で 500回も発生していることは事実です。

10日ほど前に、「アメリカで 3日間で 67回の竜巻が発生した」という出来事を以下の記事でご紹介したことがありました。平年の 5月の 1ヵ月平均が 280回ほどだと考えれば、これは異常だと思ったのです。

荒れすぎている気象 : アメリカで「三日間で67回の竜巻が発生する」という驚異的な破天荒の記録が作られる

しかし、今思えば、アメリカは 5月の 1ヵ月で 500回の竜巻に見舞われていたわけですから、3日間で 67回の竜巻の発生というようなことも、そこから考えると、この時だけが異常だったとのではなく、「もう、アメリカはしばらく、このような状態のままとなっている」ようなのですね。

アメリカでの竜巻の発生は 4月から 6月が最も多いために、今後もしばらくは同じような状態が続く可能性があります。

ただ、先ほどのご紹介した記事本文にありました、

> 気象のパターンが、さらに異常になった場合はどうなってしまうのだろう

ということは、私も思います。いよいよ収拾不能の状態の場所が、地域的に次々と出てくることもあり得るかもしれない。

もちん、それはアメリカだけでのことではなく、今後のほとんど全世界に当てはまるかもしれないことですが。

それでも、アメリカの事象は最も劇的で大規模なような気はします。

 

なお、ここにきて、アメリカの「自然災害の被害の大きさの順位」が、大きく変動してきているように思われます。

例えば、以下は、2004年から 2013年までの、アメリカでの極端な気象による自然災害での死者数と、被害額の合計です。


GlobalChange.gov

人的被害は、熱波、竜巻、ハリケーンというような順となっていまして、経済的被害は、ハリケーン、熱波、竜巻というような順になっていますが、今のアメリカは、竜巻が人的・経済的被害どちらも最も大きくなっているように思います。そして今後は「洪水の被害」が、特に経済被害について考えられない影響をアメリカと世界に与えそうです。

アメリカ中西部は、少なくとも夏まではこの試練の時が続くと見られますが、その他の地域でも、今後多くの国や地域で、アメリカとさほど変わらないような「天候の異変」の影響を受けるはずです。

日本については、どうだこうだといえないですが、昨年一昨年がそうだったように、夏以降さまざまな気象の異変に見舞われる可能性はあり得ます。

そして、その後は、これらの問題は、食糧供給などを含めた経済への影響、そして実際の生活への大きな影響へと移行していく懸念があると思われます。

日本で令和が始まった今年 2019年は、いろいろな意味で大きな転換点となる可能性が出てきました。





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