ペルム紀末の大量絶滅を引き起こしたのはメガ・エルニーニョだったという研究
今年後半にかけて、エルニーニョが発生する可能性が非常に高くなっていることにたまにふれることがあります。
予測されている規模までの大きな現象となった場合、1877年以来、150年ぶりのスーパーエルニーニョとなる可能性が言われていますが、この 1877年のスーパーエルニーニョの際には、
「世界で 5000万人以上が飢餓で死亡した」
ことを以下の記事で書かせていただきました。
・大量飢餓の別の要因:エルニーニョが「スーパー」を超えて「メガ」になりつつある。同様の現象が起きた1877年には飢餓により全世界で5000万人以上が死亡した
In Deep 2026年5月13日
そうしましたら、5000万人の人間の死亡どころか、
「地球上の全生物の 90%が絶滅したキッカケを作ったのは、超スーパーエルニーニョだった可能性」
についての論文が、サイエンス誌に掲載されていることを知りました。
2024年9月の以下の論文です。
メガ・エルニーニョ現象がペルム紀末の大量絶滅を引き起こした
Mega El Niño instigated the end-Permian mass extinction
Science 2024/09/12
この「地球上の全生物の 90%が絶滅した」とされているのは、5大絶滅といわれているうちのひとつの「ペルム紀末の大絶滅」で、約2億5000万年前に起きたとされているものです。
これまで原因は明確にはわかっていないままで、今回のサイエンス誌の研究を説明した記事によれば、「複合的だった」ということではあるのですが、
「その決定打がメガ・エルニーニョだった」
という内容です。
まずは、そのサイエンス誌の記事をご紹介します。エルニーニョ発生の理由としては、温室効果ガスの大量放出によって地球の高温化(いわゆる温暖化とされるもの)が進んだことに端を発していたという理屈となっています。
巨大エルニーニョ現象が世界最悪の大量絶滅を引き起こした
Mega El Niños kicked off the world’s worst mass extinction
sciencenews.org 2024/09/12
ほとんどの種が2億5200万年前の大絶滅期に絶滅した。
気候条件の激しい変動が、地球史上最大の大量絶滅を引き起こした可能性がある。
古代の海面水温、海洋と大気の循環、そして陸地がどのように相互作用していたかを再現した結果、地球はほぼ 10年にも及ぶ干ばつ、山火事、洪水に見舞われていたことが明らかになった。
研究者たちは、現在のシベリアで数百万年にわたって発生した巨大な火山噴火によるガス放出が引き金となって地球温暖化が進んだことが、約2億5200万年前の大量絶滅の原因である可能性が高いことを知っていた。
しかし、生態系を激しく揺さぶり、最終的に海洋生物の約 90%、陸上生物の約 75%を絶滅させたのは、その結果として発生した壊滅的な「メガエルニーニョ」現象だったと、研究者たちは 2024年9月13日号のサイエンス誌で報告している。
「今回の研究結果は、これまで私たちが考えていたよりも、絶滅はもう少し複雑な様相を呈していたという、新たな全体像を裏付けるものと言えるでしょう」と、ミネソタ州セントピーターにあるグスタフス・アドルフス大学の堆積地球化学者で、今回の研究には関わっていないエリック・ガルブランソン氏は述べている。
ペルム紀と三畳紀の境界で起こった大絶滅が、なぜ地球上の生命にとってこれほど過酷だったのか、研究者たちは疑問に思ってきた。「現在、地球温暖化が深刻化していますが、地質記録には、これほど生態系に悪影響を与えなかった地球温暖化の事例が他にもあります」と、イギリスのハル大学の古生物学者デイビッド・ボンドは述べる。
ペルム紀と三畳紀の境界で起こった大絶滅が、なぜ地球上の生命にとってこれほど過酷だったのか、研究者たちは疑問に思ってきた。
海面水温の急激な上昇と、それに伴う温暖化した海洋における溶存酸素保持能力の低下は、海洋生物にとって極めて深刻な事態であっただろうが、陸上生物の絶滅を引き起こした原因や、これらの生物がより涼しい極地へ移動できなかった理由は明らかではなかった。
その答えの一部は、古気候におけるはるかに短期的な変動にあるのかもしれない。
「生物種は気候を気にしますが、本当に気にするのは天候です」と、イギリスのブリストル大学の古気候モデル研究者であるアレクサンダー・ファーンズワース氏は言う。
こうした変動には、数十万年以上ではなく、数年単位の気候の変動が含まれる。例えば、今日のエルニーニョ・南方振動(熱帯太平洋の周期的な高温化で、北米北部に熱と乾燥をもたらし、大西洋のハリケーンシーズンを弱め、世界中で干ばつや洪水を引き起こす)は、およそ 1年間続く。
ファーンズワース氏、ボンド氏、そして国際的な研究チームは、2億5千万年以上前の気候パターンがどのようなものだったかを再現した。
研究チームは、古代の魚類のような動物であるコノドントの化石化した歯に含まれる様々な酸素の比率を用いて海水温を算出した。
このデータに加え、地球の大気と海洋の循環パターンに関する最新のコンピューターシミュレーションを用いて、研究チームはペルム紀末期の気候についてより包括的な像を作り上げた。ファーンズワース氏によれば、これは、地球規模の大気と海洋の循環に影響を与えるペルム紀末期の大陸と海洋盆地の形状に関する、より新しく、より正確な理解によって助けられたという。

約2億5200万年前のペルム紀末期に起こった大量絶滅危機の最も暑い時期における、地球全体の月平均地表温度(摂氏)を示している。
地球の広範囲で、年間を通して気温が 40℃以上に達していた。
二酸化炭素濃度が当初約 410ppmから 860ppmへと倍増し、地球の気温が上昇した際、ペルム紀後期に存在した巨大な海洋パンサラシアを主な発生源とするエルニーニョ現象に似た温暖化現象がより激化したことが、研究チームの発見だ。(比較として、現在のCO₂濃度は約 422ppm)時間の経過とともに、こうした変動の期間も長くなり、時には 10年近くに及ぶこともあった。
こうした巨大エルニーニョ現象の影響は、陸上生物にとってすぐに耐え難いものとなっただろう。
二酸化炭素を吸収する森林が焼けて枯れていくにつれ、大気中から吸収される温室効果ガスの量が減り、火山が温暖化ガスを噴出し続けることで、悪循環が繰り返されたとファーンズワース氏は述べている。
「高温化が進み、植生が枯死し、エルニーニョ現象が強まり、地球全体の気温が上昇し、異常気象が再び激化し、結果としてさらに多くの植物が枯死したでしょう」とファーンズワース氏は述べている。地球の広範囲が、猛暑、干ばつ、山火事から劇的な洪水へと急激に変化しただろう。
やがて熱は高緯度地域にも広がり、ますます過酷になる大気から逃れられる場所はほとんど残されなくなった。
「どこも非常に暑くなったため、生物種は、単純に南北に移動することができなくなったのです」とボンド氏は述べている。
結局、多くの種はこの気候変動の激動に適応することができなかった。
今回の研究結果によって、高温化がペルム紀末の大量絶滅をどのように引き起こしたのかがより鮮明に明らかになった今、化石記録そのものからこうした急激な気候変動を読み取る方法があるかもしれない。ガルブランソン氏は、洞窟の鍾乳石や樹木の年輪に保存されている年ごとの記録が、巨大エルニーニョ現象の証拠を示す可能性があると指摘している。
「化石記録の中にこれらの痕跡を探し出す必要がある。絶滅を経験した生物の中に、それらの痕跡を見つける必要があるのです」と彼は言う。
ここまでです。
温室効果ガスの大量放出によっての高温化といっても、この中にありますけれど、計測によると、
「当時の二酸化炭素濃度は 860ppmまで上昇した」
そうで、今は「 420ppm」程度ということで、この頃と比較になるものではないのですが、植物が枯死するほどに大気や気温の状況も生物が生息するには著しく悪化していった、ということのようです。
まあ、現代の地球にこんな派手なエルニーニョは起き得ない(多分)とはいえ、海洋が地上の気温を左右している仕組みは、太古から同じだったのだなとも思います。
さらには、エルニーニョ現象には「宇宙」が関係しています。
結局、すべては宇宙からの作用による
少し前に、アメリカのメリーランド大学ボルチモア郡校の太陽物理学者が、
「太陽活動周期(サイクル)とエルニーニョの規則性を見出した」
ことを以下の記事で取りあげたことがあります。
・エルニーニョの発生時期と太陽活動のサイクルが正確に関係しているという太陽物理学者の見解を知る
地球の記録 2026年5月17日
ご紹介した記事にはこのようにありました。
ロバート・リーモン氏は、太陽の磁気現象であるターミネーション現象に基づいてこの予測を行った。ターミネーション現象は、1つの太陽活動周期を終了させ、次の周期を開始するものだ。 過去 5回の太陽活動周期を平均して「標準周期」を作成し、それを将来に投影したところ、エルニーニョ現象はターミネーション現象の約 5年後に発生することがわかったのだ。
エルニーニョも太陽活動のサイクルの影響下にあるのならば、他の海洋温度の差異による気象への影響現象(数多くあります)も、全体的に太陽の影響である可能性があります。
しかし、さらにいえば、
「では、太陽は独自で駆動しているのか」
という問題があります。
これに関しては、現在の「太陽の標準モデル」では、そうなっていて、太陽は独自のエネルギーで独自に動いているとされますが、以前この太陽の標準モデルに異議を唱えているハンガリーの科学者の文章をご紹介したことがありました。
・「太陽は《外部から》エネルギーを得ている」:ブダペスト工科経済大学の科学者が発表した太陽理論は、現行の標準太陽モデルを100パーセント否定した
In Deep 2017年8月4日
ハンガリー・ブダペスト工科経済大学のジャマール・S・シュライアという科学者で、
「太陽は外部から動力を与えられている」
という主張をしているのです。
彼の研究を紹介したメディア記事では、
> この研究では、私たちの太陽は孤立した天体ではなく、それは私たちの銀河とつながっており、あるいは、太陽がそれを超えた宇宙と永久につながっていることを示唆している。
と記されています。
そういう部分はあるのかなとも思います。
この宇宙には無数の太陽のような恒星があり、その数だけ太陽系のような恒星系がありますが「おおむねみんな同じ」なんです。もちろん「おおむね」ですけれど。
まあしかし、難しい話をするつもりもなく、ただ、「エルニーニョは太陽活動が牛耳っている」ということと、その太陽も、もしかすると、宇宙全体からのエネルギーで駆動しているのかもしれないと考えると、地球で起きる「たかが気温の話」にしても、それが宇宙の支配下にあると考えることは夢のあるものではあります。
そして、そのような作用により、150年前には 5000万人以上の人々が餓死により亡くなり、2億5000万年前には、地球上のほとんどの生物が絶滅したと考えると、そういうスパンは来る時には来るのだろうなとも思います。
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