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米ニューヨークタイムズに、パンデミックでの隔離政策は、子どもに対する歴史上最大の「免疫学的実験」だとする記事が掲載される

投稿日:2020年11月30日 更新日:


DocuSol




 

パンデミック下で忘れ去られている「当たり前の健康観念」

米ニューヨークタイムズに「現在のパンデミック対策は、子どもの重要な免疫発達を阻害している」という内容の意見記事が掲載されていました。

米コロンビア大学の免疫学および外科の教授であるドナ・L・ファーバー博士 (Donna L. Farber)と、同大学の小児科の助教授トーマス・コナーズ博士(Thomas Connors)の共著によるその記事のタイトルは、

「隔離・検疫は子どもの免疫システムに悪影響を与える可能性がある」

というものでした。

記事で2人の医学博士は、現在世界中で行われている隔離やマスクなどの検疫を、「歴史上最大の免疫学的実験に相当する」と呼んでいます。

ほとんどすべてのメジャーメディアが封鎖や検疫そのものに対しての批判的記事を発表することがほぼない中で、これはかなり珍しいことだと思います。まずは、その記事をご紹介します。

 


検疫は子どもの免疫システムに悪影響を与える可能性がある

Quarantine May Negatively Affect Kids’ Immune Systems
NY Times 2020/11/25

新型コロナウイルスのパンデミックの間、世界は無意識のうちに私たち自身の子どもたちに対する歴史上最大の免疫学的実験に相当するものを実施している。

子どもたちを屋内に閉じ込め、彼らの生活空間と彼らの手指を執拗に消毒し、そして子どもたちの大部分を隔離してきた。そうすることでそれらの多くの子どもたちがウイルスに感染したり周囲に感染させることを防いだかもしれない。

しかし、感染の広がりを緩和するための社会的距離の過程で、私たちは、子どもの免疫システムの適切な発達を意図せずに阻害している可能性がある。

ほとんどの子どもは、微生物、食物、環境への曝露によって遭遇する「抗原」と呼ばれるさまざまな種類の異物に反応する能力を備えた機能的な免疫システムを持って生まれる。

有害な病原体の根絶、防御免疫の確立、適切な免疫調節は、「Tリンパ球」として知られる免疫細胞に依存している。新しい病原体に感染するたびに、病原体特異的T細胞が増殖し、ウイルス等の感染性微生物を自らの体から一掃するための調整をするのだ。

その後、免疫機能が強化されたメモリーT細胞として体内に存続するものもある。

時間が経つにつれて、子どもたちはますます多くの種類のメモリーT細胞を発達させていく。これは過去の病原体の曝露の記録として子どもたちの体全身に残り、生涯にわたる保護を提供する準備ができるのだ。

感染性または危険性のない他の抗原曝露の場合、免疫寛容と呼ばれる一種の健康的な膠着状態が生じる場合がある。小児期に学んだ免疫学的記憶と寛容は、成人期を通しての免疫と健康の基礎として役立つのだ。

メモリーT細胞は、生後1年で形成され始め、小児期に蓄積する。ただし、メモリーT細胞が機能的に成熟するためには、特に肺や腸など多数の病原体に遭遇する組織に存在する細胞では複数回の病原体の曝露が必要になる場合がある。

これらの曝露は、通常、自然の中で、友人同士、あるいは教師との交流で、そして遊び場、スポーツなどの子ども時代の日常の経験の間に発生する。

ところが、これら(子どもたちが自然の中で遊んだり、友人たちと遊んだりすること)は現在すべて、ウイルスの拡散を緩和するための取り組みとして完全に減少または停止されている。その結果、子どもたちの免疫記憶の発達に不可欠である病原体への曝露の頻度や程度を変えてしまっている。

免疫システムは、遺伝学や家族やペットへの日常的な曝露など、複数の要因の影響を受けるが、子どもたちから他の人との接触の機会を奪うことや、他の場所への移動、他の物との接触を社会から取り除いてしまうことの長期的な影響は未知の領域のままだ。

現在、小児期の形成期における抗原曝露は、病原体からの保護だけでなく、アレルギー、喘息、炎症性疾患の発生率を減らすためにも重要であるという実質的な証拠がある。

「衛生仮説」と呼ばれるよく知られた理論があり、そこでは、工業社会全体で不適切な免疫反応を伴うアレルギーやその他の免疫障害の発生率が増加していることについて、それは農耕社会から高度に消毒された都市環境への移行の結果であると提案されている。

免疫システムを適切に訓練しないと、深刻な結果を招く可能性があることは多く示されている。

ほぼ無菌状態で飼育された実験用マウスを、標準的な条件で飼育されたペット用マウスと同じケージに一緒に収容した場合、実験用の無菌マウスの一部は、ペット用マウスが影響を受けなかった病原体に屈した(感染・発症した)。

マイクロバイオーム(通常は腸や他の部位に生息する細菌)に関する追加の研究では、無菌状態または抗生物質の存在下で飼育されたマウスは、多くの種類の病原体に対する免疫反応を低下させたことが示されている。これらの研究は、健康な免疫システムを確立するためには、抗原との遭遇がより多様で頻繁であるほど良いことを示唆している。

臨床試験では、幼児期の抗原への曝露あるいは回避が、その後の免疫反応に影響を及ぼすことがすでに実証されている。乳幼児にピーナッツを与えると、ピーナッツアレルギーの発生率が低下したが、ピーナッツを回避すると、ピーナッツに対する望ましくない重度のアレルギー性免疫反応を促進するという逆の効果が見られた。

これらの発見はさらに、子ども時代の形成期の(さまざまなものに対しての)曝露が、無害な抗原を許容しながら病原体に適切に反応する免疫系を発達させるために重要であることを示唆している。

この執拗なパンデミックの間に子どもの健康を促進するために何ができるだろう。

教師、家族、介護者を危険にさらすことなく、人々や環境にさらされることを可能にするための方法というものはあるのだろうか。

ウイルスの拡散を制御するためにマスクを着用するなどの実証済みの対策を採用することで、さらなる制限の必要性が軽減され、子どもたちに不均衡ながら利益がもたらされているだろう。

進行中の SARS-CoV-2 ワクチン試験が大きな期待を示していることは心強いことだ。教師と保護者たちが予防接種を受けるのが早ければ早いほど、子どもたちは学校に戻って通常の日常生活を再開することができる。

これは、(隔離が長引けば長引くほど)制御されていないウイルスの拡散の中で、子どもたちを社会的に遠ざける必要があるほど、子ども時代に通常習得する重要な免疫学の教訓、すなわち何が有害で何がそうでないかを免疫系が学習することができなくなる可能性が高くなるためだ。

特に小中学生の子どもたちにとって、社会的および知的発達に対する長期の仮想学習の影響については、すでに十分に正当化された懸念がある。

子どもの頃の通常の経験を安全に回復し、他の子どもたちと、そして逆説的には病原体や多様な微生物と相互作用することができれば、この変化する世界で、大人として成長する能力をより確実に得ることができるだろう。


 

ここまでです。

この記事をメジャーメディアに掲載するために、両博士は大変気をつかって書いたものと思われます。つまり、マスクの有効性についてもふれ、隔離の有効性についてもふれて、「反逆的な主張ではない」ことを示しています。

ただ、今回はふれないですが、アメリカの医学界でも、マスクや規制やワクチンに関しては意見が完全にわかれています。

 

いずれにしましても、ここに書かれてあることは、パンデミックよりずっと以前から、ブログで書くことがあったことで、最も簡単な言い方をすると、

「赤ちゃんや子どもはいろいろなバイ菌に曝露される必要がある」

ということです。

それで初めて免疫系が強化される。

この博士たちの最大の懸念は、短期的なものではなく、文中の以下の部分だと思われます。

> 免疫システムを適切に訓練しないと、深刻な結果を招く可能性がある

これは文中に、「小児期に学んだ免疫学的記憶と寛容は、成人期を通しての免疫と健康の基礎として役立つ」とありますように、人間の免疫は子ども時代に獲得するもので、そこで免疫を獲得しないと、大人になってから「システムを回復することは不可能」なのです。

パンデミックが起きる以前から、すでに主要国の生活は「異常な清潔」に満ちあふれていて、何でもかんでも「殺菌消毒すればいい」という状態になっていました。その結果として、さまざまなアレルギー疾患や免疫系疾患が止めどなく増加したと考えられています。

このことについて、最初に書いたのは、4年ほど前の以下の記事です。

数百万の「無菌室」が導く崩壊 : 「微生物との共生を拒否した日本人」たちが創り出す未来の社会は
投稿日:2016年12月13日

ただでさえ、そんな過剰な衛生状態の中で、パンデミックと共に、

「歴史上、類を見たことのない消毒社会が出現した」

わけです。

そういえば、パンデミックが宣言されるちょうど1年ほど前に、ピューリッツァー賞を受賞している方が記した、「衛生的すぎる環境は人間の免疫を破壊する」という内容の記事が掲載されたのもニューヨークタイムズでした。

以下の記事でご紹介しています。

人類が花粉症やアレルギーから解放される唯一の手段… : 私たちは、誤った衛生観念を捨てる時に来ていると語るピューリッツァー賞受賞の記者が主張する「人類のこれまでとこれから」
投稿日:2019年4月4日

この記事でコメントを述べていたアメリカの医師のひとりは、以下のようなことさえ述べています。

「床に食べ物を落としたなら、それを拾って食べてください」

「抗菌作用のある石鹸をご家庭から排除して下さい」

とはいっても、拾ったものを食べる人は少なくなったでしょうし、抗菌作用のある石けんを完全に使用しない人も少ない気もします。

パンデミック以前から、世界は「普通の衛生観念」に戻ることが難しい「過度な清潔社会」となっていたところに、現在の過剰殺菌社会が到来したということで、以前から懸念していたことが、さらにエスカレートしていきそうです。

 

とにかく、「過度な消毒は悪いこと」なんです。

 

それ以外の何の意味もない。

特に、子どもには大変に悪いことです。

赤ちゃんや乳幼児にそれをおこなうことは「未来の人生への拷問」に等しい。

普通の生活であれば、獲得できた普通の免疫システムを得る機会を失ってしまうのですから。

あと、マスク社会に関しても、乳幼児の時期にいろいろな人の顔の表情を見ていないと、「人の顔の違いが識別できなくなる」のです。以下の記事でふれています。

乳幼児の「人の顔認識の成長過程」がマスクにより崩壊することにより「人間なんてみんな同じ」というオール失顔症社会がもたらされる日はわりとすぐ
投稿日:2020年10月20日

これも免疫同様に、「後からその認識能力を取り戻すことはできない」ものです。

免疫を失い次々と病気に倒れていく上に、人の顔の違いがわからない若者たちの社会というものが、このままでは本当に生まれてしまいます。

私自身はすでに時は遅いとも思っていますが。

たとえば、今年前半に産まれた赤ちゃんたちは、ほぼ1年近くにわたり親しい人以外の「顔の表情」を見ていない。この「人生最初の時期」は、赤ちゃんたちが最も「認識能力を高める」時期です。

赤ちゃんを外に連れていく理由は、太陽に当てたり新鮮な空気を吸ってもらうだけではなく、「光景と人間を見て、世界を認識してもらう」という大事な時期だからです。

今年産まれた赤ちゃんたちは、「世界というのは顔が白いもので覆われたのっぺらぼうたちが歩く場所なのだ」と認識して成長しているはずです。その間にも、絶え間なく、手指の消毒などをされて、人生最初期の重要な免疫システムを獲得できていない。

私たちは近い未来の社会の様相をある程度覚悟しなければならない段階にいるようです。

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