Kiss my ass
今日は日米揃って…というか、全世界で株価が暴騰しているわけですけれど、「なんで、たった 1人の人間の戯れ言で、こんなに馬鹿げた動揺を繰り返さなければならないんだ?」と何だかもの悲しくさえなります。
それはともかく、現在のアメリカ大統領が、つくづく権力に酔いしれるサイコパスだよなあと感じたのは(まあ、第一期の政権の時から感じ続けていたことではありますが)、4月8日の発言ですね。
相互関税を一時停止すると発表する前の話ですが、夕食会の演説で、
「 Kiss My Ass」
という言葉を使って、「さまざまな国の指導者たちが、『何でもしますから』と物乞いに来ている」と述べていました。
正確には以下です。
ポリティコ紙の記事からの抜粋です。
2025年4月9日のポリティコより
ドナルド・トランプ米大統領は昨夜、米国の関税が発効する中、世界の首脳らは自身と貿易協定を結ぶためなら何でもする用意があると述べた。
トランプ氏はワシントンで行われた共和党全国議会委員会の夕食会での演説で以下のように述べた。
「言っておくが、これらの国々は次々と我々に電話をかけてきて、私の尻にキスをしている (※ kissing my ass)」
「彼らは取引をしたがっている。『お願いです、お願いですから、取引をしてください。何でもしますから』と言っている」
その後、トランプ氏は物乞いをする外国の指導者の真似をした。
┐(´∀`)┌ヤレヤレ
YouTube に、この台詞の部分がたくさん投稿されています。
ちなみに、この kiss my ass という表現は、本来的には、以下のような意味です。
英語 Today より
“Kiss my ass!”を直訳すると、「私の尻にキスをしろ!」という意味になりますが、ここでは文字通りの意味ではなく、「くそくらえ!」、「ふざけるな!」とか「勝手にしやがれ!」などという意味です。
“ass”という言葉が用いられていることからも分かるように、かなり下品な表現で、相手の言ったことに強く反発・憤慨して、相手をひどく侮辱する場合に用いられる表現で使えます。eigo.today
今回の場合は、「相手をひどく侮辱する場合」というニュアンスでしょうか。
この表現は、四半世紀くらい前によく見ていたアメリカのプロレスで、よく使われていまして、特に、私の大好きだったプロレスラーであるストーンコールド・スティーブ・オースティンの台詞は、今でも永久保存版となっているほどの名言として残っています。
狂気の世界は継続中
ともかく、このような「他人に対しての敬意がまるでない」という態度を目の当たりにして、そして、そのような人物の発言で世界が右往左往していることは、とても残念なことです。
日付けをみますと、もう 8年前のものですが、プラウダ紙の「わずらわしいサイコパスたちがこの世界を動かしている」という記事を以下で取りあげたことがあります。
・サイコパスとその理念が世界を動かしている「悪意の時代」の中で
In Deep 2017年3月20日
プラウダの記事に出てくる犯罪心理学の研究者のロバート・ヘア氏という方は、サイコパスの特徴を以下のように簡潔に述べています。
サイコパスのアイデンティティ
「表面的にはとても魅力的で、無限ともいえる自己中心性があり、病的な嘘をつき、冷淡で、目的を達成するために計算し尽くす。衝動的で、自分の行動に責任を持たず、共感の心を持つことがなく、罪悪感がない、また、後悔もない。彼らの危険性は、犯罪的行為の多様性や、強く他人を操作する能力などにより、他の人物によって強調されることだ。他人の意志を覆し、欺き、他人をコントロールする」
プラウダの記事は、以下の文言で締められます。
現在のこの世には「社会に隠された全身全霊の悪意」が存在する。
その悪意は、力の頂点であるサイコパスを選択しているということだろうか。
そして、「サイコパスがシステムの不可欠な部分として機能する」今の社会では、サイコパスたちが、その業績により、大衆から崇拝され、彼らの生き方が模倣されているということになるのだろうか。
タイトルに入れた「 1人のサイコパス王と60億人の奴隷たち」というのは、この数字には特に意味はないですが、結局、多くの人々が「従ってしまう」という意味です。
そして、次第に「慣れて」いく。
昨年書いた記事(「狂気の社会で正気でいること」)で、ジャーナリストのジェームス・コーベット氏という方の文章から抜粋したことがあります。
それはコロナの最初の 3年間の「狂気」について述べたものでした(日本では今でもマスクという狂気が続いていますが)。
コーベット氏は以下のように書いていました。
2023年3月の記事「狂気への反対: サイコパスの投影」より
…政府が人々を家に閉じ込め、最も貧しい人々を飢えにさらすことを強制する過去 3年間の狂気を見て、私たちは、むしろ社会の正気を疑問視し始めたのかもしれない。
そして、「公衆衛生」の名の下に何十億人もの人々に医療介入が行われた。
世界がいかに病んで歪んでいるかを実感することで生じるフラストレーションを感じながら、私はしばしばジッドゥ・クリシュナムルティ(インドの宗教的哲人)の有名な以下の見解を思い出した。
「深刻に病んだ社会にうまく適応することは健康の尺度ではない」
しかし、しばらくすると、この病んだ社会の狂気にも慣れてしまうことにも気づいた。実際、誰でもそうなり得るだろう。
…もちろん、権力の座にある者たちは、自分たちの目的を達成するために、何千人もの同胞を殺すこと、ましてや中東の数え切れないほどの数百万人を殺すことをためらうことはないだろう。
今のアメリカの指導者を見ていますと、中国や北朝鮮の指導者のほうがまともに見えてくるほどですが(日本の指導者は思い出すことさえないですが)、ともかく、上の記事でコーベット氏の言う、
> しばらくすると、この病んだ社会の狂気にも慣れてしまうことにも気づいた。実際、誰でもそうなり得るだろう
は、この 5年間、ずっと見続けてきた光景でもあります。
今日なんて、外を歩いていたとき、ある個人の病院がありまして、いまだに「来院数制限中!」という紙が外壁に貼っており、その横には手書きの「マスクをしてね」という(笑)かわいいメッセージの紙も貼られていました。
「自分で自分の首を絞めてどうする」
と呟きながら歩いていましたが、今でも「 2020年からの狂気」は残り続けています。
思えば、もうずっと狂気の時代を私たちは生きているわけですけれど、反抗しないまでも、ジッドゥ・クリシュナムルティ師の言う
「深刻に病んだ社会にうまく適応することは健康の尺度ではない」
という言葉は今でも重要だと感じます。
以前、アメリカの金融専門家のチャールズ・ヒュー・スミスさんという方の「大いなる狂気が大地を席巻している」という文章をご紹介したことがありました。以下の記事にあります。
・異端が排除される狂気の時代に、カナダの新しいT4作戦による大量死を眺め見て、さてそれをどう感じるか(何も感じなかったりして)
In Deep 2022年12月21日
その冒頭は以下のようなものでした。
「大いなる狂気が大地を席巻している」より
大いなる狂気が大地を席巻している。
貪欲、信憑性、信念、不平等、大げさ、無謀、詐欺、腐敗、傲慢、プライド、行き過ぎ、独善、そして、自分の意見の正しさへの傲慢な自信に際限がなくなっている。
極端さの愚かさが合理性を疲れさせているとしても、極端さはますます極端になるだけになっている。
架空の罪が、無実の人たちに有罪判決を下すためにどこからともなく呼び起こされ、最もひどい詐欺と腐敗の罪を犯した人物たちが救世主として称賛されている。
国民たちの気分は悪化し、苦々しく重い。独善、憤り、権利、恨み…が、国民精神を貧しくしてきた。これらの行き過ぎによって破産し、残っているわずかな宝はささいな復讐の陰謀に浪費される。
これは、2022年の記事ですが、結局、今も同じで、そして、従う人々がいる限り、これからも同じ気がします。
そういえば、このチャールズ・ヒュー・スミスさんの最近の記事は、最近、株価が暴落した頃のもので、4月に始まった関税問題を、
「関税地震」
と表現し、実際の大地震と比較して書かれていました。
全部ご紹介するようなものではないですが、簡単にいえば、
「大地震の後には、被害はしばしば隠れており、後になって初めて顕在化するが、今回の関税地震も同じだ」
と述べています。
一部を抜粋します。
「関税地震の後」より
発火した火はまだ目に見えていはない。
地震の後には不気味な静けさがある。倒壊した建物に閉じ込められた人々はその結果を認識しているが、大多数の人々はまるで世界が止まり、まだ再起動していないかのような静寂を体験している。完全な影響はまだ不明であるため、私たちは安堵のため息をつく。すべて大丈夫そうに思える。
しかし、この初期評価は的外れだ。被害の多くはすぐには目に見えないからだ。
…堅固で安全だと思われていたものが、よく理解されていない形で脆弱性を露呈する。公式の宣言にもかかわらず、公式に承認された構造物が崩壊する。健全で安全だと思われていたものが、応力が平均範囲を超えるとひび割れる。
関税地震はこれらと同じ特徴を多く示している。
被害の多くはまだ明らかになっておらず、混乱が広がるにつれて多くの不確実性が残る。地震と同様に、被害は体系的であり、インフラと家庭の両方が混乱している。二次的影響(地震のアナロジーで言えば火災)が予想以上に壊滅的となる可能性は高い。
…「関税地震」は世界中で経済反応を引き起こしており、それぞれの反応は、他のすべての動的な交点に直接的に、そして最初の動きによって生じる二次的影響を通じて影響を与えている。
「関税地震」の一次的および二次的影響をすべて予測できると主張する人がいるとすれば、それは間違いだ。
なぜなら、これほど多くの力が相互作用する結果を予見したり、まだ目に見えないすべての被害について十分な情報に基づいた評価を行うことは不可能だからだ。
発火した火はまだ目に見えない。
火はくすぶっているが、まだ警戒すべき状況ではない。そのため、すべてが制御されていると確信している観測者たちは、事態が制御不能に陥る可能性にまだ気づいていない。
ここまでです。
今は株式市場に多く目が向けられていますが、市場のさまざまな部分に「きしみ」が生じています。
先のことになるのかもしれないですが、事態が制御不能に陥る可能性は確かに進行しています。
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