ロンドン大學の発表を報じる2019年1月4日の医学メディアより
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アメリカの医学メディアを見ていましたら、「流産は男性の精子に原因がある可能性が高い」とする英国のロンドン大学の研究についての記事がありました。
これを読みまして、「ああ、やっぱりなあ」と思うところがありまして、ご紹介させていただこうと思います。
今回のは流産ということなんですけれど、流産というのは確かに悲しいことですけれど、それ以前に「不妊」という問題が、主要国のどこにおいても、ものすごく増加しています。
下は、日本の不妊治療の推移のグラフですが、詳細な数値はともかく、ものすごい増加を見せていて、21世紀に入ってからだけでも、つまり 2001年からだけでも、4倍、5倍というように増えています。
流産についても増えているはずですが、その大きな原因の一つに「結婚の高齢化」があるのは確かなのかもしれません。
しかし、この場合も、今までは、「妊娠した女性の高齢化」のほうに目が向けられていたのですけれども、普通に考えれば、結婚の高齢化とということは、「男性も高齢化している」のが普通だと思われるのです。
今回ご紹介する記事に出ていますけれど、流産の原因となるのは、
・男性の精子の損傷
によるものだと考えられまして、その「精子の損傷の原因」は、
・活性酸素
によるものだと考えられます。
しかし、その精子の中の活性酸素がどうして増加するのかは、「まだわからない」のです。
ただ、いろいろ誘発条件はありそうですけれど、おぼろげながら、
・高齢
・肥満
などが多少関係しているのではないかとは思われます。
どうでもいい話ですが、私なんかも初婚ではないですけれど、もう 140近くで……ああこれでは血圧の話だ、結婚をしたのが 40歳近くで、奧さんは 10歳くらい年下ですが、私のほうはもう年寄りだったのですね。
子どもをひとりでも授かったのは幸せなことですが、本当はもっと欲しかったのですけれど、全然音沙汰なしでした。
そのうち次第に、機能そのものが全然音沙汰なしというようになっていきました。テヘッ(テヘッじゃないだろ)。
大体やねェ(なんで竹村健一さん)、そもそも、現代人の精子は、昔と比べて「異常なほど減っている」わけですよ。
たとえば、昨年の以下の記事では、イスラエルの大規模な調査で、「主要国の男性では、過去 40年で 60パーセントも精子が減っている」ことがわかったりしています。
https://indeep.jp/sperm-count-drop-could-make-humans-extinct-say-scientists/
1973年から2011年までの精子数の推移
このグラフのコワイところは、「一直線に減り続けていて、上を向く部分がひとつもない」ところです。
英国 BBC は、この研究の報道で、以下のように記していました。
精子数に関する現在のデータが論理的に帰結していくとすれば、2060年には、男性はほとんどまったく生殖機能を持たないことになってしまう。
「妊娠と出産」というものは、言うまでもなく、人類の存続の根本的なところなのですけれど、それに異常な兆しが出始めてずいぶんとなります。
まあ、人類云々というような大げさな話はともかくとして、これまでは、不妊にしても流産にしても、女性のほうだけの問題として扱われてきた面がありましたが、実際には、その影響の比率は、
「男性側の問題が大きい」
ことが少しずつわかってきています。
もちろん、当たり前ですけれど、「男性だけが悪い」というわけではありません。どこまでいっても、妊娠と出産というのは、男性と女性の共同によるものなのだという話で、「どちらが良い悪い」の話ではなく、これまでのように、女性側にばかり精神的に苦悩を与えてきたような部分はなくなればいいなとは思います。
しかし、「精子の損傷」の根本的な原因は今はまだわかりません。
いろいろと今後も妊娠と出産については、困難な状況が増加していく可能性はあるのかもしれませんが、この問題について男女は共に同じ責の中にあるということだと思います。
私は「男女平等」という言葉が好きではないですので、それは使わないですが(女性と男性は、あからさまに違う役割でこの世に存在しているのに、男女平等という言葉はそれを否定しているような気がしまして)、妊娠と出産というのは、どこまでもふたりの共同作業なのだと思います。
それでは、ここから記事です。
なお、ここでは再発性の流産を「習慣流産」としていますが、日本の医学界では、流産を 2回以上繰り返した場合を反復流産、流産を 3回以上繰り返した場合を習慣流産と定義しています。
Recurrent miscarriage linked to faulty sperm
medicalxpress.com 2018/01/04
習慣流産の原因は、欠陥のある精子と関連していた
英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)の科学者たちによって発表された研究は、パートナーの女性が 3回以上連続して流産した 50人の男性たちの精子の質の調査と関連したものだった。
医学誌クリニカル・ケミストリー(Clinical Chemistry)に掲載されたこの研究では、パートナーの女性が流産を経験したことのない男性と比較して、この研究に参加した男性(パートナーが繰り返し流産している男性)たちの精子は、より高いレベルでの DNA の損傷を有していることが明らかとなったことが示されている。
研究チームは、これらの調査結果が、流産のリスクを減らすための新たな治療法を見つけるための道につながることを期待している。
習慣流産は、英国ではカップル 50人に 1人が発症する。その定義は、妊娠 20週までに 3回連続して流産した場合を習慣流産と呼ぶ。
最近までは、流産の再発は、感染や免疫の問題など、母親の健康上の問題によって引き起こされると考えられていた。
しかし医師たちは今、精子の健康が流産に深く関わっていることに気づき始めた。
研究の主執筆者であるチャンナ・ジャヤセナ博士(Dr. Channa Jayasena)は以下のように述べる。
「伝統的に医師たちは、習慣流産の原因を探す際、女性の健康に注意を向けてきました。そのパートナーである男性の精子の健康については分析されてこなかったのです」
「しかし、この研究は、精子の健康が妊娠の状態に影響を与えることを示唆する証拠が大きくなっていることを示します。たとえば、以前の研究では、精子が胎盤の形成に重要な役割を果たすことを示唆していました。胎盤は胎児への酸素と栄養素の供給にとって非常に重要なものです」
今回の新しい研究で、チームは、ロンドンのインペリアル・カレッジ・ヘルスケアの一部であるセントメアリーズ病院の流産クリニックの患者だった女性たいのパートナーである 50人の男性の精子を分析した。
それから、パートナーの女性が流産をしていない 60人の男性ボランティアの精子の健康と結果を比較した。
分析の結果、習慣流産に罹患したパートナーを有する男性たちの精子は、対照群(パートナーが流産していない男性たちの精子)と比較して 2倍の DNA の損傷を有することが明らかとなった。
研究チームは、この DNA 損傷は、いわゆる活性酸素種によって引き起こされるのではないかと考えている。
精子を細菌や感染から守るために、精液中の細胞によって形成される分子がある。しかし、十分に高い濃度では、分子は精子細胞に重大な損傷を引き起こす可能性があるのだ。
研究の結果では、パートナーが流産に苦しんでいた男性たちの精子は、対照群と比較して活性酸素種の量が 4倍多かったことが明らかとなった。
研究チームは現在、これらの高いレベルの活性酸素種を引き起こす原因は何なのかということを調査している。
ジャヤセナ博士は、次のように述べる。
「試験に参加していただいた男性の中には、クラミジアのような進行中の感染症を持っている方はいませんでした。 クラミジアは、精子の健康に影響を及ぼすことが知られています。前立腺に残っている感染からの他の細菌が精子の健康に影響を及ぼしている可能性はあり、これが、恒久的に高レベルの活性酸素種をもたらしているのかもしれません」
なお、ジャヤセナ博士は、肥満が精子の健康を低下させるという証拠が増えていることを付け加えた。体脂肪のレベルが高い人たちは活性酸素種の増加を引き起こす可能性があると考えられている。
そのため、研究チームは、試験に参加した 50人の男性たちの代謝の健康を分析し、体重とコレステロール値を評価している。
パートナーが繰り返す流産に苦しんでいた男性たちは、対照群(平均年齢 30歳)よりやや年長で、平均年齢は 37歳だった。そして、やや過体重だった。
チームは現在これらの要因が活性酸素種のレベルに影響を与えたのかどうかを調査している。
ジャヤセナ博士は、「今回の研究は規模の小さな研究ですが、手がかりを得ることができています。精液中の高レベルの活性酸素種が流産のリスクを増大させることをさらなる研究において確認すれば、これらを低下させる治療法の開発を試みることができる可能性を高め、健康な妊娠を増加させることができます」
「男性の精子が、女性の流産に関与する役割を果たしているということを確認するまでには長い時間がかかりました。私たち医師は今、流産の原因は女性だけにあるのではないことを知り得ました。私たちはこの問題を解決し、妊娠から、より多くの健康な赤ちゃんが生まれてくるようになることができるように研究を進めたいと思います」