アセトアミノフェン服用の胎児への強い影響が明らかに
デンマークなどの科学者たちの研究で、
「妊娠中にアセトアミノフェンを使用した女性から生まれた女児は、卵巣が 41%縮小していた」
とする論文が発表されていました(論文)。
他に、
・卵胞数が 23%減少
・子宮が 13%縮小
ということがわかったことも書かれています。
これは、卵巣の発達が阻害された結果と思われます。
卵巣の容積が 40%減少するということが、妊娠にどのような具体的な数値としての影響を与えるかはわからないですが、しかし、少なくとも、良い影響はないと見られます。
アセトアミノフェン(日本名のカロナールなど)は、解熱鎮痛剤としてあまりにも一般的なもので、風邪などのシーズンなどになると、病院でも処方されるものですが、以前からさまざまな問題は研究で示されてはいました。
妊娠中の女性の服用については、特に様々に示されてきました。
大きな問題のひとつとしては、
「アセトアミノフェンの妊婦さんの服用が、生まれた子どもの自閉症や神経発達の問題の原因になる」
というものです。
アセトアミノフェン(日本名:カロナール)の妊婦さんと乳幼児の服用は「子どもの自閉症や神経発達の問題の原因になる」エビデンスが示された論文が発表される
この場合は、アセトアミノフェンが単独で自閉症スペクトラム障害を引き起こすわけではなく、「酸化ストレスの存在下で引き起こされる」と論文には書かれています。
その理屈については上の記事で論文をご紹介しています(なかなか複雑なメカニズムです)。
また、小さな子どもがアセトアミノフェンを服用することも、神経発達の問題となり得ることが示されていて、以下のように書かれています。
> 定期的な小児期 ワクチンと、アセトアミノフェンかイブプロフェンを併用したときの 1歳から 5歳までの子どもで自閉症スペクトラム障害のリスクが 6倍に増加することを示す小規模な調査研究を発表した。
ADHD もそうです。
以下の記事で取りあげたのは、妊娠中の女性が、アセトアミノフェンを服用して生まれた子どもの「 7年後と 11年後」を追跡した論文です。
単なる市販のかぜ薬や頭痛薬の服用がADHDの子どもたちを作り出しているかもしれない : 相次ぐ「アセトアミノフェンと胎児の脳損傷」に関しての医学論文
アセトアミノフェンがアメリカで最初に発売されたのは 1955年と結構以前ですが、大幅に普及し始めたのは、1970〜 1980年代くらいにかけてとされています(アスピリンの副作用が大きく取り上げられ始めたため)。
それで、「副作用の少ない解熱鎮痛剤」として、アセトアミノフェンが脚光を浴び始めたようです。
今回ご紹介させていただく論文には、
> 妊婦の 50%以上がアセトアミノフェンを使用しており…
とあり、かなりの妊婦さんたちがアセトアミノフェンを服用しているのが現実のようです。もっとも、論文はデンマークのもので、妊婦さんの 50%が服用しているのは、デンマークでの話なのか、主要国全体の話なのかはわかりません。
確かに、妊娠中に高熱などが出れば不安ではあるでしょうけれど、解熱鎮痛剤の胎児に対する副作用もなかなかのものではあり、難しいところですね。
とりあえず、その論文をまとめていた記事をご紹介します。
新たな研究:妊娠中のアセトアミノフェン使用は、女児の卵巣の41%縮小、卵胞数の23%減少、子宮の13%縮小と関連している
NEW STUDY: Tylenol Use During Pregnancy Linked to 41% Smaller Ovaries, 23% Fewer Ovarian Follicles, and 13% Smaller Uteruses in Infant Girls
Nicolas Hulscher, MPH 2026/09/13
新たなヒトを対象とした研究の内容は懸念すべきものだ。妊娠中にアセトアミノフェンに曝露された少女は、卵巣が 41%小さく、卵胞が 23%少なく、子宮が 13%小さいことがわかった。
「胎児期のアセトアミノフェン曝露は、女児の卵巣発達マーカーの変化および子宮容積の減少と関連している」と題された研究論文のの著者らは、この研究を、出生前のアセトアミノフェン曝露と卵巣発達を研究するために特別に設計された初のヒトコホート研究であると述べている。
研究者たちは 302人の女児の乳児を追跡調査し、母親らは妊娠初期から 2週間ごとにタイレノール/アセトアミノフェンの使用状況(服用した薬剤の種類と量を含む)を報告した。
研究者たちはまた、LC-MS/MS(液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析計)を用いて母親の尿中のアセトアミノフェン濃度を直接測定し、超音波検査で女児の卵巣と子宮を検査し、生殖ホルモンを測定した。さらに、思春期まで追跡調査した 1,210人の女児の別のコホートでも同様の結果を検証した。
アセトアミノフェンの投与量は極端なものではなかった。主要コホートでは、早期曝露群と後期曝露群の両方で報告された累積投与量の中央値は約 2グラムだったが、曝露された女性の妊娠期間中の総投与量の中央値は 3グラムだった。つまり、これは毎日 2グラムだったのではなく、該当する妊娠期間中に報告された総量だ。
妊娠中に母親がタイレノール/アセトアミノフェンを使用していたと報告した女児のうち:
- 胎児期早期曝露(17週未満):卵巣容積が 41%減少
- 胎児期中期から後期(17週以降)の曝露:卵胞数が 23%減少
- 胎児早期曝露(17週未満):子宮容積が 13%減少
また、用量反応関係も認められた。母親が報告したアセトアミノフェンへの曝露量が多いほど、また尿中で測定された薬物濃度が高いほど、卵巣と子宮の容積は小さくなる傾向があった。
このシグナルは乳児期以降にも及んだ。独立したコホートでは、出生前のアセトアミノフェンおよび/または NSAID (※非ステロイド性抗炎症薬)への曝露は、以下の事象と関連していた。
- 思春期における子宮容積の減少量:4.11 cm³
- 思春期における卵巣容積の減少量:2.76 cm³
その2番目のコホートでは、曝露量の測定精度が低く、アセトアミノフェンとNSAIDをまとめて扱っていたため、同一の確認というよりは、むしろ支持的な証拠と捉えるのが適切である。
究者らは、母親のBMI、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、アルコールおよびニコチンの使用、体外受精(IVF)による妊娠、アスピリン/NSAIDの使用、乳児のアセトアミノフェン投与など、いくつかの潜在的な交絡因子を調整した。
また、発熱のためにアセトアミノフェンを服用した母親を除外することで、適応による交絡についても具体的に検証したが、主要な関連性は維持された。
しかし、母親のワクチン接種状況は考慮されていなかったため、ワクチン接種に関連する因子が観察された関連性の一部に影響を与えた可能性は残されている。
妊婦の 50%以上がアセトアミノフェンを使用しており、この薬は胎盤を通過することを考えると、これらの研究結果は憂慮すべきものである。また、この論文では、動物実験において、胎児がアセトアミノフェンに曝露された後に卵胞予備能が最大 40%減少することが確認されていると指摘している。
これは観察研究であるため、アセトアミノフェンがこれらの変化を引き起こしたことを証明することはできない。しかし、卵巣が 41%小さくなり、卵胞が 23%減少し、用量反応関係が測定可能であり、さらに後年にも同様の変動が見られることから、これは生殖安全性に関する重要な兆候であり、真剣に検討する価値がある。
ここまでです。
しかし、それにしても、「女性の生殖機能を阻害する」ものが多い世の中ですね。
ワクチンのことが言われたことがありますし(特に脂質ナノ粒子)、最近では、
「スマートフォンの登場が地球の出生率を低下させた」
という報道もありました。
合計特殊出生率のスマートフォン普及前の傾向に対する変化率

FT, NOFIA
数字のこの著しく急激な低下率を見る限り、「スマートフォンが一番の影響になっているのでは?」とかも思いましたけれど、本当に現代社会は、さまざまに生殖機能を低下させるものや考え方に満ちています。
「価値観の変化」なんてのもそうですね。
最近の日本の報道で「「一生結婚しない」初の2割超え、25年調査 子ども希望数も減少」(日経 2026/09/11)というものもありました。
そして、出生率は全世界的に下がり続けています。
2024年までの過去60年間の世界全体の出生率の推移( 人口置換水準は2.1)

世界銀行
アセトアミノフェンは、世界保健機関の「必須医薬品リスト」にも指定されており、文字通り全世界で使われています。
市場の予測を見ますと、今後さらに売り上げは伸びるとされています。
2034年までのアセトアミノフェンの市場規模予測

gminsights.com
スマートフォンも今は全世界で使用されているものであり、今後も使用され続けるでしょう。
価値観の変化はともかくとしても、こういう物理的な理由だけでも、全世界の出生率はさらに下がると見られます。
アセトアミノフェンもスマートフォンも、共に手軽だけれど多少厄介というあたりも似ていますね。
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