地球の最期のときに

なぜ多くの欧米メディアは「スウェーデンの何もしない対策」を否定したがるのか。それは「自分たちはロックダウンで苦労しているのに日々楽しく暮らしているスウェーデンが許せない」という心理的葛藤である模様



投稿日:2020年5月5日 更新日:

4月26日 スウェーデン・ストックホルム。屋外レストランで春の休日を楽しむ人々。

japantimes.co.jp

5月1日 ドイツ・ベルリン。ロックダウン反対デモで逮捕される女性

anglenews.com




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「何もしない対策」を否定したくして仕方ない欧米日の各国

新型コロナウイルスという軽度の気道感染症(日本の場合で、人口に対しての死亡率が 0.003%)に対して、世界中がロックダウンや、それと準じた緊急事態宣言などの対策を実施し続けていますが、このブログでは一貫して、「それらはものすごい愚行」だと述べ続けています。

理由は「瞬間的な破壊力が強すぎて、元の社会に戻すことができなくなるから」で、それと同時に「ロックダウンには何の意味もないことがデータでハッキリとしている」からというのもありますが、いずれにしましても、ほとんどの主要国が、ロックダウンや緊急事態宣言などの愚行に陥る中、現状では、

「最後まで、それをおこなわなかった主要国」

としてスウェーデンがあります。主要国では、唯一です。

スウェーデンは、社会的距離の奨励と大規模イベントの禁止を実施してしまってはいますが、他は「いつもと完全に同じ社会の状況」つまり「何もしない」で、現在までパンデミックと戦っています。

これまで何度かスウェーデンのことについて書かせていただいていまして、最新の記事は以下のものとなるでしょうか。

世界でたった3カ国の「ロックダウンも外出の自粛も店舗の閉鎖もしなかった国」スウェーデン、ベラルーシ、カンボジアの新型コロナウイルスに対しての「勝利」が明確に (In Deep 2020/04/30)

そして、このスウェーデンの方法については、日本も含めて、海外の非常に多くの報道やメディアが、「否定的」なのが不思議でした。

「何も対策しないなど異常だ」

という論調をよく見かけることがありましたが、しかし、現在に至って、スウェーデンの対策が、他のヨーロッパ諸国と比べて何か問題があるという点がまったくないことが明確になってきていても、いまだに同じように「何もしないのはよくない」という論調の記事を見かけるのです。

これの何が不思議かといいますと、

「ひとの国のことに、そんなに感情的になることないじゃん」

ということです。

たとえば、「何もしない政策」のために、他の国より著しく多い感染者や死者が発生したとしても(実際にはそれは起きていないですが)、それに対して、スウェーデンの人たちがそれに反応するのはわかるけれど、「なんで関係ない他の国の人たちがこぞって言うわけ?」とは思っていました。

そもそも、ヨーロッパの多くの国が国境を遮断しているのですから、他の国でどれだけ感染が拡大しようが関係ないはずです。

それなのに、アメリカもヨーロッパも、他の多くの国々のメディアが、スウェーデンに対して、

「何も対策しないなど許せない」

と言うのです。

「なんでなんだろう?」と思っていたのですけれど、今日見かけたアメリカのメディアの記事の内容で、その理由が少しわかったのです。

簡単にいうと、「くやしい」みたいなんです。

死ぬほど厳格なロックダウンにより、ヨーロッパやアメリカをはじめとした多くの市民たちが「死にそうに疲弊している」上に「記録的な失業の波が発生している」というのに、スウェーデンから送られてくる写真や文章を見れば、パンデミック以前と何も変わらず、カフェでくつろぎ、夜はワインやビールを飲み、クラブで踊っている。

5月1日 賑わうストックホルムのカフェ

mbs.news

5月2日 賑わうストックホルムのバー

Brother Tuck Bar & Restaurang

こういう状態を見て、「こんな自由を続けていたら、スウェーデンはひどい感染状態になってしまう」と以前から欧米諸国のメディアは叫び続けていました。

実際、スウェーデンの感染者数も、死者数も特に良くはないです。

とはいえ、パンデミックの渦中で自由に生活していたら、感染が拡大するのは当たり前なのですから、まったくそれは不思議ではないことですし、当局もそれを目指していたのです。

そもそも、スウェーデン当局は「スウェーデン国内で 10万人の死者を覚悟していた」のです(実際には 5月5日現在、死者 2,700人)。しかしそれでも、国家を破壊するロックダウン政策を取ることはしなかった。

そのスウェーデン保健当局の願いは、スウェーデン中に感染が拡大して、多くの国民が免疫を獲得することだったのですから、感染者がたくさん出るのは当然なのです。

 

何しろ今は「パンデミック」なのですから。

誰も免疫を持たない感染症が流行しているのですから、社会的な目的の最大のところは「多くの国民が免疫を持つこと」であるはずです。

 

興味深いのは、スウェーデンの新型コロナウイルスによる 100万人あたりの死者数が、「ヨーロッパのほぼ中間値」だったことでした。

以下のグラフは、ヨーロッパの主要な国とアメリカの新型コロナウイルスによる 100万人あたりの死亡者数で、赤の太いラインがスウェーデンです。

スウェーデン以外はどの国もロックダウンをおこなっています。

3月7日-5月2日までの欧米各国の100万人あたりの死者数

Blogmire

このグラフの数値などから、欧米のメデイアなどで、「スウェーデンは、アメリカより死亡率が高い」というような見出しの記事さえ見たことがありますが、しかし実際は、このように各国を比較すると、以前から書かせていただいているように、

「何もしなくても、何かしても同じ」

だということが示されているに過ぎないとも思います。

しかし、それよりも、「ロックダウンの副作用」はどうかという話があるのです。

下は、ロックダウンを続けるアメリカの過去 72年間の失業率の推移です。リーマンショックなど裸足で逃げ出すほどの数値となっていることがおわかりだと思います。

1948年-2020年のアメリカの失業率の推移

Blogmire

アメリカの失業率は現時点で 20%を超えていますが、今後もさらに拡大することが確実である上に、以下の記事にありますように、すでに「 3人に 1人が失業している (アメリカの就労人口 1億5000万人のうち 5000万人が仕事を失っている)」ということから考えますと、今後のアメリカの失業率は 40%程度に達する可能性さえあるかもしれません。

そして、これはロックダウンを行っているすべての国に当てはまると思われるのです。

この6週間でアメリカで失業した人の実数が「 5000万人」に達していることが判明。世界で推定10億人の失業者を瞬間的に作り出したロックダウンという死の政策 (In Deep 2020/05/01)

先ほどの「 100万人あたりの死亡者数」のグラフで興味深いのは、ドイツ以外のほとんどの国が、ロックダウンをしようがしまいが、「自然と死亡率が減少に転じている」ということです。

これは、以下の記事で取りあげました、イスラエルの数学者の論文が正しいことを示しているかもしれません。

パンデミックは今後30-40日以内に「自然に終焉」する : イスラエルの著名な数学者が、新型コロナの感染は「ロックダウンをしてもしなくても」どちらも発生から70日間続いた後に収束するという理論を発表 (In Deep 2020/04/21)

つまり、

「放っておけば、新型コロナウイルスのパンデミックは終わっていた」

可能性が高いのです。

これに関しては、最近、韓国の科学者たちが、「新型コロナウイルスは、二度感染することはない」と結論付けたことを、インドのメディア(ウイルスの武漢流出を最初に指摘した Greatgameindia)報じていました。

二度感染したように見えたのも「陰性と判定された人が再度、陽性となった」事例も、「検査システムの不備」と結論付けたようです。

これはまた違う話ですので、いつかご紹介したいとも思いますが、この結論が正しければ、

「新型コロナウイルスは、一度感染すれば、もう大丈夫」

なのです。

もちろん今後のことはわかりません。新型コロナウイルスは(他の RNA ウイルス同様)変異の激しいウイルスですから、再度感染するような状況が訪れないとも言えないかもしれません。

しかし、仮にそうだとしても、無駄に社会を閉ざし続けることが、どれだけ無為で破壊的なことかを、いくつかのデータは示しています。

 

さらにいえば、私たちは地球に住む人類だという点から、最も大事なことは、

「パンデミックで人が感染して、何人かは致死に向かうことは、それは自然の理」

だということです。

 

まあ、今回のウイルスは、人工である可能性がとても高いですが、それにしても、過去にも、そして今後もパンデミックというものは次々と発生していくものと思われます。それらは基本的に人為的に対抗できるものではないはずです。

その自然の理(自然の理というのは「変えることができないことであるから自然の理と呼ばれます」)に対抗しようとして、さまざまな国が訳のわからない対策に走り続けた結果、今のような人類の基本的な滅亡まで展望できるような状態になってしまった(滅亡までには数年から十数年かかりますでしょうけれど)。

西から上った太陽を東に沈ませることができるのは、バカボンのパパだけであり、一般の人間は「自然の理に介入することはできない」のです。

なのに、いつのまにか、人間は、自然の理に介入できると思うようになってしまった。

今回の「社会の完全な破壊」は、そのような思いが導いた、やはり「自然の理」なのだと思います。

 

人類は滅びるべくして滅びるのです。

 

自然の理に逆らわなかったスウェーデンも、輸出業や製造業を中心に、他国の問題により甚大な被害を受けることが確定しています。

そういう意味では、スウェーデンもまた「北欧伝説の時代」に戻って、ささやかに生き続けるしかサバイバルの道はないでしょうけれど、それでも、国民の精神が徹底的に壊されてはいないですので、小さな経済圏を作って、一からやり直せば、何とかなると思いたいです。

主要国の中で、スウェーデンだけが自然の理に逆らわない人間らしい、そして勇気ある行動をとることができたのですから、スウェーデンは国家として生き残ってほしいと思います。

 

他は全滅でしょう。それは仕方ない。

宇宙の規則に逆らう存在が宇宙に生き続けることは許されないはずです。

 

話が逸れてしまいましたが、最初に書きました「他の国がスウェーデンを否定する理由」について書かれた記事をご紹介して、締めさせていただきます。

なお、タイトルの「ロックダウン・ストックホルム症候群」というのは、もともとある「ストックホルム症候群」から来ています。

ストックホルム症候群とは、人質にされた人たちなどが監禁中に実行犯と心理的共感と同盟などを結ぶ心理状態のことで、1974年にスウェーデンのストックホルムであった事件からつけられたものです。

 


ロックダウン・ストックホルム症候群

Lockdown Stockholm Syndrome
theblogmire.com 2020/05/03

ストックホルム症候群:人質が監禁中に犯人と心理的同盟を結ぶ状態。

ロックダウン・ストックホルム症候群:ロックダウンにより自分たちの経済と自由が破壊されることを経験し、苦しんでいる一方で、スウェーデンがそのような強圧的な手段に頼らずに社会が普通に進んでいるという事実を受け入れることができずに苦しんでいる心理的な精神状態。

 

多くの国々の新型コロナウイルスに対しての反応は権威主義的であり、強圧的でさえある場合もある。しかし、ロックダウンされている国の多くの人々は、なぜか、そのことについての苦しみの本心を言わない状態にある。

そのような中で、スウェーデンが新型コロナウイルスに関して、「ほとんど何もしない」という比較的賢明な政策を実施したことに対して、他の国の多くの人たちには、そのこと自体を認めることができないほどの困惑が広がっている。

多くの国々で何百万人もの完全に健康な人々が隔離され、都市が封鎖されているが、このようなことは、どれだけ歴史を遡ってみても、どのような圧制者でも行ったことがないことだ。

しかし、現在、そのロックダウン政策はすでにおこなわれており、それによる経済の破壊と人々の自由の縮小は恐ろしいほどのものとなっている。感染率も死亡率も、インフルエンザよりやや悪い程度の感染症の流行の中で、ロックダウンを多くの市民たちが受けて入れていることは驚異的でもある。

しかし、それと同時に起きていることは、たとえば、私たちのアメリカは、1930年代の大恐慌以来見られたことがない失業率のレベルに、たった 7週間で到達している。

ところが、不思議なことに、たとえば、私がこのようなアメリカの現実を示すと、多くのアメリカ人たちが「それは自分とは無関係である」かのように、肩をすくめて無視するのだ。

このような中、さらに私が、「何もしなかった」スウェーデンのデータとの比較を試みると、多くの人たちは無視するか、「怒り出す」のだ。

私は、数週間にわたり、各国とスウェーデンのデータを比較調査しているが、現在まで、スウェーデンの「何もしない対策」が、特に悪い数値を示しているというエビデンスは何もない。

しかし、新型コロナウイルスという感染症への数値としての問題以上に、ロックダウンをしている国は、著しく経済が破壊されており、市民の自由が歴史上なかったほどに奪われていることが問題だと思うのだ。

以下は、3月23日からロックダウンを開始した英国と、何もしない政策を続けたスウェーデンの 100万人あたりの死亡者数の推移だ。

アメリカを含めた欧米諸国との比較は以下のようになっている。興味深いのは、ほとんどの国で、自然に死亡者数が減少していることだ。

スウェーデンの新型コロナウイルスでの全死者数は(5月3日現在) 2700人だ。

これは、以下を意味する。

・人口 100万人あたり 265人の死亡

・スウェーデン全人口からの死亡率は 0.0265%

欧米各国の保健衛生当局は、スウェーデンが「何も対策をしない」と声明を出した以降、著しい死者が出ると予測していた。

英国のインペリアルカレッジロンドンは、「スウェーデンでは、32,500人が死亡 (人口 100万人あたり3250人の死者)となるだろう」と見積もっていた。

そして、何よりスウェーデンの大学自身が以下のように見積もっていた。

・スウェーデンでは 5月1日までに 4万人が死亡する

・6月までにほぼ 10万人が死亡する

しかし、5月1日を過ぎた現在、スウェーデンの死者はその 10分の1以下の 2,700人だ。

英国や米国を含む各国は、誤った科学モデルの下に過剰なロックダウン政策に突き進んだのだろうか。

それを知りたい。

 
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