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5月23日にメルマガ新しい暗黒時代 - 人類は退化しているを発行させていただきました。

2025年からの世界 アメリカの憂鬱 人類の未来 資本主義の終焉

世界をカオスに導く関税戦争

投稿日:


thirdway.org




 

大統領は「今日は解放の日だ」と叫ぶが

トランプ大統領が、日本時間の 4月3日に関税政策を発表しました。

トランプ氏は、これを、

「経済独立宣言」

として、この日を「今日は解放記念日だ」と発表会場で述べたことが報じられています。以下のように述べたようです。

2025年4月2日のトランプ氏の演説より

2025年4月2日は、アメリカの産業が復活した日、アメリカの運命が回復した日、そしてアメリカを再び豊かにし始めた日として永遠に記憶されるだろう。

何十年もの間、我が国は近隣諸国や敵国、友好国、遠方の国々から略奪、強奪されてきた。アメリカの鉄鋼労働者、自動車労働者、農民、熟練した職人など、今日ここには大勢の人々がいる。彼らは本当にひどい苦しみを味わった。

あと少しで、私は歴史的な大統領令に署名する。世界中の国々に相互関税を課すというものだ。相互だ。つまり、相手が私たちに課し、私たちも相手に課すということだ。とてもシンプルだ。これ以上シンプルなことはない。

発表されたこの内容がなかなかエグいもので、主要国などについては以下のようになっています。

新しい関税

・中国:34% (現在の 20%の関税に上乗せされ、合計 54%の関税に)
・EU:20%
・日本:24%
・英国:10%
・韓国:25%
・タイ:36%
・スイス:31%
・台湾:32%
・マレーシア:24%

BDW

中国などは 54%の関税を課されることになったわけですが、この関税発表の直後、中国共産党中央委員会の機関紙である人民日報は、論説として、この関税措置は間違っているとして、

「ワシントンの関税暴走は自滅的ないじめだ」

というタイトルの記事を発表していました。

内容はとても合理的なもので、たとえば以下のような部分があります。

4月3日の人民日報より

相互関税の考え方は特に誤っている。比較優位の原則により、各国は自国が最も得意とする分野に集中し、残りは貿易で賄うことができる。これを無視すると、経済の非効率につながる

コーヒーを例に挙げてみよう。米国はコーヒーの生産量が非常に少ないため、関税なしで輸入している。

世界最大のコーヒー輸出国であるブラジルは、輸入に 9% の関税を課している。米国がこれに匹敵する関税を課しても、米国のコーヒー生産量が増えるわけでもなく、消費者にとっては価格が上昇し、企業に損害を与えるだけだ。同じ論理が、他の無数の製品にも当てはまる

アメリカは実際には、日常生活で使われている非常に多くのものを中国からの輸入に頼っていて(以前、その一覧の表を持っていたのですが、見当たりません。とにかく膨大な品数です)、それらすべての価格が上がることになるはずです。

他の国の人々も苦しむことになりますけれど、アメリカ人もその打撃を確実に受ける。

この関税措置が「ブーメラン」としてアメリカ自体に返ってくるということについて、人民日報は以下のように書いています。

皮肉なことに、トランプ大統領の保護主義の最も明白な犠牲者は、おそらく米国人自身だ。

製造業の復活を約束しているにもかかわらず、保護主義的な措置は非効率性を固定化し、競争力を低下させている。

 

市場や経済への影響は?

そういえば、1ヶ月前に、「世界同時多発恐慌がまさに今始まった」という記事を書かせていただいたことがあります。

そこで、信頼性が高いアトランタ連銀の米国 GDP 推定値の急落についてふれましたが、最近、その推定値がさらに下がっていまして、-3.7%になっていました (3月3日時点では -2.8%)。

最新のGDPナウの2025年の実質GDP推定値(4月1日発表)

GDPNow

この次の新しい GDP 推定値の発表が今日なんですよ

まだ出ていませんので、どのような推定値になるかわからないですが、気になるところです。

ともかく、新しい関税は、大方の予想を上回る形で発表されたわけで、当然、今日(4月3日)の日本の株価も動揺しています。普通に考えれば、今日は全世界の株価が動揺すると思います(上がるか下がるかはともかく「動揺」としておきます)。

今後の株式市場にしろ、単純に経済への波及などについても、どのようになっていくのかということについて、ひとつの記事を見つけました。

特別、専門家というわけではないようですが、デビッド・ハギスさんという方による文章で、この関税発表により世界が大混乱に陥っていくだろうことを書いています。

デビッド・ハギス氏

David Haggith

記事は、関税が発表される前日のもので、高い関税が発表された場合は、市場も経済も悪化し続けるだろうという予測を書いています。

なお、アメリカ国内の雇用についても長く書かれているのですが、全体として少し長すぎるものとなりますので、その部分はスキップしています。




 


トランプ関税戦争が激化しようとしている!

The Trump Tariff Wars Are about to Get Hot!
The Daily Doom 2025/04/02

株式市場は、トランプ大統領の 4月2日の関税が市場を破壊する直前に、投資家たちが市場を再び押し上げようと全力を尽くしているように見えるため、再び混乱しているように見える。なお、関税は、大統領が発表するとすぐに撤回するというエイプリルフールのジョークと混同されないように、4月2日にタイミングを合わせた

株価がひどい結果となった四半期を終えたばかりであることを考えると、おそらく大手退職基金による強制的なポートフォリオ再調整が起きているのだろう。

多くの基金は、保有する株式の価値と保有する債券の価値を 60/40 に分割することを約束している。このような時期に、約束された分割は自殺行為のように思える。なぜなら、四半期末にその 60/40 の価値分割に戻すためだけに、企業は債券を売却し、さらに多くの不良株を購入することを余儀なくされるからだ。

もちろん、このようにして(債券を売って)追加購入された株式は、明日、そして今後数日間にトランプ大統領がほぼ全面的な関税を課すと、すべて価値が急落する可能性が高い。まるで堤防を転がる自殺行為だ

サプライズ発表が大好きなトランプ大統領は、計画が発効するその日まで具体的な内容は明かさない(発表され次第発効すると述べている)。ホワイトハウスの補佐官たちは、典型的な関税額は 20%程度だと示唆しているが、それはトランプ大統領が吹聴してきた「相互主義」の原則に基づいて国ごとに異なるだろう。

これまでのところ、株式市場の動きの大半は関税への期待と不確実性や混乱に対する疲労によるものだ。今日(4月1日)、株価は大きく上昇し、大きく下落し、そして再び上昇している。

ヨーロッパ人とカナダ人が当然の悪意から米国旅行をキャンセルしているため、特に打撃を受けているのは米国の航空株だ。

デルタ航空の株価は、米国で最も収益性の高い同航空会社が第1四半期の業績見通しを引き下げてから数週間後にジェフリーズが同社の格付けを「買い」から「ホールド」に引き下げ、目標株価をほぼ半分の 46ドルに引き下げたことを受けて、午後の取引で 3%以上下落した。

こうしたリスクへの懸念は、現在航空業界に蔓延している。そのため、旅行の低迷により、多くの航空会社が同様の損害を被ることが予想される。しかし、これは貿易戦争による欠航だけではない。疲れ切った消費者が節約を始めているため、国内旅行も減少しているのだ。

3月中旬に JPモルガンが開催した業界会議で、航空会社幹部らは、特に米国旅行業界の収入の大半を占める国内旅行の需要が予想より弱いと警告した。

このようなことは、米国のクレジットカードの債務不履行がすでに過去最高に急上昇していることを考えると、驚くことではない

(※ 訳者注)昨年 9月の時点で、アメリカ人のクレジットカードの債務は以下のように過去最高に達していました。そして、今となり、クレジットカードの債務不履行も過去最高となっています。


BDW

 

関税が米国にすでに打撃を与えているもう一つの側面としては、米国が全面的に関税を課している唯一の国である中国が報復として、米国からインドへと購入先をシフトしていることだ貿易関係が崩壊した場合、旧来の正常な状態にはなかなか戻らない。中国は新常態にとどまることを好み、そのため米国の損害は永久的なものとなるだろう。

将来的に関税戦争による損害をすべて取り消すことはできない可能性が高い。

今日 (4月2日)の PMI (購買担当者景気指数)レポートは好調だったが、それにもかかわらず、株価はこれらすべてに直面して乱高下しているが、 PMI が好調だった理由を見れば、それが株価に何の助けにもならなかった理由が説明できるだろう。

 

インフレ要因がさらに強まる

支払価格が 2022年6月以来の高水準に急騰し、新規受注が減少するなか在庫は急増した。最も可能性の高い理由として挙げられたのは、メーカーが可能な限り関税を前倒しして、価格が上昇しても関税が現在のインフレに加わった場合よりもはるかに低い水準でコストを織り込もうとしていることだ。

そのため、売上が減少し始め、新規雇用を控えているにもかかわらず、企業は在庫を大量に抱えている。私たちはこれを、消費者とメーカーの双方による「身を潜める」行動と呼んでいる。

私は以前、関税が価格高騰を引き起こす供給ショックを引き起こすことは確実だと言ったことがある。

なぜなら、トランプ関税戦争 1.0の期間中に多くの供給ショックを経験したからだ。ピーター・ナバロ氏やトランプ政権の関係者がそうではないと言っているのは、まったくの嘘つきだ。

関税が供給危機を引き起こすことはすでにわかっている

 

解放記念日は物事が爆発的に盛り上がるTデーだ!

ということで、明日は「解放の日」、関税の日だ。皆さんのお金が財布から解放され始める日だ

企業がついにすべての不確実性を失い、世界中で米国の関税価格のベールが剥がされ、米国企業がサプライヤーと交渉して値下げできない場合に、どの程度のコスト増を吸収または消費者に転嫁しなければならないかを知る日になる。あと数か月で、コロナ危機で見られたのと同じように、一部の企業は窮地に陥り、永久に廃業するだろう

いずれにせよ、解放記念日に未知のことが本当に終わるわけではない。

トランプ大統領が水曜日に何を発表するにせよ、方針転換や遅延、土壇場でのエスカレーションで知られる同氏の評判が、さらなる危険をはらませている。トランプ大統領が新たな関税を課す予定の国々からの報復的な反応も、大きな未知数だ。

当然のことながら、欧州は既に米国に対する追加的な報復措置を数多く用意していると発表している。

しかし、トランプ大統領が明日の発表に最大限の効果を与えるためにカードを隠しているため、EUもカードを隠して、トランプ大統領が声明を実行するかどうかがわかったら報復措置の内容を明らかにすると述べており、望みは薄いが何もしなくて(報復がなく)済むことを願っている。

4月2日には大虐殺が現実のものとなり、企業や消費者が広がる経済崩壊の残骸の中から道を探し始めるにつれて世界は混乱し始めると予想される

トランプ関税戦争 1.0 と 2.0 の違いは、前回は公正な貿易だけだったことだ。

今回は、前回決して終わらなかった中国との戦争、とても簡単に終わるはずだったがそうではなかった戦争を終わらせることだ。

今回はトランプ氏が帝国の拡大についても取り上げており、各国が足場を固めている。

今回は関税がより広範囲になり、すでにあらゆる場所で報復を約束しているようだ。今回は、トランプ関税戦争 1.0 ですでにすべてを解決したと思っていた国々へと戦いを挑んでいる。

合意がうまく機能しなかったため、彼らには再び私たちと交渉する理由がない。

今回は、カナダ、中国、おそらくメキシコ、そして世界の他の国々と戦うと同時に、ヨーロッパと全力で戦い、私たちを世界の唯一の敵にするだろう。

そして今回は、何十年にもわたる無償の贈り物のほとんどを撤回して、世界と貿易戦争を繰り広げ、彼らが関税報復を控える可能性を低くしている。

今回もトランプ氏は、これはアメリカの歳入源として新たな恒久的な税制を作るためだと何度も言っている。つまり、実際にそれを実現するつもりなら関税を撤廃することはできないということだ

そして何よりも、今回はインフレがすでに大きな問題になった後に関税が課される。前回は、インフレは何十年も問題になっていなかった。

今回は、インフレがすでに非常に熱く燃え上がっており、新しい酸素が入った瞬間に炎上するだろう。

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