米テクノロジー企業の天文学的な隠れた債務額
ここのところ、AI に関する、ややダークな報道が続いています。
先日は、オープンAI社の AI が「テスト中に暴走し、他社システムに侵入した」(ロイター 2026/07/22)という報道がありました。
これは、
「 AI の自主判断で他社システムをハッキングした」
ということで、つまり AI 自身の考えによるハッキング事件だったことになりますが、この事案について、今後、AI の性能や処理速度がさらに高くなった場合、
「 AI の暴走を人間には止められなくなるのではないか」
ということについて、「 AI 自身にきいた」ことがあります。以下に、そのうちのひとつの回答があります。
AIの暴走を人間では止められなくなる日
NOFIA 2026年7月22日
Grok はこの懸念について、以下のように述べています。
> はい、その懸念は非常に的を射ています。 AIの性能向上(特に推論速度、計画能力、並列処理、ツール統合の進化)により、自律的な攻撃行動の所要時間は確実に短縮していく可能性が高いです。そして、人間側の検知・対応が間に合わない「超高速攻撃」のリスクは、現実的な将来像として議論されています。 Grok
そういう懸念がある中、米国テクノロジー大手は、現在も次々と設備投資をし、また新たな AI の開発も続けていまして、AI の高性能化と共に「人間には手に負えなくなる日」は、それほど遠くはなさそうですが、それはともかく、それ以前の問題として、
「 AI 大手各社の財政状況が極めて不安定である」
という現実が最近わかってきています。
たとえば、マーケティングコンサルティング会社の分析によると、オープン AI 社は、「同社が掲げた 5年間の広告収入目標を 90%下回る収益しか上げていない」ことが明らかになっています。
また、日経アジアは、米テクノロジー大手が「膨大な隠れた負債を抱えている」ことを報じています。
アルファベット (Googleの親会社)、マイクロソフト、アマゾン、メタ、オラクルの 5つの米国テクノロジー大手だけで、
「日本円で推定約 270兆円の負債を隠している」
という内容です。
負債の増え方も 2024年頃からはものすごい速度になっています。
以下は、日経の調査による 5社の簿外債務の推移です。
2022年と比較すると、どの会社も数十倍などの債務の増加となっているようで、この投資が収益に見合うものならいいのですが、
「それに見合う収益のメドは今のところ立っていない」
のが現状です。
昨年の冬、「 AI の世界は、投資と収益のバランスがなっていない」として、以下の記事を書いたことがあります。
60兆円かあるいは777兆円かの規模かはともかく、そのAIジャンク産業の崩壊はすでに始まっている
In Deep 2025年12月4日
その日経アジアの記事を短くまとめていた米国メディアの記事をご紹介します。
AI企業は莫大な負債を隠蔽しようとしている
AI Companies Are Trying to Hide a Staggering Amount of Debt
futurism.com 2026/07/22
AI 企業は、ますます複雑化し、リソースを大量に消費する AI モデルを維持するために、莫大な数十億ドルを巨大なデータセンターに注ぎ込んでいる。
これは、底なしに見える誇大宣伝と巨額の負債の上に築かれた、極めて費用のかかる事業だ。
日本の経済紙である日経アジアが最近の調査で明らかにしたところによると、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、メタ、オラクルの 5つの米国テクノロジー大手は、貸借対照表に記載されていない推定 1兆6500億ドル (約 270兆円)の負債を隠している。これは、5社が直近の四半期の財務データで公式に報告した 1兆3500億ドル (約 220兆円)の負債を上回る額である。
日経によると、メタだけでも約 4200億ドル (約 68兆円)のオフバランスシート債務 (※ 簿外債務)を抱えており、AI 業界における AI への巨額投資がいかに不安定なものになっているかを浮き彫りにしている。
「こうした会計処理の手法自体は、今や流行りのようなものです」と、会計技術コンサルタントのトム・セリング氏はブルームバーグに語った。「しかし、もしそうした企業の一つが『砂上の楼閣』のような脆い基盤の上にあり、こうした会計処理によって辛うじて持ちこたえているとしたらどうでしょう? 私には、そこにこそリスクがあるように思えます」
専門家たちは、企業の評価額とそれに比べて極めて小規模な利益との間に広がる巨大な乖離を指摘し、AI バブルへの警鐘を鳴らし続けている。今回の報道を受けても、企業の公式な貸借対照表が示す以上に事態は深刻であると主張する批判的な人々の懸念が鎮まることはないだろう。
人工知能(AI)開発競争の激化に対応するため、テクノロジー大手各社は大規模なデータセンター構築プロジェクトに巨額の資金を投入している。これは長期的な賭けであり、成功するかどうかは定かではない。
また、日経の報道によると、各社は新たな資金調達のために新株を発行しており、これが株式の希薄化や投資家の信頼低下につながる可能性もある。
AI バブルが崩壊したり、データセンター建設ラッシュを正当化するだけの需要が業界内で生み出せなかったりした場合、彼らはさらに脆弱な立場に置かれる可能性がある。
プレッシャーは高まっている。日経が分析した 5社のうち 4社が、今後数日から数週間以内に第2四半期の決算を発表する予定だ。我々は注目していく。
ここまでです。
> この 5社のうち 4社が、今後数日から数週間以内に第2四半期の決算を発表する予定だ。
とあり、つまり、8月にかけて米国テクノロジー大手の決算発表が続くようですが、発表される内容や数値はともかく、「隠れた債務が数百兆円もある」という自体が、非常に危うい状況を作り出しているようには見えます。
金融アナリストのエド・ダウドさんは、最近のインタビューで、以下のように述べていて、「 AI バブルの崩壊が近い」としています。
エド・ダウド氏のインタビューより
ダウド氏によれば、AI(人工知能)への投資はバブル状態にあり、その取引は間もなく終焉を迎えるという。ダウド氏は以下のように語る。
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株式市場の 45%は、AI 関連や AI の周辺分野で占められています。市場が「パーティー」の減速や終了に気づいたとき、それは株式市場全体に影響を及ぼすでしょう。まさに今、そうしたフィードバック・ループが始まりつつあるのだと思います。これを「 AI 不満の夏(AI summer of discontent)」とでも呼びましょうか。多くの人が考えている以上に、店じまいの時間は迫っています。
このパーティーはしばらく続いてきました。4月と 5月には半導体株が急騰しました。S&P 500指数における半導体指数の構成比率は 17%から 19%に達しています。それ自体がすでに警告信号と言えます。半導体業界は、好不況の波が激しいことで悪名高い業界です。
この AI 構築の動きの中では、インフレも進行しています。投資収益率(ROI)に関する予測はすべて、もはや実現不可能なもの(絶滅したドードー鳥のような運命)となりつつあります。なぜなら、汎用的なメモリーチップに対して法外な価格を支払っているからです。
さらに電力コストも上昇しており、発電所の建設さえ必要になっています。信用供与によって拡大した AI 関連の複合的な構造において、AI インフラに関する採算の計算は成り立たなくなっているのです。
つまり、ある時点で計算の前提が崩壊してしまうのです。パーティーは始まりよりも終わりに近づいており、まもなく店じまいの時間がやってくるだろうと私は考えています。
現在、世界の多くの株式市場が、AI やテクノロジー、半導体関連などが中心となった値動きとなっていますが、「これが一気に崩壊した場合」の市場への影響と破壊力はすさまじいものになると思われますが、さきほどの日経アジアの、テクノロジー企業の債務の増え方を見ていますと、
「そろそろ持続不可能なのかな」
とは思います。
その時、どういう光景や影響が市場や経済に現れてくるのか正確なところはわからないですが、それが始まった時には、大変な状況になっていくのかもしれません。
仮にそれがこの夏に始まるのだとすれば、まさに地獄の夏ということになってしまいかねません。
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