済州島の事件を知り
最近わりと驚いた事件というのか、出来事として、韓国のリゾート観光地として名高い済州島(さいしゅうとう / チェジュド)で、次々と失踪事件が起きて、そして、複数人が遺体として見つかっているというものでした。
以下に翻訳した記事を載せています。
韓国の済州島で相次いで失踪事件が発生し、行方不明者4人の遺体が2日以内に発見される
NOFIA 2026年8月25日
驚いたのは、この事件そのものというより、記事の最後に書かれてある以下の文言でした。
済州警察庁の統計によると、2023年から 2026年7月末までに、同地域では成人 2,914人、18歳未満の子供 1,341人の行方不明届が出されており、15人が依然として行方不明となっている。
> 成人 2,914人、子供 1,341人の行方不明届が出されている
と。
済州島にはそんなイメージは全然なかったのですが、何しろ、この済州島というのは、Wikipedia によれば、
> 住民の数は約 66万人で、年間の観光客数は約 1,385万人
という圧倒的に観光客比率の高い場所です。日本から行く人たちも多いと思われます。
そんな場所で、2023年からの 3年半ほどで 4000人以上の人たちが行方不明になっている。
とはいえ、先ほどの報道では、
「 15人が依然として行方不明となっている」
とあり、「ああ、大部分は解決しているのだな」と思ったのですが、その後の報道で「そうではないらしい」ことがわかり始めています。
警察が勝手に「解決した」としていたようなのですね。
以下は、最近の韓国の報道の一部です。
「済州島の虚偽の事件終結」警察は1年余りで298件を終結処理した
“더 있을까”…‘제주 허위종결’ 경찰, 1년여간 298건 종결 처리했다
Daum 2026/08/24

失踪事件虚偽終結の疑いで前日緊急逮捕された済州A警長が23日午後、済州東部警察署幼稚場を出て護送車に移動している。
済州警察によって「虚偽の終結処理」(※ 失踪が解決していないのに、解決したとして事件を処理する)をされたチャン・ミラン(37)氏と 60代男性など 2人が死亡したまま発見されると、これらの他にも別の「虚偽終結被害者」がある可能性があるという強い疑問が提起され、事件担当者に視線が集まっている。
チャン氏の失踪申告を虚偽で無視した疑いを受けるA警長が該当チームで勤務中に終結処理した失踪申告が数百件に達するうえに、そのように処理した行方不明者が死亡したまま発見されたためだ。
24日、済州警察庁によると、チャン・ミラン(37)氏と 60代の男性以外にも A警長が担当した失踪届 298件が A警長によって処理・終結したことが調査された。
当初A警長が処理終結した行方不明事件の件数が 200件余りと知られたが、この日、国会行政安全委員会全体会議に出席したユ・ジェソン警察庁長職務代行により関連件数が計 298件であることが公式確認された。
警察は彼が受けた行方不明事件に関連して行方不明者と申告者などに連絡を試み、経緯を把握する一方、申告者を虚偽で安心させた後、虚偽終結したかどうかを集中的に把握している。
A警長は警察署内で性犯罪の疑いで職位解除された去る 11日まで約1年5ヶ月間行方不明チームで勤務した。現在明らかになったチャン氏失踪事件と死亡したまま発見された 60代男性失踪者とも、A警長が夜間勤務時に申告を受けたという点で共通点を持つ。
この済州警察の A警長という人は、「 298件の行方不明として報告された事例を、解決したとして虚偽の報告を出した」ということになります。
この 298人の人たちすべてが見つかっていないということではなくとも、「見つかっていないのに、解決した」と警察側で処理された行方不明者の数はかなりいるようです。
韓国の方だと思われる人は、本当かどうかはともかく、以下のように X に投稿していました。
昔、済州島に旅行に行ったとき、夕方に有名な焼肉屋に行ったんだけど、食べ終わって宿に戻ろうとしたら、女社長が出てきて歩いて帰るのかって聞いてくるのよ。で、ここから宿まで近いから歩いて帰るって言ったら、ダメだって、車で送ってあげるってしつこく言うのよ。
好意を何度も断るのも悪いから乗ったら、送ってくれる途中で、ここは人がだいぶ減って、殺人事件も多いし、行方不明者も多いんだよ。でもみんな内緒にしてるんだって。
それで後で言ってたんだけど、行方不明者はみんな観光客なんだって。観光客はどう見ても観光客っぽいから狙われてるみたいなんだよ、って。で、宿までどんなに近い距離でもタクシーで行きなさいって注意してくれて、宿の前に送ってってもらっちゃった…。お客さんをよく送る店だし、かなり有名だから知ってる人は知ってると思う。
「済州島って、そんなところだったのかよ」と思いますが、もちろん、この人が書いていることが本当かどうかはわからないにしても、済州島に住む人たちの間では、こういう話が普通になっているようです。
他の韓国の方の投稿では、済州島の森のほうには以下の横断幕があるのだそう。
「ワラビ取りの際、行方不明事故が多く発生している地域です。明るい服装を着用し、携帯電話を所持し、同行者と一緒に行動してください。 済州東部警察署」と書かれています。
済州島で続発している行方不明事例がどんなことによる理由なのかはわからないですが、まさか、皆さんがワラビ取りで行方不明になったわけではないでしょうし、4000人以上の失踪というのは、何とも印象的に響きます。何しろ、人口自体は 66万人ほどの場所ですからね。
この件については、今後も続報がありそうですが、かなり以前に書いたことのある、
「アメリカなどの主要国での異様な行方不明者の多さ」
を思い出します。
欧米では今でも桁違いに失踪事例が多い
世界の行方不明事例には、オカルト的な要素が入った事例も数多くあるのですが(2016年のこちらの In Deep の記事など)、今回は、オカルトは関係ない話です。
アメリカやイギリスなどでの行方不明事例の多さについては、2017年の以下の記事で取りあげています。
世界の「行方不明」に関するいくつかの事実 : そして、年間80万人の子どもの行方不明例が発生するアメリカよりさらに多い事例が生じているイギリスの例も知り
2017年3月1日
少し古いデータでは、アメリカで、
「若者や子どもだけで、年間 80万人が行方不明になっている」
時期がありました。
以下も古いデータですが、2002年のアメリカ司法省による「1年間」の子どもの行方不明事例の内訳です。

National Estimates of Missing Children: An Overview
ここにある「理由が不明の子どもの行方不明者」というだけで 34万人以上いるということに当時驚きました。
多くの場合は、発見される(解決する)のですが、それでも現在でも、「一定率で未解決」のようです(2022年の FBI のデータによる)。
なお、先ほどリンクした記事では「年間 80万人」という数字を入れていますが、実は、その後は「行方不明者は減少」しています。
1990年から2024年までの米国の行方不明者ファイル数

statista.com
減ったとはいえ、今でも年間 50万人以上が行方不明になっていることになります。
FBI のファイルによると、このうち、
・18歳未満の子どもは 35万9,094件(全体の約65.7%)
となっていて、成人の行方不明者を上回っています。
なお、失踪した 18歳未満の若者や子どもの性別については、女性の方が多いです。FBI のファイルは、人種別に細かくわけられていますが、たとえば、白人と黒人アジア人については、
・白人 女性 104,942人 / 男性 88,109人
・黒人 女性 77,012人 / 男性 63,979人
・アジア人 女性 3,107人 / 男性 2,342人
などとなっています。
このアメリカを含めた、いくつかの主要国については、以下のようになっています。
1990年代半ばまでに、米国では行方不明者の数が 100万人近くにまで増加したが、2021年までにその数はほぼ半減した。
2014年には、米国では常に推定 9万人が行方不明になっており、そのうち約 60%が成人、40%が子供だった。2021年には、行方不明者の総数は約 52万人だった。
カナダの人口は米国の約 10分の1であり、そのため、行方不明者の件数は少ないものの、人口当たりの割合は高く、2015年には推定 71,000人が報告されている。これらの行方不明のカナダ人のうち、 88%は1週間以内に発見されるが、約 500人は 1年後も行方不明のままとなっている。
英国では、2024年の推定で、毎年 17万人の英国人が行方不明になっているとされている。
日本などの一部の国では、行方不明者の発生率は既知のデータと一致しておらず、かなりの数の行方不明者が当局に報告されていない。しかし、2025年には、毎年 70,000人から 90,000人の日本人が行方不明になっていると推定されている。
どの国も大変な数となってはいるのですけれど、別のデータでは、人口あたりの年間行方不明者の数は以下のようになっていました。
主要国の年間行方不明届出数(人口比)
・イギリス 人口10万人あたりの件数 約250件(総数は約17万件)
・カナダ 人口10万人あたりの件数 約180件(総数は約7万件)
・アメリカ 人口10万人あたりの件数 約150件(総数は約50万件)
・オーストラリア 人口10万人あたりの件数 約150件(総数は約4万件)
・ドイツ 人口10万人あたりの件数 約120件(総数は約10万件)
・日本 人口10万人あたりの件数 約70件(総数は約8万件)
イギリスの人口10万人あたり約 250件というのは、たとえば、私の住んでいる町は 36万人の人口ですが、そこから年間で 900人が行方不明となっているということになります。
日本に関しては、どれもかなり以前の記事ですが、失踪や行方不明について書いてことが何度かあります。
失踪の国「日本」:フランス人ジャーナリストが書いた「日本人の蒸発の現実」
2016年12月22日
神奈川の事件で思い出す「10年間で100万人の人々が消えている日本」での不可解な行方不明事例
2017年11月2日
この「神奈川の事件」というのは、当時あった陰惨な事件のことですが、詳細はここではふれません。Wikipedia などにあります。
タイトルに「 10年間で 100万人の人々が消えている」という文言がありますが、これは、100万人が行方不明になっているということではなく、
「日本では、10年間ほどで 100万人以上が死因がわからないまま」
という意味です。
今は数も異なるでしょうけれど、これは、たとえば 2011年9月の日本テレビの報道に以下のようにある通りです。
> 日本では毎年約100万人が死亡している。ところが、その中で明らかに病死以外の「異状死」とみられる15万人以上の遺体が、正確な死因がわからないまま処理されている。 ntv.co.jp
この日本テレビの報道は 15年のもので、今の日本は「年間約 160万人」が亡くなっています。
そして、日本の特に都市部では、「人がこの世から急にいなくなってもわからないままのことも多い」という社会であることも事実です。
今日取り上げたことについて、何かの解決手段があるわけではないでしょうし、単に数値としての事実の羅列だけですが、こういう一種異様な社会の中にいるという状況を再認識しました。
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