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人生で一度、雷に打たれるような確率
昨日(12月27日)、アメリカの市場で「貴金属の異様な高騰」(1日規模としては過去にほぼ例がない)が起きました。
特に、銀、プラチナ、パラジウムなどは、1日で 10%超えという常識的には考えられない動きを見せていました。
「なんだこれは?」と思って見ていましたけれど、エドワード・ダウドさんによれば、銀のこの 1日での価格上昇の確率は、
「人生で一度、雷に打たれる確率のようなもの」
と述べていまして、これはもちろん比喩ですけれど、人生で雷に打たれる確率は年間約 100万分の1とされているそうですので、そういう何だかとんでもないことになっている。
理由はいろいろでしょうけれど、米フォーチューン誌は以下のように書いていました。
債務不安と地政学的緊張により貴金属が新たな記録高値を更新し、銀価格は引き続き高騰している
クリスマス休暇明けの金曜日に市場が再開されると、米国株はほとんど変動しなかったが、貴金属は大きく動いた。
銀価格は 9.6%上昇し、史上初めて1オンスあたり 78ドルを突破した。金は 1.3%上昇し、1オンスあたり 4,561ドルと過去最高値を更新した。プラチナは 10.5%上昇し、過去最高値を更新した。パラジウムは 13%急騰した。
今年これまでに、銀は 169%、プラチナは 172%、パラジウムは 124%急騰しており、いずれも金の年初来 73%上昇やエヌビディアの 42%上昇、S&P 500の 18%上昇をはるかに上回っている。
この最新の株価上昇は、米国が木曜日(12月25日)にナイジェリアのイスラム国の拠点への攻撃を開始し、他の地政学的緊張が高まったことを受けて起きた。
トランプ政権は今週初め、さらなる石油タンカーを標的にすることでベネズエラへの圧力を強め続け、マドゥロ政権の重要な収入源を圧迫した。
一方、国防総省は大量の特殊作戦用航空機、部隊、装備をカリブ海に派遣したと関係筋がウォール・ストリート・ジャーナル紙に語った。
追加軍事資産は、この地域で数ヶ月間増強されてきた海軍艦艇の艦隊に加わる一方、ドナルド・トランプ大統領は、米国の攻撃が麻薬密売船の疑いのある船舶から陸上の標的へと間もなく拡大することを示唆している。
新たな地域紛争勃発の脅威を受け、投資家は安全資産を求めている。同時に、債務不安から貴金属はドルや円といった他の資産よりも安全に見えるようになっている。
Fortune 2025/12/26
ちなみに、ここに出てくるベネズエラやナイジェリアは、銀やプラチナやパラジウムの主要産出国ではなく(多分ほぼ産出されない)、ベネズエラやナイジェリアで軍事的な緊張が高まることが、銀やプラチナやパラジウムの価格に直接影響するわけではないですが、全体として、
「世界が地政学的に不安定な状態であることが、投資を貴金属に向かわせている」
ということをフォーチューン誌は書きたかったのだと思います。
ちなみに、それぞれの産出国ベスト3は、以下のようになっています。
銀の主な産出国
1位: メキシコ
2位: 中国
3位: ペループラチナの主な産出国
1位: 南アフリカ(世界生産の約70-80%)
2位: ロシア
3位: ジンバブエパラジウム(Palladium)の主な産出国
1位: ロシア(世界生産の約40%)
2位: 南アフリカ
など
プラチナとパラジウムに関しては、ロシアと南アフリカの存在が大きいようです。
そして、これらの貴金属は、市場での価格が云々ということにも増して、「主要な用途が工業用」だということがあります。つまり、これらの貴金属の価格がどんどん上昇していった場合、特定の産業に直接影響する可能性があり、あるいは、消費者のほうにも影響する可能性があるということです。
これらの貴金属のおおまかな用途は以下のようなもののようです。
銀、プラチナ、パラジウムの主な用途
銀:電子機器、太陽光発電(太陽電池の導電材) 、医療機器(抗菌コーティング、針、手術ツール等)、触媒
プラチナ:自動車触媒、化学工業、電子機器(ハードディスク、光ファイバーなども)、医療器具等
パラジウム:自動車触媒、電子機器、化学、水素関連(水素貯蔵・浄化、医療、写真)
そして、どれもが、AI や電気自動車(EV)、再生可能エネルギーなどとも強く関係するものです。代替材料はあまりありません。
このうち「銀」は、そもそも現物が枯渇気味であるということもあり、不足が解消するのは 2030年頃までずれ込むと見られているようで、急激にではないにしても、さまざまな面で影響が出てくる可能性があるのかもしれません。
金融リセットのフィナーレ
それにしても、社会への影響はともかく、この異様な相場はどのようになっていくのか?
いろいろな専門家がいろいろなことを言っていますが、アメリカの貴金属専門家でもあるビル・ホルター氏という方は、インタビューで以下のように述べていました。
タイトルにある「フィアット実験」とは、
> 現代の不換紙幣経済全体が巨大な実験場であるという見方
という考え方でいいのかと思います。
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フィアット実験の終焉
The End of the Fiat Experiment – Bill Holter
usawatchdog.com 2025/12/23
12月初旬、ホルター氏は、今後の記録的な銀価格の高騰について警告し、「舞台裏で何かが崩壊しつつあることは明らかです」と述べていた。「崩壊」とは、先物市場がレバレッジの効いた状態にあり、現物銀の供給が不足している状況のことだ。
そして 12月末まで時を飛ばしてみれば、金と銀は連日のように記録的な高値を更新している。 ホルター氏はこう語る。
「彼らは 1971年8月15日に始まった不換紙幣実験の終焉を悟り、供給可能な分をすべて買い漁っています。不換紙幣は崩壊しつつあるのです」
これはまるで、全世界が現物通貨を買い漁っているハント兄弟のステロイド剤を投与されたようなものだ。
ここからが面白くもあり、また危険な局面だ。空売り筋が約束した銀を引き渡せなかったらどうなるでだろうか? ホルター氏はこう言う。
「私はいつか彼らが約束を果たせなくなるだろうと断言します。その時が来たら、金融システム全体のゲームオーバーです。そして私は約束を果たせないのは銀だと考えています」
「銀は金の核爆弾の起爆装置です。銀が約束を果たせなくなると、即座に COMEX (ニューヨーク商品取引所)の金市場に金が山積みになり、金を届けられなくなります。そうなると、不正であることが証明された契約が破綻します。契約はゼロになり、履行できなくなります。そして、牛、豚バラ肉、穀物など、あらゆるものに波及します」
「株式や債券の金融は言うまでもありません。銀の不正が証明されれば、それはすべてのデリバティブに波及し、デリバティブの崩壊を招くでしょう。…世界は金と銀を欲しがります。なぜなら、それらだけがデフォルトしない唯一の通貨だからです」
最後にホルター氏はこう述べた。
「これは大規模な金融リセットのフィナーレです。 間違いなく、皆さんが今見ているのは、まさに目の前で世界がリセットされつつあるのです」
ここまでです。
> 牛、豚バラ肉、穀物など、あらゆるものに波及します。
とありますけれど、「紙の契約全体が破綻する」ということを述べているのでしょうかね。
そうなると、世界経済のシステム自体が麻痺してしまう可能性さえあるわけですが、まあ……そこまで大げさなことになるかどうかはともかく、ここまで貴金属が異様な急騰を見せているということは、わりと早い段階で、たとえば、もうすぐやってくる 2026年1月などは、市場でやや緊張した局面も見られるのかもしれません。
ただ、「銀価格」に関していえば、現在のチャートは、1979年に銀価格が異様に高騰した後に暴落したときとかなり似ていまして、この時には、ハント兄弟という人たちによる「銀の買い占め」がそのキッカケとなりましたが、その後暴落します。
2025年と1979年の銀価格の推移の比較
The Great Martis
そんなことから、「銀は 2026年1月に暴落する」という意見も数多く出ていますが、しかし、結局どうなるのかはよくわかりせん。1979年とは異なり、今は「実物の銀が現実として極端に不足している」ということがあり、そのあたりがどうなるのかと。
2026年は 1月から荒れた市場が続くと見られますが、あまり荒れると、影響は他のさまざまなに拡大しますので、どうなるのかなと思っています。
何だか今回は市場のことばかり書いてしまいましたが、年末にかけて、かなり不穏な雰囲気が広がっていまして、何らかの「転換点」が近づいている感じはないでもないです。
そういえば、たまにブログで取りあげることもあります、金融・地政学サイクル(景気循環サイクル)のアナリストであるマーティン・アームストロング氏が、先日、「日本と未来」というタイトルの記事を書いていました。
それをご紹介して今回は締めさせていただこうと思います。
日本と未来
Japan & the Future
Martin Armstrong 2025/12/26
質問:アームストロング氏、前政権は、実際には10億ドルだったにもかかわらず、100億ドルの予算を確定するよう求める書簡をあなたに送付し、なぜそのような誤りを犯したのか説明を一切しなかったと承知しています。
日本は今なお、36年前のバブル崩壊時にあなたが警告された通り、苦境に立たされています。最近選出された高市早苗首相は、21兆円(1350億ドル)という野心的な歳出計画を提案しており、これはすでに深刻な赤字を抱えている財政に新たな負担をかけるものです。新政権への助言のため、来日をご検討される予定はありますか?
彼女は、インフレ抑制のための痛みを伴う措置(すでに失敗に終わっている)ではなく、様々な補助金を通じて人々が物価上昇に対処できるよう支援するという意図で、新たな支出アプローチに取り組んでいる。COVID-19 によるロックダウンが物価不足を招き、世界的なインフレが引き起こされている状況では、国内でのみ引き起こされていないインフレを一国だけで克服することはできない。
来年は日本にとって正念場となるだろう。
これは我々の長期的な目標であり、1989年のピークから 43年後となる。日本は、信頼感、人口動態、そして債務動向が金融政策を圧倒する状況下で、積極的なインフレ目標設定がいかに失敗するかを示す教科書的な事例だ。
こうした理論的な経済的解決策を生み出す人々は、人々を操れると思い込み、問題の核心は依然として信頼感にあることにまったく気づいていない。人々は未来があると信じなければならない。政府がそのことを理解しない限り、政府は失敗し続けるだろう。
だからこそ、一部の学者は私を心底嫌うのだ。なぜなら、現実には彼らの社会操作の計画は失敗し、彼らは自らの失敗した理論の責任を他人に押し付けがちだからだ。
2013年、アベノミクスの下、日本銀行は正式に 2%のインフレ目標を設定した。しかし、将来への信頼がなかったため、インフレ率は目標水準に達することはなかった。人々は現金を蓄え、消費を控えた。家計も企業もインフレが持続するとは信じていなかった。
2000年代初頭に始まった大規模な量的緩和は、2013年以降拡大した。日銀のバランスシートは GDP の 130%を超え(世界最大)、資金は循環しなかった。
銀行は日銀に流動性を預けたり、国債を購入したりした。企業は米国債を除き、投資ではなく現金を保有し、その結果、貨幣の流通速度は急落した。
紙幣を刷ることはできるが、人々が将来に不安を抱いている時に、自信やリスクテイクを強制することはできない。
人々は将来に自信を持たなければならない。それができなければ、人々はお金をため込み、投資を拒むだろう。これは、西暦 3世紀のローマ硬貨の膨大な埋蔵量からも明らかだ。だからこそ、ローマ硬貨の多くが現存しているのは、ローマの存続に対する信頼が崩壊した 3世紀、特にウァレリアヌス1世がペルシャ軍との戦闘で捕らえられ、ローマの弱点が露呈した後、人々が現金を隠したからだ。
2016年以降、日銀は 10年国債利回りをほぼゼロに抑えた。債券市場の流動性は消失し、投資家は市場から完全に撤退した。債務増加により、景気刺激策は将来の増税への懸念によって相殺されてしまった。人々は未来を信頼していなかったのだ。
日本は混乱状態にある。学者たちは完全に間違っており、日本は債務不履行の瀬戸際にある。
一度の会合で日本の問題を解決できるとは思えない。これは非常に複雑な危機であり、多くの誤りが重なり合っており、抜本的なリセットが必要だ。彼らが自分たちの理論が間違っていることに気づき、それが通常は崩壊を招くことになるまで、状況を好転させることはできないだろう。
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