18カ月におよぶ全米ブラックアウトの可能性
アメリカで「国家全体が 1年以上にブラックアウトのリスクにさらされている」ということが最近判明し、数多く報じられています。
アメリカは広い国ですが、連邦エネルギー規制委員会の元委員長であるジョン・ウェリングホフ氏という方の証言によると、
「アメリカの 9カ所の変電所を無力化するだけで、全土が停電に陥る」
ということになっているようで、アメリカの電気網が非常に危ういものであることが露呈してしまったようです。
しかも、ウェリングホフ氏は、
「その作業は、インターネットを使える 12歳の子どもたちの集団であっても、おそらく容易に実行できてしまうようなことでしょう」
というほど簡単なものであるようです。
そして、一番の問題は、このような報道が大きく出てしまったことにあるのかもしれません。いろいろな人たちが、外国人アメリカ人を問わず、それを試みる人たちが出てくる可能性もないではなさそうです。
反米勢力などの軍事的な対応としても考慮されることかもしれません。
そのような停電の場合、ウェリングホフ氏は、「停電が最大 18カ月間続く」としており、こうなると、巨大な太陽嵐に見舞われた状態とあまり変わらないようなことになってしまいまして、国家機能はほぼ完全に麻痺する上に、病院や治安機能も機能しないために、大きな人道上の問題も起きることになると見られます。市場も事実上崩壊します。
まずは、その報道をご紹介します。
なお、記事に「2013年にパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社のサンノゼ変電所で発生した銃撃事件」とありますが、これは、2013年4月16日に、カリフォルニア州にあるメトカーフ送電変電所が襲撃された事件です。ライフル銃を持った武装集団がメトカーフ送電変電所に発砲し、17台の変圧器が深刻な被害を受けたという出来事でした。
米国は18カ月に及ぶ停電の危険にさらされており、全国規模に及ぶ可能性があると専門家が指摘している
US at risk of 18-month long blackouts that could extend across the country, expert claims
EXPRESS 2026/08/19
連邦エネルギー規制委員会の元委員長であるジョン・ウェリングホフ氏は、全米に及ぶ可能性のある18ヶ月に及ぶ停電の可能性について警鐘を鳴らした。
13年前に書かれたメモによると、米国は1年以上続く壊滅的な全国規模の停電に直面する可能性がある。
連邦エネルギー規制委員会の元委員長であるジョン・ウェリングホフ氏は、全国規模に及ぶ可能性のある 18ヶ月間の停電について警鐘を鳴らした。
ニューヨーク・タイムズ・マガジンによると、ウェリングホフ氏は 2013年にパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社のサンノゼ変電所で発生した銃撃事件を受けて、この脆弱性に関する報告書を執筆した。
彼は、アメリカの 3つの電力網(西部、東部、テキサスの相互接続網)それぞれにおいて、最も重要な変電所が機能停止した場合の大規模な影響をモデル化した電力潮流解析を実施した。
彼は、この経験を通して、悪意のある者がアメリカの電力供給を遮断することがいかに容易であるかを悟ったと述べた。
ウェリングホフ氏は、国内全域を停電させるには、3つの送電網(グリッド)にまたがる変電所をわずか 9カ所「無力化」するだけで十分だと説明した。その際、どの変電所を停止させるかについては、各地域で最も重要な 10カ所の変電所に含まれてさえいれば、特定の場所である必要はないと付け加えた。
また、混乱を引き起こそうとする者は、単に3つの送電網の相互接続部分を個別に遮断するだけでも停電を起こすことが可能だという。
「つまり、特定の変電所でなければならないというわけではないのです」と彼は説明した。
「各送電網において極めて重要な上位 10カ所の変電所を特定するだけでいいのです。しかもその作業は、インターネットを使える 12歳の子どもたちの集団であっても、おそらく容易に実行できてしまうようなことでしょう」
「送電網の地図を見て、大半の送電線がどの変電所に引き込まれているかを確認するだけでいい。そこが重要な変電所なのです」と彼は付け加えた。
こうした潜在的な弱点について認識したウェリングホフ氏は、メモを作成してホワイトハウス、連邦議会、エネルギー省に報告し、指導者たちに早急な対応を求めた。
そのメモは、変圧器の喪失に起因する停電が 18ヶ月以上続く恐れがあるという深刻な警告を発していた。
このメモを受け、国土安全保障省は各地に担当者を派遣し、電力会社に対して変電所のセキュリティ強化を促した。
しかし、当時インフラ防護担当の次官補を務めていたケイトリン・デュルコビッチ氏は、全米に 5万5000カ所もの変電所が存在することに触れ、「すべてを守り切ることは不可能だという認識はある」と認めた。
その 1年後、電力網の防護を担う官民連携の業界団体「北米電力信頼度評議会(NERC)」は、電力会社向けの「信頼性基準」を公表した。この基準は、各社に変電所の評価と物理的攻撃に対する防護計画の策定を義務付けるものだったが、具体的な評価の実施自体は各電力会社に委ねられた。
もし米国の電力網で 18ヶ月にも及ぶ停電が発生すれば、病院、下水処理施設、浄水場などに壊滅的な影響が及ぶことになる。
やがて食料不足が問題となり、一般市民はインターネットや電話を利用できなくなるほか、経済も最終的には麻痺状態に陥るだろう。
また、米国は食料や水の供給を国際的な支援に頼らざるを得なくなるが、他国とのそうした連携の調整は困難を伴うものとなるだろう。
一方で、ウェリングホフ氏は、自身の報告書作成以降、米国の電力網は変化しており、新たな送電線の整備によってシステムの強靭性が高まった可能性があると認めた。
ここまでです。
現時点でもアメリカの各地で長い停電が起きている
この話とは直接は関係ないのですけれど、現在(8月22日)、アメリカのいくつかの都市で、1週間以上停電が続いている場所があります。
これは強風によるものらしいのですが、以下のようなことになっているようです。
米国の電力網は停電の危機に直面、ある都市では1週間以上停電が続く
インディアナ州のある都市で発生した長期停電は、アメリカの老朽化した電力網に光を当て、国家的な重大な脆弱性を露呈させた。
インディアナ州ゲーリーでは、激しい嵐が地域を襲った後、数千人の住民が 2週間以上にわたって停電に見舞われた。
インディアナ州北西部で最近発生した異常気象は、地域の電力網がいかに急速に負荷に耐えきれず崩壊し得るかを示した。
8月11日、時速 159~ 209キロの強風を伴う激しい嵐がインディアナ州を襲った。この悪天候により、当初 30万世帯が停電に見舞われ、7万5千人以上が 1週間以上にわたって停電状態となった。
局地的な被害の修復は、単なる基本的な修理作業ではなかった。電力会社の作業員は、300本の電柱と 44基の大型送電構造物を交換するなど、インフラを一から完全に再構築する必要があった。
これは、老朽化したインフラが異常気象に遭遇した際に何が起こるかを示す、身につまされるような前例だ。
yahoo news 2026/08/21
結局、アメリカの電力網は古くなりすぎたものが多く、一度故障すると、修理というより、一から構築するしかないようなのです。
以下のように書かれています。
送電網部品の交換に数日ではなく数年かかる理由
アメリカは海外のサプライチェーンと、製造・納入に何年もかかる旧式の設備に大きく依存している。
全国の地域配電線の 60%が、設計寿命である 50年を超えている。さらに悪いことに、大型変圧器の平均使用年数は 2014年時点で 40年近くに達していた。
大型変圧器が故障した場合、すぐに交換品を購入できるわけではない。大型変圧器の納期は、2020年以前の 12週間から現在では平均 128週間、つまり約 2年半にまで延びている。
国内メーカーが生産できる変圧器は、アメリカが必要とする量のわずか 20%に過ぎず、海外のサプライヤーに頼らざるを得ない状況だ。
変圧器のブッシングなどの重要な部品は、到着までに最大 130週間かかる場合があり、超高電圧システムを供給できるアメリカのサプライヤーは存在しない。
yahoo news 2026/08/21
この「電力網の古さ」は日本も同じで、日本全国の送電鉄塔の多くが 1970年代に建設され、すでに建設から 40〜 50年が経過しています。
寿命目安は電線で約 60年、鉄塔で 80年超らしいですが、古いものが非常に多いようです。
以下は環境省の「送電鉄塔が建設された年代」ですが、1970年代前後に集中しています。 50年を超えているものも多いということですね。
日本全国の送電鉄塔の建設年別の内訳

shizen-hatch.net
ただ、日本は、先ほどの報道にありましたような
> 超高電圧システムを供給できるアメリカのサプライヤーは存在しない
ということはなく、日立製作所、東芝、三菱電機など、大規模な超高圧変圧器や変電設備を製造・供給している企業が数多くありますので、アメリカのように「18カ月の停電」というような事態はあり得ないとしても、電力システムが老朽化している点ではアメリカと同じです。
また、アメリカでは、AIが登場してから、そこに使用する電力が馬鹿げたほど大きなものとなっていて(AIデータセンター 1つが消費する電力は、一般家庭の 2万世帯分に相当するとされています)、今後も電力の使用量は増えていく一方だと見られます。
そこに現在の中東やロシアの戦争が原因となっているエネルギー危機や、気象や気温の異常(スーパーエルニーニョによって、これはさらに進むと見られます)の増加によって、世界的に電力システムのカオスは進んでいくとも考えられます。
おそらく、アメリカや日本同様に古い電力網に依存している国はかなり多いと思われ、どの国にも存在する問題なのかもしれません。
まあ、実際に完全に長期の停電に陥ってしまった場合、ほとんど打つ手はないですが(医療も銀行も食料流通も何もかも止まってしまう)、災害対策を含めて「電気を使わずとも使える家庭器具」は用意しておくべきなのかもしれません。
>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
▶ ご登録へ進む


