イスラエルの人口が1000万人を突破したときに敵は散らされるとしたモーセの預言
イスラエルに関しての二つの報道を今日見ました。
ひとつはイスラエル国内の報道で、ひとつはアラブ側の報道ですが、それぞれの内容は、イスラエルのほうが、
「イスラエルの人口が聖書の預言通り 1000万人を突破した」
というタイトルのもの。
もうひとつは、イスラエルの財務大臣が、以下のように発言した姿が収められたドキュメンタリーについての記事で、その大臣は次のように述べたと書かれてあります。
「ベザレル・スモトリッチ財務大臣は、シリア、イラク、ヨルダン、レバノン、サウジアラビアの一部を征服するというシオニストの目標はイスラエルの公の議論の一部であると述べている」
ただ、このドキュメンタリーにアクセスすると、「あなたの国ではこの番組は視聴できません」と表示されますので、内容を確かめることはできませんでした。ただ、その一部は X に投稿されています。
どうという話ではないのですが、どちらも興味深いものでもありましたので、それぞれの報道をご紹介したいと思います。
まずはイスラエルの国内報道です。どうでもいいですが、イスラエルは人口が増加しているのですね。
イスラエルの人口が預言通り1000万人を突破した
Israel passes the prophetic population of ten million
Israel 365 News 2024/10/10
彼は言った。「主よ、イスラエルの千万の民のもとに帰って来てください!」
ユダヤ教の過越祭の祭司の祝福を嘆きの壁の前で祈るユダヤ教信者。
イスラエルは新年を迎え、人口統計上の節目を迎えようとしている。
中央統計局は、イスラエルの人口が今後数週間で 1,000万人を超えると予想されていると発表した。イスラエルでは 768万9千人 (78.6%) がユダヤ人、209万5千人 (21.4%) がアラブ人となっている。
過去 1年間で、イスラエルの人口は 118,000人増加し、1.9% の増加率を示した。過去 1年間でイスラエルでは 183,000人の赤ちゃんが生まれた。死亡した人の数は 55,000人だった。
帰還法に基づいて 3万3000人のユダヤ人移民がイスラエルに来たが、移民収支はマイナスとなり、約 1万人が住民登録から削除された。
ユダヤ人の世界人口は増加している。
2023年時点では 1,570万人、つまり世界人口の 0.2%未満になったと推定されている。現在、ユダヤ人の 85%以上がイスラエルまたは米国に住んでいる。
この人口統計上の画期的な出来事は、旧約聖書の民数記に記されている預言的な成果を表している。
民数記10章 35- 36節
アロンが出発するとき、モーセはこう言った。「主よ、前進してください。あなたの敵は散らされ、あなたの敵はあなたの前から逃げ去りますように。」そしてそれが止まるとき、彼はこう言った。「主よ、戻ってください。イスラエルの千万の民のもとに。」
聖書の解説では、無数 (revava רבבה) は 1 万であると説明されている。この節で使用されている複数形 ( revavot רִבְבוֹת) は 1万だ。1,000 を 1万倍すると、1000万になる。(※ 訳者注 / このあたりの説明はよくわかりません)
確かに、モーセの預言的な祈りが今日現れているのは明らかだ。
これは確かに祝うべきことだが、悲しいことに、ユダヤ人がこの節目を迎えたのは今回が初めてではない。1939年、世界中のユダヤ人の人口は約 1,660万人でピークに達した。
その後数年間で 600万人のユダヤ人がナチスの収容所で亡くなった。世界中のユダヤ人の人口がホロコースト前のピークに戻るまでには 70年かかった。
1939年の世界人口はおよそ 20億人だった。
第二次世界大戦で 6,000万人から 7,800万人が亡くなり、これは当時の全人口の約 3%に相当した。現在、世界人口は 79億5,000万人で、第二次世界大戦前のほぼ 4倍となっている。
おそらく今日世界で最もよく知られているユダヤ人の人口統計の専門家であるセルジオ・デラペルゴラ教授は、ホロコーストが起こらなかったのなら、今日の世界のユダヤ人の人口は少なくとも 2,600万人、おそらくは 3,200万人に達していただろうと示唆している。
ユダヤ人ほど頻繁に、また劇的に大量虐殺の試みに苦しんだ国は他にない。実際、「大量虐殺」という言葉は第二次世界大戦前には存在せず、1942年にホロコーストを説明するために造られた。
ユダヤ人の大量虐殺は恐ろしい悲劇だが、深い精神的意味合いがある。タルムード (ユダヤ教の聖典)には、「ダビデの子(つまり救世主)は、すべての魂が肉体に入るのを終えるまでは来ない」と記されている。
これは、一定数の魂がこの世に生まれ、その数に達すると、メシア(救世主)が来ることを意味する。
タルムードは旧約聖書イザヤ書の一節をその出典として挙げている。
イザヤ書 57章 16節
わたしはいつまでも争うつもりはなく、いつまでも怒るつもりもない。霊はわたしから出、いのちの息はわたしがつくったからだ。
ここまでです。
> 「大量虐殺」という言葉は第二次世界大戦前には存在せず、1942年にホロコーストを説明するために造られた。
とありますが、そのイスラエルが、今では国連から「大量絶滅を企てている」と非難されているのもいろいろとアレです。
10月11日の米ロイターの報道より
国連の調査委員会は、イスラエルがガザ戦争でガザの医療制度を破壊する政策を協調して実行したと結論付けた。この行為は戦争犯罪と人道に対する罪である絶滅罪に該当する。
報道の翻訳は以下にあります。
・国連が、イスラエルは人道に対する罪である「絶滅罪」に該当すると結論付ける
BDW 2024年10月11日
もうひとつの報道をご紹介します。
これは、アラブ側といっていいのかどうかわからないですが、西アジアについての英語報道を行っているザ・クレイドルという報道メディアの記事です。
ここからです。
イスラエル大臣:「ユダヤ人国家はエルサレムからダマスカスまで広がる」
'Jewish state will extend from Jerusalem to Damascus': Israeli finance minister
The Cradle 2024/10/10
新しいドキュメンタリーで、イスラエルのベザレル・スモトリッチ財務大臣は、シリア、イラク、ヨルダン、レバノン、サウジアラビアの一部を征服するというシオニストの目標はイスラエルの公の議論の一部であると述べている。
イスラエルのベザレル・スモトリッチ大臣は新たなドキュメンタリーの中で、ヨルダン川までのパレスチナ領土全体だけでなく、シリアの首都ダマスカス、さらにはイラクやサウジアラビアにまで及ぶ領土を征服したいという願望を詳しく語った。
イスラエル内閣の財務大臣であり、宗教シオニスト党の党首でもあるスモトリッチ氏は、最近公開された「イスラエル:権力の座にある過激派」と題するドキュメンタリーの中でこの発言をした。このドキュメンタリーは、フランスとドイツの放送メディア「アルテ・ルポルタージュ」が制作した。
目標について尋ねられると、スモトリッチ氏はインタビュアーにこう答えた。
「私はユダヤ人国家を望んでいます。それはユダヤ人の価値観に従って運営される国です」
In a documentary produced by Arte, Israeli finance minister Bezalel Smotrich says he wants a “Jewish state,” adding that, “It is written that the future of Jerusalem is to expand to Damascus.” pic.twitter.com/E2SBu1LJvD
— Middle East Eye (@MiddleEastEye) October 10, 2024
イスラエルは現在、1967年以来イスラエル軍の占領下にあるヨルダン川西岸のパレスチナ自治区を含む、地中海からヨルダン川までの領土を支配している。
それ以来、イスラエルはヨルダン川西岸地区で奪ったパレスチナ人の土地に違法なユダヤ人入植地を建設し続けている。
次にインタビュアーは、スモトリッチ氏に、ユダヤ人国家の国境はヨルダン川を越えて広がるべきだと思うかと尋ねた。
スモトリッチ氏は、以下のように答えた。
「その通りです。しかし、ゆっくりとです。私たちの偉大な宗教の長老たちは、エルサレムの未来はダマスカスまで広がるだろうとよく言っていました」
ドキュメンタリーのナレーターは以下のように付け加えた。
「ベザレル・スモトリチ氏は約束の地について最大限のビジョンを持っている。そして、それはパレスチナの土地すべてだけでなく、ヨルダン、シリア、レバノン、イラク、エジプトの領土も含む。サウジアラビアさえも。確かに過激なビジョンだが、イスラエルの公の議論では受け入れられているものだ」
2023年10月にガザ虐殺が始まって以来、多くのイスラエル軍兵士、メディア関係者、政治家たちは、ユダヤ人入植地を建設するためにガザ地区を征服するために戦っていることを明らかにしてきた。
彼らは、ユダヤ人の入植を可能にするために、ガザ地区を破壊し、その地区に住む 230万人のパレスチナ人を、陸路でエジプトへ、あるいは船でヨーロッパへ強制的に追放しなければならないと主張している。
いわゆる「将軍の計画」に従って、ガザ北部のパレスチナ人の民族浄化が現在進行中だ。
兵士の中には、制服に付けているワッペンで、シリアやイラクにまで及ぶアラブ領土の征服という追加目標を明確に示す者もいる。
An image of an Israeli soldier's uniform with a patch of the map of 'Greater Israel' has been circulating online.
Here the long-term ambitions of the supporters of 'Greater Israel' are explained
pic.twitter.com/jdP0zGTpj5— Dr. Anastasia Maria Loupis (@DrLoupis) June 19, 2024
イスラエル社会の多くの人々もまた、南レバノンを征服し、そこにユダヤ人入植地を建設することを期待している。9月25日、南レバノン入植運動は、レバノンの町や村の現在の名前に基づいた「南レバノン入植地の新しいヘブライ語名」を記した地図を公表した。
ユダヤ・ カレント紙は、以下のように報じている。
この運動の世界観では、イスラエルによる南レバノンへの入植はヒズボラとの戦争から始まるだろう。彼らはこれを外交的解決を除けば最後の手段ではなく、前進するための唯一の合理的な道と見ている。
政治アナリストのジェームズ・ドーシー氏は、この運動は旧約聖書 申命記の第 3章25節でレバノン征服の聖書的正当性を主張していると指摘している。
モーセは約束の地に入る許可を神に求める際、「どうか、わたしにも渡って行かせ、ヨルダン川の向こうの良い土地、美しい山、またレバノン山を見せてください。」と頼んでいる。
ここまでです。
ちなみに、旧約聖書の申命記 3章25節について取り上げていますが、しかし、この 25節の次の節の 26節からは以下のようになっています。
申命記 3章26 - 27節
しかし主は、あなたたちのゆえにわたしに向かって憤り、祈りを聞こうとされなかった。主はわたしに言われた。「もうよい。この事を二度と口にしてはならない。
ピスガの頂上に登り、東西南北を見渡すのだ。お前はこのヨルダン川を渡って行けないのだから、自分の目でよく見ておくがよい。
「お前はこのヨルダン川を渡って行けないのだから」とか言われていますが、いずれにしても、最初にご紹介した人口 1000万人の報道にも、この報道にも、旧約聖書のフレーズが引用されています。
まあ……ヨルダンといえば、かつての私は、「昼なのにヨルダン」くらいのフレーズしか思い浮かぶことがなかったですが(おいおい…)、このイスラエル…というより、シオニスト的な思想は深刻ですね。
先ほどの報道にあった以下の部分などもそうです。
「それはパレスチナの土地すべてだけでなく、ヨルダン、シリア、レバノン、イラク、エジプトの領土も含む。サウジアラビアさえも…」
将来的なイスラエルの領土としたい領域は、以下の赤いラインの内側となるようです。
一種の陰謀論として語られる「ユダヤ人が世界を支配する」という概念がありますが、その中には、真偽はともかく、ユダヤの思想の「カバラ」には「悪が最終的に勝利する」という概念があるそうで、そして、
「滅亡させるターゲットは、ユダヤ人も非ユダヤ人も何も関係ない人類全体である」
ということなのかもしれないなあ、と漠然と悟ったことがあります。
以下の記事にあります。
(記事)太陽の民族として悪魔と対話する
In Deep 2022年8月9日
これは 2022年の記事ですが、それから 1年ほど後、ガザにイスラエルが侵攻したときに、「イヤな時代が始まるのかなあ」と感覚的には思ったものでした。あくまで感覚的なものですが。
その 2023年のガザ侵攻の直後には、「人類そのものを破滅に向かわせる」として、以下の記事を書いています。
(記事)宗教民族の対立を超えて「人類そのものを破滅に向かわせる」選民思想
In Deep 2023年10月12日
詩人イェイツが、1918年頃に書いた詩の、
「これからベツレヘムで生まれようとしているのは、キリストではなく不気味な怪物」
という概念を知って記事にしたのも、この頃でした。
その記事では、「人間の顔をした怪物」という概念を述べています。
まったく、その通りの時代が進行していると感じます。
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