8月7日、ミドルスブラ。デモ参加者に火をつけられ炎上する車両。smh.com.au
第25太陽活動最大期に
先週くらいのこちらの記事で、イギリスでの暴動というのか内戦の序章というのかはよくわからないですが、混乱が起きていることに、少しふれました。
日本のメディアや報道のトピックスは、ここのところはオリンピックだの野球だの、スポーツで世の中の目も耳も塞がれる状態が続いていて(私自身はオリンピックはもう 30年くらい見ていませんが)、ともかくイギリスの動向はよくわからなかったのですが、まだ続いているどころかエスカレートしていることが伝わっていました。
そのことについて、最初にご紹介させていただこうと思いますが、冒頭の写真は、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルドにあったもので、その記事の中に以下のような下りがありました。
今回の暴動は、ロンドン北部で黒人男性が警察に殺害された後、5日間暴動が続いた 2011年夏以来、イングランドで最悪の事態となっている。 smh.com.au
「あー…これ、なんか、その頃、記事にしたなあ」と記事を検索してみますと、以下の記事が出てきました。
(記事)1970年代後半の第 21太陽活動最大期にジョン・ライドンが夢見た「アナーキー・イン・ザ・UK」の現実
In Deep 2011年08月09日
今から 12年前の同時期に、ロンドンで、当時「近年最悪」と呼ばれた暴動が起きたときのものです。
2011年8月8日。ロンドン・クラッパム・ジャンクション駅近くのデパート
この周期を思い出しまして、
「ほとんど太陽活動周期と同じサイクルで暴動が起きてるじゃないの」
と思わざるを得ない感じですが、しかし、前回は「 5日間」で暴動は終わりましたが、今回はそれをすでに超えています。そして今後、いったんは収束するのかもしれないですが(何百人も逮捕されているので)、しかし、時期的には長く続くものとなるかもしれません。
その理由は、いろいろとあるでしょうが、そのひとつに、「太陽活動が前回の太陽活動周期であるサイクル24とは比較にならないほど大きい」ことがあると思います。
現在の第25太陽活動周期(サイクル25)の平均黒点数は、すでに前回のサイクル24を超えました。後述しますが、やはり若者たちが荒れた 1970年代の最大期の黒点数も超えています。
サイクル19(1960年代)から現在のサイクル25までの太陽黒点数の推移
Monthly and smoothed sunspot number
太陽活動と暴力の関係性については、これまで何度も書いてきていますので、ここではふれませんけれど、以下にいくつかの記事のリンクがあります。これは、学説的に、ほぼ完全に証明されている関係性です。
先ほどリンクしました「1970年代後半の第 21太陽活動最大期にジョン・ライドンが…」という記事でふれましたけれど、この 1970年代(サイクル21。太陽活動極大期は 1979年)の際にも、この 70年代の終盤に、やはりロンドンは荒れていました。
ただ、その時は暴動ではなく、「ロンドンでパンクというものが台頭した時期」で、先ほどのタイトルにあるジョン・ライドンという人は、そういうバンドのひとつだった Sex Pistols のフロントマン的な人でした。
その十数年後だったか、英国 BBC で放映された「ロックの歴史」というようなタイトルのドキュメンタリーで、ジョン・ライドン氏は当時を振り返って、以下のように語っていました。
この後、ジョン・ライドンさんは「笑う」のですけどね。
まあしかし、思えば、私もこの人たちの音楽により(楽しいほうに)転落した人のひとりですかね。初めて Sex Pistols を聴いたのは 14歳くらいでした。全英初登場 1位を獲得したけど、「イギリスのすべてのラジオとテレビで放送禁止となった」アルバムです。
ともかく、英国という国もまた面白いように太陽活動と「人々の無軌道」がリンクしていた国のひとつであることが、今回の暴動でわかります。
そして、今回の暴動は、以前の暴動ほどすみやかには収まらないでしょうし、仮に収まったとしても、何しろ「太陽活動最大期に向かう期間はまだまだ長く続く」のです。何度でも起こりますよ。
先日のこちらの記事でも書きましたけれど、ロシアのアレクサンドル・チジェフスキー博士が、今から 100年くらい前に、そこから過去数百年を遡ったデータを分析して発表した論文によると、現在の黒点最大期(第3期)は、以下のような社会が「現れやすい」と断定されています。
黒点最大期(現在がこの時期に該当)の特徴
大衆は、とても気が短くなり、自分たちの目標の実現の障害となるものはすべて破壊し突っ走るようになる。
暴動、革命、衝突、紛争など流血を伴う惨事が相次ぐ。
このような特徴の結果として、黒点最大期には、革命、暴動、大殺戮、戦争、新しい指導者の出現、反乱、社会変革、専制政治への反発、移民、処刑などの激しい現象が発生する。
ここに、
> 自分たちの目標の実現の障害となるものはすべて破壊し突っ走るようになる。
とあり、「目標の実現」とありますが、
「じゃあ何か具体的な目標があり、それを実現しようとしているのか」
というと、
「ない」
と私は考えます。
> 障害となるものはすべて破壊し突っ走る
ほうが先決であり、問題解決は頭の中にはないはずです。それが、黒点最大期(第3期)の特徴です。
1970年代のパンクにも、2011年の暴動にも「具体的な目標を実現しようとする」ような姿勢など見られませんでした。
ちょっと前置きが長くなりましたが、現在の英国の現状です。英国内の報道はむしろ混乱しているので、ロシア RT の今日の報道をご紹介させていただきます。まあ、ロシアにしても人の国のことを心配している場合でもないですけどね。
「蜜月」の終わり:イギリスの動乱が首相の評価に与える影響
Окончание «медового месяца»: как беспорядки в Великобритании влияют на рейтинг премьера
RT 2024/08/11
英国の混乱の中、キア・スターマー首相の支持率が議会選挙開始以来最低水準に達したとテレグラフ紙が世論調査を引用して報じた。
この調査によると、スターマー首相に対して非常に否定的な意見を持つ有権者の割合は 16%から 22%に上昇した。
スターマー首相は、英国都市の路上での警察の駐留を強化し、刑事手続きを迅速化し、ソーシャルメディアで不安を煽った責任者を訴追すると約束した。専門家たちによると、大規模な暴動を背景とした英国のこの新首相の評価の急激な低下は、「平凡な政権交代」だけでは英国に蓄積した根本的な問題や矛盾を解決するのに十分ではないことを示しているという。
テレグラフ紙は、社会学コンサルティング会社サヴァンタが実施した調査を参考にして以下のように書いた。
英国の騒乱に対する彼の対応に対する批判を受けて、キーア・スターマーの人気は急落した。新しい世論調査によると、極右の暴動が始まってから 2週間で首相の支持率は急落し、首相を「極度の不支持」と見る有権者の割合は暴力的衝突の最初の週から 6ポイント上昇した。
サウスポートでの襲撃事件の後、イギリス全土で暴動が発生し、子ども 3人が死亡し、さらに数人の子どもと大人 2人が重体で病院に運ばれた事件を思い出してほしい。この襲撃犯が難民であるという噂が広まり、抗議活動は警察との衝突や暴動にまでエスカレートした。その後、襲撃犯はルワンダからの移民の家族に生まれたことが判明した。
テレグラフ紙の記者たちが指摘しているように、暴動が始まる前、首相にはいわゆる「蜜月期間」があった。スターマー氏が 7月の選挙で圧勝し、「 14年間の保守党政権に終止符を打った」後の話だ。
コンサルタント会社サヴァンタ社によると、スターマー氏の支持率が最も高かったのは 15ポイント上昇し、サウスポート暴動が始まる前日の 7月28日だった。しかし、「 8月4日までに、この指標は +4ポイントに低下し、実質的に選挙前に持っていた値の範囲に戻った」とレポートは述べている。
「現在、英国全土に暴動が広がっており、国民の間での彼の人気は選挙以来最低レベルにある。騒動に対する彼の対応が有権者における彼の立場に永続的な影響を与えるかどうかはまだ分からない」とテレグラフ紙はサヴァンタ社の発言を引用した。
悪循環
これに先立ち、YouGov (英国のデータ分析会社)は英国居住者のほぼ半数(49%)がキア・スターマー首相の暴動への対応がうまくいっていないと確信しているという調査結果を発表した。
極右団体の支持者たちが組織したポグロムの暴動では、数十人の警察官が負傷し、数百人が拘束された。法務省は、暴力との戦いの一環として、さらに 500か所の刑務所が準備され、警察の専門部門の職員 6,000人が配備されたと報告した。
国内の騒乱のため、スターマー首相は休暇をキャンセルしたとインディペンデント紙は報じた。同紙によると、英国の多くの都市で反移民の抗議活動や暴動が続いているだけでなく、「極右を止めろ」という呼びかけに応じた数千人の活動家が参加して、すでに多数の反対デモが始まっているという。
専門家たちによると、英国は「将来像を描き、戦略的に考える」ことができる社会的責任のあるエリートの深刻な不足に直面しているという。
ロシア連邦政府傘下の金融大学社会科学・マスコミュニケーション学部政治学科のドミトリー・エジョフ准教授は以下のように指摘する。
解決しなければならない問題が多すぎる。スターマー内閣は、騒乱の中心に直接横たわる問題にまったく対処できていない。これらは一般にヨーロッパ諸国の特徴であり、英国人口の民族構成に深刻な変化をもたらした近視眼的な移民政策の反映だ。
英国社会における紛争のレベルは高まっており、さらに激化する可能性がある。労働党が政権を握って最初の 1カ月の結果が証明しているように、国内政治問題に対して状況の安定化につながる効果的な解決策を提示できる可能性は低い。
同氏によると、最も可能性の高いシナリオは、状況を安定化できる人材を求めて英国首相が頻繁に交代し続けることだという。「この期間は非常に長くなる可能性がある」とエジョフ准教授は語った。
ここまでです。
英国の政治のほうの話はどうでもいいのですが、確実に問題のひとつである「移民問題」がくすぶっているのは、他の多くのヨーロッパ諸国も同じです。
東欧の報道メディア REMIX は、少し前に以下のようなタイトルの記事を上げていました。
「シリア人の20人に1人近くが現在ドイツに住んでおり、半数以上がドイツで生活保護を受けている」(rmx.news)
これで自国の若者たちが不満を抱かないのなら、むしろ変です。
しかも、これは単純な数としての人口の増加には寄与するかもしれないですが、労働能力の流入でも知的人材の流入でもありません。ただ国庫を消費しているだけとなっています。
このような移民政策を、指導者やエリートたちが単に無思考でやっているのなら、本物のホース&ディアですが、何か意図があってやっているのなら、それはそれで悪質だとも思います。
ただただ国力が疲弊していく光景がみられるだけなのですから。
ともかく、太陽活動の現状から見て、あと 2年から 3年は、ヨーロッパだけではなく、世界的に暴力的衝動は拡大し続けると見られます。
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