2016年6月12日のスペースウェザーより
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冒頭の写真は、6月6日に、アメリカのテキサス州ビッグ・ベンド国立公園で撮影されたものですが、この日、このように、空が緑色に染まりました。
オーロラではありません。
というか、オーロラは通常は極地に近い場所で観測されるものですので、極地とは無縁の地であるテキサス州でオーロラが観測されるようなことがあれば、それはそれである意味で終末的ですが、これはオーロラとは関係ない現象として空が緑色に輝いていました。
6月6日のテキサス州の空
スペースウェザーによりますと、これは「大気光」と呼ばれる現象だそうです。
大気光 – Wikipedia
大気光とは、大気光学現象の一種で、地球などの惑星の大気が起こす弱い発光。大気光があるため、星明かりや太陽光の散乱が無かったとしても夜空は完全な暗黒にはならない。
大気光現象は、1868年、スウェーデンの科学者アンデルス・オングストロームによって確認された。
こういうもので、確認されてから 150年近くの歴史があるものなのですが、あまり馴染みのない言葉ではあります。
しかし、大気光の専門のギャラリーを見ますと、今年はわりと観測されているようです。
2016年5月10日 ドイツ・キールで観測された大気光
2016年4月9日 米国マサチューセッツ州ケープ・コッド
2015年3月4日 インドネシア・ハルマヘラ島
夜空が基本的には常時このように彩られているというのは、なかなか感慨深いものですが、しかし、日本などでは、こういう「空の光」はほとんどの地域で見られないのだと思います。というのも、多くの主要国では、都市の光が強すぎて「夜空がまともに見えない」状況になっているからです。
もちろん、これは今に始まったことではないですが、最近の研究で、それがかなり度を超してきていることが報じられていました。
下は、朝日新聞の報道です。
世界人口の3分の1、天の川見られず 「光害」が影響
朝日新聞デジタル 2016/06/11
世界の人口の8割以上が街の照明などで夜空が明るくなる「光害」の影響を受けており、約3分の1は「天の川」が肉眼で見られなくなっていることが欧米の研究チームの分析でわかった。
米科学誌サイエンス・アドバンシズに論文が掲載された。研究チームは高解像度の衛星写真を分析し、各国の地域ごとに自然状態の夜空に対し、人工光による「光害」の深刻度を6段階に分類した。
その結果、天の川が見られない都市部などに住む人口は、世界全体の約3分の1。
先進国の割合が高く、米国では約8割、欧州で約6割、日本でも約7割に達した。
最も光害がひどいシンガポールでは、全土で人の目が暗いところに反応する「暗順応」が起きなくなるほどだという。
というわけで、現在の日本は全土の7で天の川銀河を見ることができないようですが・・・というか、天の川を見られるという「3割のほうの土地」は、人口があまりなさそうな場所が多そうで、ごく普通に町や村で生活している日本人は、ほとんど下のような天の川銀河を見ることはできていなさそうです。
オーストラリア・ピナクルズ国立公園で撮影された天の川銀河
しかしまあ、私も上のような光景は、おそらく人生で一度も見たことがないですね。
関東の比較的都市部に住む今は当然ですが、19歳まで過ごした北海道の田舎でも、夜空がこのように見えたことはありませんでした。
おそらく、ほとんどの日本人が、実際の空の様子を見られないまま過ごして死んで行くということになっているようです。
それでもまあ、街灯があり夜が真っ暗ではないからこそ、人は安全に夜でも歩くことができるようになったわけですし・・・と書いていて思うのは、「人は本来は夜に歩かなければならないような生活をしていなかった」という事実にも突き当たりますが。
そんなわけで、あまり夜空は見えない現代社会なのですが、この夏、比較的珍しい天体のイベントがいくつか起こります。
ロシアの vk.com に、まとめられていましたので、ご紹介します。
2016年夏の天文イベント
2016年6月20日 夏の至点と満月が重なる(49年ぶり)
この「至点」というのは、「天球上において太陽の赤道面からの距離が最大となる瞬間」で、夏と秋の2度ありまして、太陽との位置が下のようになる時のことです。
今年の夏の至点は 6月20日にあたり、そして、その日は満月となるそうなんですが、至点と満月の日が重なるのは 1967年6月22日以来 49年ぶりということで、わりと「一生に一度的な出来事」のようです。
ちなみに、次に至点と満月の日が重なるのは 46年先の 2062年6月21日だそう。私たちの世代は、次はないですね。
2016年7月28日頃 みずがめ座流星群の2つの流星群が共に極大期をむかえる
みずがめ座流星群というのは、みずがめデルタ北群,みずがめデルタ南群,みずがめイオタ北群,みずがめイオタ南群の「4つの流星群」から成り立っているという複雑な流星群ですが、今年7月の終わりに、このうちのみずがめデルタ北群と、みずがめデルタ南群の2つが共に極大期をむかえることとなり、観測条件によっては、見事な空模様を見られるかもしれません。
2016年8月12日-13日 ペルセウス座流星群
今年最大の流星群イベントのペルセウス座流星群の極大期は、日本時間で 8月12日から 13日です。
観測条件が良ければ、1時間あたり 100以上の流星を見られるとのことです。
2016年8月27日 金星と木星が極めて近づく日
8月27日に上のように金正(それじゃ、次に「恩」とか「日」になっちゃうだろ)……金星と木星が近づいて観測できるそうです。
天文的には意味深い観測ができる日だとのこと。
2016年9月1日 アフリカで「金環日食」
9月1日、アフリカの中央部などで金環日食が見られるそうで、観測できる地帯を見てみますと、ちょうど「南緯33度線に向かって日食が進んでいく」という構図になっていて、ある意味では何かの示唆的な部分も感じたり感じなかったり(どっちだよ)。
9月1日の日食が見られる地帯
色が濃ければ濃い地域ほど、完全な皆既日食が見られ、中央の赤い細いラインの場所では、皆既日食、あるいは上の写真のような「金環食」となります。
南緯33度関係の記事はこちらに一覧があります。
この夏は、いろいろと波乱の要素も多そうですが、天空でもいろいろとイベントが続くようです。
都市部を中心として、日本ではそのほとんどはあまり見えないかもしれないですが、起きていることには起きています。
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