2016年9月8日の米国ビジネス・インサイダーより
・There’s a 20%-50% chance we’re inside the matrix and reality is just a simulation
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この世界が仮想現実か、それに準ずるものである可能性がかなり高くなっている現在
今から4年ほど前、下のようなタイトルの記事を書いたことがありました。
・「私たち人類はコンピュータ・シミュレーションの中に創られた宇宙に住んでいる?」という仮説理論を検証する実験が開始される
2012/12/12
そこでご紹介しましたデイリー・ギャラクシーの「我々は巨大なコンピュータが創り出した宇宙の中に住んでいるのかもしれない: 物理学者たちがその現実性をテスト中」というタイトルの記事は、次のような始まりでした。
かつて、プラトンからデカルトまで、偉大な哲学者たちは、「この世に見えている光景は邪悪な悪魔が作りだしたものだ」と推測していた歴史がある。
そして今、最新の科学の世界でも、物理学者たちは「この世界がコンピュータが創り出している世界で、我々はその世界に住んでいるのかもしれない」という考えを思い浮かべることがあるのだ。
プラトンは、「現実というのは洞穴の中の影以上のものではないかもしれない」とし、そして、人類はそれが影だと気づくことなく、洞穴を出発せずにいると言った。
そして、オックスフォード大学の哲学教授であるニック・ボストロム( Nick Bostrom )氏が 2003年に発表した論文の中で記した、
「現在の人類はコンピュータ・シミュレーションの中に生きている可能性がある」
ことについての概念について記した記事でした。
要するに、過去から現在まで、「私たちが経験しているこの世の現実(だと思っている存在)は、何らかのシミュレーションである可能性がある」という説は続いてきていたということのようです。
しかし、こういう説や主張を、哲学者や理論物理学者、あるいは天体物理学者などが言うのであれば、「まあ学問の話として」のようなとらえ方で、適度に受け流せる部分もあるのですが、先日、アメリカの銀行バンク・オブ・アメリカが顧客に向けたレポートの中で、「私たちがコンピュータ・シミュレーション(仮想現実)の中に生きている可能性は、20パーセントから 50パーセントある」としていたことが、報じられました。
それが冒頭のものですが、この記事は、経済メディア「ビジネス・インサイダー」に載せられたものであり、そういう投資や金融関係の場に「私たちがコンピュータ・シミュレーションの中にいる可能性はそれなりに高い」と報告されていたというのを、一体どうとらえればいいのかという感じはあります。
もちろん、バンク・オブ・アメリカは銀行であり、そのレポートは、顧客に向けて「資産保全等に対しての情報」を発信していると思われるわけで、たとえば、今回のレポートの締めの文章も、
「(この世界が仮想現実だとした場合の)投資への影響は今のところは不明だ。」
となっていました。この世界が仮想現実であっても、投資環境への影響を考えなければならないというのは、もう、何だか仮想現実だろうが何だろうが関係ない気もしますが、今回は、まず、その冒頭の記事をご紹介します。
ちなみに、記事のタイトルでは「マトリックス」という言葉が使われています。
この「マトリックス」という言葉なんですが、英語(matrix)の本来の意味は、辞書的には、
「母体・基盤」のこと、一般には「数学の行列」のことです。
というものなのですが、今は数学関係以外では、そういう使われ方はあまりされていないようで、三省堂の辞書・ことば企画:10分でわかる「マトリックス」によりますと、以下のような過程を経て、現在は、むしろ「仮想現実空間」という意味で使われています。
【どんな経緯でこの語を使うように?】
この語は、SF映画「マトリックス」シリーズ(1999年~2003年)のヒットによって有名になりました。映画では、「コンピューターが支配する仮想現実空間」のことがマトリックス(The Matrix)と呼ばれました。
この用語の採り方は、ウィリアム=ギブスンによるサイバーパンク小説『ニューロマンサー』(1984年)からの引用だとする説が一般的です。
というわけで、この記事に出てくる「マトリックス」は、「コンピュータが創り出す下層現実空間」という意味となるようです。
ここから、バンク・オブ・アメリカの顧客向けのレポートについて報じた内容についての記事をご紹介します。
BANK OF AMERICA: There’s a 20%-50% chance we’re inside the matrix and reality is just a simulation
Business Insider 2016/09/08
バンク・オブ・アメリカ : 20%から50%の確率で、私たちはマトリックスの中におり、現実が単なるシミュレーションである可能性がある
いかにしても私たちがそれを知ることはできないという事実がある
バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチは 9月6日、顧客向けのレポート注記の中で、私たちが 20% から 50% の確率で「マトリックス」の中に生きていると記した。
ここでいうマトリックスとは、私たちが経験しているこの「現実」は単なるシミュレーションで、仮想現実空間に過ぎないということを意味する。
同社は、イーロン・マスク(Elon Musk)氏、ニール・ドグラース・タイソン(Neil deGrasse Tyson)氏らの言葉を引用し、また、ニック・ボストロム(Nick Bostrom)氏の先進的な論文からも引用している。
以下がバンク・オブ・アメリカによる記述だ:
多くの科学者たち、哲学者たち、そしてビジネスリーダーたちは、人間が現時点ですでにコンピュータでシミュレートされた仮想世界に生きている可能性が 20%から 50%あると確信している。
2016年4月、研究者たちは、この概念を議論するためにアメリカ自然史博物館に集まった。議論は、私たちが今、何百万人もの人々が同時に関与するフォトリアリスティック(本物のような画像)な3Dシミュレーションに近づいているかどうかということについてだった。
考えられることは、人工知能の進歩、バーチャルリアリティ、およびコンピューティングパワー等を獲得したことにより、未来文明の人々は、彼らの祖先(現在の私たちのこと)のシミュレーションを実行することを決定したかもしれないということだった。
バンク・オブ・アメリカはまた、人類に対しての、ニック・ボストロム氏が提唱する3つの可能性の高いシナリオを強調表示した。
それは以下の3つだ。
1. 「ポストヒューマン(現在の人間を超えた存在)」の段階に到達する前に人類は絶滅する
2. ポストヒューマンとしての存在に達するが、進化の歴史をシミュレートしない
3. 私たちはすでに仮想現実の中にいる
しかし、ボストロム氏の 2003年の論文を読むと、その時点では、私たちはこれらのシナリオのいずれに対しても完全な知識へのアクセスを持っていなかったことは明らかで、ボストロム氏のは次のように結論づけている。
「私たちは今、シミュレーションの世界に住んでいない限り、私たちの子孫は,ほぼ確実に先祖に対してシミュレーションを実行することはないでしょう」
ここにある「もしそれが真実なら」とか「そうであれば真実で」とか「それ以外なら真実」というような構造は、哲学的闘争をまったく意味しない。
私たちがマトリックス(コンピュータが創り出す仮想現実空間)の中にいるか、いないか、だけの話だ。
私たちが今現在マトリックスの中にいないのであれば、私たち人類がマトリックスを創り出す可能性は低いだろう。なぜなら、マトリックスが見込みのあるものだったのならば、何がなんでも創り出そうとしてきたただろうからだ。そして、我々はその仮想現実の中に入っただろう。
この件の投資への影響は今のところ不明だ。
ここまでです。
この世界の正体
ここに出てくる、ニック・ボストロム、イーロン・マスク、ニール・ドグラース・タイソンの3氏は、それぞれ著名な人たちですが、ニック・ボストロム氏は、スウェーデン人の哲学者であり、精神転送や人工知能といったトランスヒューマニズム(超人間主義)ということについて話す方で、イーロン・マスクさんは、先日の記事、
・NASAが国際宇宙ステーションの民間企業への売却計画を決定した中、スペースX社のファルコン9を攻撃したのはUFOなのか、それともレンズのゴミなのか
2016/09/05
という記事でふれました、爆発を起こしたロケット「ファルコン9」を保持するスペースX社の設立者であり CEO で、やや大変な損害となっていると思われます。
それはともかく、こういう人々が主張してきた理論などを添えて、バンク・オブ・アメリカは、「私たちは仮想現実の中にいる可能性が高い」と顧客に訴えたわけです。
この、現実はコンピュータ・シミュレーションかもしれないという話や、「この世はホログラムである」という説は、最近、とても多くはあり、「この世がホログラムであるかどうかの実験」も始まっています。
2013年12月のネイチャーの記事より
今回のバンク・オブ・アメリカの中のレポートの中で大きく扱われているのが、イギリスの哲学者であるニック・ボストロム博士の理論ですが、これに関しても、今年、NASAジェット推進研究所にある「進化的計算および自動設計センター(Center for Evolutionary Computation and Automated Design)」のセンター長が、それに同意を示す発見をしたことが報じられていました。
2015年5月10日の米国メディア記事
ちなみに、この記事のタイトルは「エイリアンによって」とありますが、そのようなことは誰も言っていないと思いますので、記事を作った人による装飾のようなものだと思います。記事にあるのは、1950年代に物理学者エンリコ・フェルミ氏が、「地球外文明の存在の可能性が高いにもかかわらず、そうした文明と人類は接触していなし、その証拠もないことは矛盾すること」としたことだと主張したことがあるということだけです。。
この記事の中に NASA の先ほどの人物による以下のような語りがあります。
「量子力学においては、粒子は観測されるまで明確な状態を持たないとされています。多くの理論家たちが、これを説明するために多大な時間を費やしてきました。そうして導き出された説の1つが、我々はシミュレーションの中に生きており、見るべきことを見るべき時に見ているというものなのです」
これはつまり、「現実はコンピュータ・シミュレーションかもしれない」という説に至る道のりの前提として、たとえば、過去記事の、
・《特報》「人間によって観測」されるまでは「この世の現実は存在しない」ことを、オーストラリアの量子学研究チームが実験で確認
2015/06/06
などでもふれました、
この世は、人間に観測(認識)されるまで存在しない
という量子力学の存在があり、ここから発展した理論のひとつといえそうです。
これらの量子力学の概念は大変に難しいもので、理解することはなかなか難しいですが、その他にも、いわゆる別次元「らしいところ」から来ていると主張してやまない宇宙人の人たちなども、「この世はホログラフィ(ホログラム)」だと言っていることにふれたこともあります。
下は、『プレアデス+かく語りき―地球30万年の夜明け』というものの中からの抜粋ですが、他でも、そういうことは耳にする機会などもありました。
『プレアデス+かく語りき』より
彼らはホログラフィの挿絵を作り、それは真に迫ったドラマそのものですが、それをポータルを通してあなた方の現実のなかに挿入するのです。
これをやっている宇宙存在は何十万年も生きている存在であり、人類の周波数はコントロールされているために、人間を騙すことは彼らにとってはまったく簡単なことです。
ホログラフィーの挿絵は、三次元の世界とまったく同じように見えます。それは作られた出来事であり、それをあなた方の現実に、現実のつづきであるかのように挿入します。それは見ている者の頭脳に影響をおよぼす目的で使われ、見分けるのはとても困難です。
壮大な出来事の一部は本物ですが、一部はホログラフィーの挿絵で、人類の意識をコントロールしやすいように、一つの世界秩序に向けようとする意図でデザインされるでしょう。(略)
社会における究極の暴虐は戒厳令による支配ではありません。意識を心理的に操作することによって支配することこそ究極の暴虐です。
意識を心理的に操作して、現実を規定し、その現実のなかにいる存在は自分が檻のなかに閉じ込められていることすら気がつかないのです。
これらの話は「誰がやっているか」ということになると、かなりやややこしい話になりそうなのですが、それは置いておいて、この人の主張は、このように、
「この世の現実の多くに、私たちの視覚、聴覚、触覚などに直接訴える《現実ではない》存在があふれている」
ということになるようです。
ただ、この場合は、コンピューター・シミュレーション等ではなく、「特定の周波数」によるイメージ(音・においなどを含む)ということになります。
話はそれるかもしれないですが、私はこの、「この世の存在というものの根源が、音、あるいはその周波数そのものである可能性がある」ことについては、かなり確信めいて信じておりまして、そのあたりについては、過去記事の、
・宇宙の創造…ひも理論…432Hz…528Hz…ライアー…:数々のシンクロの中で、この世の存在は「音そのもの」であるかもしれないことに確信を持てそうな春の夜
2015/03/22
という記事などをご参照いただければ幸いです。
この記事には、「すべての音(周波数)は、それぞれの固有の形をもっている」という事実から思ったいくつかのことを書きました。
まあ、しかしですね。
私たちがマトリックス的なコンピュータ・シミュレーションが創り出す仮想現実空間の中に生きているとしても、あるいは、特定の周波数によって存在しないものを与えられているという可能性があるとしても、
「私たちはそれに気づくことはできない」
のです。
ですから、実はどちらでも構わない話ではあると思います。
そして、たとえ、私たちの住む世界がどんなような現実で構築されているにしても、その外側の「感覚」(見えるもの、聞こえるもの、ふれられるもの)に対して持つ感情は私たち自身のものではあるはずです。
だとしたら、この世がどんなものであっても、私たちは、その自分の感覚を外界からの干渉で「悪いもの」にしてしまうようなことがあってはいけないのだと考えます。自分のたちの内に誰でも実は持っている「良心」に沿って生きるしかないのだと思っています。
そのように生きることが(完全ではなくとも)できれば、外界がシミュレーションやホログラムでも特に問題はないことになるはずです。
今の世の中は、そして、そこに住む多くの人々は、外界で起きることへの感情の惹起の連続です。
つまり、悲しみや怒りや喜びなどの感情が、「内から」ではなく、「外界からの刺激」によってのみ起きている場合が多いということです。
何かが起きた伝聞やニュースを見たり聞いたりして怒る、興奮する、落ち込む・・・これらは外界への反応で、自分の内なるものとは実はあまり関係のないことです。
常に外界から感情を掘り返される日々で、特に今はネガティブな反応を一日に何度も何度も起こす場合が多く見受けられます。しかし、その瞬間、自分に降りかかっているものが、私やあなたの心の「内なる平静」に対して邪魔なものなら「その存在を受けつけない」のが賢明に思います。
私たち人間にはそれができるのです。
この世がシミュレーションやホログラムであるかどうかを判別することはできなくとも、外界への反応を第一にするのではなく、自分の心と感情を中心に置けば、それがシミュレーションであろうが、ホログラムであろうが、あまり関係のないことで、私たち人類は全員「世界を自分の制御下」に置くことができるのです。
それがこの世だと私は思っています。
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