地球の最期のときに

世界は元に戻らないのではなく「危機は今から始まる」ことを実感しながら、「なぜそうなったのか」を改めて新型コロナウイルスの特性から振り返る



投稿日:2020年6月25日 更新日:

2020年6月23日 欧州で最も人気のビーチのスペインのバルセロネータビーチにも人はいない

Barcelona’s Epic Tourism Boom Is Over, Now the Crisis Begins




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破壊的な影響はこれから始まる

先日、以下の記事で、アメリカの新型コロナウイルス感染確認数の急増に歯止めがかかっていないことを取り上げさせていただきました。

アメリカ人の3人に1人が「5年以内に内戦が起きる」と考えていることが代表的な世論調査で判明。そのアメリカはコロナの感染者数の再増加に歯止めが効かない状態に突入
In Deep 2020/06/22

この記事では、6月21日の時点で、パンデミックが始まって以来「過去最大となる新たな感染確認数」がアメリカの 22州で記録されていることをご紹介しました。

アメリカ全体の新たな感染確認事例も、6月21日の時点で 3万2000人に近づき、4月24日に記録された 3万6739人に近づいていることを示しました。


Coronavirus in the U.S.

そして、この後、この「新しい記録」が更新されるのにかかった日数は「たった 3日」でした。

6月24日に、アメリカの「 1日あたりの新たな感染確認数が、過去最大を記録した」のです。

この日のアメリカの新たな感染確認数は、4月24日の 3万3739人を超えて、「 3万8672人」を記録しました。以下がそのグラフです。


The COVID Tracking Project

先ほどリンクしました過去記事では、6月21日の時点で、アメリカ 22州で新たな感染者数が増加に転じていることを取り上げていますが、6月24日の時点では「全米 27州」に拡大しています。

アメリカは現在 50州とされていますので( 51州だという記憶から抜けられないのですが)、現在のアメリカは、全体として「新型コロナウイルスの感染者が増加に再度、転じた」と言えそうです。

以下は、米ニューヨークタイムズに掲載されていました「 6月24日の時点で、アメリカで感染者が増加している州」です。州の部分を日本語にしています。スペースの関係で 24州を掲載していますが、全部で 27州が増加あるいは急増しています。


NY Times

テキサス州やアリゾナ州、オクラホマ州、ネバダ州、サウスカロライナ州などはものすごい急増を示していまして、過去最大の増加を示している州も多いです。

3ヶ月に及ぶロックダウンの後の様相がこれということになるのかもしれないですが、同じようなことが、現在多くの国で起きていて、これからも起きていくと思います。

感染症への対策には、いろいろな考え方はあるとは思いますけれど、このブログでは当初から、

「対策しない」

という方法しかないと思って、そう書いていました。

その理由は、新型コロナウイルスという病原体を「軽く見ているからではなく」、その「真逆の理由」であり、つまり、この新型コロナウイルスというのは人類史上最強の伝染力を持つウイルスであることが早い段階からわかっていたからです。

手に負える相手ではない。

人為的に感染拡大を抑制するには「強すぎる相手」なのです。

たとえば、3月10日の以下の記事では、私は、このウイルスに、ほとんど尊敬にも近い念を込めて、「下手に対抗すると人類は完敗する」と記しています。

[完璧なウイルス]新型コロナは「3種類の感染受容方法」を持ち、増殖するための酵素を「8種類利用できる」おそらく史上最強のウイルスであることが判明。これにより治療薬の開発は不可能である可能性が高まる
In Deep 2020/03/10

ここでご紹介したさまざまな医学論文から、私は、この新型コロナウイルスという存在が、「以下の特徴を持っている」ことに、当時気づきました。

新型コロナウイルス SARS-Cov-2 の特徴

・多様な感染受容ルートを持つために感染性が極めて強い

・細胞内の複数の酵素(プロテアーゼ)を利用して増殖できる

・つまり、ごく少量のウイルスでも死滅せずに細胞内で増殖する可能性がある

・それなのに、発症率と症状は低く、誰が感染しているかわかりにくい(そのために感染が拡大しやすい)

・致死率が低い(感染者が生きている限り、ウイルスは死滅しないので、社会全体のウイルスの絶対量が増えていきやすい)

・発症期間が極めて長い(ウイルスの外部への放出期間が長い)

こんなものを「抑制する」なんてことができるわけがない……と、この 3月の時点で思いました。

相手が対等な存在、あるいは方法論が確立している相手なら戦うのも可能でしょう。

ところが、これは「人類が経験したことがない相手」であり、戦う方法論そのものが存在しない

なら、勇気をもって「対策しない」ほうが良いと思ったのです。

しかし現実には、この記事を書いた後の 3月の下旬から、世界全体は「ロックダウン」とか「緊急事態宣言」とか、そういう方法で、この「対決する方法論の存在しないウイルス」と戦おうするという形而上的な方法に突き進んでいきました。

それは絶対にうまくいかないと、賢明な医学者たちなら普通は思うはずです。

それでも、各国はその方法論で進み、今でもそれを続けているのです。

アメリカでは、たとえば、結果として、先ほどご紹介しました「最悪の現状」があります。

ウイルスが変異していることを考慮すれば、今後もさらに感染確認事例は増加するはずです。

さて、またロックダウンしますか?

今度は6ヶ月? 3年? 5年 60年? 1200年?

 

それでも、このウイルスは消えないと思います。

これは強すぎる。

無視する以外の方法がないほど強すぎる。

もう一度、先ほどの過去記事でご紹介した新型コロナウイルスの受容体の仕組みと、プロテアーゼの仕組を思い起こしてみます。

このウイルスは、その受容体とプロテアーゼの多様性から、おそらく地上から人間がいなくなっても、あらゆる他の生物の細胞を利用して、地球に存在し続けることが可能だと思います。

なので、1200年間ロックダウンしたとしても、ロックダウンが解除された途端に、また感染流行が始まるはずです。

8000年間のロックダウンでも、150億3000万年のロックダウンでも、それは変わらないと思います。

それでも、今後、社会はさらに形而上的な方法論を模索し続けるのだとも思われます。ソーシャルディスタンスにフェイスマスクにフェイスシールドを 150億3000万年続けて、その意味は?

 

そして、それらの言葉と概念が消えない限り、「社会が元に戻ることはない」です。

それでも、続けていこうとしている。

 

そんなわけで、今後さらに世界も日本も、経済はムチャクチャになっていくと思うしかないのですが、冒頭に載せましたスペインのビーチは、本来なら今のシーズンは、ヨーロッパで最も賑わうビーチリゾートのひとつですが、6月23日の様子を見る限り、「まったく人がいない」ことがわかります。

スペインは、すでにロックダウンを解除しているのに、この様相です。

国際間の人の行き来がまだ確立されていない理由も大きいでしょうけれど、「スペイン国内の人は?」と思うほど、誰もいないことが報告されています。

これは、日本の観光地も含めて、多くの国の観光地に言えることだと思われますし、続いていくことだと思われます。

「すべて元に戻れば」こんなことは解消されるわけですが、では、それはいつなのでしょうか?

少なくとも、今のように「今日の感染者数は〇〇人」とやっているうちは永遠に元の社会は来ない。

では、ひとりも感染者が出ない日はいつでしょうか?

だいぶ以前に、

「日本国内でひとりも風邪を引いている人がいない瞬間というのはあるでしょうか?」

という形而上的な話を書いたことがありますが、そこから想像してもらえればいいかと思います。

まして、新型コロナウイルスは、一般的な風邪ウイルスの数十倍から数百倍の伝染力を持ち、そして、次々と変異している。

感染者がひとりもいなくなる日が来ると考えるのは、サイエンスフィクションに近いです。

 

こんなこと、多くの専門家はわかっているだろうに、専門家たちも、もはや何も言えなくなっている。

世界全体が異様な思想統制傾向に陥っている。

混乱をこれ以上拡大したくないのなら、誰かが何とかしないといけないと思うのですが。

 

冒頭のスペインのビーチの写真は、最近、アメリカのサンフランシスコからスペインのバルセロナに行った人のウェブサイトでの報告ですが、バルセロナの街も、ロックダウンから再開されたとはいえ、ショップやレストランの多くが閉鎖されたままで、今後も閉鎖が増加することは確実なようです。

なにしろ、いつもはあれだけ人で賑わうバルセロネータのビーチの海外通りが以下の様相では、店などやっていられるわけがないです。

6月23日 スペイン・バルセロネータビーチのストリート

wolfstreet.com

ちなみに、スペインへの海外からの観光客は、

・4月は 0 人

で、

・5月は 前年比 -99.5%

でした。

2015年9月-2020年5月のスペインへの訪問観光客の推移

wolfstreet.com

これは、日本も同じで、4月の訪日外国人数は、前年比 -99.9%だったことが報じられていまして、限りなくゼロに近いです。

世界中のほぼすべての観光地が同じような極端な状況となっている中で、先ほどのアメリカのように、第二波というのか、つまり、

「再び感染者が急増している」

ことが明白となってきているのです。

各国政府は、もはやロックダウンも緊急事態宣言もおこなっていませんが、しかし、国や地域によっては、以前より感染者が激しく増えていることもまた事実です。

 

じゃあ、何だったんだと。

 

全世界で閉店したり閉鎖するしかなかったショップやバーやレストランは、一体、何のためにそんな苦しいことにならざるを得なかったのかと。

どうして理性的に考える中央政府がほとんどなかったのかと思います。

とはいえ、今さらもう仕方ないです。

私たちは今後の、一種苛酷すぎることが予測される世界で、生き伸びていくなりしていく他はなくなっているわけで、さて、どうしたものかと思います。

間違っても、もう元には戻らないのです。

 
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