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2020年からの世界 中国という国 日本の未来

驚きより笑いを誘った中国統計局の景気指標。しかし中国の現実の数値や状態から見える「都市封鎖や移動制限政策は、たとえ短期間でもその国に恐ろしい未来を招く」という現実。それは避けるべきでは

投稿日:2020年3月31日 更新日:


・2019年11月、デモで「神は中国共産党を滅ぼす」と掲げる香港中文大学の学生たち。NTD




 

驚異的すぎる回復力

中国で、新型コロナウイルスの感染が拡大中だった 2月の終わりに以下のような報道がありました。景況感を示す「購買担当者景気指数」というものについての報道でした。

中国景況感、2月は過去最悪の35.7 新型コロナ打撃

日本経済新聞 2020/02/29

中国国家統計局が 2月29日に発表した2020年2月の製造業の購買担当者景気指数(PMI)は前月より14.3ポイント低い35.7だった。リーマン・ショック直後の08年11月(38.8)を下回り、過去最低を記録した。非製造業のPMIも同24.5ポイント低い29.6と過去最低だった。

グラフで示しますと、以下のような通常ではあり得ない下がり方で、リーマンショックをはるかに上回る落ち込みでした。この指数は「 50より上だと景況感の上昇」を示します。


zerohedge.com

本日 3月31日、中国統計局は、上の翌月となる「 3月の購買担当者景気指数」を発表しました。

これがもう「奇跡的な回復」を見せていまして、さすが中国、習国家主席の下で一糸乱れぬ経済発展を遂げ続ける国だと、私もつくづく感心しつつ、この荒れた社会状況の中で、爽やかな笑いを私たちに届けてくれたことに感謝しました。

どうなったかというと、製造業、非製造業共に、以下のような急激な回復を示していまして、あまりにも急カーブ過ぎて「V字」すら描けない「I字回復」とでもいうような急激な回復です。


zerohedge.com

 

( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

 

中国の 3月は、少なくとも中旬までは、まだ多くの企業や工場が稼働していなかった時期で、それに加えて、その頃から今度は中国以外の感染状況も悪くなり、輸入と共に輸出も怪しくなり、中国への観光客の訪問も途絶えていた時期で、その時期にこのような奇跡的な回復を示したというのはすごいことだと思います。

この中国統計局の発表後すぐに、米国ゼロヘッジは以下のような記事を投稿しました。

China Is "Fixed": Chinese PMIs Soar Back Into Expansion, Smashing Expectations

中国の数値は「固定」されている:中国のPMIは、多くの予測に反して急回復

コロナウイルスの大流行の結果として経済全体が破壊された 2月の中国の製造業と非製造業の PMI の記録的な急落を覚えてらっしゃるだろうか。

さて、本日、中国統計局が最新の PMI を発表したが、これがまさに茶番劇で、予想に反した大幅回復ぶりに、世界中の誰もが大笑いしたに違いない。数値は以下のようなものだった。

・3月の製造業の PMI は 52.0 に急回復。これは2017年9月以来最高の数値だ。
・非製造業の PMI は 52.3 と、こちらも急上昇。

これらの完全に捏造された数値とは裏腹に、中国の経済データについては、昨日、以下のように中国の消費者のデフォルトの津波が始まったと報告した。

・中国の 2月のクレジットカード滞納の債務は、前年より約 50%増加した。
・中国の延滞率は、昨年末の 13%から、2月には驚異的な 20%に急上昇した。
・中国では推定 800万人が 2月に失業した。
・中国の産業利益は 39%急落した。

要するに、中国の実体経済は崩壊しており、実態経済が縮小すればするほど、中国政府は完全に偽造された数値で消費者の信頼を高めようとするだろうが、もはや、誰もそのような統計を信じるものはいない。

中国の統計的な茶番に関しては、経済データだけでなく、新型コロナウイルスに関する統計も現実を反映したものではないことを誰もが知っている。

中国の北京では、世界で最も致命的なこのパンデミックの新たな感染者がゼロになり、そして、3月30日時点での 48例の新たなコロナウイルス症例のすべてが、外国からもたらされたものだと声明を出している。もはや、中国内での新たな感染はないと言っているのだ。

まあしかし、世界中が暗い雰囲気である中、世界は笑いを求めていた。

そのような時に、中国当局が、ジャストのタイミングで世界中の人々を笑わせてくれたことはありがたい

ここまでです。

なお、現実として、現在の中国の人たち自体はまったく笑える状況ではない厳しい経済状態が拡大していることが示されています。

香港のサウスチャイナ・モーニングポストは、「中国で大規模な消費者のデフォルトの波が始まった」と報じており、数値としては以下のようになっていると伝えています。

・中国で、2月に期限切れのクレジットカード債務が約 50%急増
・2月の支払いの延滞率は昨年末の 13%から驚異的な 20%に急上昇
・推定 800万人が失業

ということに加えて、そもそも現在の中国は、

・住宅ローンを含む家計債務が過去最高の 55兆元(約 800兆円)に急増している
・中国の銀行の不良債権総額が 5.2兆元(約 83兆円)に急増

という状態にあることも、サウスチャイナ・モーニングポストは伝えていまして、中国全体の債務が膨れあがっている中で今回の新型コロナウイルスによる経済の停止という事態を迎えています。

もちろん、新型コロナウイルスの感染が拡大している国では、どこも同じ問題を持っているわけですけれど、その影響を最初に受けた中国の状況を私たちは見ているということになります。

中国に住む人たちの現在の厳しい状況を予測できる点としては、たとえば、2月21日の日経アジアンレビューの記事によれば、

「中国の中小企業は、今の状態が続けば、3ヵ月以内に現金がなくなる」

と回答したことが記されています。

グラフでは、30%以上の企業が「 1ヵ月もたない」と回答していまして、それが 2月の中旬ですから、現在の 3月の終わりなどでは、かなり厳しい状態になっている中小企業が多いと思われます。

日経アジアンレビューによれば、これらの中小企業の占める割合は、中国にとって重要な税収でもあるとして、以下のようにありました。

最新の公式統計によると、これらの小規模企業の雇用主は、中国の登録企業の 99.8%を占め、79.4%の労働者を雇用している。それらは国内総生産の 60%以上を占めており、中国政府の税収の 50%以上を占めている。 (NIKKEI Asian Review)

中小企業がダメージを受けると、中国政府そのものにもダメージが広がり、中小で働く人たちが 80%を占めるということは、その人たちが失業したりした場合、消費にも大きな影響が発生すると思われます。この「失業者の数」も、実際の数値はわかっていませんが、中国語メディアの NTD は、民間のデータ推計として、

「現状で、中国では 2億人が失業しているのではないか」

と記しています。


・3月31日の報道より。NTD

関係ないですが、習主席は相変わらず、やや疲れた様子に見えます。

武漢訪問以来どうも本調子ではないようですね。

3月10日 武漢を訪問した際の習主席

NDT

統計データの茶番は茶番として、習主席自身に恨みがあるわけではないですので、お元気になってほしいですね。

そして、これらの「中国の惨状」は、都市封鎖と隔離政策と移動の制限によって、たった2ヶ月ほどでこのような壊滅的な結果を招いたことに注意したいところです。

 

 

中国の現状は「封鎖・隔離対策は間違っている」ことの証では

今回ご紹介したことと直接は関係ないですが、アメリカの経済誌フォーブスが、「国家封鎖や移動の制限ではなく、国民全体に緩やかに感染させることで、国民全体の集団の免疫獲得を目指す」というオランダ政府の方針について取り上げていました。

私自身、封鎖や隔離では解決にはならないと思っていまして(隔離や封鎖が解除された途端また感染拡大が始まるため、流行が終わらない)、いつかは社会を正常に戻そうとしているのなら、「感染を防ぐ」対策ではなく「国民の集団免疫獲得を目指す」ほうが理にかなっている気がするのですが…。

皆さんはどう思われるでしょうか。

隔離封鎖・ビジネス停止で対処して崩壊した中国を見て、そして、それに従う政策を取る各国の「未来が見えない」惨状を見ていて、特にそう思います。

なお、この記事は「集団免疫の獲得のために、緩慢な感染の方針」を打ち出していたオランダでも感染者が激増して(感染者 1万1750人 / 死者 864人)、オランダ政府が苦慮しているという報道です。フォーブスの記事の概要をご紹介して記事を締めさせていただこうと思います。

 


Covid-19の感染が拡大する中で、免疫獲得政策と封鎖対策に挟まれ、苦境に陥るオランダ政府

Caught Between Herd Immunity And National Lockdown, The Netherlands Hit Hard By Covid-19
Forbes 2020/3/27

3月16日、オランダの首相マルク・ルッテ氏は、オランダ政府の政策として、国民の「集団免疫の獲得」を目指し、多くの人が医療的にコントロールできる状態の下で新型コロナウイルスに感染する方針を述べた。

新型コロナウイルスに対する集団免疫を獲得することは、当初、オランダ政府の政策の主要な目的の 1つだった。これは、高齢者や基礎疾患を持つ人々などの脆弱な集団を保護しながら、ウイルスの拡散をコントロールする政策だ。

国家による都市封鎖を行うのではなく、感染することと、脆弱な集団の保護のバランスをとることにより、社会が正常に戻ったときに(多くの国民が抗体を持っているため)新たな流行の発生の危険にさらされる状況を回避できると考えた。都市封鎖をした場合、封鎖解除後に、抗体を持たない人たちがたくさんいる場合は、また感染拡大が始まる可能性がある。

ただ、Covid-19に対して、免疫獲得でアプローチする主な問題は、この病気が 60歳未満の多くの人々が重症化したり死亡している事実があることや、若い人たちと高齢者を分離する方法が難しいこと、あるいは、新型コロナウイルスに感染した後に(発症しない場合が多いため)本人が本当に免疫を獲得できているのかどうか判断できず、また、獲得したとしてもその免疫力がどのくらいの期間続くのかもわかってはいない。

先週、オランダの首相は、集団免疫の獲得政策を一歩後退させ、軽度の都市封鎖をおこなうことを示唆した。オランダ政府は、他のヨーロッパ諸国が制定したものと同様の制限を課すと述べている。つまり、学校と大学を閉鎖し、バーとレストランのほとんどを閉鎖するように命じ、できるだけ家から出ないように働きかけるというものだ。ただし、移動の制限はおこなわない。

Covid-19は、オランダでは、イタリアやスペインほど大規模な被害をもたらしていないが、感染者が 1万人を超えているという深刻な状態となっている。

また、オランダの致死率は約 7%となっており、隣国のドイツの致死率 0.7%とは対照的だ。オランダは全体の人口が少なく、ドイツの 5分の 1近くの人口で、60%多い死亡者を抱えている。

また、ドイツとは異なり、オランダでは広範囲にわたる検疫テストが行​​われていないため、実際の感染者数を過小評価している可能性がある。

ドイツとオランダの医療システムはどちらも比較的資金が豊富で、平均余命や罹患率などの人口健康指標で国際的に評価されている。しかし、オランダにおける Covid-19 の影響は深刻となっている。

オランダでは集中治療室が不足する差し迫った可能性に直面している状況に至っている。ドイツ当局は、オランダの Covid-19 患者を受け入れる用意があると述べている。


 

ここまでです。

オランダ政府もまた、あまりにも患者数と死者数が急増していく中で「集団の免疫獲得」政策を転換しつつあるようです。他にスウェーデンでも集団免疫獲得政策をおこなっています。


・BBCの報道を引用した米ゼロヘッジより。zerohedge.com

記事には以下のようにあります。

BBCは、会議が10人以下に制限されている隣接するデンマークとは異なり、「スウェーデンの人たちは、今でもナイトクラブに出かけ、友だちと遊び、広場の巨大なトール像の下でアイスクリームを楽しんだりしている」と報じている。

スウェーデンは「ヨーロッパの中で唯一楽しい日々を送っている」ようですが、ただ、スウェーデンでも、マスコミや世論が「人命を尊重しておらず、倫理的に問題がある」と批判し始めていて、そのうち転換するのかもしれません。

しかし「人命の尊重」に関しては、都市封鎖を何回繰り返しても免疫を持たない人が多い状況では、封鎖を解除した後また流行が起きてしまう可能性もあります。

何より、先ほど見ましたように、中国は「たった2ヶ月で経済も社会システムも破壊されている」のです。経済基盤が脆弱な国では、完全に破綻する場合もあるはずです。

経済崩壊という事象こそ、「人命を尊重しない」こととリンクするのではないでしょうか。中国のように、夥しい倒産と失業者が増えていくようなことが、「倫理的」なのかどうかと思います。

主要国すべてが中国のように「破壊」された場合、地球の人間活動そのものが終わってしまう可能性があるとさえ最近は考えます。日本を含めた各国の指導者たちが「地球の人間活動など滅びてもいい」という覚悟があるのなら、仕方ないですが、中国でたった2ヶ月ほどで起きた厳しい現実を直視してもいいのではないかとも思います。

なお、3月31日の報道で、以下のようなものがありました。

英大学インペリアル・カレッジ・ロンドンは、欧州主要国が導入した全国的なロックダウン(都市封鎖)など一連の新型コロナウイルス対策によって、最大12万人の命が救われるとの分析結果を公表した。 時事通信

ヨーロッパの全人口は約 7億人ですが、経済崩壊により、たとえばその 10%が致命的なダメージを受けただけでも、数千万人が危機に陥ります。封鎖が長引き、状況が悪く進めば、ヨーロッパで「病気とは関係なく」おびただしい人命が失われる可能性があると考えます。

それが全世界規模で進行しているのです。

 
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