地球の最期のときに

飢餓の時代の始まり。そして、世界で最も脆弱な食糧システムを持つ国のひとつである日本



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すでに起きている混乱

ここ数日、イスラエルのネタニヤフ首相の生死についてのいろいろな話題があり、それはもう混沌とした話となっていますが、そのあたりは、以下の記事などにメモしています。

ソーシャルネット上で拡散され続ける「イスラエルのネタニヤフ首相の死亡」説。動画では演説中の指が6本になってるし

イスラエルが公開した「ネタニヤフ首相が生存している」とする動画に対してのAIの見解

こういうことも含めて、今のイランの戦争では、双方からの情報が共にプロパガンダ的になっていて、実際のところがほとんどわからない様相となっています。

攻撃状況も今ひとつ不明ですし、ホルムズ海峡の状況についてもやはりよくわからない。「海峡は閉鎖されていない」というような話も出てきたりしますが、しかし、正式なデータを見ますと、少なくとも現在もなお「ほぼ封鎖」されているようです。

海事リスクインテリジェンス専門の企業であるウインドワード (Windward)社のデータでは、封鎖前と比較して、ホルムズ海峡を通過する船舶の数が、「 100%近く減った」ことがわかります。

2026年2月27日〜3月14日までのホルムズ海峡の通過船舶数の推移

windward.ai

3月9日〜3月15日の船舶通過数(0〜2隻の間)

HealthRanger

事実上まったく船舶は通っていないようで、つまり、「ほぼ何も運搬されていない」と。

先日、「ホルムズ海峡封鎖から発展する文明崩壊と大量飢餓のカタストロフ」という記事を書きました。

そこで、クレイグ・ティンデール氏という方の「ホルムズ海峡の閉鎖に関する12段階のカスケード分析」という論文から抜粋しましたが、

「石油や液化天然ガスだけの問題ではない」

のですね。

ポリエステル、肥料(肥料の生産には大量の天然ガスが不可欠)、そして、電力系統と電気自動車の生産の根幹となる硫酸も、石油生産の副産物としての硫黄から作られます。

石油由来のエチレンの生産や流通が止まってしまうと、生活の非常に多くの分野に影響があることを、「石油由来のエチレン生産が止まると病院の機能が停止する」という記事について書きました。

医療が停止してしまうわけです。手軽な代替えが存在しないですので、本当に医療が停止する日が(一時的にしても)来るかもしれません。

エチレンについては、Google などで「エチレン」で検索すると、日本の多くの企業が減産している報道が並びます。

これらは、すでに起きていることで、誇張した話とも言えず、今後さらに、生活あるいは企業の生産についてのさまざまなジャンルに大きな影響を与えていくと見られます。

今回は、「食糧危機」に絞った話として、米ナチュラルニュースのマイク・アダムスさんの記事をご紹介します。




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飢餓の現実性

なお、食料への影響といえば、タイでは燃料不足のために「 9000隻の漁船のうち、半数程度が海に出ていない」ことが報じられています。3月12日の報道です。

タイの英字紙より

タイ漁業協会のモンコル・スクチャロエンカナ会長によると、ディーゼル燃料の不足と、多くの船主にとって航海が経済的に困難になるほどの価格上昇が見込まれることから、タイの漁船約 9000隻のうち半数が今後数週間港に留まる見込みだという。

漁業に割り当てられるディーゼル燃料の割り当て量が半減される可能性が高く、漁師たちにさらなる圧力がかかるだろうとモンコル氏は述べた。

彼は、商業漁船は1回の漁獲につき 700~ 1000リットルのディーゼル燃料を必要とするため、価格が 1リットルあたり 10バーツ上昇すれば、1回の漁獲につき 7000~ 10000バーツ (約3万5000円〜5万円)の追加費用が発生すると述べた。

PBS

大国のタイでこれが起きているなら、他の国でも広く起こっているでしょうし、影響の範囲は他にも及んでいくと思われます。

燃料の高騰や肥料の高騰、あるいは不足による農家への影響も、今すぐではないにしても、いつかは出てくるはずです。

そもそも、現在、船舶の輸送燃料価格が「過去最高値」となっています。

2006年からの船舶の輸送燃料価格

NoLimit

昨年の 3倍くらいになっています。

当然これらのコスト増は商品価格に転嫁されるわけで、消費者の負担が増えることが、すでに確実になっているということです。影響が数字に出るのは、次の四半期などでしょうけれど、インフレは確実です。

航空機のジェット燃料も、異常な高騰となっていて、これらもコストが消費者に転嫁されていくのは同じでしょう(航空料金は、今ではなく、おそらく夏の運賃から影響を受けると見られます)。あるいは、経営が厳しくなる航空会社も出てくるかもしれません。

いつまで戦争が続くかは相変わらずわかりません。ネタニヤフ首相が実際にどうしているのかもわかりません。6本の指がどうなったのかもわかりません。これだけ混沌とした状況ですと、何を予測しても、ほとんど当たらないでしょう。

ともかく、マイク・アダムスさんの記事です。


飢饉の時代:トランプの不必要な戦争が世界の食糧安全保障を危機に陥れた経緯

The Famine Years: How Trump’s Unnecessary War Has Put Global Food Security on the Brink
naturalnews.com 2026/03/13

 

我々が必要としなかった戦争、そして我々全員が感じるであろう飢餓

2026年、昨年就任したドナルド・トランプ大統領が、世界中の何百万人もの人々を飢餓に陥れる戦争を意図的に引き起こすのを、恐怖とともに私は見守っている。

イランへの攻撃をエスカレートさせ、ホルムズ海峡を封鎖するという選択は、防衛上の必要性ではなく、世界で最も重要な商業の動脈を断ち切る侵略行為だ。

ある分析が厳しく警告しているように、この封鎖は「世界システム全体を連鎖的な破綻にさらす」ことになる。

これは人為的に引き起こされた飢饉であり、軍事戦略を装った政治的犯罪だ。飢餓が人口を支配し富を蓄積するために武器として利用されるというパターンは、これまでにも見てきた。

飢餓が自然災害ではなく政治的暴力の結果であるガザの悲惨な現実は、ぞっとするような前兆となっている。今、トランプの指導の下、このモデルは世界的な大惨事へと拡大されつつある。私たちが皆感じる飢餓は、彼が受けるべき飢饉であり、それはすでに始まっている。

 

閉鎖された海峡が世界のエネルギーと産業をいかに締め付けるか

ホルムズ海峡は、最も狭い部分の幅はわずか 約33キロメートルの狭い海峡だが、世界のエネルギーと肥料の輸送量の非常に大きな割合を担っている。

この海峡の閉鎖は世界の LNG (液化天然ガス)輸送を麻痺させ、重要なエネルギー供給を阻害している。これは単にガソリンスタンドでの燃料価格の高騰の話ではなく、加工から流通まで、世界の食料生産チェーン全体を支えるエネルギーの問題なのだ。

ドミノ効果は即座に、そして深刻に及ぶ。供給が完全に停止すれば、世界市場で硫黄のスポット供給がゼロになり、工業プロセスや農業に不可欠な硫酸の生産が麻痺する。

クレイグ・ティンデール氏の分析が詳述しているように、この供給停止は「文明の全般的な危機へと波及する可能性がある」。効率性と依存に基づいて構築された現代世界の仕組みは、今や停止寸前だ。この封鎖によって課せられた締め付けは、石油だけでなく、工業化された農業の生命線そのものをも窒息させる。

 

最初のドミノ:漁船団から空っぽの棚へ

連鎖的な崩壊は未来の予測ではなく、まさに今起きている現実だ。基幹産業はすでに機能不全に陥っている。

世界の海産物供給を考えてみてほしい。これらの海上輸送ルートを通じて燃料や物資の輸送に依存している主要な漁船団は、活動が麻痺している。

タイでは、推定 9,000隻の漁船のうち半数が停泊しており、燃料費の高騰により漁業活動が停止している。エネルギー輸送に大きな混乱が生じれば、移動や操業は著しく阻害される。これはリアルタイムで発生しているサプライチェーンの断絶だ。

もう一つの重要な回廊であるスエズ運河では、地政学的緊張と紅海での攻撃により交通量が 50%減少しており、世界のサプライチェーンが混乱し、経済の安定が脅かされている。

一つのチョークポイントが閉鎖されると、他のチョークポイントにも負担が拡大する。過去のサプライチェーンの問題で多くの人が経験した棚の空っぽは、これから起こることの軽い前兆に過ぎない。今、ホルムズ海峡が閉鎖されたことで、崩壊のペースは加速し、漁船団から食料品店へと恐ろしいスピードで広がっていくだろう。

 

肥料の惨禍:世界の穀倉地帯の土壌を飢餓状態に陥れる

ここに、迫り来る飢饉の核心がある。天然ガスは窒素肥料の必須原料だ。ガスがなければ肥料は作れない。イランへの攻撃は、このインフラを直接標的にしている。

中東紛争の再燃後、世界の肥料市場は混乱している」とされ、イランとエジプトの肥料工場が攻撃により閉鎖されている。イランの年間生産に不可欠な 7つの尿素施設も被害を受けている。

この惨事はアメリカ中西部にも及ぶだろう。政治的膠着状態により他の問題が優先され、政府が農作物の栽培を怠る可能性に直面しているアメリカの農家でさえ、肥料不足に陥るだろう。

アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃によって引き起こされた地政学的ショックは「世界的な肥料供給崩壊のまさに引き金」であるため、私は個人的に肥料を備蓄している。

肥料がなければ、作付け面積に関係なく、この秋の収穫量は激減するだろう。土壌自体が栄養不足に陥り、世界の穀倉地帯は壊滅的な打撃を受けるだろう。

 

人的被害:これは貧困層と社会的弱者に対する戦争である

飢饉は、いつものように、まず富裕層を襲うことはない。すでにぎりぎりの生活を送っている人々を標的にする。

何百万人もの人々にとって、食料価格が 25%上昇することは飢餓を意味する。国連は、16の国と地域で深刻な食料不安が悪化し、何百万人もの命が危険にさらされると警告している。

推定 3億1800万人が危機的な飢餓レベル、あるいはそれ以上の状況に直面しており、これは 2019年の数字の2倍以上だ。

これには、アメリカ国内の脆弱なコミュニティも含まれる。アメリカの食料砂漠に住む人々は、限られた、しばしば質の低い選択肢に頼っているが、そうした選択肢が消滅したり、手が届かなくなったりする可能性が高い。

私たちが警告しているように、「経済崩壊、人為的な食料不足、政府の行き過ぎた介入」という完璧な嵐が、アメリカにおける社会不安と食料暴動へと向かっている。この戦争の人的被害は、貧困層や社会的に疎外された人々への直接的な攻撃であり、最も脆弱な人々が最初に犠牲になるという残酷な計算だ。

 

行動への呼びかけと警告:準備せよ、誰もあなたを救ってはくれないのだから

政府や国際機関はこの危機に対処できないだろう。それらは本質的に腐敗していて不誠実であり、あなたの最善の利益に反して行動している。

世界食糧計画は、大惨事を回避するために数十億ドルが必要だと述べているが、これらの中央集権的な機関は、支配のために不足を仕組むシステムの一部だ。今や自給自足が生き残るためのスキルとなっている。

今年後半に棚が空になる前に、今すぐ行動を起こすべきだ。有機栽培で非遺伝子組み換えの種子を使って、自分で食べ物を育てる方法を学ぶぼう。ササゲ(※ 後述します)のような、飢饉の時代に地域社会を支えてきた丈夫な作物について調べてみよう。清潔で保存可能な食料を確保し、基本的な食料生産と保存の方法を学び直そう。生活を分散化しよう。依存によって人類を奴隷にしてきた脆弱で中央集権的な食料システムから解放されよう。


 

ここまでです。

ここに出てくる「ササゲ」という植物を知らなかったので調べてみますと、アフリカ中部原産の植物で、主に温暖な地方で栽培されているもののようです。

日本の昔の文献にも、食用としてのササゲが出てくるようです。

日本では、奈良時代の文書中に「佐々気四升 直銭十六文」などの記述があり、平城京出土の木簡にも「大角豆」の記載が見つかっている。

当時の価格は大豆小豆に比べるとやや高価であった。平安時代にも「大角豆」や「白角豆」として本草和名や和名抄や新猿楽記などに記録が残され、和名佐々介などとしてササゲと読まれている。

江戸時代の『農業全書』には「豇豆」という名前で多くの品種や栽培法の記述がある。

wikipedia.org

小豆などのような「豆」を食べるもののようですね。厚さに非常に強い作物だそうです。

 

日本の食糧自給システムは極めて脆弱

自給自足は、私を含めて多くの人にハードルが高いことだとは思いますけれど、本当に必要な時は考えるべきことなのかもしれません。

何しろ、日本は世界で最も食糧危機に陥りやすいシステムを持つ国なのですから。東京大学大学院 農学生命科学研究科教授の鈴木 宣弘さんという方が書かれた『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』(Amazon)という著作によると、

・種と肥料の海外依存度を考慮すると、日本の実際の自給率は 10パーセント以下。日本では野菜の種の 9割を輸入に頼っている

・野菜自体の自給率は 80パーセントあるが、種を計算に入れると、日本の真の野菜の自給率は 8パーセントしかない

・鶏卵は、日本で 97パーセント自給できているが、鶏の主たるエサであるトウモロコシの自給率は、ほぼゼロ。何より、鶏のヒナは、ほぼ 100パーセント輸入

など、実際の自給率の惨憺たる数字が浮かび上がります。

これは、2022年の In Deep の記事の後半でふれています。

何らかの食糧危機が起きた時には、日本は主要国の中で最も脆弱な国のひとつであることを忘れてはいけないと思います。




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