(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
なぜこうなったかを改めて考える
英国エディンバラ大学の研究者たちにより、「パンデミック中のロックダウンが子どもの発達障害を大幅に増加させた」とする論文が医学誌ランセットに掲載されました。
そりゃまあ、ロックダウンなど良いわけがなく、2020年の段階から、私はマスクとロックダウンには強固に反対していました。
何が問題かというと、
「ロックダウンを行うと死者が増えすぎる」
のです。
以下の 2020年4月の記事で書いています。日本でも緊急何とか宣言だかの事実上のロックダウンが行われていた頃です。
In Deep 2020年4月22日
以下のグラフは、この記事に載せた英国統計局のグラフですが、ロックダウンと共に死者が急増していることが示されています。コロナによる死者だけではなく、「コロナ以外の死亡者も増えている」ことがわかります。
英国の2020年のロックダウン前後の死者数の推移
ons.gov.uk
とにかく、「人命を優先するためには、ロックダウンや外出禁止等の対策はやめるべきだ」ということがはっきりしているのです。
しかし、「乳幼児への影響」という意味では、私はロックダウンより、マスク着用(大人のマスク着用を含めて)の弊害が大変に大きかったと思います。他人の表情を学ぶ大切な機会が奪われたのですから。周囲の子どもの表情も、大人の表情もわからない。
実際、以下はフィンランドの例ですが、2020年を契機に、1歳から 6歳の言語と発話の発達障害数が著しく増えている。ロックダウン解除後も増え続けています。どこの国でもそうだと思います。フィンランドの場合は、3倍以上に増えています。
フィンランドの言語と発話の発達障害患者数(年代別)
2018年〜2025年9月11日
indeep.jp
これがマスクによるものか、ロックダウンによるものかはともかく、マスクの弊害については、 2020年からくどいほど書き続けていたことですけれど、比較的最近の記事で、AI とこのことについて話したことがあります。
In Deep 2025年11月13日
過去のさまざま論文などをまとめてもらったのですが、子どもの表情認識の発達は以下のような段階があります(この中のひとつでも飛ばすと、後から習得することは困難)。
表情認識の発達ステージ(0〜3歳)
・0〜6ヶ月 目・口の動きで喜び・怒りを区別 (相手の口元の動きが必須)
・6〜12ヶ月 複雑な表情(驚き・嫌悪)を模倣 (相手の口・頬の微細な変化)
・1〜3歳 感情語と表情のマッチング(「嬉しいね」など) (口元の動的変化が鍵)
→ マスクで口元が 50〜 70%隠れる → 学習信号が大幅に欠落。
結論としては、数年から十数年先の(つまり今の子どもたちが大人になる頃の)社会の中での人間関係は「壊れていく」という意見に達しました。社会が根底から崩壊する危機ともいえます。
しかし、最近、「子どもの認知障害や発達障害は他にも原因がある」と思うようにはなっています。
たとえば、「ロックダウンがなかったスウェーデン」でも、子ども(5歳〜19歳)の認知障害の患者数が著しく増えています。
スウェーデンの子どもの「軽度認知障害」の推移(2001-2024年)
indeep.jp
スウェーデンはロックダウンを行わなかった主要国唯一の国で、マスクの着用率も非常に低かった国です。それでもこんなことになっている。
「原因は何なのか?」と、これを見たときには思いました。すなわち、「複合的な要因がある」と思わざるを得ない結果だと思ったのです。
これについては、今回ご紹介する医学記事の後に書ければ書こうと思いますが、まずは先に、ランセットに掲載された論文を取り上げていた記事をご紹介します。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
COVIDによるロックダウンで幼児の発達障害が増加
COVID lockdown linked to increase in early child development issues
medicalxpress.com 2025/11/27
研究によると、COVID-19 のパンデミック中のロックダウンと社会的距離の確保措置は、スコットランドの幼児の発達に関する懸念の増大と関連していたことが示唆されている。
スコットランドの約 25万8000人の子どもを対象にした調査では、パンデミック前の傾向を考慮すると、2020年3月から 2021年8月までのロックダウンと社会的距離措置の期間を通じて、何らかの発達上の問題を示す幼児の割合が増加していたことが判明した。
この増加は、社会的距離措置の期間が長かった人ほど大きく、最大 6.6% 増加した。
研究者らは、この研究結果は、2020年3月からの COVID-19 パンデミックに対する公衆衛生および社会対策が、言語能力、身体運動、感情の成長など、幼児の発達にどのように関連していたかについて重要な新データを提供していると述べている。
スコットランドにおける研究方法と範囲
エディンバラ大学が主導した研究では、ロックダウン措置と幼児の保健師が特定した発達上の懸念との関係を測定した。
この研究は、英国またはヨーロッパの人口レベルで COVID-19 対策が子どもの発達結果に与える影響を評価するデータの分析としては最大規模となる。
研究者らは定期的な健康診断のデータを評価し、時間の経過とともに保健師から発達に関して懸念が示された子どもの割合を調べた。
この調査では、2019年1月から 2023年8月の間にスコットランドで 13~ 15か月と 27~ 30か月だった全児童の 80%以上を評価した。
発達上の懸念に関する主な調査結果
研究者らは、 2020年3月から 2021年8月までの 72週間にわたるロックダウン措置で、少なくとも 1つの発達上の懸念がある子どもの割合が最大 6.6パーセントポイント増加し、子どもの発達上の懸念が増加しているという証拠を発見した。
結果は、問題解決、言語、行動など、さまざまな種類の発達上の懸念事項にわたって一貫していた。
2021年8月にロックダウンと社会的距離措置が解除された後も、発達上の懸念がある子どもの割合はパンデミック前の水準よりも高いままだった。
特に注目すべきは、13~ 15か月時点での発達上の懸念は公衆衛生および社会対策が解除された後も引き続き上昇しているのに対し、27~ 30か月時点での発達上の懸念は上昇が止まったものの、パンデミック前の水準を上回ったままであったことだ。
研究の背景と専門家の解説
この研究は、スコットランド公衆衛生局との協力で、スコットランドにおける COVID-19 による長期的な子どもの発達への影響に関するより広範な研究(CHILDS 研究)の一環として実施された。
エディンバラ大学哲学・心理学・言語科学学部の研究者、イアン・ハーディー博士は、以下のように述べている。
「 COVID-19 に対する公衆衛生と社会的な対策は、パンデミック中の感染拡大抑制に重要な役割を果たしました。しかし、私たちの研究結果は、それらが幼児期の発達に関する懸念の増大にも関連している可能性があることを示唆しています」
CHILDS研究の主任研究者であり発案者であるエディンバラ大学哲学・心理学・言語科学部のボニー・アウヨン教授は、次のように述べる。
「この研究が、今後数年間に COVID-19 時代の子どもたちの成長をどのようにサポートするのが最善かについての議論に役立つことを願っています」
研究チームは、この研究はロックダウン措置と幼児の発達上の懸念との関連性を示す証拠を提供しているものの、同時に発生する他の要因の影響を排除できないことに留意することが重要だと付け加えた。
研究チームには、スコットランド公衆衛生局、ダンディー大学、シェフィールド大学、イタリアのイタリア工科大学の科学者も含まれていた。
CHILDS 研究は、SARS-CoV-2 感染と COVID-19 ワクチン接種が出生時および新生児期に及ぼす影響を調査した、スコットランドにおける妊娠中の COVID-19 (COPS)研究を基盤としている。CHILDS 研究は、幼児期における子どものその後の健康と発達への影響を調査した。
ここまでです。
話は記事の前に戻りますが、スウェーデンの子どもの認知障害が突然増えたのは「2010年頃から」でした。それまでは事実上ゼロでした。
もう一度グラフをのせます。
そして、2018年から加速化して、さらに、2023年から再度加速しています。
この加速の年月と、携帯(スマートフォン)の 4G や 5G の使用が急拡大していった時期とが比較的重なることから、「携帯の電磁波曝露」が関係しているのではないかと思うようになりまして、以下では、その論拠となる論文をご紹介しています。
In Deep 2025年11月5日
しかし、最近、さらに、本当に小さな乳幼児は別にして、「子どもの認知の発達の問題」は、
「これが根本的な原因なのでは?」
ということに気づきました。
子どもからデフォルト・モード・ネットワークを奪うデジタルデバイスたち
今では、小学生でも、1日 3時間から 6時間くいらスマートフォンを使用する子どもが多くなっているとのことですけれど、これの何が問題か? もちろん、SNS に没頭したり、ショート動画(15秒以下などの短い動画)ばかり見ていると、脳の働きが弱まるということはあります。
以下に「ショート動画が脳の腐敗を引き起こす」という論文を翻訳しています。
・TikTok、Instagram、YouTubeなどソーシャルメディアのショート動画は若い人の「脳の腐敗」を引き起こすという論文
NOFIA 2025年11月26日
しかし、もっとも大きな問題は、
「常に外部からに刺激が入ると、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という人間の思考と創造性に最も重要な脳の働きが常にオフになってしまう」
ことです。
デフォルト・モード・ネットワークというの以下のようなものです。
> DMNとは、デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network)の略語。ぼんやりした状態の脳が行なっている神経活動のことです。
>
> 近年の脳科学研究により、DMNの働きは「創造性」と関係していることがわかっています。DMNが活発になると創造力が高まり、いろいろなアイデアが浮かんできやすいのです。studyhacker.net
もっと簡単にいうと、
「ボーッとしているときにだけ働く脳の機能」
なんです。
歴史上の多くの重要な発明者たちは、「ボーッとしている時に歴史的な発見を思い浮かべて」います。
ところが、これは外部から刺激を受け続けている時には機能しないのです。つまり、スマートフォンを見続けている時には、常に外部から刺激を受けているわけで、自分ではボーッとしているつもりでも、実際にはボーッとはしていません。
それがずっと続くと、「常にデフォルト・モード・ネットワークの機能がオフになっている」状態となるのです。
これでは斬新なアイディアなど出るわけがないですし、極論を言えば、そんな状態を何年も続ければ「馬鹿」になります。
この「馬鹿」というのは比喩ではなく、脳の能力がなくなるという意味の言葉です。
以下の昨日の記事に AI の Grok と、今のこのような状態が子どもや若者たちに続いていった場合、社会はどうなるかということについて問答しています。
・デフォルトモードネットワーク(DMN)を失った現代の人類の今後についてのAIの予測
NOFIA 2025年11月28日
AI は「かなり暗い未来」を予測しており、以下のようなことまで述べていました。
> ・上位0.1~1%の人たちだけが「意識的に空白を確保する技術」を身につけ、DMNを保つ(=スマホを捨てる、デジタル・デトックスを習慣化する、瞑想や長時間の散歩を生活に組み込む)。
>
> ・残りの99%は「刺激依存脳」が世代交代で固定化され、退屈耐性がほぼゼロになる。
そして、人間は思考しなくなり、思考するという行為が「 AI に取って替わられる」という未来です。
特に、ロックダウン中に初めてスマートフォンやタブレットなどのスクリーンタイムにふれるようになった子どもたちは多かったと思いますが、そのまま習慣づいてしまうと、もう元に戻ることができない。
ですので、今のスクリーン依存の社会が続く限り、子どもや若者の能力の後退は拡大していくと見られます。これは確実です。
もし、ご自分や周囲にお子さんがいらっしゃるのなら、デフォルトモードネットワークを検索してお調べになるか、あるいは、先ほどの AI との対話をご覧下さい。人類は AI からこんなように思われているのです。そして、何とかして「 1日に少しでもいいから、何もしないでボーッとする時間をもたせてあげて」ください。それが、あなたの子どもの脳を守る唯一の手段です。
とはいえ、巨大な太陽嵐や突然の核戦争などによりネットワークが恒久的に遮断でもされない限り、現在の子どもや若者たちのスクリーン依存の状況がそう簡単に変わることもないでしょうから、未来は実に絶望的です。
>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
▶ ご登録へ進む